紙の本
短くてすっきりとした「ハムレット」。海賊版なのか現実的変更か?
2010/03/22 17:22
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
Q1? シェークスピア劇をかなり好きな人でないとこれはわからないかもしれません。最初に出版された「ハムレット」。かなり短くて他の版との違いも多く、「海賊版か」と言われ続けた「ハムレット」。そう聞くと、なぜそれを翻訳出版?と疑問に思われるかも。でも、「上演された台本の最初の具体例」と考えたら、それなりに納得し、興味をもたれるのではないでしょうか。
解説からの受け売りですが、「ハムレット」にはF1,Q1,Q2などの古い版があります。その中でも、Q1は上に挙げたような理由から(原著としての研究上は)軽視されてきたそうです。
読んでみると、確かにとても短い。よく言われる「ハムレットの長い長い台詞」もそれほどではありません。そのせいか、全体がテンポよく流れていきます。
全体の流れがよい、と感じるのは、構成が整理されてすっきりとしていることもあるのでしょう。「なぜ劇中劇が入るのか」とか「なぜオフィーリアの兄と剣の試合をするのか」とかなどが読んでいてとてもわかりやすくつながっていきます。
戯曲は演出家の考えや様々の制約により書き加えられたり書き換えられたりするものです。書かれた内容は、そういった手が加わることで新しい輝きを帯びるわけです。ハムレットも例外ではないでしょう。日本でも上演される場合にはあちこち大幅に整理したり、工夫がされていると思います。シェークスピアの時代にも、実際に上演するとしたら、もともとあった「ネタ本」をもとに、切ったりつなぎなおしたり役者に台詞を合わせたり、このQ1のようなやり方が行われていたと考えたらどうでしょうか。もしかしたら、シェイクスピア自身も考案をまとめて「戯曲」としたときから既に、「時に応じて」のアレンジも念頭においていたかもしれない、と考えるのも面白い気がします。この翻訳出版の意図もそのあたりにある感じです。
シェークスピアが書いたころから、すでにこんな「変形」もあって出版までされた、と思って読むととても面白いです。
原作と戯曲と上演台本。演劇とは、紙に書かれたお話では終わらないもの、とあらためて感じました。このQ1も現代ならば「○○演出のXX」と演出家の名前をつけて公開されたら納得できるものなのかもしれません。
臨場感のあるテンポの良いハムレットです。「こっちの方がわかりやすくていい」と思われるかも。
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この世のつづく限りは、それがひとの定めというもの。そう思って、もう嘆くのはやめるがよい。人間なら誰しも逃れられぬ運命なのだからな。生あるものは、生まれたその時から、すでに死ぬ定めを負っているのだ。
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シェイクスピアによる改訂がおこなわれる過程の作と言われるQ1(クォート1)版。実はちゃんとハムレット読んだの初めてなんですがかなりカットしてるようで…。それでも物語のもっとも濃いエキスで満たされていました。オフィーリアがいとあはれ;;激しい勢いで狂気に陥ってしまいました…。ハムレットの想いはまったく伝わらなかったようで哀しい。信じていた故か…。4大悲劇にふさわしい、救いようのないラスト。女性が哀しすぎます。
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こういう作品を読んだことがなかったので非常に興味深かったです。
100年以上残る本(作品)というのはその時代の要請だけじゃなくて、人間の不変の部分を描き出しているという話がうなずけます。
このQ1というのは短いバージョンなので、長いものも読んでみたいです。あと、上演してるものも見ようと思います。
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ハムレットの原形とされるQ1。そもそもハムレットを読んだことがなかったのですが、この程度の長さが丁度いいかなって思いました。
Q2、F1はまた内容が異なるということだったので、機会があれば手にとってみようと思います。
''To be, or not to be.''
