- カテゴリ:小学生
- 発行年月:2010.4
- 出版社: さ・え・ら書房
- サイズ:24×26cm/30p
- 利用対象:小学生
- ISBN:978-4-378-04125-4
紙の本
図書館ラクダがやってくる 子どもたちに本をとどける世界の活動
オーストラリア、アゼルバイジャン、カナダ…。各国のへき地に住む人びとに、ラクダやゾウ、自転車や船を利用し、あるときは、かついで本を届ける、移動図書館の図書館員やボランティ...
図書館ラクダがやってくる 子どもたちに本をとどける世界の活動
紙の本 |
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- 税込価格:4,620円(42pt)
- 発送可能日:7~21日
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商品説明
オーストラリア、アゼルバイジャン、カナダ…。各国のへき地に住む人びとに、ラクダやゾウ、自転車や船を利用し、あるときは、かついで本を届ける、移動図書館の図書館員やボランティアの活動を写真で紹介。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- 地図
- はじめに
- オーストラリア
- アゼルバイジャン
- カナダ
- イングランド
- フィンランド
- インドネシア
- ケニヤ
- モンゴル
著者紹介
マーグリート・ルアーズ
- 略歴
- 〈マーグリート・ルアーズ〉カナダのサイモン・フレーザー大学で教育学修士号を取得。子どもの本や教材の作者。多くの学校で作文を教え、北米各地で、親や教師、図書館員向けの講演を行なっている。オレゴン州在住。
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紙の本
世界の子どもたちと図書館司書さんたちの本に対する熱い思い
2010/12/16 11:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:cat - この投稿者のレビュー一覧を見る
私たちが日ごろ、何気なく手にしている本。でもこの本というものが、十分に子どもたちに行き渡らない地域が世界にはいまだにあるようです。山奥や砂漠、農村などにある町や村がそのような地域の例です。これらのへき地に暮らす人たちに本を届ける大切な役割を担っているのが、『移動図書館』です。
各国の移動図書館の状況について、子どもの本や教材の作者であり、教育関連の講演会なども行っているマーグリート・ルアーズさんが、世界の図書館員やボランティアの人たちに手紙を出し、集めた情報をまとめたのが、この『図書館ラクダがやってくる 子どもたちに本をとどける世界の活動』です。
本の中では、オーストラリア、アゼルバイジャン、フィンランド、ケニヤ、モンゴル、ジンバブエなどの国々の移動図書館の様子が写真と文章により示されています。一カ国につき2ページと、大変限られたページ数ですが、その2ページの中に、移動図書館の状況だけでなく、それぞれの国の概要(人口、公用語、情勢など)をはじめとするたくさん情報が、ぎゅっと集約されています。
本が運ばれる手段は様々で、自動車はもちろん、手押し車や荷車、船、自転車、ラクダ、ゾウ(!)なども利用されています。
移動図書館はもちろんとても素晴らしいものですが、例えばパキスタンの移動図書館では、本が足りないため、家に持ち帰ることはできません。なので、移動図書館のバスが待ってくれている一時間とか二時間という限られた時間内で、子どもたちは本を読むのです。この本は、図書館で無料で本を借りられることが、いかにありがたいことなのかを私たちに教えてくれます。
重たい本をへき地に運ぶのは、きっと大変な作業でしょう。でも夢中で本を読む子どもたちのうれしそうな笑顔を見ていると、本にはその苦労に値するだけの価値があるのではないかと思えてきます。子どもたちは、みな本が大好きなのです。
紙の本
届けたい本がある限り。
2011/11/28 13:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildflower - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまり図書館が身近に利用できない場所に本を届けるのが移動図書館である。
本書が伝える、本のない地域への真摯な取り組みについては、魅力ある先行書評2本が詳しいので、そちらをお読みいただきたい。
本書の発行はさ・え・ら書房、作者は、子どもの読み書き教育におけるテクノロジーの利用に関心の高いカナダ在住の作家・教育者、マーグリット・ルアーズさんである。発行は国民読書年の昨年(2010)である。
ここでは本書の「面白い事例」を中心にご紹介したい。
1、オーストラリアの場合
