紙の本
日常生活を垣間見る
2010/10/16 11:22
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうか - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の著者は、イタリア国営放送RAIのサイエンス番組、「スーパー
クォーク」のキャスター兼企画監修者、科学ジャーナリストでもある
アルベルト・アンジェラ。本国イタリアでは40万部近いベストセラーと
なったという。
ローマについての本はたくさん出版されている。読んでみるまで内容が
わからないのが読書の常。しかし、本書のコンセプトは装丁、目次から
してはっきりしている。日の出から眠りにつくまで、古代都市ローマに
生きる人々が、どのように過ごしていたのかが、時間の経過とともに
紹介される。
衣食住、人間関係、「テルマエ・ロマエ」のヒットで関心が高まって
いるであろう!?入浴などが、映像の専門家であるだけに、文字を追いながら
追体験しやすい表現で、示される。
古代ローマ人の名前のしくみ、数の数え方など、読んでいるうちに、
さまざまな基礎知識が頭に入ってくる。
読み終わった後に、濃密な一日をローマで過ごしたような充実感が
得られる。旅行前に、歴史のイメージをふくらませるために、ローマを
豊かに知り味わうために、おすすめの一冊。
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当時の世界
日の出の数時間前
午前6時―裕福な人が住む邸宅
午前6時15分―室内装飾にみる古代ローマの趣味
午前6時30分―主人の目覚め
午前7時―ローマ式の服装
午前7時10分―女性のファッション
午前7時15分―古代ローマ時代の男性の身だしなみ
午前7時30分―2000年前の美しさの秘訣
午前8時―古代ローマ風の朝食〔ほか〕
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トラヤヌス皇帝時代のロ-マに24時間タイムスリップします。
ビジュアル感覚で、ロ-マ庶民の生活が生々しく甦える傑作です。
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紀元115年、トラヤヌス帝統治下のローマのある1日を追ったドキュメンタリー風の1冊。
夜明け前から夜中まで、時間ごとに、古代ローマ人のありふれた1日を追っていく。
本国イタリアで40万部に達したベストセラーだという。400ページを越えるそこそこの大部だが、特にローマ史をよく知らなくてもおもしろく読み通せる。
長年、テレビ製作に携わってきた科学ジャーナリストである著者が、多くの学者によるこれまでの学術的な研究結果を噛み砕き、古代ローマの社会を生き生きと描き出している。読者はまるで古代ローマの街に入り込んだように、作者のカメラワークに導かれるまま、古代ローマ人の衣食住や娯楽について見聞することができる。
トラヤヌス帝は五賢帝の一人であり、本書がトリップした舞台はローマが繁栄を謳歌していた時代であるのだろう。
個人的におもしろかった点をいくつか。
・この時代、上流階級の家では、十人前後の奴隷を使用していたという。奴隷の扱いは相当ひどいものであり、「人」というより「物」として扱われていたらしい。筆者がいうには、古代ローマ人は、現代人が「家電製品」を扱うのと同じ感覚で、奴隷を扱っていたと思えばよいようだ。酷使したり、壊れたから捨てたりといったようなことは日常茶飯事だった。
・男性の正装であるトガ。6メートルもの長さの布を巻き付けて着る。ちょっとやってみたい気もするが、奴隷がいないと着られないものなんだそうだ。
・コロッセウムで行われていた「公開処刑」や「剣闘士」の見せ物には、原始の名残を感じる。
・よく聞く、ローマ人は饗宴の際、食べたものを戻しつつ(食事中の方、もしいたらごめんなさい)多くの珍味を味わったという話は、それほど信憑性がないらしい。
・巨大な公共浴場の描写も興味深い。運動する場があったり、図書館が併設されていたり、銭湯というよりは一大娯楽施設だ。多くの人が集まるため、社交の場としても機能していたらしい。ちょっと『テルマエ・ロマエ』を読んでみようかという気になった。
詳細でありながら門外漢にも親しみやすく、楽しい1冊。
*『年代記』のタキトゥスがちらっと出てくる。この時代の人だったのか。
*昔、岩波文庫で出ていた『クォ・ヴァディス』のクライマックスシーンにも猛獣を使った公開処刑が出てきていたような。こちらはネロ帝時代が舞台なので、本書より少し前か。
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古代ローマについて詳しく知れるうえに、専門書のような堅苦しさや退屈さがないので勉強したいってほどじゃないけど古代ローマ好きな人におすすめです。
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漫画「テルマエ・ロマエ」とほぼ同じ時代なのであの読者は楽しいと思う。タイムトラベラーみたいに視点を古代ローマに置いた文体は読みやすくて良かった。厚いのに結構すぐ読めた。
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古代ローマ人がどのような生活様式をとっていたのかが、1日の生活を負っていく形で丁寧に解説されている。非常に興味深い内容です。欲を言えば、日本人にとっては少々なじみが薄いいくつかの単語について、所与のごとく解説がなかったりするので、訳者にはもう少し頑張ってもらいたかった。それと、今少し図版が多かったらなお楽しめたことと思う。文句ばかり書いているようだけど、非常に楽しめる一冊であることは疑いない。お勧めできます。
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古代ローマにタイムスリップして観光しているような気分になれる本。古代ローマのごく普通の一日が臨場感たっぷりに描写されています。作者の職業のせいかちょっとナレーション付きの旅行番組っぽいかも。二千年前とは思えない。面白かった!
