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書店員レビュー
「データ」と「感覚」...
ジュンク堂書店新宿店さん
「データ」と「感覚」あなたはどちら派ですか。
私は今までほとんど感覚だけで生きてきたのですが、この本を読んで、それではいけないのでは・・・と考えこんでしまいました。
果たして本当にワインの将来価格も結婚相手も計算できてしまうのでしょうか。
紙の本
ようこそ計量経済学の道へ
2018/05/16 10:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
計量経済学という言葉は、日本ではあまり浸透していない。経済学部の学生ですら、あまり手を出さない分野だと言われている。日本では「マクロ経済学」や「ミクロ経済学」などが主流で、計量経済学は軽視されている。しかし、世界基準では、「計量経済学」は経済学生は必ず単位を取らないといけない分野でもあるといわれている。そして、経済分析や経済予想などのような類は、本来計量経済学の十八番と言ってもよい。そのことをありありと物語っているのが本書である。現実の応用場面を述べながら、「裁判官vs計量経済学モデル」などのように興味深い内容も含まれている。計量経済学への入門として本書は最適な書籍である。
紙の本
大量データ分析とビジネスなど社会との、現在進行形の関係を挑発的に紹介
2011/01/23 19:27
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本刊行時にはだいぶ話題をまいた本を、文庫化を機に手にとってみた。
邦題で「数学」と名付けられてはいるが、原題はSuper Crunchersであり、本文中の訳語では「絶対計算」となっている。何か数学の予想が新たに証明された、といった数学論議ではなく、現実の社会で進んでいるデータ分析の潮流を一般向けに紹介した本である。「絶対計算」とは、一言でいえば、大量に集められたデータを分析して、ある傾向、いや絶対的に予測精度の高い式を見出し現実社会に活かすもの、と言える。数式がどうこう以上に、「大量」のほうがポイントである。インターネットの日常生活への浸透などを背景に、IT技術の助けを借り、今までとは「桁」違いの計算が容易になっているようだ。また、コンビニのPOSデータを見ればわかるように、分析のみならず大量のデータ収集そのものがしやすくもなっているのである。
「数学」と名がつけられている上に、400ページ余りと、手にとるのに気後れがするくらいの厚さだ。しかし、数式はほとんど用いられていないだけではなく、事例紹介が中心で、おもいのほか気軽に読める本である。そういえば、かなり以前に話題になった「複雑系」も似たような体裁だった気が・・・。
扱われている事例はいちいちショッキングである。ごく簡単な数式で、ワインの値段が推測できる、裁判の結果を当てられる、映画の興行収入が脚本段階でわかる、現場の医者以上に治療法を正しく選択できる、などなど。これでもか、というくらいにさまざまな事例を押し出してくる。特に、自らの経験と知識、さらにそれにもとづいた勘を武器とした、それぞれの分野の「専門家」(たとえば医者)との対決を描くあたりは、演出上手である。絶対計算が、専門家に置き換わるとも強く宣言している。
ただし、個々の計算やデータについてはあまり詳しく言及されてはおらず、本の厚さの割に不完全燃焼感が残る。専門家に対抗するという絶対計算も、単なる「絶対計算の専門家」を生むだけだとしたら、ブラックボックスはブラックボックスのままであり、本書を著した趣旨からもはずれるだろう。一応、本書では、データは公開されるべき(そして絶対計算は監査されるべきである)と繰り返し主張されているのが、多少の救いである。無作為抽出テストによる政策の効果の検証などは、もっときちんとした紹介が欲しかった。本書ではメキシコでの貧困対策「プログレッサ」を紹介していたが、同様の問題は日本でもあることでもあり(子ども手当!?)、検証の仕方も含めて、もっときちんと議論できるような内容が欲しかった。このあたりの紹介の仕方は、著者も友人と言う「ヤバイ経済学」のほうが巧みだったか。
ところで、「専門家対絶対計算」という対立図式は、やや戯画的であり、実際には専門家がきちんと絶対計算、というよりも大量データを使いこなせるようになるかどうか、というのが現実的な方向性ではないだろうか。医者の判断がよりスピーディーかつ正確になるのであれば、「どちらも使ってしまえ」と一消費者としては感じる。