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商品説明
ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、カナコは生き延びることができるのか?暗躍する組織の抗争、命がけの恋—。人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
【日本冒険小説協会大賞(第28回)】【大藪春彦賞(第13回)】殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったカナコ。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、カナコは生き延びることができるのか…。Webマガジン『ポプラビーチ』連載に加筆訂正を加えて書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
平山 夢明
- 略歴
- 〈平山夢明〉1961年神奈川県生まれ。自動販売機の営業やコンビニ店長などを経て、作家に。「独白するユニバーサル横メルカトル」で日本推理作家協会賞受賞。ほかの著書に「メルキオールの惨劇」など。
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紙の本
食欲のわかないダイナー。最後は痛さも怖さもマヒ
2011/02/18 11:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウマイ話につられて、裏社会に足を踏み入れてしまうオオバカナコ。
彼女の命をやりとりする男たちによって、会員制のダイナーで
不眠不休で働くことになります。
そこは殺し屋だけが集まる店で、どこかイカレていたり
トラウマを抱えていたりして、すぐに殺し合いが始まります。
出てくるハンバーガーは凝っていて
普通だったら垂涎ものなのに
バイオレンスに次ぐバイオレンスで
ちっとも食欲がわきません。
しかも彼らの論理からすると
カナコはすぐに殺されることになります。
小説の最初の頃の、彼女のセリフでいちばん多いのは
「わけわかんない」。
本当に登場する殺し屋はわけわかんない。
ダイナーを仕切るボンペロは凄腕のシェフですが
やはり元殺し屋。まずは、彼がカナコの命をにぎっています。
ところが、カナコはうまい具合に取引アイテムを手に入れ
自分の命を少し、自分のものに引き寄せます。
でもすぐに強敵、ブルドッグの菊千代が登場し
全然、安全ではないのですが。
そこに組織同士の抗争、跡目争いが絡み、
カナコも逞しく成長していきます。
「女は30からだよねえ」と嘯きたくなりますね。
だんだん自分の感覚がマヒしてきて
何が痛いのか、何が怖いのか、よくわからなくなり
しかし、乾いたラストにはしびれます。
紙の本
人の事は言えないんですが、どうも図々しい人間というのが許せなくて、それが同性だともっと厳しくなる。で、このお話の主人公がまさにそういう女。でもです、これ、アニメにしたら凄い作品になると思うんです、私・・・
2011/01/04 22:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
平山夢明、なぜか気になる作家でした。日本推理作家協会編『2006 ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑』の〈独白するユニバーサル横メルカトル〉、式貴士『カンタン刑』の巻末エッセイ、京極夏彦『南極(人)』の〈毒マッスル海胆ばーさん用米糠盗る(平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』2006年/光文社刊)〉は読んでいますが、平山夢明の名前を意識して読んだ記憶はありません。
かろうじて、『カンタン刑』の巻末エッセイを読みながら、式貴士ってそんなに面白い? って思った程度。そういう意味では、平山の名前を意識して読む初めての小説が、この『ダイナー』ということになります。ただし、私はタイトルの意味が全く分からず、恐竜映画の「ダイナソー」のことだろう、くらいの思いでいました。さらに言えば「ダナエ」かな、などとも。そう、ギリシア神話に登場するアルゴス王女のことです。
せっかく、目の前にハンバーガーの写真があるのに、私の夢想は「ダイナー」という語感から、勝手な方向に奔っていくのです。しかもです、書いてあるdiner という英語には全く目が行きません。dinner はでてきても、そりゃ「ディナー」だしなあ、と食べることとは全く結びつかないのです。これではカバー写真 photo by Afle を選んだ装幀の坂野公一 welle design もガックリです。
私のように鈍い人間には、ちょっと? というカバーですが、読めば思わず「今日の食事はハンバーガー」っていいたくなります。効いているのは何といってもチーズの黄色とレタスの緑、それとパティのこげ茶、バンズのグラデーションがかった茶とゴマの艶やかさ、そして何よりそこからあがる湯気なんですが、でも幾分下品では、といいたくなるゴールドのタイトル文字がいい。内容の暴力的なところにピッタリ・・・
と取り敢えず書きましたが、装幀と写真の文字が小さいのと、字体が特殊というか読み取りにくいものなので、娘二人と photo by のあとに続く文字はなんだろう、こういう注記っていうのは義務で付けるのじゃなくて、人に知らせるのが目的なんだから、もうすこし読みやすい字体や大きさにすべきなんじゃないか、なんて盛り上がりました。ポプラ社さん、児童書と差別化しているのは分かるんですが、こういう部分はもっと素直な方がよろしいのでは?
