紙の本
ガラスの鍵
2022/01/05 11:31
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読むまで知らなかったが、ハードボイルド小説の古典らしい。ハードボイルド小説をあまり読んでいないので、詳しくは分からないが、主人公が打ちのめされても立ち上がり、目的を遂げ、心理描写は省かれて孤独な男として生きる、それでいて知り合いは多く、友情は重んじる、といったあたり、それらしい。
解説にもあるが、読者は主人公に過度に肩入れできない。主人公の行いは「良いこと」ばかりではないためである。しかし主人公を見放せないのは、その行いが主人公の中で確固として正当化され、例え悪いことでも、リスクがあっても、そうするしかないと確信していることがよく分かるからだろう。
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親友であり市政を影から牛耳る黒幕ポール・マドウィックの上院議員の娘ジャネット・ヘンリーとの結婚に反対したネッド・ボーモント。その上院議員ラルフ・ヘンリーの息子であるテッドが殺害される。死体の発見者になったネッドの捜査。マドウィックと対立する組織のボス、ジャド・オロリーとの対立。送りつけられる謎の質問状。マドウィックの犯行をほのめかす人々。
2010年9月5日読了
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あまりの面白さに一気読み。状況を逐一説明的にしていくのではなくて、色々推測しなくてはいけないから、苦手な人は苦手かと思う。私はこういう文章のが好きだが、昔マルタの鷹を読んだ時のような文章でも問題ない。このノワール感が突き抜けていて、ややもすればひとりよがりになって読者をおいて行きそうな構成も絶妙。
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表情や物腰の変化など客観的な状況で描写を重ねていくスタイルで、ハードボイルドの完成形といわれている。伏線を張り巡らしながらテンポよく話は展開していき、「そうだったのか!」と、何度も膝を打ってしまう。
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新訳が出た時に購入し、しばらく積読になっていたが、ようやく手に取り読み終えた。以前、旧訳を読んではいたが、その時には、ハードボイルドの古典と評されるので、なんとなくその美意識にあこがれて読んでみたものの、あまり面白くなかったという印象しかなかった。改めて読んでみて、事件が単純でストーリーを楽しむというよりも、雰囲気を楽しむ、ハードボイルドという様式美を味わう、ということがはっきりした。あと、主人公は「ネッド・ボーモント」ではなく「ネド・ボーモン」のほうがしっくりくると思う。
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ハードボイルド探偵小説の古典と言えるような、作品です。主人公のバーモンドは、賭博師なのですが、友人のマドヴィッグの危機に、彼の事件の解明に乗り出す。乱闘あり、影の大物の登場ありと、ハードボイルドの道具立てはしっかりとできてます。そして、主人公のバーモンドのタフな事。何があっても死にそうにない人物です。
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ハメットの長編。新訳と言うことで読みやすいですが、昔読んだマルタの鷹とかでも特に不満はなかったような。
最初にメインの殺人が起きて、あとの殺人は周囲で散発的に生じるだけ、という訳で本筋の謎解きはシンプルというかストレートです。ちょっとワガママというかヒステリックなヒロインを啓蒙する展開は、昔らしい感じかも。
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中だるみせず、最後まで楽しめて読めました。
ちょっと複雑かなとゆっくり目に読んでいたら、
解説でも「読み始めはとっつきにくい」って書いてありましたね。
登場人物を説明する文章がなく、会話の内容から推測していく必要があります。
いきなり出てくる初登場の登場人物に「誰この人?」ってなります。
(毎日電車内で読む。最終章だけ自宅。読了に6日(他の本も併読してますが))
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ハメット凄い!
この作品の主人公はクールな探偵ではない。正義感に燃える警官でも、人情にあついヤクザ者でもない。
賭博師であり、市制を牛耳るギャングの右腕。探偵という役割からくるハードボイルドな生き方すらできない。ただの人なのだから。何をモチベーションにしていくのか問いかけられる究極のハードボイルド小説。
感情移入すら難しいけれど、引き込まれてしまうこの小説の魅力はいったいなんだろう。
解説の通り、この作品は存在そのものがハードボイルドなのだ!
