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王の逃亡
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.6 20件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2010.3
  • 出版社: 集英社
  • サイズ:20cm/295p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-08-771344-2
  • 国内送料無料

紙の本

王の逃亡 (小説フランス革命)

著者 佐藤 賢一 (著)

遠くへ、さらに遠くへ。革命から、パリから、己の運命から。ミラボーの死により、ルイ十六世が窮地に。国王一家、真夜中の脱出—。【「BOOK」データベースの商品解説】【毎日出版...

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王の逃亡 (小説フランス革命)

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商品説明

遠くへ、さらに遠くへ。革命から、パリから、己の運命から。ミラボーの死により、ルイ十六世が窮地に。国王一家、真夜中の脱出—。【「BOOK」データベースの商品解説】

【毎日出版文化賞特別賞(第68回)】1791年、フランス。ミラボーが志半ばで死去。議会工作の術を失ったルイ16世は窮地に立たされ、国外逃亡を決意。パリを脱出した国王一家の運命は!? 『小説すばる』連載に大幅に加筆・修正し単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

佐藤 賢一

略歴
〈佐藤賢一〉1968年山形県生まれ。東北大学大学院で西洋史学を専攻。93年「ジャガーになった男」で小説すばる新人賞、96年「王妃の離婚」で直木賞を受賞。ほかの著書に「カポネ」「カペー朝」など。

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みんなのレビュー20件

みんなの評価3.6

評価内訳

紙の本

ミラボー亡き後、中だるみの感は拭えません。ただし、今回のルイ16世一家の逃亡は、フェルセンというおバカの活躍で、なんとも滑稽なものになり、ハラハラドキドキというかスラプスティック染みて楽しめます。

2010/10/26 20:16

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み続けている佐藤賢一『小説フランス革命』も、これで五巻目となりました。ブックデザインの

装画 八木美穂子
装丁 松田行正+日向麻梨子
地図 金城秀明

は、変わりません。で、今回は一七九一年四月十八日の場面から話が始まります。二週間ほど前にミラボーは死んでいます。出版社のHPには
           *
ついにパリ脱出を決行した国王一家の運命は…?
聖職者民事基本法を巡り、フランスの教会は大分裂に陥る。そんな中、ミラボーの病死により、議会工作の術を失ったルイ16世は国外逃亡を決意する。フランス革命の全貌を描く渾身の長編歴史小説。
           *
とあるように、今回はルイ16世が家族とともにパリを出て国外逃亡を図るというスリリングなお話です。で、ルイによればパリを嫌ったのはマリー・アントワネットということだそうです。で、王たちの脱出に手を貸すのが王妃の愛人ではないかといわれるフェルセンなのですが、これが実にまた頼りない男で、ルイ16世はその地図も読めない若者に不満たらたらで、それがよくわかります。

個人的には、サスペンスとしてこの巻が一番面白かったです。この逃亡部分を思い出したのは、タチアナ・ド・ロネ『サラの鍵』を読んでいる時でした。ナチスに協力するフランス警察の追求をかわすユダヤ人少女の逃避行は、時代も結果も全くことなるものですが、共通している部分もかなりあります。また、井上ひさしの『一週間』にも似たところがあります。数え上げればもっと出てきそうで、逃避行には基本形があることがわかります。

ただし、佐藤の筆になる王の逃避行についていいえば、ハラハライライラするものの、どちらかというとユーモラス。やはり、権力者の逃亡には、滑稽感が漂います。そういう意味ではG・ガルシア=マルケス『迷宮の将軍』のほうが近いかもしれません。権力者が逃げるわけが無い、と信じている地方の人々にとっては、それは逃亡ではなくお忍びの物見遊山にしか見えず、思わぬ歓待になってしまいます。弱きものの必死さは、そこには見られません。特にフェルセンの行動は噴飯ものです。

他の本との関連で言えば、今、中野京子の『名画で読み解くブルボン王朝12の物語』を読み終わったところですが、この王の逃亡事件のことが載っています。フランス革命と時期的に重なるので、小説の理解のためにも読むことを薦めます。あ、この人はこんな顔していたんだ、とか、市民の側の人間はともかく、王宮側の人物像はかなりはっきりします。勿論、マリー・アントワネットとフェルセン伯爵とのことも出てきます。

日本人にとって、フランス革命が輝いて見えた時はとっくに終わっています。ですから、流石の佐藤でも、興味深くこの時代の流れを読ませることは難しい。読者としては副読本を読むことで、逸れそうになる気持ちを引き止める必要があります。とりあえず、中野京子の『名画で読み解くブルボン王朝12の物語』は必携でしょう。ついでに『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』も読めば、この物語をより深く味わえます。

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紙の本

ルイ16世の吉本興業的側面をあざやかに活写

2010/05/27 23:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る



血わき肉躍る「小説フランス革命」も、いつのまにやら第5巻となりました。
ヴェルサイユからあほ馬鹿おばさん連中によってパリのチュイルリー宮に拉致されていたルイ16世は、なにをとち狂ったのかマリー・アントワネットの情人と噂のフェルセン伯の先導で国外逃亡を図ります。

 しかし様々な労苦と蹉跌の後、あと一歩というヴァレンヌの地で、とうとう王本人であることがばれてしまったルイ御一行さんたちは、逃亡に気付いた国民議会の追手につかまってしまうのです。