そういえば、初出についても曖昧です。あとがきで、平山が
なお本作はポプラ社のwebマガジン「ポプラビーチ」で連載されていたものにほぼ半分以上の加筆と訂正を加えたものであります。
と書いているものの、これではいつ、どの部分が、というのが全く分かりません。こういう基本情報というのは、児童書、一般書に関係なく明記し、将来の書誌的な調査に役立つようにしておく、それが出版社の使命ではないでしょうか。どうもここら辺を意識していない、というか忘れてしまう会社があるというのは嘆かわしいことです。ポプラ社はそういうことはない会社だと思っていたのに・・・
カバー折り返しの言葉は
*
わたしはある日、殺し屋専門の定食屋に抛り込まれた。
ほんの出来心で、奇妙なバイトを引き受けたばっかりに……。
本当に最悪な出来事っていうのは、なんの助走も前触れもなく起こる。
足元に空いた真っ黒い穴に、人は落ちるまで気づかないんだ。
わたしは落ちた。これからするのは、その奈落でのお話――
*
です。主人公はオオバカナコ、30歳のやる気のない、それでいて狡賢い女で、登場したときから不快な存在でした。長女が読んだら、それだけで「キライ」と断言する、そういうタイプで、ボンベロの店キャンティーンの掃除とウエイトレスのような仕事をすることを命じられ、仕事の手抜きを見つかり殺されそうになるのですが、私としては「自業自得、地獄に落ちろ!」と思うだけ。こういう女性をクールとはいわない・・・
で、です。もう一人の主人公とも言えるボンベロですが、彼は殺し屋専用の定食屋(ダイナー)の店長です。殺し屋だったのを店長兼料理人として引きぬかれたせいでしょうか、彼の作る料理の品数は決して多くはありません。メインはあくまでハンバーガー。でも、それを食べた男たちは必ずその味の虜になるわけです。もちろん、殺し屋たちが、です。ボンベロは、イメージ的には「攻殻機動隊」のバトーではないでしょうか。
そういえばボンベロには、闘争本能が強く、主人のために闘うすがたは、生半可ではなない菊千代というブルドッグを飼っています。犬の性格はまるで違いますが、バトーが、バセットハウンドのガブリエルを飼っているのと似ています。ま、オオバカナコ(大馬鹿な子)は、草薙素子とは似ても似つかないいやな女としか思えませんが・・・
で、この二人と一匹に、顔も手も傷だらけの男・スキンや、いつも老人と一緒にいる少年の姿をした殺人者・キッド、三年以上前にボンベロを別れたが、今も彼と暮らしたいと思っている美人の殺人者・炎眉、カウボーイという男とともに、30万でカナコを運転手に雇った女・ディーディーが絡んで、話は予想外の展開をすることになります。
私としては、やはり炎眉ですね。クールでいて熱い、容姿もですがオオバカナコとは正反対。彼女がいなければ、この連作は極めて色気のないお話になってしまった気がします。アニメ化を望む作品ですが、そうなれば私的には炎眉>ボンベロ>菊千代>キッド>ディーディー>オオバカナコが人気の順番かな、なんて思ったりもします。最後は目次。
menu
prologue
an aperitif
chapter 1
Melty Rich & Honey souffle
chapter 2
Ultimate sextuplex & Venezuela thick darkness
chapter 3
Delmonico regulations & Skins's lullaby
chapter 4
Gorgon's hair & Humvee's rock
chapter 5
Tinman's heart & Chimp piss
chapter 6
Diva Premium Vodka
epilogue
a digestif
あとがき
平山はあとがきで、これは『美女と野獣』の物語です、といっていますが、どちらかといえば『千夜一夜物語』ではないか、というのが私の印象。
紙の本
内容紹介
2009/10/08 10:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポプラ社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。
そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、
カナコは生き延びることができるのか? 暗躍する組織の抗争、命がけの恋──。
人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。
「血塗られた食堂。無器用な男女の
愛を語るのが、料理だけというのがたまらない。北方謙三」
「平山さんの、人として間違ってるところが好きです。本谷有希子」
【著者】
平山夢明(ひらやま・ゆめあき)
1961年、神奈川県川崎市生まれ。自動販売機の営業、コンビニ店長、週刊誌のライター、映画・ビデオの企画・製作と様々な職歴を経て作家となる。1994年にノンフィクション『異常快楽殺人』を発表、注目を集め、1996年に『SINKER──沈むもの』で小説家としてもデビュー。2006年には短篇「独白するユニバーサル横メルカトル」で日本推理作家協会賞を受賞。2007年、同タイトルを冠した短編集が「このミステリーがすごい!」第1位に選ばれた。犯罪の知識や「怖い話」の実話蒐集を通して得た実感に裏打ちされた恐怖描写は、他の追随を許さない。著書に『メルキオールの惨劇』『ミサイルマン』『他人事』などがある。