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商品説明
女教師との爛れたセックス、妹の同級生との情熱的な交歓…。高校三年の冬、自死した青年が遺していた、みだらな空想を綴った奇怪な日記。日記にまつわる人間が、つぎつぎと酸鼻な事件に巻き込まれていく。毎年、大晦日から元旦への一夜に起こる殺人、被害者はすべて女性—。事件の現場に必ず姿を現す謎の男“計測機”とはいったい何者なのか。【「BOOK」データベースの商品解説】
自殺した青年が遺したエロティックな妄想日記。登場する女性たちは、なぜ毎年、殺されるのか? 謎が連鎖し、推理が交錯する幻術ミステリ全8編を収録。『小説新潮』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
遺品がたり | 5−33 | |
---|---|---|
桟敷がたり | 35−66 | |
玩具がたり | 67−97 |
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紙の本
技巧派のよさと悪さが出た作品、といえるのではないでしょうか。論理的に破たんはないし、予想外の展開はあるし。でも、読後の爽快感がないんです。それに今回は笑いが少ないし・・・
2011/06/01 19:00
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
〈なんとなく〉、作品が出れば読むことになっている作家が何人かいます。ミソは、〈なんとなく〉です。つまり私自身にもよく理由が分からない。いえ、面白いんです。どの作品も水準以上であることは間違いありません。それに、何冊かは大好きなものがある。でも、大傑作を書いているか、というと未だ、としか言いようがない。その一人が西澤です。
ちなみに、〈必ず〉読む作家もいます。この人たちは、結果的には大きな賞を獲っているのですが、私が読み始めたときは海のものとも山のものともつかなかった人たちで、大作家はこの際別にしておけば、近藤史恵、角田光代、三浦しをん、豊島ミホ、伊坂幸太郎、西尾維新、舞城王太郎、古川日出男、京極夏彦あたりがそうで、作品としてはミステリでも純文学でもなく、境界線上のものを書いています。
その点、西澤はミステリに特化しているので、こういうと変ですが発展性はないような気がします。とはいえ、1990年頃に輩出した〈新本格派〉の連中とは一線を画している、トリック至上主義ではないし、SFも書きますし、サイコパスも描く。ユーモア、エロスも上手に扱いますし、暴力だってかなり書く。ミステリというジャンルの中では結構自由に動いていて、それが私好みなわけです。
というわけで、問題なく手を出すはずでした。タイトルも泡坂妻夫の『乱れからくり』を連想させて楽しそうです。ところが実物を手にして躊躇ったわけです。どうも成田朱希の装画に心が躍らない。描かれている男も女も少しも美しくないし、官能的でもない。リアルに描こうとしても、ある線を超えない、というか不気味なところに留まってしまうというあたりが、私好みではない。新潮社装幀室の装幀と絵がマッチしていないように思える。
そんなこんなで読むのが遅れました。でも、出版社のHPの内容紹介
*
また、ひとり死んだ――。エロティックな妄想が描かれた日記が惨劇を招く!
女教師との爛れたセックス、喫茶店の女性従業員からの誘惑……自殺した青年が遺した妄想日記。青年の周囲の女性たちが、つぎつぎ酸鼻な事件に巻き込まれていく。大晦日の夜ごとに起こる殺人、被害者はすべて女性――。事件の現場に必ず姿を現す奇怪な男“計測機”……。謎が連鎖し、推理が交錯する幻術ミステリ。
*
を読むと、それなりに面白そうではあります。美人は三日で飽きるけど、ブスは三日で慣れる、じゃありませんが、嫌いな装画だってカバーをかければ見えなくなる。ま、こればかりは慣れることはなくて、嫌いなことは変わりないのですが、でもソフトカバーだし、持ち歩いても邪魔ではありません。エロティックな妄想、というのも気にはなる。ということで読書開始。まずは目次に従って各話紹介。
・遺品がたり(「小説新潮」平成16年10月号」):高校三年の倫美が兄の日記の内容を確かめるため、佐光彩香が働いていた〈ソネット〉という喫茶店を訪問。日記に描かれた兄の奔放な性生活は真実か・・・
