紙の本
なりたくてギャンブル依存症になる人はいない。依存症の実態は想像を遙かに超えてすさまじいが、しかし、生還は可能である。本人も、周囲のひとも、ともに勇気を得て、はじめの一歩を踏み出すことの出来る本。
2011/03/01 10:38
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本に登場するギャンブル依存症の人の実に9割がパチンコ・スロットがらみである。法的にはギャンブルではないパチンコ・スロットがギャンブル依存症を今日も作り出している現状は改善されなければならないだろう。
帚木蓬生氏の著作は以前『臓器農場』を読んだことがあった。社会派で提言的・啓蒙的な、それでいてエンターテインメント性も豊かな素晴らしい小説であった。
この本は社会派のルポである。
前半ではギャンブル依存症の実例が詳しく紹介される。依存症の人は一体どういう精神状態になっているのか。どのくらいのお金がギャンブルに捨てられるのか。周囲はどのように振り回されるのか。何もかもがダメになっていくさまが本人の視点から語られ、本人がそれをどうとも思っていないことが心底からの恐怖を誘う。
後半はギャンブル依存症から生還するための方策である。気を紛らわすことや互助組織が大変に有効であることも教えていただいた。
ともかく、ギャンブル依存症は病気であり、治療しなければ絶対に治らないことがわかる。
もし、もし、これを読んでいる人の中に、ギャンブルから逃れられず困っているひとや、知人にそういうひとがいる人がいたなら、読んでほしい。この本は必ず闇の中の一筋の光となるだろう。一人で悩まず相談しよう。「人は変われる。一緒なら。」とも言う。
同じパチンコを少し違った角度から扱う、溝口敦『パチンコ「30兆円の闇」』、若宮健『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』などと併読すると、理解がより深まると思う。
なりたくてギャンブル依存症になる人はいない。依存症の実態は想像を遙かに超えてすさまじいが、しかし、生還は可能である。本人も、周囲のひとも、ともに勇気を得て、はじめの一歩を踏み出すことの出来る本。
★は、可能なら10コ以上つけたい。
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この作家が書いたのでなければ、おそらく手には取らなかったであろう主題。ローレンス・ブロックのマット・スカダーシリーズで有名な「AA」(アルコールホリックス・アノニマス)は知っていたが、「GA」(ギャンブラーズ・アノニマス)は初耳だった。「病的ギャンブリング」の存在は、ひとつの社会的病理のあり方として、もっと知られて然るべきと思う。
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タイトルでは「ギャンブル地獄」とあるが、そのギャンブルとは、ずばりパチンコのこと。
第1章で、何人かのパチンコ中毒者の手記が紹介される。どれもこれも壮絶だ。人はそこまでパチンコにのめり込んでしまうのか。借金して、家族や会社の金を盗んで、パチンコ。重債務者となり、家族に罵倒され、家から追い出される。それでも、向かうのはパチンコ店。
これ、精神医師の著者曰く「病的ギャンブリング」という病気だそうだ。それは本人や家族の努力だけでは治らない。医師による治療・リハビリが絶対に必要。
本書はそんな病気に関する知識を広めようとする啓発本だ。そして、最大の問題はパチンコを競馬のような公営ギャンブルではなく、「遊技」扱いのため、ほとんど規制がかかっていない日本の現状だ。
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ギャンブル地獄の2台症状は借金と嘘
ギャンブルでありながら、国がギャンブルでなく遊技(ゲーム)だとしているのがパチンコとスロット。遊技だとみなされる根本的な理由は、店内で景品の換金をしていないという一点だけにあります。
ギャンブル地獄は病気。意志とは無関係。意志は石となって道端にころがっている
地獄から生還する道は一つ。週一回の自助グループへの参加と、月一回の通院
病的ギャンブラーにないもの 思いやり、寛容さ、正直さ、謙虚さ
平安の祈り
神様、私にお与えください。変えられないものを受け入れる落ち着きを、変えられるものは変えていく勇気を、そして、その2つの藻を見分ける賢さを。
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本書のおかげで、ギャンブル依存に対する見方が明らかに変わった。
ギャンブルに溺れる者を単なる『意思の弱い軟弱な者』と見做しがちだが、ギャンプル依存はれっきとした「病気」であり、それは誰でも罹りうる可能性があり、一度罹ると適切な方法によって治療しない限り絶対に治らない。
既に脳内の報酬体系に異常を来している同病の患者には、もはや自分の「意思」と呼べるものすらなく、よってギャンブルによって作った借金をいくら家族や親族が肩代わりしてやっても、本人にギャンブルを絶つ旨を誓約書に書かせて約束させても、結局無駄であるということが非常によく理解できた。詳細は→http://takatakataka1210.blog71.fc2.com/blog-entry-19.html
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病的ギャンブリングについて、現役精神科医でもある筆者が書き下ろした一冊。実際を交えた、ごくリアルな報告。
