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下巻はリーマンが倒産後、さらにAIG、メリル、モルスタと影響が広がっていきどう収拾(とりあえずは)したかという点が書かれている。政府首脳の目論見どおりにマーケットは反応せず、次から次へ合併させようとする政府首脳と、そのような中でも自分たちのビジネスを考え合併相手、そして政府に交渉を仕掛ける各金融機関。本当に読み応えがあったし、リーマンショックとはどういうことだったのかを自分の中で整理するためにもとても役に立った。
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「世界が明日、終わろうとしている」NY市長ブルームバーグはそう呟いた。2008年09月14日──その日の夜遅く、リーマン・ブラザーズの取締役会が破産法申請を決定した。
それは前代未聞の発表だった。2007年08月にBNPパリバが傘下の3ファンドを一時的に凍結する、と発表したのだ。後に「パリバ・ショック」と呼ばれるこの発表がサブプライムローンの信用問題を表面化させ、それまで栄華を極めていた米国の5大投資銀行は一転、窮地に陥ることになる。この本は2008年09月15日のリーマン破綻、バンカメのメリルリンチ買収を頂点とした、金融危機の原点に迫るドキュメンタリ作品だ。
著者はNYTimesの有名記者で、200人への500時間に及ぶインタビューから本書を構成したという。そのため、この本の記載は非常に緻密な記録となっている(日本語版で780ページと分量もかなり多い)。2008年09月14日~15日の記載はまさに会話やメールの内容が分刻みで記載されており、下手なフィクションよりもずっと面白い。リーマンの窮地を憂慮していた米国政府は直接救済しないと明言してた一方で、各銀行のCEOを集めて救済の話合いはさせていたし、現実的な救済案が合意されていたことが明らかにされてる。その救済策は米国国外の関係者からの支持拒絶により、あえなく白紙に戻り、リーマンは破産法を申請することになる。誰が救済案を拒絶したかは読んでのお楽しみ。
リーマンをはじめとする投資銀行,AIG,FRB,財務省,NY連邦準備銀行、、、それぞれのトップが何を考え、誰と何を交渉したのか。特に新聞上に表れては消えていったリーマン救済相手とは何が話されていたのか?そもそも、何故、AIGや他の投資銀行は救済されて、リーマンだけ救済されなかったのか?当時は明らかにされていなかった舞台裏での人間ドラマを白日の下にさらしたこの本は、金融危機の記録として第一級の史料となるだろう。
金融業界にいる人や投資家はもちろんのこと、あの夏の日、乱高下する株価を心配げに眺めていたような人は、是非読んで欲しい。僕たちは歴史の目撃者だったのだから。
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いわゆるリーマンショックから、アメリカの金融機関がどのようにドミノ倒しになったか、そして金融機関がどのような末路(リーマン・ブラザーズは破産、他は救済)をたどったかを、経営陣の動きに焦点を当てたドキュメンタリー・タッチの本である。
これは昨年原著で読んだが、Barbarian at the Gate以来の迫力あるノンフィクションであった。この訳書は引用の必要があって最近読んだ。金融の専門家でもないのに、よくここまで訳していると思う。読みやすい。バークレーズキャピタルのダイヤモンドとバーレーはボーナスを420億ドル、84億ドルもらう(340ページ)なんてことは有り得ず(これは同社の利益総額よりもはるかに大きい)、これは42百万ドルと8.4百万ドルの間違いである
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(本当は途中なんですが、もう飽きて来たのであと1/3ほど残してやめます)リーマンショックを中心とした2009年の金融危機に米国の投資銀行やら、保険会社やら役員の皆さんや米国政府も偉い人たちがどんな考えで、どんな行動を取ったのかを分析などを一切用いずに、たんたんとストーリー仕立てにしたノンフィクションです。
米国のエグゼブティブたちの考え方や価値観なんかがよく分かるので、そういう意味では非常に興味深いものではありますが、登場する会社が多過ぎるし(いやそれだけ大惨事だったわけですが)外国人の名前を覚えるのは得意な方ですが、さすがに登場人物が多過ぎる…。ひさびさに「これ誰だっけ」ってなりました(笑
うーん、特段おすすめはしませんが、金融業界に興味のある方は読んでおいたほうがいいかとは思います(2012.03.21読了)
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非常に興味深かったのは、三菱UFJがモルガンスタンレーに90億ドル出資して、危機が食い止められた点。アメリカの金融機関はそれぞれ超高速で情報収集と分析を行いながら、離合集散を繰り返し、結局業界全体が沈んでいく中、ぽっと出で無邪気に(言い方が悪いが)出資を決めた三菱が危機を止めたことは皮肉な結果だと感じた。これを慎重さ故の勝利と捉えるのか、初心者故のまぐれと捉えるのかは実際どうなんだろう。
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「「終わりだ」悲しい声で言った。「完全に終わった」」
リーマン破綻前には既に実権も失い、精神的にも自分を保てなくなったファルド。
彼の経営に対する是非はともかく、彼のリーマンへの愛情が本物だったことが痛烈に伝わってくる。
