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紙の本
中高年を主人公にした稚拙な恋愛少女漫画
2012/06/28 13:21
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:cuba-l - この投稿者のレビュー一覧を見る
一組の中高年男女の恋愛の発端から顛末までを描いた少女漫画である。なんとなくハイソでリッチな設定を下地に、もどかしい恋愛の道行にハラハラドキドキの事件を織り交ぜ、いっとき大人の恋愛事情への憧れと共感を誘ってくれるかもしれないというチープなストーリーには、好き嫌いが分かれることだろう。
人は誰しも老いとともにるときめく恋愛には自然に疎遠となり、その現実に困惑や焦燥を感じることもあるだろうし、まして、中高年で未婚となればなおさらだ。この漫画ではそんな状況を、いっときときめく感覚への未練や憧れを誘うような安手のお膳立てをして揃えてくれているのである。
主人公の女性は、かつてミス原発と呼ばれ重電メーカーの管理職にして、年の割りには若くてきれいなお姉さん風の容貌をした中年女。これがまたよくモテるのだが、彼女はかつて妻子持ちの男に手を出してしくじっていて、その後ずっと長いことその傷を繰り返し思い出してはもてあそぶのが習い性になっており、当然新しい恋愛にも手を出せず、今もって独身。
もう一方の男は結婚暦のない50過ぎの哲学教授にして、エッセイを書いたり、講演をしたり、多彩な活動を見せる世間的には立派なエスタブリッシュメントだが、変わり者。容貌はどう見てもお爺さんで、作者は時々中身の若さを見せようとしているが、それは酒で羽目をはずしたり、けんかをしたりという「幼稚さ」でしか表現されていない。癖のあるヨボった見た目と変人ぶりとがあいまって、このキャラは正直漫画で見るのも気持ちが悪い。さらに仕事や話の中身も学者っぽくない。リアリティよりそれっぽい気分だけ付加しておけばいいという作者の方針なのだろうが、非常にうすっぺらく読んでいてシラける。
まあ、二人とも仕事は出来る、金はある、女は容姿容貌も平均よりはいいみたいだし、都会を離れて田舎の一軒家で在宅勤務の許される自由のきく生活。ただし恋愛だけがもどかしく思うにまかせない。そんな二人は、女の祖母の残した田舎家で男が押しかけ強引に同居生活をはじめストーリーが回りだすのだが、いそうもない二人のキャラクターに降って沸いた突然の出会いとありそうもない話が展開する。
つまり、これはなんとなく素敵そうな安っぽい設定を楽しむ漫画であり、恋愛観や体験の共感をなぞるような漫画ではない。
読もうと思う方はそれを承知のうえで手にとるのであれば、本代を損したと感じることもないだろう。