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猫 クラフト・エヴィング商會プレゼンツ (中公文庫)
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収録作品一覧
お軽はらきり | 有馬頼義 著 | 13−33 |
---|---|---|
みつちやん | 猪熊弦一郎 著 | 35−44 |
庭前 | 井伏鱒二 著 | 45−50 |
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紙の本
今も昔も猫を愛でる人は変わらないという事がわかった。猫好きにはたまらないエッセイ。
2010/04/07 01:15
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:marekuro - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は本屋で偶然見つけました。
タイトルも直球で「猫」です。
猫好きで本好きの自分は思わず手に取って
しまいました。
内容はというと
有名な作家が猫について書いたエッセイです。
いや。本書の雰囲気を正確に伝えるならエッセイと言うより
「随筆」と表現した方がいいかもしれません。
本書に収録されている随筆の書き手は以下
・有馬頼義
・猪熊弦一郎
・井伏鱒二
・大佛次郎
・尾高京子
・坂西志保
・滝井孝作
・谷崎潤一郎
・壷井栄
・寺田寅彦
・柳田國男
帯には谷崎潤一郎の
「美しくてしなやかで、お上品で、さうかと思ふと
悪魔のやうに残忍である。飼へばきつと面白いにちが
ひありません」
とあります。
この帯にある谷崎潤一郎の一文を見て思ったのですが
なんというか、いまいち理由を説明できませんが
谷崎”らしい"猫のとらえ方だなぁと感じました。
谷崎潤一郎の猫の見方からもわかるように
それぞれの作家がそれぞれのフィルターを通して
猫について語っているのです。
一例を挙げると・・・
井伏鱒二とその飼い猫が、お互いに適度な距離を
もちながら、猫と人間、双方が観察しあって、
じりじりとにじり寄るような場面があります。
あくまで主観ですが、井伏鱒二の作品である
「山椒魚」における山椒魚とカエルのやりとり
に近い雰囲気を感じて、またはるか昔に「山椒魚」
を読了したのちに作者である井伏鱒二に対して
感じた作家に対するイメージのままであった事が
強く印象に残っています。
しかし、本書に目を通す前にひとつ気になったことが
ありました。
というのも本書に収録されている随筆を書いた作家は
すでにこの世の人ではありませんし、その作家の飼って
いた猫はもちろん、この世の猫(?)ではありません。
したがって今日的な猫に対する価値観と違うのではない
かという懸念です。
せっかくの猫エッセイ(随筆)が、あまりにも自分の
価値観と違う記述に満ちていて、がっかりするのでは
ないかと心配した訳です。
そのような杞憂を覚えた理由としては
評者は仕事柄、高齢者と多く接するのですが
どういうわけか、今まで出会った高齢者は
犬猫をひとまとめに「畜生」として扱う方が
多かったからという個人的背景があります。
※偶然だと思いますし、「畜生」として
扱わない人もたくさんいました。
さすがに随筆に猫の事を書く作家の文章ですから
評者が出会ってきた高齢者のような猫のとらえ方を
する事はないとは思いましたが、それでも一抹の
不安はありました。
しかし、そんな評者のつまらない不安は見事に
一蹴されます。
どの作家も、その猫とのやり取りは
飼っているのか、飼われているのかわからない。
という感じなのです。
今日における猫好きの人間のそれとほとんど
変わらないと言っても過言ではないでしょう。
冷静に距離をとって猫と付き合っているように
見える作家も、結局はマイペースに振る舞う
猫に振り回されている様がなんとも共感できるし
思わず我が身を振り返って笑ってしまいます。
先にも述べましたが、本書で随筆を書いている人も
その随筆に出てくる猫も、すでにこの世の人(猫)
ではありません。
ですが、そのやりとりは今まさに我が家で起こって
いる事と変わりなく、半世紀近い昔に書かれたもの
だとは思えない内容です。
読んでいるうちに時間感覚が麻痺してくるような
随筆を書いている作家が身近な隣人であるような
錯覚を覚えたりもします。
もちろん本文をはじめコンテキストから半世紀以上
前のそれがにじみ出てます。それはそれで歴史を
感じることが出来て大変、興味深い点ではあります。
評者が拙い文章でダラダラと感想を述べた部分は
あくまで猫と人との関わりの箇所に限局したものでは
ありますが、時代は変化しても人と猫との変わらぬ
間柄を感じる事が出来る本書は、多くの猫好きの方に
手に取ってもらいたい一冊です。
紙の本
クラフト・エヴィング商會による人と猫の悲喜こもごものふれあいを描いた名作を復活させた贅沢な一冊です!
