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オッド・トーマスの救済 (ハヤカワ文庫 NV)
心の平静を求め、シエラネヴァダ山脈にある修道院に滞在していたオッド・トーマスは、12月の深夜、ボダッハ“悪霊”を発見した。ボダッハの出現は大惨事が起きる前触れとなるため、...
オッド・トーマスの救済 (ハヤカワ文庫 NV)
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商品説明
心の平静を求め、シエラネヴァダ山脈にある修道院に滞在していたオッド・トーマスは、12月の深夜、ボダッハ“悪霊”を発見した。ボダッハの出現は大惨事が起きる前触れとなるため、彼は調査を始める。だが修道士がひとり忽然と消え、さらに顔のない修道士や想像を絶する怪物が現われる。猛吹雪の中、修道院で暮らす子どもたちを守ろうと闘うオッドの前に、やがて驚くべき真相が!謎とサスペンスに満ちたシリーズ最高傑作。【「BOOK」データベースの商品解説】
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やっぱりクーンツ、変わりましたね
2010/05/09 16:31
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
死者が見える青年、オッド・トーマスシリーズの3作目。
前回の事件後、オッドはシエラネヴァダ山脈にある修道院にこもってます。でもって、ここでも彼はボダッハ(悪霊)を見てしまう。
ボダッハが出てくると、惨劇が起きる。そして、その時間が近づくとその数が増えてくる。
今回は、修道院の施設にいる子供たち(虐待され生涯をもっている子たち)のところに現れ、オッドは五里霧中というより、猛吹雪でホワイトアウトした中につっこんでいく。
ものすごい吹雪で移動もできず、外部との接触もできない、いわゆるクローズドサークルなんだが、まぁここはホラーなんで…。
ストーリーはともかく、オッドと死者とのつながりに胸が熱くなる。
根底には、オッドのストーミーへの変わらぬ愛があり、彼の人を、人生を愛していきたいという強い願いがあるのだと思う。
オッドシリーズは、今までのクーンツとは違う。
違うけれど、人生を前向きに描いているのは同じように感じる。が、それまでのクーンツはむしろクーンツ自身が、そうであってほしい、そうであると信じたい、とどこか言い聞かせてる感じがあった。
オッドシリーズは、その言い聞かせてる感がなくなっているのだと感じる。
紙の本
正直、第二作『オッド・トーマスの受難』を読んだときは、これでクーンツともオサラバかな、なんて思いました。予想以上の出来の悪さ。で、期待しないで読んだ今回は、実にいい。主人公より脇役たちの充実ぶりがいいんです。確かに、シリーズ中最高の出来といってもいいかも・・・
2010/12/03 21:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬名秀明絶賛の〈オッド・トーマス〉シリーズですが、第一作『オッド・トーマスの霊感』、第二作『オッド・トーマスの受難』、そして今回の『救済』とほぼ半年に一冊のペースでの訳出は、日本でも評価が高い、というか、これを機会に、クーンツをキングに並ぶ柱にしようという出版社の戦略の反映でしょうか。今回、顔の見えない修道士、という気持ち悪い絵を描いたのは、前二作と同じく Tom Hallman 、カバーデザインも松 昭教で変わりません。
カバー後ろの言葉は
*
心の平静を求め、シエラネヴァダ
山脈にある修道院に滞在していた
オッド・トーマスは、12月の深夜、
ボダッハ(悪霊)を発見した。ボ
ダッハの出現は大惨事が起きる前
触れとなるため、彼は調査を始め
る。だが修道士がひとり忽然と消
え、さらに顔のない修道士や想像
を絶する怪物が現われる。猛吹雪
の中、修道院で暮らす子どもたち
を守ろうと闘うオッドの前に、や
がて驚くべき真相が! 謎とサス
ペンスに満ちたシリーズ最高傑作
*
第一作『霊感』の案内の結びの言葉は「最高傑作シリーズ、ついに登場!」、第二作『受難』では、それが「巨匠の最高傑作シリーズ第2弾。」となったものの、ともにシリーズそのものを褒め上げているのに対し、今回は「シリーズ最高傑作」と三作のなかでは、これが一番、という文章に変わっています。私は、『受難』について、安易に暴力とエロスの世界に逃げ込んだとして、もう読まないかもしれない、と書きましたが、はたして謳い文句に嘘はないのでしょうか。
『霊感』では20歳だったオッド・トーマスは、『受難』で21歳、今回も一応、21歳の設定ですから、前回の話のすぐあと、ということになるのでしょう。オッド・トーマスは、霊が見える青年です。心の平安を求め、シエラネヴァダ山脈にある修道院に滞在し、得意のふわふわのパンケーキを焼く腕前を披露して皆に一目置かれています。彼は、恋人のストーミーが銃で殺されるのを、数分の差で救えなかったことを今も悔やんでいます。
彼が滞在しているシエラネヴァダ山脈にあるというのが、セント・バーソロミュー大修道院ですが、トーマスが霊を見ることが出来ることを知っているのは、わずか三人です。一人は修道院長のファーザー・バーナード、もう一人が巨漢の修道士でオッドの年上の友人といった感じのブラザー・ナックルズ(サルヴァトーレ・ジャンコモ)、最後がセント・バーソロミュー女子修道院長で、やさしいおばあちゃん風だが、鋼のような精神の持ち主のシスター・アンジェラです。
修道士たちは皆、一筋縄ではいかないように見えます。キットカット中毒のブラザー・ティモシー、40億ドルの資産を修道院に寄付した成功した研究者ブラザー・ジョン(ジョン・ハインマン)、修道院の学校の生徒で、4歳の時、母親を殺した父親に溺死させられそうになり、今も障害が残るジャスティーン、病名は不明だが、遺伝子的な疾患を持ち、非常に上手な絵を描く20代の生徒ジェイコブ。
ほかにも、修道院にいるジャーマン・シェパードの雑種で、オッドになついているラブラドール・レトリヴァーの血も混じっているであろう白い犬ブー。ケーキ作りが得意だという50歳くらいのロシア人滞在者ロジオン、そしてセント・バーソロミュー大修道院の修道士で、二年前に自殺したといわれているブラザー・コンスタンティンも面白い存在です。
惨劇は起きるのか、それをもたらすのは誰なのか、そして平和主義者ばかりの修道院の人々は惨劇に立ち向かえるのか、どちらかというとユーモラスに、人間の身勝手さを描いていきます。『受難』のエロス+ヴァイオレンスに対し、『救済』は、ユーモア+文字通り〈救済〉のお話といえそうです。前二作で活躍した人々が殆ど顔を出さないのは、舞台が変わったことの反映ではありますが、シリーズものとしては珍しい気がします。
そのかわり、もっと魅力的な人物が登場する、それが誰であるかは書きませんが、それがいいです。映画にしたら、かなり楽しい作品になると思います。ということで、結論ですが、看板に偽りなし。まさに「シリーズ最高傑作」でした。ユーモアと暴力が上手に結びついて、救済に繋がる。これってまさにハリウッド映画そのものではないでしょうか。これなら、次回作にも期待していいかな・・・