GSE、リーマン、AIG、一連のイベントの中で、「本当に終わるかも知れない・・・」、当時本当にそう思った記憶が蘇る。
今も数々の爆弾がある中で、世界は表面的んい取り繕いながら何とか”通常”に戻りつつあるが、いつまたあんな事が起きるか、、
大きすぎてつぶせないについては現在世界で対応中であるものの、完全な対応は今後も難しいように思える。
マネーはどんどん自由に、気ままになっていっている。
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あの時なぜリーマン・ブラザーズだけが救済されなかったのか、という疑問を持っている人は、読んでみたらいいのではないかと思う。本書の中に明快なひとつの答えが用意されているわけではないが、迫力ある当事者たちのやり取りを通して、何かしら自分なりの答えを導けるのではないだろうか。
上巻最後の13章から下巻の最後までは、とくに読む価値あり。リーマンが英(米ではなく)政府の頑迷な態度によって一気に奈落の底に落とされる場面と、モルガン・スタンレーを三菱UFJの90億ドルが救う場面はもっともドラマチックだ。700ページを超える膨大で複雑な内容だが、生々しくて全く飽きない。
民間と政府の間で人事交流が激しいアメリカならではの政策過程や問題も読み取れて面白い。
長い長い物語のあとの「エピローグ」は、とても味わい深い。人間味を失って危機に陥ったウォール街を救うべく奮闘した人々の人間味溢れるドラマを回想しながら、静かにこの本を閉じたくなるはずだ。
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上巻はリーマンのファルド、下巻はポールソンが主人公でしょうか。
何気に何人も人間が出てきますが、どの人も天才級の人。
だからといって、うまく回せるとは限らないのも事実。
リーマン・ショックの本でmp上位に入ると思います。
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登場人物が多く、かつイベントがたくさん出てきます。
手元に、大きなメモ紙をおいて、登場人物一覧表と、時系列表を作りながら、読み進めること、お勧めします。
まあ、後知恵ですが、ポールソンは、リーマン危機に際して、やや政治的な配慮をしたのか、という思いは出てまいります。
結果的に、倒産により、当初想定した以上の、大きな政治的な混乱、さらには、世界中を巻き込んだ金融危機を惹起してしまったということになりました。
本書の記述が終わりを迎えたころから、世界中に危機が波及、かなりの銀行が、ドル流動性枯渇に直面したことを思い出します。
(確か、日銀の白川さんが、そんな発言、されていたような)
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最後の最後で金融の崩壊を救ったのが東京三菱だったのは完全に忘れてた。投資はどのくらいのベネフィットを生んだのだろう?
野村の買収は完全に転けたぽいけど。
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騒動の裏に国を挙げた官民一体で危機回避動いていたのだなあ。
アメリカの底力を感じさせる。
多額の資金提供をしながら、最後の方にしれっと出てきたMUFJ。良い買い物だったのか?
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too big to fail…
流動性確保の重要さを思い知る一方で、好景気の中でそれを行なう困難さについて考える。経営者にはそれを見極める市場感覚とバランス感覚が必要と感じた。
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リーマン・ブラザーズが倒産し、AIG、モルガン・スタンレーと続く負の連鎖が否応なく緊迫感を高めていく。ライバルたちが危機感を共有し、ポールソンの下で何とか立ち向かおうと必死な姿に見習うべきところは多い。全体を支配する日本の存在感の薄さと言ったらないけれど(モルガン・スタンレー救済の場面以外でほぼ全く名前が出てこない)、9つ0が並んだ三菱東京UFJの小切手はすごい。ちょっと感動しました。そんな小切手切れるのね。
最後のダイモンからポールソンへ送った手紙の文章(pp.357-358)は感動的。私も、競技場に立っていたい。
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原版は知らないのですが、たぶん直訳だと思います。もうちょっと日本人向けにできなかったのでしょうか。ブラックベリー、FRBと連銀、投資銀行などは、説明いれた方が良かったと思います。
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ニューヨーク・タイムズ紙の記者アンドリュー・ソーキン氏の著書だが、上下巻で730頁にも及ぶため、読破するのに時間を要したものの、JPモルガンによるベアスターンズの買収劇(2008年3月)から、住宅金融会社の救済、リーマン・ブラザーズの倒産(2008年9月)、AIG救済、TARPに至るまで、詳細に描かれており、世界経済を混乱させた経緯を肌で感じることができる。プライドが邪魔したのか、身内による救済を画策するものの、調整は進まず、ジ・エンド。ウォール街は過去の過ちから、何も学んでいなかったのだろう。救済に名乗りを上げた三菱UFJの名前も懐かしい。2011年1月末、日本において、マイケル・ダグラス出演作『ウォール街』の続編となる『ウォール・ストリート』が公開される。楽しみだ!