この小説のもっとも面白い箇所は、フランス王国の王様ともあろう人物がコルフ男爵夫人ことマリー・アントワネットの執事デュランに扮装して、ヴァレンヌ町の助役ソースと吉本興業的漫談を取り交わすところでしょう。

そこでは王などという肩書を取り払った、あるいは取り払われた生身の、結構機転のきく、人の良い、太ったおっさんの等身大の姿が浮かび上がり、身分や地位や権威や権力というもののあほらしさがはしなくも逆照されているのです。

国民議会の右派、左派、中間派を代表する3名の議員に強引に逃亡用の大型ベルリン馬車に乗り込まれたルイ6世の周章狼狽ぶりもあざやかに活写されていて遺漏がなく、さあこれからフランス革命はいったいどうなるのだろう、とハラハラドキドキさせてくれる著者の手腕は見事です。

瓶というものに惹かれる資本蓄積を思わせる故なるか 茫洋

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紙の本

ミラボーが死んだ。ルイ16世にしてみればその喪失感は大きい。立憲君主制を主張し、王の権利を擁護する立場を頑として譲らなかった男。彼のあとには信頼できる政治家はいない。議会は王の存在をないがしろにする。パリ市民ももはや王家に対する敬慕の念を捨て、罵詈雑言を浴びせ、威嚇的振る舞いに及ぶ。

2010/04/19 00:17

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

議会も民衆もわれこそ主権者と気勢ばかりあげているが、問題はなにひとつ解決できていないではないか。革命を代弁できる誰かを捕まえてルイは質したかった。
「財政再建はどうした。景気回復はどうした。教会の国営事業化はどうした」と。
ムムムッ「教会の国営事業化」を「郵政の民営化」に置き換えれば、私も同じことを現政権に言いたいところだな。

ルイ16世の気の毒なところは、悪妻マリーアントワネットに頭が上がらなかったことにあるようだ。
亭主が仕事上で行き詰っているのに安らぎを求めたい家庭において、
それどころか
「ミラボ-のいない王制なんて、イヤだ、イヤだ。実家へ早く帰りたい」
とキイキイと金きり声をあげる。
オーストリアの女帝マリア・テレジアの娘で美貌と才知に恵まれている貴種だけに、仕事には口出しされっぱなしで、いつも凡庸だとバカにされている亭主にとって見れば、その自覚が多少ともあるものだから、女のヒステリックなおねだりに手に負えない。
いつの世もこんな女はいるのだろうね。

平凡社世界大百科事典が王妃マリーアントワネットを紹介するくだりが面白い。これを著した方はカッとなってわれを忘れたかのようで、この手の記述にしては実に感情的な珍しい表現なのである。
「フランス革命が始まると、態度を決めかねていた夫王を促して革命に反対するようにしむけ、宮廷における反革命の陰謀の中心になった。とくに、91年6月、実家オーストリアの皇帝と通謀して、フランス国王一家の国外逃亡をはかって失敗するというバレンヌ Varennes 事件をおこし、王家に対する国民の不信を決定的なものにした。92年8月に王政が廃止されたのちは、夫王や子どもたちとともに捕らえられ、夫王が処刑されたのち、彼女もまた裁判にかけられて、93年10月に断頭台で処刑された。<その運命は悲劇的であるが、嫁して夫を軽んじ、王妃でありながら国民を裏切った彼女にとって、それはむしろ当然の報いであったといえよう。>」
なるほどそんな女であったか。

第四巻は全巻、この国王一家の逃亡の詳細でルイ16世の心情をつまびらかに描き、彼の悲劇を徹底して喜劇的にあつかっている。

ミラボーを重用したのは実は王妃マリーアントワネットであり、彼が死んで一番こたえたのは王妃であった。だからどうしようもなくなり彼女はオーストリア亡命を企てる。そして愛人のスウェーデン貴族フェルセンにその逃避行プランを立てさせた。
すべてを知りながらこのプランに乗らざるを得ない男こそ哀れである。

国王が外国勢力や亡命貴族を糾合し反革命ののろしを上げるかもしれないとの思惑から国王一家はテュイルリ宮殿に軟禁状態にあった。ここから国境付近まで脱出する。一家五人と養育係の夫人、それぞれが低い身分のものに変装して馬車に乗り、フェルセンが御者役。護衛の男はたったの三人である。後醍醐天皇の吉野下りなんてものじゃあない。信じられないことだが文字通りこれは「夜逃げ」である。

追いつ追われつのサスペンスではない。王妃への嫉妬と権威への未練がいっぱいに積もる内心を無理にも顔には出さないで、孤独なルイ16世がこの身をかこつ延々とした繰言を他人事とおもわずじっくりと聞いてやっていただきたい。

ところでこの『小説フランス革命』だが全十二巻だそうだからこれからまだ七巻も続くことになる。一般にフランス革命とは1789年からナポレオンによる政権掌握の1799年までを言うのだろう。この第五巻で1791年だからあと八年とすれば一巻約一年のペースで事細かに進むことになるのかと思うと気が遠くなりそうだ。なお大仏次郎の『パリ燃ゆ』と長さを比べるむきもあるようだが、『パリ燃ゆ』は1871年のパリコミューンの成立から崩壊を描いた作品であるからフランス革命と比較するには無理があると思われる。

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2010/05/08 08:26

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2012/05/01 21:22

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2011/05/17 12:51

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2010/05/20 23:20

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2010/04/04 16:47

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2011/03/27 00:42

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