・桟敷がたり(「小説新潮」平成17年4月号」):昨夜、高校時代の同窓会に出た沙理奈は、集まった男たちに不満だが、女同士で飲み直して気分一新。そして今日、東京に向かって彼女の乗る飛行機は、なぜか出発した御霊谷空港に引き返して・・・
・玩具がたり(「小説新潮」平成17年10月号」):国生真紀が姿を消した。華菜子は高校二年生だった浦部櫂児と、元柔道部で今はサラリーマンの阿東誠治郎とともに友人を探して職業不詳の藻原という男の家に入り込むが・・・
・除夜がたり(「小説新潮」平成18年8月号」):母親が軽い痴呆になり、買ったもので冷蔵庫の中が溢れかえるようになって、その始末をしているものの、それを誤解されていることを苦々しく思う佐光陽司。妻は末次という医師との不倫に走り・・・
幼児がたり(「小説新潮」平成19年4月号」):男と遊びまくっていた真紀が結婚を決めた。相手は、外食産業などにも手を出している実業家・宮内家の御曹司。結婚前に、箔をつけるため秘書の仕事に就いたり、初めて一人暮らしをしたり。それが偶々加代子が暮らすマンションの上の部屋で・・・
・不在がたり(「小説新潮」平成21年5月号」):ホテルでの豪華なランチを終え、夫と義母と三人で二階に下りた梶尾順子が見かけたのは結婚式の会場に向かうカップル。新郎をみると、昔、自分と関係があった教え子の鵜飼広親だった。そんな順子に声をかけてきたのは相田貴子、彼女は広親の・・・
・傀儡がたり(「小説新潮」平成21年11月号」):沙理奈が来るのが遅れて、それを待つ間に華菜子から関係を迫られて戸惑う倫美。あわや、というとき沙理奈が到着して、彼女が乗っていたバスの爆破されたことを告げる。倫美は母のことが気になり・・・
・呪詛がたり(「小説新潮」平成22年5月号」):ホノルルのホテルでの爆弾テロ。倫美と唯人が語る真実。そして華菜子と佳奈子の遊びが招く事件と、驚愕の真実。そして倫美は・・・
お話は、倫美が高校三年の時から始まり、六年後までを描きます。倫美の兄の日記が物語の中心にあるのですが、各話の主人公が彼女というわけではありません。彼女の友人たちが入れ代わり立ち代わり登場して、事件に巻き込まれ、そしてその事件はそのまま解決をします。ただし、個別の事件では、兄の日記の謎が解かれることはありません。全体を読み終えたとき、それも解決する、そういう話です。
ともかく、各話では、それなりに事件が解決していくわけで、事件の当事者たちの乱れた性生活がたくさん出てきますから、お色気シーンに気を取られていると、ああそうかと納得して、複雑な話の展開が全く読めなくなってしまうきらいがあります。実は、一度、読んでメモをとって、それをもとに話を要約しようとしたら何もできないことに愕然しました。
もう一度読み直して、なんとか理解できたものの、こんな話だったのかと茫然。うかつな要約は到底できない因縁譚ともいえる本格ミステリの連作です。読み終わってスッキリしないのは、謎が中途半端に解かれたからではなくて、やはり話し全体を覆う自堕落な暗さ感が拭えないからだと思います。それと魅力的な人物がいない点も弱い。
美女が登場しても、タカチのように魅力的な存在にならない。もともと男性の存在感が希薄な内容ですから、女性陣の魅力にかかる部分が大きいのですが、浅生倫美にしても下瀬沙理奈にしても、国生真紀、進藤笹絵、相田貴子、村山加代子、貞弘華菜子も、それなりに個性はあるのですが、この本を読み終えたときに、個人名が脳裏を離れない存在にはならない。
よくできているし、そこそこ面白いのに、絶賛まではいかない。ま、次も〈なんとなく〉読むのは確実なんですが、そろそろ傑作が生まれてもいいころかな、と。ともかく才能はあるし、センスもいいし、このままで終わって欲しくないな、って。
紙の本
反転する物語なのだが
2010/08/31 09:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
自殺した青年の日記に登場する女性たちはなぜ毎年殺されていくのか
妄想とも悪夢ともなんとも形容しがたい雰囲気で物語は進み
ミステリーなのかと思えば
そうでもなく
物語の終わりは
それは無いだろうという感じで
せっかく途中までミステリアスに物語が進んでいただけに残念であり
読み終えて振り返ると
内容全体が浅かった
西澤作品ファンとして少々がっかりな一冊だった