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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.11
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/232p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-10-471104-8
紙の本
いつか響く足音
著者 柴田 よしき (著)
「家族」のかたちが見えればいいのに。壊れはじめたら、すぐに分かるから。借金まみれのキャバクラ嬢。猫の集会を探し求めるカメラマン。夫が死んだ日のことを忘れられない未亡人…ひ...
いつか響く足音
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商品説明
「家族」のかたちが見えればいいのに。壊れはじめたら、すぐに分かるから。借金まみれのキャバクラ嬢。猫の集会を探し求めるカメラマン。夫が死んだ日のことを忘れられない未亡人…ひとりぼっちの人生がはじまった、それぞれの分岐点。著者会心の傑作連作集。【「BOOK」データベースの商品解説】
借金まみれのキャバクラ嬢、猫の集会を探すカメラマン、夫が忘れられない未亡人。団地に辿りついた者たちは、ばらばらのようで、つながっていた…。「家族像」に踏み込む連作集。『小説新潮』掲載に書き下ろしを加え単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
最後のブルガリ | 5−50 | |
---|---|---|
黒猫と団子 | 51−86 | |
遠い遠い隣町 | 87−113 |
著者紹介
柴田 よしき
- 略歴
- 〈柴田よしき〉1995年「RIKO」で横溝正史賞を受賞。ほかの著書に「ワーキングガール・ウォーズ」「所轄刑事・麻生龍太郎」など。
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紙の本
古ぼけた団地に住む人々、隣の人ことなんて…と思っていたのに・・・
2009/12/11 09:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nyanco - この投稿者のレビュー一覧を見る
食べるものがない。
借金の取り立てから逃れ、朱美のアパートに転がり込んだ絵理。
三日で帰ってくると言っていた朱美が戻ってこない。
このままでは明日の夜には食べるものが無くなってしまう。
手持ちのお金は64円しかないのに…。
息子が結婚し、これから夫婦二人で…と思っていた矢先に夫が急死。
55歳で未亡人。
息子夫婦の生活を邪魔するつもりはなかったのに…。
自慢の料理を誰かに食べさせたい里子。
最初の夫ほど憎みもせず、二度目の夫ほど愛していなかった。
三度目の夫は事故で亡くした静子。
医療事故をおこした息子に金を無心されていた…。
目の前で起こった事故、でも私はしっかりと目を閉じていて見ていない。
いつか、この部屋に向って足音が響いてくるのではないか…。
猫が怖かった。
猫の親子がいなくなればいいんだ、死んでしまえ。
願ったことによって現実になってしまったのだろう。
そのせいで…。
いつか猫に復讐される。
何かを願えば、誰かが失う。
誰にも迷惑のかからない望みだけしか抱かない…、そう決めてほどほどに生きてきた克也。
里子のおせっかいで絵理の借金対策を話し合うために団地の住人が集まる。
住人達は里子の料理目当てにダラダラと食べて飲む。
いびつな家族関係しか持てなかった人々、人と巧く関われなかった彼ら。
古びた団地でに住む彼らの日常は、きらめくものではなく、どちらかというと淀んだ日常。
どこにでもいそうな人達だが、誰も知らない苦い過去を持ち、秘密と嘘を抱えてこの団地に辿り着いた。
そんな彼らの話が連作短編でつながっていく。
柴田さんらしい「人間」が描かれた作品で、ひとつひとつは読みやすいのですが、抱えている問題は重く、胸にずしりと響きます。
しかし、最後に書き下ろしで加えられたエピローグで光が見えます。
朱美が彼らとの関わりを家族の様だと感じるラストシーン。
彼らが失った家族を、新たに別のかたちで見つけられたこのエピローグがあるおかげで後味が随分と違うものになっています。