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風流 江戸の蕎麦 食う、描く、詠む (中公新書)
著者 鈴木 健一 (著)
現在の私たちが知る蕎麦が広く食されるようになったのは江戸時代初期。蕎麦が江戸の人々にとって欠かすことのできない食べ物になっていく様子を、川柳、歌舞伎、落語などから愉しくさ...
風流 江戸の蕎麦 食う、描く、詠む (中公新書)
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商品説明
現在の私たちが知る蕎麦が広く食されるようになったのは江戸時代初期。蕎麦が江戸の人々にとって欠かすことのできない食べ物になっていく様子を、川柳、歌舞伎、落語などから愉しくさぐる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
鈴木 健一
- 略歴
- 〈鈴木健一〉1960年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。学習院大学文学部教授。著書に「江戸詩歌の空間」「古典詩歌入門」など。
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粋の構造 そば編
2011/03/06 17:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ももんじゃ05号 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 本書は、江戸のそば文化について、文芸、芸能に現れた話をまとめた本である。
2 江戸時代、基本的に、流通、産地の関係から、関西はうどん、関東はそばであった。そばは、救荒作物の側面があり、低温の場合でも、2か月から3か月程度で育つ。寒冷地、山地で栽培しやすいので、関東近辺で、栽培されたんだと思う(そばの産地は、長野とか、山形とか寒いところが多い)。
しかし、切りそばが生まれ、粋な食べ物だということで(直侍がおにぎりでは絵にならんなあ)、江戸っ子にも大変好かれていく。
このため、江戸の文芸、芸能との非常に関連が深かくなっていった。
3 有名どころは、忠臣蔵。赤穂浪士が集まったのがそば屋の二階であったとか、しかし、実際には、討ち入り前に数名がそばを食べにいっただけだそうな。
また、赤穂浪士に限らず、武士のそば愛好者も多い。松尾芭蕉は、そばを俳句に詠んでいる。それまで、和歌では、そばを題材に扱うことはなかったんだが(やっぱり王朝文化だから、関西中心か、また、そばの扱いが低かったのかもねえ)、芭蕉が、旅路で読んでいるのである。
さらに、新井白石が、そばを漢詩にうたっている。これがなかなかふるっていて、楽しい。私は、新井白石は、おっかない人だと思っていたのだが、こういうお茶目な側面が意外であった。
他方、恋川春町(この人、本職は、小藩の家老級である)が、酒呑童子の話を題材に、化物大江山という話を書いている。なんでもこの話、洛中に繰り出しては、無銭飲食を繰り返すうどん童子を、源のそばこ(頼光のパロディ)が四天王(渡辺綱ならぬ渡辺のチンピとか薬味が題材)を連れて、打ちにいく(討つと掛けている)話である。かなり手が込んでいて、パロディとして大変面白い(神仏の化身が、浅草の市場で買ってきた麺棒を授けるのは、笑ってしまった)。
4 庶民の生活では、源平合戦(一の谷)をパロディにして、そば屋と客の掛け合いがあったり、小話があったりする。今でも残っているものとしては、歌舞伎で、前出の直侍がそばを食べたり、落語(ときそば、そば清)にでてきたり。そば清に関連して、そばの大食い選手権みたいな記録もあるんだけど、中に、どっかの藩の侍(しかもかなりいい年)がいて、みんな楽しんでるなあと思う。
5 そばって、手軽な食べ物でありながら、江戸っ子に親しまれ、また、文芸や芸能に取り上げられた結果、洒脱になっていったみたいである。
なお、現在のそばの関係で、こういう漫画がある。腹が減ってきたので、この辺で。