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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.2
- 出版社: 平凡社
- サイズ:20cm/202p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-582-83466-6
紙の本
幸田文季節の手帖
随筆の名手が描く、ぞくりとする季節の情感。あたたかい涙が心をうるおす「幸田文の言葉」シリーズ4冊目。【「BOOK」データベースの商品解説】季節の情緒に出逢うことを心の福と...
幸田文季節の手帖
紙の本 |
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- 税込価格:10,560円(96pt)
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商品説明
随筆の名手が描く、ぞくりとする季節の情感。あたたかい涙が心をうるおす「幸田文の言葉」シリーズ4冊目。【「BOOK」データベースの商品解説】
季節の情緒に出逢うことを心の福と言う幸田文の文章からは、常に濃い季感が立ち上り、そこには何かほっと心の和む思いがある−。大切な日本の感受性を取り戻す名随筆。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
幸田 文
- 略歴
- 〈幸田文〉1904〜90年。東京生まれ。幸田露伴の娘。「黒い裾」で第7回読売文学賞、「流れる」で日本芸術院賞、「闘」で第12回女流文学賞を受賞。
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紙の本
季節を感じるうれしさがたくさん… 「幸田文の言葉」シリーズ四冊目
2010/03/02 11:55
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
去年の秋にラナンキュラスの球根をベランダのプランターに植えました。いつだったか店頭で一目ぼれしてラナンキュラスを買ったことがあり、友だちがプランターで球根から育てて見事に咲いたよと見せてくれたこともあり、一度は球根から育ててみたかったのです。
初めて見るラナンキュラスのなんともかわいいカタチで、ちょっと熊手のような…。この球根がどんな花を咲かせてくれるのだろうと心待ちにしていました。そして今年に入ってから、緑は生い茂っているもののなかなか花が咲かないなぁ~と思っていたら、店頭でもラナンキュラスの花を見かけるようになり…。どれどれとプランターの緑をのぞきこむもさっぱり咲く気配なし。あれあれと思ってしばらく忘れていました。
ちょうどラナンキュラスの花を見事に咲かせた友だちに会う機会があり、ラナンキュラス談義をひとしきり。それから数日後、プランターの緑をのぞいて見るとつぼみが二つ三つ顔をのぞかせていました。季節を感じてのラナンキュラスとの対話。
しみじみと嬉しさがこみあげてきました。
そんな季節を感じるうれしさがたくさん詰まった一冊が、この薄緑の表紙が目にも麗しい『幸田文 季節の手帖』。幸田文の言葉」シリーズ四冊目となります。
~季節をよろこぶ心が福を招くのです。~と帯に書いてありました。そうそうそう、と膝を打ちたくなります。
幸田文さんと花との出合い。
「一度だけ私は花にうかされたことがあります。十五六だったでしょうか。藤の花でぼんやりしたんです。たしかに我を忘れたんです。そういうよりほかないと思います。」
この告白に、私はどきりとしました。
花にうかされること、たしかにありそうで、ここを読みながら藤の花の息遣いまで伝わってきそうでした。(「藤の花ぶさ」)
大掃除のとき畳二枚を両脇にかかえて持っていたときに感じた風の話、
よい月夜の晩に父が「夜のあやかしにかかるといけないからうちへ入れ」と言ったのにも関わらず、うちに入らず兄弟とふざけ合って怪我をしてしまったたときの話など、印象深い話がいくつも…。
中でも幸田さんの家でクリスマスの集いをしたときに、みんなの前で幼い姉弟が嬉しそうに歌うシーンが、とても厳かで忘れることができません。
春夏秋冬と章ごとに分かれているので、その季節にその章を丸ごと読むと、よりいっそう季節が楽しめていいですね。
このシリーズの本は表紙の質感やデザインがほんとうにすてきです。クラフト・エヴィング商會によるもので、大いに納得、です。
近刊の同シリーズ「旅の手帖」「どうぶつ帖」も楽しみですね。
紙の本
心のたけ
2010/05/04 07:59
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たけ、という言葉を今の若い人は使うのだろうか。袖丈という言葉にあるように、衣服の全体や部分の長さをいう時に使う言葉だ。
本書は幸田文さんのたくさんの随筆からそれぞれのテーマによって編まれたシリーズの一冊だが、そのなかの「雪」という短文で幸田さんは「心のたけの深さ」という言葉を使っている。
短文「雪」は、雪の夜に幸田さんがでくわした、とりとめもないひとつの情景である。
一面の雪に「なんだかばかに嬉しくなって、その辺を一とまわり」しようとする幸田さんも粋だが、そんな彼女を追いかけてきた若い芸妓もまた「雪を見ておかないのは惜しい」といい、幸田さんに声をかけないで行ってしまうのは、幸田さんにも自分にも「そっけない」とこたえる。そんな妓を幸田さんをしっかりと見て、「心のたけの深さにはまいるものだ」とつづった。
たけという言葉はあまり使われなくなったが、こういうふうにして美しく使うものだと感心した。
言葉だけでなく、この文集には今では忘れさられた日本人の心がたくさんつまっている。
それは、四季折々の季節にそっとふれる柔らかな心だし、季節の変化にためらいつつもそれをしっかりと受けとめる強い心でもある。
どこかに置き忘れたものを幸田文さんの文章は、とんとんと背をたたくようにして思い出させてくれる。それは、春の風のようにやさしい。
「心のたけ」を増してくれる、いい文集である。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
紙の本
雪
2024/02/29 21:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸田文さんの古風な日本語を読んでいると心が安らぎます。この本では特に「雪」が好きです。文さんと芸者さん達との短いやり取りですが、若い芸者さんの姿が見えるようです。何度も読み返しては、お会いしてみたいものだと思います。