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紙の本
髻塚不首尾一件始末 (講談社文庫 半次捕物控)
著者 佐藤 雅美 (著)
大名家同士の意地の張り合いに、増山家に雇われた蟋蟀小三郎。一方の奥平家についた風鈴狂四郎とは古い因縁で互いの手強さを熟知する仲。ちよや半次も巻き込みあの手この手で裏を掻い...
髻塚不首尾一件始末 (講談社文庫 半次捕物控)
髻塚不首尾一件始末 半次捕物控
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商品説明
大名家同士の意地の張り合いに、増山家に雇われた蟋蟀小三郎。一方の奥平家についた風鈴狂四郎とは古い因縁で互いの手強さを熟知する仲。ちよや半次も巻き込みあの手この手で裏を掻いて対決を避けようとする。収まらない奥平の若殿が謀議をめぐらせて仕組んだ御前仕合で、とうとう真剣勝負に臨むことに。【「BOOK」データベースの商品解説】
〔「半次捕物控 髻塚不首尾一件始末」(2007年刊)の改題〕【「TRC MARC」の商品解説】
大名家同士の意地の張り合いに、増山家に雇われた蟋蟀小三郎。一方の奥平家についた風鈴狂四郎とは古い因縁で互いの手強さを熟知する仲。ちよや半次も巻き込みあの手この手で裏を掻いて対決を避けようとする。収まらない奥平の若殿が謀議をめぐらせて仕組んだ御前仕合で、とうとう真剣勝負に臨むことに。(講談社文庫)
蟋蟀小三郎に強敵現る。その名も風鈴狂四郎拝領地の売買をめぐる悶着に首を突っ込む小三郎。が、相手も劣らぬ使い手ゆえに思い人ちよの知恵で対決を避けた。怒りの収まらぬ若殿は御前試合を仕組んで……。【商品解説】
目次
- 第一話 ちよ殿の知恵
- 第二話 助五郎の大手柄
- 第三話 強請りの報酬
- 第四話 銘水江戸乃水出入一件
- 第五話 鬼の目にも涙
- 第六話 髻塚不首尾一件始末
- 第七話 小三郎岡惚れのとばっちり
- 第八話 命あっての物種
収録作品一覧
ちよ殿の知恵 | 7−53 | |
---|---|---|
助五郎の大手柄 | 54−102 | |
強請りの報酬 | 103−149 |
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紙の本
蟋蟀小三郎と風鈴狂四郎
2011/07/10 13:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る
蟋蟀小三郎の好敵手の風鈴狂四郎が現れた。お互いに、闘えばどちらかが死ぬとわかっているので、闘わないようにしている。ところが、おせっかいなお殿様が、なんとかしてふたりを闘わせようと、あの手この手を出してくる。第一話から第八話まで、大筋は、ふたりを闘わせようとするお殿様と、闘いを避けようとするふたりの知恵比べ……みたいなもんである。
この間に、蟋蟀小三郎はきっぱり浪人して「ちよ殿」とめでたく所帯を持ち、剣術の道場を開いて、破落戸候補生の不良少年たちを集めてしごき、それが評判になって道場がはやり、うそのようだがいかにも道場主らしく威厳や品格を保つようになった(?!)。というのは人前だけで、半次の前では相変わらずだ。
半次は蟋蟀小三郎と風鈴狂四郎とどちらにも関わりを持ち、やっかいごとにまきこまれ、どいつもこいつも疫病神だと思っていたら、意外といいヤツだったことがわかる。狂四郎の後ろ姿が見えなくなるまで呆然と立ちすくんでいたという場面が、いい。半次の正直さがわかる。
江戸時代、将軍の御前試合というものがおこなわれたことはなかった。また、剣術の果し合いは、ただの人殺しとして、処罰の対象となった。敵討ちは、奉行所に届け出ておかなければならなかった。武士でも、一生、刀を抜いたことのない人も多かった。無礼討ちも取り調べの対象となり、目撃者の証言などがないと、殺人として処罰された。作者の説明は、いつも、時代劇のイメージだけでは誤解していたような、意外な史実を教えてくれる。
その御前試合が、吹上御庭でおこなわれることになるというのが、第八話である。ときの将軍は徳川家斉。これまで闘いを避けていた蟋蟀小三郎と風鈴狂四郎も、一方は日の本一の達人という名誉をかけて、一方は藩に帰参して老母を養うという名誉と実利の両方をかけて、立ち合う覚悟を決める。そこに、父子二代の確執を抱いた剣豪も加わり……。将軍の前で礼式に則って始められた試合は、峻厳で端然としたものとは程遠い、血みどろのぶつかりあい、遺恨と、相手を殺して生き延びたいという欲望のむきだしの闘争となった。作者の現実的な人間観がおもしろい。最後に、「命あっての物種」としんみりとつぶやく蟋蟀小三郎の姿に、私もほっとする暖かさを感じた。