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未来医師 (創元SF文庫)
医師パーソンズは突如として25世紀の北米へ時間移行した。そこでは人種の混交が進み、全員が混合言語を話し、複数の部族に分かれて生活している。人間の平均寿命は15歳、さらに医...
未来医師 (創元SF文庫)
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商品説明
医師パーソンズは突如として25世紀の北米へ時間移行した。そこでは人種の混交が進み、全員が混合言語を話し、複数の部族に分かれて生活している。人間の平均寿命は15歳、さらに医療行為が重大な罪とされていた。この悪夢的社会を変えようとする一派の活動に巻き込まれたパーソンズは、さらに幾度も時間航行に連れ出され、重要な役割を果たすことに。時間SFの秀作、本邦初訳。【「BOOK」データベースの商品解説】
医師パーソンズは突如として25世紀の北米へ時間移行した。そこでは人種の混交が進み、全員が混合言語を話し、複数の部族に分かれて生活している。人間の平均年齢は15歳、さらに医療行為が重大な罪とされていた。この悪夢的社会を変えようとする一派の活動に巻き込まれたパーソンズは、さらに幾度もの時間航行に連れ出され、重要な役割を果たすことに。時間SFの秀作、本邦初訳! 訳者あとがき=佐藤龍雄/解説=牧眞司【本の内容】
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医者はどこだ?
2010/07/29 01:38
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:峰形 五介 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山本弘だったか誰だったかが「P・K・ディックは過大評価されすぎ」というようなことを言っていたが、本当に過大評価されているのだろうか?
P・K・ディックのファンの多くはディックのことを超一流の天才作家などと思っていないし、『サップ・ガン』だの『死の迷路』だのといった作品について(個人的には好きだとしても)「これはSF史に残る名作だ!」なんて主張することもないし、でたらめなプロットや陳腐なガジェットに小難しい理屈をつけて美化することもないし、晩年の薄っぺらい神秘体験を真に受けて感化されることもない(よね?)。ダメなところはダメだと認めた上でディックの作品を愛しているのだ。
そういうわけだから、本書の裏表紙に記された「時間SFの秀作、本邦初訳!」という一文に期待を膨らませることもないだろう。「秀作」と呼ぶに相応しい作品なら、とっくの昔に翻訳されているはずだ。
で、いざ読んでみると……確かに秀作でも傑作でも名作でもないのだが、思っていたほど悪くはない。いや、ディックらしくないと言うべきか。
「医療が違法行為とされている悪夢のような世界に医師が迷い込む」というプロットはディックらしいと言えるし、そのプロットが練りこまれることなく、中盤から別の話に変わってしまうといういいかげんなところもディックらしい。しかし、その中盤からの「別の話」がディックらしくない。なんと、まっとうなタイムトラベル小説なのだ。
どれくらい「まっとう」かというと――
「ロバート・A・ハインライン『夏への扉』のように、理論の辻褄がきちんと合っているのだ」
――と、巻末の解説に書かれてしまうほど。
そう、この小説は辻褄が合っている。主人公がタイムトラベルを何度も繰り返すことによって状況は混沌としていくが、最終的には全ての謎が解き明かされ、パズルのピースがきちんと収まり、複雑にもつれていた糸が解け、物語は破綻することなく大団円を迎えるのである。
ディックの小説なのに(しかも、たいした思い入れもなく、適当に書き散らしたであろう小説なのに)破綻がないなんて……人によってはがっかりするかもしれない。
でも、たまにはこういうのも良いよね。