およそ全国で5000の図書館のうちの移動図書館は72(本書掲載)そのなかでもゴールドコーストをゆくトレーラーは、太陽光発電の設備完備である。屋根の太陽光パネルから発電された電気でまかなえるものの数ときたら! 室内の6台のコンピュータとプリンター、3台のエアコン、スポットライト9つ、2列の蛍光灯、小型冷蔵庫、電子レンジ、流し台2個、車いす昇降機、トイレ――これらを全てまかなっているというのだ。まさに長距離を移動する「快適な図書館空間」そのものである。本を貸し借りするだけでなく中で本と共に過ごす快適さまで追求している点、なかなか斬新な発想だと思うが如何だろうか。
2、カナダの場合
北極圏地域の小さな村でも可能な、「郵便図書貸し出しプログラム」。ノースウェスト公共図書館が提供するこのサービスは、利用者が望む図書を郵便で送ってくれるという。図書館員がリクエストの本を探しだし(所蔵していなければ借りて)返信用切手を添えて郵送してくれるのだそうだ。よってパソコンのネットワーク環境のない僻地でも子どもたちが図書に親しめる。郵便局まで取りに行き、6週間まで貸し出してくれるそれらの絵本を、零下50度の冬場に室内で寄り集まって楽しむ子どもたちを連想するだけで微笑ましい。その歓びを支えている図書館員さんのサービスシステムに脱帽なのである。
3、フィンランドの場合
国内に巡らされた公共図書館のほかに何千とある離島のなかに住む住民に船をつかって本を届けている。幅4m、長さ12mの一艘で600冊、それを10箇所に停泊して届けていくという。しかも冬の厳しい間はお休みで5月から10月の間だけのサービスだという。識字の教育の一環ともなっている。ふと、日本の離島に住む方はどうなのだろう、という連想がよぎる。
それ以外の地域ではやはり、興味深いサービスの筆頭は「図書館ラクダ」。ケニアとモンゴルでの活躍が載っている。ケニアのナイロビから北東320kmあたりの道を週5日。一頭あたり重さ200km、500冊の本を積んで行くのだという。首都付近はおそらく近代化も進んでおり、先進国と変わらないサービスも可能なのだろうが、このラクダたちは遊牧民の住む地域の頼りがいのある助っ人たちというわけだ。テントを運ぶラクダとペアで、到着したらテント設営し、貸し出しをするという。2週間後のラクダ便までが貸し出し期間なのだそうだ。
モンゴルの図書館ラクダは、馬に替わることもある。日本が寄贈した本を含め1万冊あまりを読者に届けてる活動をされている児童文学作家さんが紹介されている。
タイでは象が、ジンバブエではロバが、そしてアマゾンの奥地へは人力で図書が運ばれる。本書後半のこうした国々の図書館的サービスの担い手は、ボランティアであったり、政府であったりさまざまだ。しかし「本を読む、届ける」ことが識字に直結し、教育に直結する営みであることが、一見ほそぼそと見えるサービスを支える人たちの使命感となっている。過酷な環境を一歩ずつ歩み、活動を続けておられることにただ頭が下がる。
掲載された14カ国のサービスは、とりわけ「本を届きにくい地域」へ、いかに図書館が貢献しうるかという智恵と実践の結晶である。むろんラクダやゾウや船や郵便で運んでいると掲載された国々では、みんながそうであるはずはなく、近代的先進的なサービスと共存する場合が多いと思われる。どのようにして図書を届けにくい読者まで届けるかというサービスのシステム構築は予算などを考えると容易なことではないと思われるが、限りがあるならそれなりに、ある資源をうまく使う智恵が随所に見られる。彼らのそうした縁の下の働きのおかげで、さまざまな国のさまざまな人たちが図書に親しむようすも伝わってくる。読書好きとしては親近感や連帯感もじんわり世界級にひろがっていくのである。写真が多いので小学生の教材にも適している。知識を入れながら「へぇ!」と驚きつつ楽しめる良書。
紙の本
図書館って、ありがたい!
2010/10/23 14:50
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラクダ、トラック、手押し車、船、自転車、ロバ、ゾウ…。これは、何か? 世界中で、子どもたちに本を届けるために使う「乗り物」である。小さな島や砂漠、大草原、町のせまい裏通り、ジャングルの奥地など、子どものいるところに、それぞれの地方にあった方法で、送り届けているのだ。
たとえば、ケニアの遊牧民のところへは、砂漠の砂の為に、四輪駆動の自動車でも通行できないので、ラクダで輸送する。本を読むことに飢えている子どもたちのために! 表紙は、モンゴルの子どもたちだが、ここにも、馬車とラクダで本が届けられている。子どもたちの本に集中している顔、本を見ながらの楽しそうな笑顔が、印象的だ。
世界中どこでも、本を読みたいと思う子どもがいて、それに応えようと努力する大人がいる。本を間にはさんだ、このとても暖かいつながりは、私たちが、言葉や物語をいかに大切にしてきたかを思い出させてくれる。
今年は、電子書籍元年ともいわれる。電子書籍が普及すれば、どんな奥地でも、いながらにして、数万冊の本をダウンロードすればすむようになるのだろうか。便利な一方、紙の本を届ける、手渡すという行為がなくなるのは、とても淋しい気がする。
図書館が身近にある者には、そのありがたさが忘れられがちだが、無料でいくらでも本が読める幸せは、すごいことだ。