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ローマ人の物語、テルマエロマエと読んできて、ローマ人的日常生活の補間になるかなとおもい読み始めてみたが、非常に面白かった。
何気ない日常生活から栄光に満ち繁栄していたローマの裏の顔というか、日常生活というかが活き活きと描写されていて、日ごろ脚光を浴びがちな表の顔以外にもやはりこういう世界があったのねとつくづく納得。
個人的にはお勧めの一冊ですが、もうちょい図解や挿絵があると親切だったかも。というわけで★4つ。
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紀元150年、とある火曜日のローマ人の1日を描いた本作。
筆者と共にその時代まさにその時間を歩いているような感覚…
ローマ人の汗、息の匂い、体臭、血しぶきまでをも感じることができるようだった。
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文字本なのに、信じられないほどいきいきと古代ローマの一日を描き出している。まさしく著者のあとについて、ローマの混雑した路地を歩き、屋敷をのぞき、店に入ることができる。古代ローマに興味を持つ人は必読。
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「ローマ人の物語」が政治を中心とした話なら、この本は生活を中心とした話。塩野氏の世界をより色鮮やかに見るには、大変助けになる本だ。著者はテレビの制作に関わっているだけあり、カメラのアングルのように、「少しのぞいてみよう」「喧嘩が始まったので去ることにしよう」といった表現で、ローマ人の一日をまさに『視聴』することができる。キリスト教文化の視点からローマを見た場合、どうしても勝者脚色の原理で、暗く乱れた社会だったという結論に陥りがちだが、この本ではそれを真っ向から否定。詳細なデータをもとに、感情を抜きにしてローマ社会を考察している。「へぇ~」と参考になる雑学も満載。2日目も見続けたいと思ってしまった。
ローマがギリシア、東方世界を征服し始めたことで、
・ポエニ戦役以降、貴族の食材が多種多様になった
(ただし、トマト、ジャガイモ、大粒の豆、トウモロコシ、チョコレートはコロンブスが持ち込んだ)
(フォークが発明されたのはルネサンス期のフィレンツェ)
・ギリシア式の同性愛が、ステイタスシンボルとして認められるようになった
・女性も男性を誘惑できるようになった
ローマで内乱が続くようになると、
・財産の相続権が女性にも与えられるようになった
・それにより女性も経済的に自立し、離婚など自由が認められるようになった
→現代社会において当時のローマレベルに到達するのは、ようやく1970年代になってから
ディオクレティアヌス大浴場はどれだけ広いのか
・浴場のホールは、現在、ローマ国立博物館として使用されている
・冷水浴室は、サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ聖堂に改修されている
ローマ人は小柄だった
・平均身長は男性で165センチ、女性で155センチ
(現在のヨーロッパ人の平均は、男性で176センチ、女性で164センチ
ただし、1930年では167センチで、第二次世界大戦後、急激に伸びた)
キリスト教がローマで普及した原因
・外来の宗教の多くが幸福な来世という到達点を予見させるものだった
・ローマの宗教とは異なる、密儀のようなイニシエーションがあり神秘的
・キリスト教の祭司は、全存在を神にささげ、信者と密な関係を築き、信者の話に耳を傾け、導いてくれる。
⇔ローマの祭司は、役人のようで、個々人の宗教的な要望には無関心。
・女性に門戸を開いていた
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11時30分 あたりからが、注目!
この本の中心が、 ローマ人にとっての、死と生、処刑と奴隷制度、ローマ人のセックス! ってことになったんですよ!
人権 って、何?
愛情 ってなに?
権力ってすごいの?
人と動物と命
実に、考えさせられる 本でした!
我慢して 11時30分まで読むと、 その後は、ドンドン行けます!
結果 お勧めの 1冊 になりました。
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殆どが名前さえわからない一般庶民の生活を、24時間見て回る展開が面白く、まるで実際のその国を見て歩いているような気分になれて面白かった。
難点は、挿絵が少ないのということ……。
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紀元100年頃のローマの暮らしの息遣いまで伝わってくるような本でした。普通の人たちの生活もわかりますが、他部族に負けると奴隷になっちゃう感覚も。とても生々しく伝えてくれます。ちょっとやり過ぎちゃうかと思うくらい描写されています。