2020/10/02 10:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、井伏鱒二氏、大佛次郎氏、有馬頼義氏、猪熊弦一郎氏、尾高京子氏といった有名作家らが綴った猫と暮らし、猫を愛した珠玉の短篇集を収集して、纏めたものです。それぞれの作品はほぼ半世紀前に編まれたものですが、1994年に吉田篤弘氏と吉田浩美氏のお二人によって結成された「クラフト・エヴィング商會」のもとで、再現されたのです。同シリーズの一冊である『犬』もどうですが、同書も、ゆったり流れる時間のなかで、人と動物(同書では猫)の悲喜こもごものふれあいが浮かび上がる贅沢な一冊となっています。
紙の本
昔も今も変わらず、“猫”は魅力的な生き物であるなあ。このエッセイ集の頁をめくりながら、改めて、“猫”への親しみの情が湧いてきました。
2009/12/04 12:49
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
“猫”という個性的かつ魅力的な小動物に、次第に惹かれていく人たち。飼い猫や子猫の仕草や、彼らとの交流をひょいと書き留めてみた、そんなエッセイのいくつかに味のあるものがあり、なかなかに楽しめた一冊でした。
1955年(昭和二十九年)に刊行された『猫』(中央公論社)を底本とし、クラフト・エヴィング商會の創作とデザインを加えて再編集した『猫』を文庫化したもの。
<ぶしよつたく坐つてゐるやうな感じであつた。>p.53、<机の下からそつと私の足にじやれるのを>p.137 といったふうに、原文のまま掲載されているのも雰囲気があって、好ましかったです。
収録された文章、エッセイは、次のとおり。
「はじめに」・・・・・・クラフト・エヴィング商會
「お軽はらきり」・・・・・・有馬頼義(ありま よりちか。小説家)
「みつちやん」・・・・・・猪熊弦一郎(いのくま げんいちろう。洋画家)
「庭前」・・・・・・井伏鱒二(いぶせ ますじ。小説家)
「「隅の隠居」の話」「猫騒動」・・・・・・大佛次郎(おさらぎ じろう。小説家、劇作家)
「仔猫の太平洋横断」・・・・・・尾高京子(おだか きょうこ。翻訳家)
「猫に仕えるの記」「猫族の紳士淑女」・・・・・・坂西志保(さかにし しほ。評論家)
「小猫」・・・・・・瀧井孝作(たきい こうさく。小説家、俳人)
「ねこ」「猫 マイペット」「客ぎらひ」・・・・・・谷崎潤一郎(たにざき じゅんいちろう。小説家)
「木かげ」「猫と母性愛」・・・・・・壺井榮(つぼい さかえ。小説家)
「猫」「子猫」・・・・・・寺田寅彦(てらだ とらひこ。物理学者、随筆家)
「どら猫観察記」「猫の島」・・・・・・柳田國男(やなぎた くにお。詩人、民俗学者)
「忘れもの、探しもの」・・・・・・クラフト・エヴィング商會
なかでも、有馬頼義、坂西志保の文章に、格別の妙味を感じましたね。行間に見え隠れし、自然、にじみ出してくる書き手の“猫”への愛情。それが、とてもよかった。
“猫”を見つめる寺田寅彦の観察力と、含蓄をたたえた文章も印象に残ります。
紙の本
猫好きには…
2016/02/29 06:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しゅーくりーむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
猫好きにはたまらない本でしょう。
物語になっているので、読みやすいかも?
猫の可愛さに改めて気づく人も多いのではないでしょうか