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商品説明
まちに眠る歴史、伝統、自然、風景を再評価し、まちづくりに活かして都市を蘇らせる−。イタリアの都市と田園に見られる新しい動きを紹介し、イタリアの変わらぬ魅力や価値を語りながら、日本における問題にも思いを向ける。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
陣内 秀信
- 略歴
- 〈陣内秀信〉1947年福岡県生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了。工学博士。法政大学デザイン工学部教授。専門はイタリア建築史・都市史。サントリー学芸賞等受賞。著書に「東京の空間人類学」など。
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書店員レビュー
「イタリアと言えば?...
ジュンク堂書店福岡店さん
「イタリアと言えば?」という質問に何を思い浮かべますか?ピザ?女性好きな男性が多い?
見た目はほんの少しかしこまった表紙で、専門書のようです。手に取ってみると確かに内容は建築や都市論が主で文体もやや堅め。しかし読んでいくうちに先のページにある写真が気になってページをめくります。白黒もありますが、一枚一枚がイタリアらしいコントラスの強い自然なものです。建築と都市と切り離せない生活のことも紹介されています。昼下がりの主婦会、夜の若者たち、日常のひとコマがそこにあります。
副題にある、スローシティを歩く、という言葉通り、古都をメインに紹介されています。女性がよく履くハイヒールに優しくない石畳の歩道、今にも崩れそうな岩の建物、昔の景観を残したままの都市が多いです。一見、不憫そうですが、それがなんだか居心地が良さそうに感じます。それは文化の違い等、沢山の理由がありそうですが、日本の都市部にはないありのままの伝統・風景があるイタリアへの憧れも一つの理由ではないでしょうか?
読み終えた後、「イタリアと言えば?」の質問の答えに変化があるかもしれませんよ。
ジュンク堂福岡店理工書中村
紙の本
写真を眺めるだけでも、都市の在り方が見えてくる。
2010/06/19 09:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さほどページ数は無いのに、読み進むのに、これほど日数を要した本はない。見慣れない片仮名のイタリアの地名が含まれているとはいえ、読みこなすのに難解な言葉があるわけではなく、なのに、南イタリアのまぶしい風景写真がふんだんに登場するので、ついつい見とれて、先に進めない。
著者には失礼ながら、写真を眺めるだけで、著者が提起したい都市問題の解決策の半分は写真に表現されているのではないだろうか。
著者が、イタリアの地図でいえば長靴のかかとの部分にあたるプーリア州に魅せられているのが分かる。建物や街の空間、人々のホスピタリティ、そして食事。これが文明の高さを示す指標という。その指標を満たしているのが「我がプーリア」だそう。
この指標を日本の都市の現状にあてはめてみると、及第点を与えることができる都市は果たしていくつあるだろうか。
京都の町家もそうだが、この南イタリアのプーリア地方も迷宮都市といわれる。異民族間の対立から住民を守る意味もあるが、まずは、居心地の良い縄張りを生むためのものという。考えてみれば、人も人間という動物に変わりはなく、気持ち良い縄張りを確保したいというのは本能ということがわかる。
イタリア大好き、大絶賛の西洋かぶれの一冊かと思ったが、さにあらず。しっかりと、現代ニッポン、とりわけ東京における都市についての提言が234ページから始まる。羽田空港をハブ化し、都心からリムジン水上バスで羽田とを結べば良いとの提言には、目からウロコだった。何も、モノレールや鉄道だけがアクセス方法ではない。
また、都市生活におけるハードだけについて問題提起されているわけではなく、都市に住む人々の心構えについても柔らかい苦言が記されている。あるがままに、他者を受け入れ、共存共栄する姿が都市生活者であるという。
この一冊には、写真だけではなく、構造全体の見取り図も精巧なものが付いている。生活道路の下を通じて建物同士が共存していることを示しているが、隣の家の犬がどうとか、上の階のピアノの音がとか、そんな近隣との付き合いなど問題にもならない生活感があり、コミュニティーとはパブリックということを街が表現していることに感心させられた。
ただ、ぼうっと写真を眺めるだけでも、都市の真髄が理解できるように工夫されている。