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Q1バージョンでさらっと読める。王である父を失い悲しみに暮れていたハムレットは、まもなくして結婚した叔父と母を不審に思っていた。そこで毎晩現れるようになった父の亡霊から衝撃の事実を聞く。
劇中劇という手法がとてもオシャレだと思う。悲劇とはいえハムレットと恋仲にあったオフィーリアの末路がかなり哀れ。
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Q1は、「ハムレット」上演版ないし海賊版と称するらしい。有名な「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」という台詞も、さらっと流れていった感じ。ただストーリーは分かりやすいかった。2019.6.8
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【本の内容】
デンマーク王が急死し、王の弟クローディアスが王妃と結婚して王の座に就く。
悲しみに沈む王子ハムレットはある日、父の亡霊と会い、その死がクローディアスによる毒殺だと知る。
ハムレットは狂気を装い、復讐を誓うのだった…。
シェイクスピア四大悲劇、最大の問題作。
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[ 関連図書 ]
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断片的に知っていた『ハムレット』
名言To be or not to beや 名画オフィーリアやら、
とにかく上演すると長い長い大作だということなど…。
戯曲で読んでみて。バラバラだった知識が
ちゃんとつながる感じで「なるほどね」と腑に落ちた。
人が人を憎んでアジタートしていく
「痛い様子」はシェイクスピアの時代も今も将来も
国や人種を越えて通用する内容だと思う。
そこの普遍性に気付いて作品の材料できる
眼力がシェイクスピアの才なんだろうなぁ。
『ハムレット』色んなバージョンがある中、
あえてイレギュラーなQ1版を選んでみました。
(ちなみに王道はF1やQ2。Q1は海賊版と言われがち)
単純に他の訳版より短く読みやすそうな字面
だったことで選択したんだけど…。
本編がすごく読みやすい事に加えて
訳者安西徹男さん他Q1版の存在意義への解説が良いです!!!
『ハムレット』を手に取るきっかけになった
コラムで引用の「何を読んでおられるのですか?」の
くだりは「言葉」がトリプルではなくダブルなのが残念だけれど
本編、解説ともに構成がステキな文庫です。
あまりに読み心地がよいので、
うっかり英語版も読めるのではないかと
翻訳前の原典はこちら
http://www.amazon.co.jp/First-Quarto-Hamlet-Cambridge-Shakespeare/dp/toc/0521653908
むむっ(・・;)ペーパーバックのくせに高い!!!
買って まで読むのはやめとこ(笑)
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あっさり過ぎて読んだ気がしない。
新潮文庫でも同じことを思ったので、別に古典新訳文庫のせいじゃない。『ハムレット』という作品のもつ魅力がよく分からない。
あと、特にオフィーリアが謎。
彼女は何を思って生きていたのか。。。
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先にオペラを観てから読んだので(というかオペラの原作が知りたくて手に取ったのだけれど)、ハムレットの脳内イメージがキーンリーサイドで再現されてしまった。(笑)
ラストシーンで全員死んでしまうのは、悲劇というよりギャグのようだった。むしろハムレットがなにひとつ守るものがない状態で、屍の上の玉座にのぼる方が悲劇的なのではないかと考えてしまった。フランス版オペラを観た影響だとは思うけれど。
脚本なので、最初は読みにくかったけど、慣れてしまうと短時間でするすると読めた。シェイクスピアの他の作品も読んでみたい。
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非常に読みやすかった
古典は、昔は嫌いだったが、最近好きになってきた。
昔嫌いだったからと、読まずにおくのはもったいない
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「友は心して選べ。だが選んだ友は、鋼のたがで心に縛れ」
「みだりに喧嘩をしてはならぬ。だが、、一度始めれば弱みを見せるな。以後、相手が恐れるまでやれ」「身だしなみには、出来る限りの金をかけよ。だが派手すぎてもいかん。人柄はおのずと服装に現れるもの」
byポローニアス
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おぼろげに知っていた話をちゃんと読んでみた。
Q1は最短のシナリオらしく、すぐに読めるが説明不足なのか謎が多く残る。
王妃は何も知らなかったのだからそこまで責めなくてもと
人生半ばの私は思うのだが。
若さ故の純粋さ潔癖さがそれを許せないのだろう。
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戯曲
かかった時間 60分くらいではなかろうか
断片的にのみ知っていたハムレットを読む。みんなが知ってる「ハムレット」と違うのはわかっていたが、光文社古典新訳文庫、活字も訳も読みやすいから…
とはいえ、おそらく他の版(Q2とかFとかいうらしい)に比べれば、シェイクスピアのシェイクスピアたるゆえんが感じられにくいとか、悪質な改作?だとか言われているらしいこの版について、「もの足りなさ」は、たしかにある。
せっかく今回、上演に適したショートバージョンを読んだことだし、ぜひ他の版についても読んでみたいし、訳の違いも見てみたい。
ところで、これ、主役、ホレイショじゃね?笑