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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.9
- 出版社: 彩図社
- サイズ:19cm/223p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-88392-706-7
紙の本
高校生でもわかる日本経済のすごさ!
消費税は上げる必要はない。円高で経済破綻するなんて大噓。年金制度は心配ない−。「年金」「消費税」「格差」「国の借金」の4つのテーマから、日本の将来が安泰な理由を説く。【「...
高校生でもわかる日本経済のすごさ!
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商品説明
消費税は上げる必要はない。円高で経済破綻するなんて大噓。年金制度は心配ない−。「年金」「消費税」「格差」「国の借金」の4つのテーマから、日本の将来が安泰な理由を説く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
三橋 貴明
- 略歴
- 〈三橋貴明〉東京都立大学卒。インターネット掲示板「2ちゃんねる」上での韓国経済に対する分析、予想が反響を呼ぶ。著書に「崩壊する世界繁栄する日本」「本当はヤバくない日本経済」など。
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紙の本
日本経済の浮沈は、未だ定まらず
2011/01/05 00:58
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本経済については、超優位という説ともうダメ論が二分されていて、中間がなかなか存在しない。本書などは楽観論の筆頭格にあげられる。ダメ論については枚挙にいとまがないが、最近売れた本の著者としては辛坊こうじなどが有名か。
日本経済がダメという理由の一つとして、財政のまずさがまず指摘せざるをえない。この点について本書は極めて楽観的である。その論拠は過去私も書評で何度も述べたとおり、要約すれば簡単なことである。つまり、借金の相手、すなわち日本政府の債権者は、日本国民であるということだ。これは非常に重要なことに違いない。少なくとも、過去財政破綻した国といえば、韓国やロシア、アルゼンチンなどが有名だが、いずれも95%以上も自国内で国債を消化していた国など一切存在していない。日本国民すなわち都市銀行などは今後も国債しか買うものがない状況は否が応にも続くし、突然売りに出したりすることも考え難い。なぜなら、突如売れば当然大暴落し、資産価値の目減りはもちろん、それを実行すれば取締役の経営責任が厳しく追及されることになるだろう。そういう条文がちゃんと会社法423条・429条といったかたちで準備されている。当然経営判断原則が適用されようが、それにしても国債の大量売りは自らの首を絞めることになる以上、これを合理的判断といってよいかは大いに疑問なことは間違いない。
著者の見解というか、ちょっと勉強すればここまでは間違いない議論であることはすぐ理解できる。問題は、これからなのである。確かにしばらくは国債市場が暴落することはない。なぜなら、日本ではいまだに運用先のない資金が大量に存在するからである。しかし、それもおそらく早晩限界がくる。やはりデッドラインは1100兆から多くても1400兆円だろう。このとき、普通に考えれば国債の買い手は海外に求めるしかなくなる。強引にインフレにするなどの措置は日本では取られないし、取るべきではない。要は、現在の借金額については十分に裏付けがあるので問題ないが、いずれ限界が来るということだろう。何より恐ろしいのは、実額よりも利率である。1000兆債務の5%といえば、50兆円である。もし、日本国債の利率が5%になれば利払いだけで年間予算を10兆円以上上回ることとなり、財政法3条に違反する借換債でどうなるものではないことはだれの目にも明らかであろう。勝負は数年の間に決まる。
日本経済の売りというのは車や家電だけではない。むしろ、インフラや電子デバイス部品などに本当の優位性が存在する。新幹線も技術では比較対象になるのはフランスくらいで、技術的には圧倒している。安全性はいうまでもなく、悪路にも強く、速度も実際にはさらに出力することは十分可能であり不利な材料にはなるまい。トンネルや電線、原子力発電などでも世界一であろうし、ロケットについても三菱重工主導で成功率は95%を射程に収め、間もなく成功率ではアメリカをも射程に入れる。著者のいうとおり、日本は車や家電が主力ではないのである。だからといって、韓国などに良いようにやられている姿は情けなさすぎるが。。
日本経済が復活するには地方分権が必須であるというフレーズが大好きな者が多い。これは本当か。おそらく嘘であろう。これは珍しく榊原英資に賛成である。道州制によって、国家の中枢機能以外はすべて地方に移管などというのは形式論としても憲法違反だし、実質論としてもとんでもない危険な過ちである。確かに、世界では都市ごとの発展というケースが目立つ。しかし、日本の国土はテキサス州ほどしかなく、同列に論じるのはおかしい。そもそも、経済というのは発展している箇所が点・点としているのは極めて非効率であり、あり得ない。都市が発展し、それを地方に分配するのが最も効率的なのである。東京という世界で最も都市機能が集中した都市が存在したことが日本経済をここまで引っ張ったのである。これを、国内に何か所も作ることは理想だが、それは無理だ。経済というのは、なるべく大きなブロックで合理的に都市計画を含めて考えなければ非効率なのである。例えば、大阪府と大阪市のように、東京が23区とそれ以外で別々に、知事なり市長がいた場合速攻性が減殺され、おそらく今のような東京ではありえなかっただろう。
だから、中央集権体制の一層の強化が必要というのが結論である。日本でまずいのは、中央の官僚が腐りきっていることなのだ。決して中央集権という制度が悪いわけではない。現に、フランスなどは極めて中央集権的だし、中国の政策に関する脅威の速度はまさにウルトラ中央集権制がなせる業である。果断即決速攻こそが重要であり、現行の省庁別官僚制は大幅に改める必要があるだろう。官僚も人間である、自分の昇進を第一に考える。そして、昇進するためには省益を国益よりも優先させなければならない。おかしな予算の獲得合戦はここに由来する。問題の根源は省庁別官僚制にある。さらには国民の多くが国益を考える理性を失っていることが最大の原因であろう。政治家までが愛国心の一切ない仙石由人などのクズで埋め尽くされ、省庁別官僚制をコントロールすることさえできないのである。
著者は日本経済について極めて楽観的で、確かに本書を読めば高校生も理解できる。ただ、一切問題がないのかといえば、そんなこともないのだから、鵜呑みはすべきではない。著者の楽観論が的中するかは、まさにこの先の国民の投票行動で決まるもので、現在決まっているものではない。自民党でも公明党でも民主党でもない。愛国心のない者を政界に上げないことが唯一といっていい処方箋であろう。各国が経済を通して武器なき戦争をする国際企業戦争の時代にあって、日本経済が勝利するか負けるか、浮沈いずれに転ぶかは今の時点ではまだ決まっていないというのが正しい。