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商品説明
ただ、恋、だったのだ。そんな凶暴なものに、誰が抗えるだろう。植えつけられた罪悪感なら捨てた—。秘めた願望を実行したら、新しくなった自分を知った。覚悟を決めた12の恋の行方。最新連作小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
植えつけられた罪悪感なら捨てた−。秘めた願望を実行したら、新しくなった自分を知った。覚悟を決めた12の恋の行方を描く、連作小説集。『GINGER』掲載をまとめて単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
あと少しの忍耐 | 5−29 | |
---|---|---|
それでも前へ進め | 31−54 | |
あなたのための秘密 | 55−77 |
著者紹介
村山 由佳
- 略歴
- 〈村山由佳〉1964年東京生まれ。立教大学文学部卒。「星々の舟」で直木賞、「ダブル・ファンタジー」で柴田錬三郎賞、島清恋愛文学賞、中央公論文芸賞を受賞。ほかの著書に「遙かなる水の音」など。
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紙の本
ア・ラ・カルト
2010/09/08 08:36
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ア・ラ・カルト」という言葉は「献立表によって」という意味の、客が自分の好みで自由に選べる一品料理をさすフランス語だ。
同性愛、SM、姉弟の愛、不倫、といった12篇の過激な内容をそろえた村山由佳のこの本はまさに「ア・ラ・カルト」。
あなたがお好きなものから召し上がれ。
今夜はじっくり味わいましょう、と誘いたくなる短編集だ。
そのいずれもが女性作家が書いた小説にしては過激で、その性愛場面や女性の昂ぶりに男性読者も満足するだろう。しかし、その満足は女性読者にとっては少しちがうものかもしれない。
これは想像でしかないが、女性読者は賛同にちかい満足を得るのではないだろうか。
けっして彼女たちが欲望に飢えているということではなく、言葉にできなかったものがこうして物語として紡がれることに。性が男性のものだけではなく、女性にとっても重要なものであることに。
「哀しい生きもの」という作品は10歳以上も年下の作家と関係をもったクラブの女性の物語だが、そのなかで作家である男性は主人公の女性にひとつのラテン語を教える。
「すべての生きものは、交わりのあと哀しい」
なんと、奥深い言葉であろう。この短編はこの言葉がすべてを物語る。
そして、物語は「どうせ哀しくなるだけとわかっていても、だから私たちはまた交わろうとするのだ」という一文で終わる。
12篇の物語はこの文章に尽きるような気がする。
物語に作者の「あとがき」が必要かどうかはあるとしても、この短編集につけられた村山由佳の「あとがき」はいい。
そのなかで、村山由佳は「恋愛に、年甲斐や分別など邪魔なだけだ、とつくづく思う。幾つになってしても、恋はひとつ残らず特殊で、予測不可能で、無数の<初めて>に溢れている」と記している。
男性である私もそう思う。
ぜひ、女性の読者に読んでもらいたい一冊である。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
紙の本
洋書のような装丁の。
2010/10/04 00:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かず吉。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだかアダルトな感じのピンクの表紙。
そして、アダルト・エデュケーションというタイトル。
何よりも、洋書のような装丁が、今までの村山さんのイメージ
から、かなりかけ離れていて、意表をつかれた。
内容も、様々な欲望が赤裸々に書かれていて、
ダブル・ファンタジーをふと思い出した。
きっとこの本は、万人受けする小説ではない。
書かれている内容に、嫌悪感を覚える人もいるかもしれない。
だけど。
僕は心から思うけれど、性的な欲求は十人十色だ。
同じような欲求に見えて、求めているものは相違している。
だから、この小説の中の女性たちみたいに、
自分の欲求に素直になるのもいいんじゃないかと思う。
フィギュアに萌える男性もいれば、外国人の女性にしか
興味を持たない人もいるし、男性の欲求はおおっぴらにされて
きているけれど、女性の欲求ももっと出しちゃっていいと
思う。
もちろん、自分でちゃんと責任をとるのを覚悟の上で。
人間だって動物だもの。
性的欲求があるから、子孫は連綿と続いてきているわけで、
性的欲求があるからこそ、いろんな風俗店があるわけで、
彼女がいても、彼氏がいても、風俗店通いを続ける人たちも
たくさんいるわけで。
あからさまにおおっぴらに語らなくてもいいけれど、
こういう小説を読んで、自分の隠してる欲求を少しだけでも
認めてあげられたら、生きるのがもう少しだけでも楽しく
なるかもしれないなぁ。
赤裸々に綴られる言葉の中に、やっぱり村山さんらしさが
見え隠れしていて、それはそれで、面白かったです。