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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.8
- 出版社: 毎日コミュニケーションズ
- サイズ:19cm/222p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-8399-3463-7
読割 50
紙の本
対急戦矢倉必勝ガイド (マイコミ将棋BOOKS)
著者 金井 恒太 (著)
「先手で本格的な矢倉を指したいのだけど、序盤で変化されると分からない」という人に向け、様々な後手の急戦策を紹介した上で、先手の対抗策を示す。復習問題も掲載。【「TRC M...
対急戦矢倉必勝ガイド (マイコミ将棋BOOKS)
対急戦矢倉必勝ガイド
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商品説明
「先手で本格的な矢倉を指したいのだけど、序盤で変化されると分からない」という人に向け、様々な後手の急戦策を紹介した上で、先手の対抗策を示す。復習問題も掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
対急戦矢倉の基礎
2010/11/21 13:57
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ココちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本格的な棋風で期待大の若手、金井五段による初出版は対後手急戦矢倉の定跡書でした。
「必勝ガイド」と大きく出ていて不安でしたが、
結論は互角や先手やや良しぐらいで終わっている事が多く、
きちんと公平な定跡書に仕上がっていました(笑)。
先手が相矢倉を目指しても後手が受けに回る展開を嫌がり、避けてくるケースは多いです。
その場合後手は急戦矢倉を狙ってくる事が考えられ、対策が必要になります。
そんな急戦、アマではよく見かけるのですがプロでは主流でないためか意外なほど定跡書は少ないです。
最近になって羽生名人の「変わりゆく現代将棋」が出版されましたが、
これはとんでもなく難解で、しかも内容が少々古いという点で定跡書としてはアマ向けではありませんでした。
本著はレベル的にも内容的にもアマに向けて書かれた本と言えるでしょう。
第1章は右四間飛車でアマではかなり多い作戦です。
最初は中川流右四間飛車、これは過去にも棋書が何冊か出ているのですが、
通常の矢倉風の駒組(ただし▲7七銀と上がるのは厳禁)で受けると、
プロレベルでも互角という結論でした。本著ではその変化は先手不満かもしれないとされています。
そこで本著ではアマ向けにギリギリの切り合いで勝負しなくてすむように、
先手が雁木のように二枚銀で受ける駒組が紹介されています。
後手の急戦に対しては仕掛けを封じることがで、持久戦なら手厚く指しやすい形に持ち込めます。
その他の右四間は△3二銀型は後手が美濃に囲う形で、手厚い陣形で受けきる形を紹介、先手指せそう。
△3二金型は後手が飛車打ちに強い陣形を作り、飛車切りを含めた攻めをみせます、
結論が互角、先手あるいは容易でないかで終わっており研究課題との事です。
第2章は原始棒銀、いかにもアマチュアっぽい戦法名ですが、
10年ちょっと前にはトッププロ同士でも指されていました。
そのおかげもあって現在は受け方がきちんと確立されており、プロではほとんど指されていません。
とはいえ、その重要変化を知らないと簡単に潰されてしまいますから重要です。
後手からの急戦への対処と、持久戦に切り替えられた場合の両方が紹介されています。
第3章米長流急戦、非常に定跡書が手薄な戦型でようやく出してくれたと拍手を送りたいくらいです。
米長流速攻型は受け方を知らないと、お手本どおりの十字飛車で潰されてしまいます。
基本的な受け方と、先手からの一番早い反撃筋が紹介されています。
米長流本格型は速攻型と違い、二枚の銀による迫力ある強い攻めへの対処がテーマです。
先手は通常の矢倉に近い駒組になりますが、角の使い方に知らないと指しにくい手があるので、
勉強しておくと面白いと思います。
第4章矢倉中飛車、こちらもようやく定跡書が出たな、というのが第一の感想です。
矢倉中飛車が有効な5手目▲7七銀から矢倉に組む人もアマでは少なく、
あまり見ない戦型でもあり、知らない変化があるのではないでしょうか。
先手のポイントとなる手はプロの名人戦で指されたもので、さすが!と思わされました。
第5章は5筋交換、郷田流とか阿久津流と呼ばれたりするもので、
最近では渡辺竜王の二つの新手が有名です。
本著では5手目▲7七銀に対する5筋交換は紹介せず(もちろん有効ではあります)、
5手目▲6六歩に対しての定跡のみが紹介されています。
渡辺竜王の新手以前は先手が指しやすいという見方が多かったようですが、
新手以降はむしろ後手の方が面白いのではないかという空気にまでなっています。
そこで本著では先手がそもそも5筋交換型を避ける形も勧められています。
ちょっと残念なのは章ごとにある復習問題で、問題数がかなり多く解答も本編と解説が重複していることもあり、
もう少し上手くコンパクトに仕上げられればなぁ…と思いました。
例えば解答ページは設けず、本編の○ページ参照という形にすると良かったかもしれません。
とはいえ全体的にわかりやすくまとまっており、互角でも指針を示すなど丁寧に作りこまれています。
先手で急戦を受ける方だけでなく、後手で急戦を仕掛けたい方にも参考になります。
遭遇しやすい戦型のわりに類書が少ない分野なので、かなりオススメな一冊と言えると思います。