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ハードボイルド小説の特徴や魅力は心理描写が極力排除され、人物の心情をその仕草や振る舞いから読み取らなければならない不親切にも思えるぶっきらぼうなところだと考えています。主人公と読者の同調を拒むかのように突き放しつつも、人物と雰囲気で読ませる高倉健的魅力。そういう面ではこの作品は満足でした。ただ個人的には、ネッド・ボーモントという人物は少しタフガイすぎるかも? という印象です。よく読むと頻繁に動揺したりするのですが、もう少し強がりというか、やせ我慢というか、そういった表情をもっと見せて欲しかったかな。と。
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ハードボイルド探偵小説を初めて読んだ。映像作品を通して、作家やストーリーは知っているし、主人公もこういうものなんだろうなっていう先入観にまみれた状態で紐解いた。どうにも展開される会話や話術に馴染めない。どうしてこうも往生際の悪い話し方をするんだろうね。逆に言うと、欧米の人からは日本人の突然の「切れ方」が理解できないんだそうだ。この乖離が太平洋戦争を引き起こした要因とも言われてるけどさ。もうちょっといろんな作品を読めば違和感は消えるかなぁ。
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本の片づけをしている中ふと手に取った『読まずに死ねるか!』を読んでいたら出てきたので、改めて読み始めてみた。(もともと買ってあって途中まで読んでた)
読み終えて結果はまぁそれなりに意外で面白かった。「ザ・ハードボイルド」ですね。
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ハメットの「血の収穫」を遥か昔、創元推理文庫で読んだが、今は手元に無く、最近新訳が出たのは、書店の棚に並んでいるので知っていた。
昔読んだので、内容はほとんど憶えていないので、今度購入しようと思っていた時、光文社古典新訳文庫の棚で、「ガラスの鍵」を見つけ、購入した。
やはり昔、創元推理文庫にあったのだが、今は手に入らない。
この文庫でも、大型書店で丁寧に探さないと見つけられないかもしれない。
全てのハードボイルドがそうではないが、ハードボイルド小説を読むと、何故か元気が出るのだ。
主人公のタフぶりが、伝染するのだろうか。
主人公に感情移入して、自分もタフになった気になるのだろうか。
特に、主人公ボーモントが執拗にリンチされ続けるシーンは印象的である。
一つの事件を通して、親友と住み慣れた街を失い一人の女性を得て、去っていく。
しかし、こんなことを書いても、何の説明にもならないのだ。
ストーリーには、あまり意味がない。
作品世界を体感しなければ。
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読み終わってシンプルさに驚く。死人が出たが近々選挙があるため隠蔽される。
ひとくちにハードボイルドって表すとなんだろ。この主人公は全く人間味がなく人としての感情や弱点がない分、臭みもなくサイボーグか殺し屋みたい。権力持ってる人間が力を維持するために、そっとして欲しい所をほじくるのが探偵という仕事。庶民からしてみたらヒーローのようにも写るし、明日殺されるかもしれない位の危険な瀬戸際で生きてる。「やってられない」と感じる倦怠感が「クールだわ」と錯覚するのだろうか。
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びっくらこいた!
ハードボイルドの始祖と言われるダシール・ハミットの『マルタの鷹』と並ぶ代表作『ガラスの鍵』です
そして訳者は ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズでお馴染みの池田真紀子さん
うーんこれを古典新訳シリーズのラインアップに加えてくるなんざなかなかいい仕事するじゃないの光文社、このこの(すっかり光文社の手先)
さて本編ですが、もうすごい!のひと言
最初の100ページくらいで完全に魅了されちゃいました
もう、何も教えてくれないのw
人物の心情とか背景とか人間関係とかにまつわる描写は一切なし
ただ場面場面で目に見えることや聞こえる言葉等の表面的なことが三人称視点で記述されるのみ
要するに五感で感じられることしか書いてくれないのよ
裏側のことは全然教えてくれることなく淡々と素っ気なく物語はどんどん進んで行くんですが、これがけっこう気持ちいいんだけど、なにしろ分かりづらい
だって主人公ボーモントを突き動かしてるのは何か一切教えてくれないんだもの
何考えてるかぜんぜんわかんないけどすごい惹きつけられるんよね
やっぱ男は行動で示すのみよ
何も教えてくれない文章=ハードボイルドは一方で読み手の想像力で何倍にもふくらむ増えるワカメなのですよ!
最初にして 最高のハードボイルド
これを読まずにハードボイルドをかたるな!痛みに負けルナ!(高畑充希!)