銘記されるべきは、病的ギャンブリングは診断基準もある歴とした精神疾患であり、治療が必要だということ。
ただし、薬物や心理療法が奏効するものではなく、自助グループに参加することが治療手段だということ。
クスリを出せない、そして治らない疾患に対して、医療の関わり方はどうしても消極的になる指摘にはうなずかされる所がある。
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最近では相撲界で問題となったギャンブル・・・
身近にパチスロがある生活が当たり前の今、別にギャンブルに興味のない私は全く思ってもいなかった世界・・・
日本という国の特殊なギャンブルの扱い。これは正すべきだと感じました。
韓国でカジノに行った時、韓国人はここには入れないとガイドの人が説明していましたが、今思えばこれは韓国人がギャンブルというものに依存しないようにとられている措置だったのかもしれません・・・
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病的ギャンブルには、誰にでも陥る可能性があること、ギャンブルにはまっているのは、病気である可能性が高いこと、これらが広く認知されて欲しい。そして、パチンコやスロットに規制をかけて欲しい。
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暗い。。。 射幸心を煽るパチンコ(と全ての博打)の恐ろしさが分かります。ギャンブルは一度はまると、もう意思では止められなくなる。みんな気をつけて><
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「ギャンブル依存症は進行性の病気だ」そう看破する筆者の主張が悲惨極まりない具体的な例とともに語られている本です。ギャンブル依存症とは本人はおろか、周りの人も傷つけるものだと痛感します。
いやぁ、恐ろしいですね。ギャンブル依存症というものは。しかも、誰でもかかりうる病であるということ、そして、根治するには専門医の手を借りないとどうしようもないんだということが、いやというほど読んでいてよくわかります。僕の場合は、自分がこういうことには人一倍弱い人間だということがわかりすぎるくらいわかっているので、たぶん、この病気には人より早く、また深くかかることになると思うんで、なるたけこういうところに近づくのはおろか、お金をかけて遊ぶことは避けてきました。
ギャンブル依存症の人間の頭の中はいかにカネを引っ張ってきて、いかにギャンブルにいそしむ時間をひねりだせるか。それだけだと作者は看破しております。まさにそのとおりだと思います。
この本を読んでいると、ギャンブル、特にパチンコのために家族すらも失っていく過程や、借金があっという間に雪だるま式に膨れがっていくサマが書かれていて、正直、ぞっとします。でもそれが本質なんでしょうね。
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すごかったです。集英社のPR紙で箒木センセがこの本について語ってらっしゃるのを読んで興味を持ち読みました。「病的ギャンブラー」本書では特にパチンコ依存です。「え?パチンコ?」って思われる方も多いのでは・・私もこの本を読むまでパチンコで人生を破滅させてしまう人がこんなにもいるなんて考えもしませんでした。 しかしパチンコをギャンブルと認めずあくまでも「遊技」の一つであるとする日本ではその規制の緩さから 誰にでもこのパチンコ依存の穴に落ちてしまう可能性があるのです。自分だけは大丈夫なんて思っていてはいけません。この本で取り上げられている実例は 普通の女子学生、主婦、サラリーマン・・みんな私たちと変わらない人々なのです。 アル中や薬中と違い身体が悲鳴を上げて壊れてしまう・・・ということがない分パチンコ依存は根深く抜けられないそうでうす。 そんな恐ろしい依存症ですが 医師の指導のもときちんと治療を続ければ(断酒会のような会に参加)立ち直ることができるそうです。もしも周りに悩んでいる人やその家族がいたら「これ読みなさい!!」と勧めたくなる そんな強烈な1冊でした。
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まさかギャンブル依存症がWHOの認める病気だったとは。。。
依存症の人は読むと解決への糸口がみつかります。
依存症ではないけれど嗜む人は、依存症になら無いようにと身が引き締まります。
お薦めです。
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ギャンブル依存の実例がいくつも書かれていて、その悲惨さに落ち込みました。
ギャンブル依存は、明らかに病気です。
もし、周りにギャンブルのトラブルで困っている人がいたなら、病気なので治療が必要であることを伝えてほしいです。
そして、この本を紹介してほしいです。
不幸は1つでも減らした方が良い。
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興味深く読ませてもらいました。
治る病気なら 早く治してあげた方が幸せな人は
いっぱいいるんだろう。この病気広く知られた方がいい。
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パチンコはギャンブルじゃないって警察が強弁したり、ギャンブル依存症の母親のために治療所ではなく託児所つきのパチンコ屋があったり、パチンコ屋の中に銀行ATMがあったり。狂ってる。