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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2010/10/14
  • 出版社: PHP研究所
  • レーベル: PHP文芸文庫
  • サイズ:15cm/540p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-569-67546-6

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紙の本

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

著者 山本 兼一 (著)

女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭へと昇り詰めていく。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、切...

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利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

税込 922 8pt

利休にたずねよ

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利休にたずねよ

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商品説明

女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭へと昇り詰めていく。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、どのようなものだったのか。思いがけない手法で利休伝説のベールが剥がされていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【直木賞(140(2008下半期))】【「TRC MARC」の商品解説】

女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭に昇り詰めていく。刀の抜き身のごとき鋭さを持つ利休は、秀吉の参謀としても、その力を如何なく発揮し、秀吉の天下取りを後押し。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、理不尽な罪状を突きつけられて切腹を命ぜられる。▼利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出したものとは何だったのか。また、利休の「茶の道」を異界へと導いた、若き日の恋とは…。▼「侘び茶」を完成させ、「茶聖」と崇められている千利休。その伝説のベールを、思いがけない手法で剥がしていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作。解説は作家の宮部みゆき氏。【商品解説】

収録作品一覧

死を賜る 9−30
おごりをきわめ 31−52
知るも知らぬも 53−73

掲載中の特集

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みんなのレビュー317件

みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

美と権力。どちらが強いか。人間の欲というものを濃厚に描く。

2012/02/13 20:20

19人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

1989年は千利休四百年遠忌記念の年で、千利休を描いた映画が作られ公開されました。
その中で熊井啓監督の『千利休 本攪坊遺文』がとても印象に残っています。
原作は井上靖で、千利休に三船敏郎、本攪坊に奥田瑛二。
モノクロの映画で、川を下って堺に行く千利休を弟子たちが川辺で見送るシーンの山水画そのまま
のような映像の美しさは、今まで観た映画の中で一番の美しい映像です。
とにかく男たちが切腹しまくる映画ではありますが、美しい映像に男たちの葛藤を描いた映画でした。

 この『利休にたずねよ』は、とにかく出てくる人たちが、濃い。
濃厚であって、映画にするならこれはモノクロではなく完全にカラーでなければなりません。
利休が秀吉の不興を買い、頭を下げないというだけで切腹を命じられるところから始まりますが
利休の腹の中は怒りで煮えたぎっています。
そして、各章が、秀吉、利休、利休の妻、宗恩、石田三成、古田織部と周りの人の語りで
綴られますが、時間がだんだん遡っていくという構成になっています。
それを各章の最初に、日時、場所、時などを細かくドキュメンタリーの手法をとりいれ、時計は
逆さに歩きだします。

 「あの禿げ鼠に、美というものの恐るべき深淵を見せつけてやりたかったのだ」

 天下人となり、金も地位も女も何もかも手に入れたのに秀吉は、いつも劣等感から離れられません。
俗悪で、趣味が悪くて、美などというものを解せない俗物・・・利休は、慇懃にすればするほど、
その天才的な所作の美しさ、そつのなさ、美というものを見せつける・・・秀吉のいわば
一生、逃れられなかったコンプレックスを逆なでしてしまうのが、利休という存在。

 しかし、利休は利休で、おごっている部分は十分にあり、「美への欲」「自分の美意識への過剰な
自信」そんなものは、どんなに顔をつくろっていても、気配でわかってしまう。
秀吉も利休も「なんとしても、自分が一番でないと気が済まない二人」だったのでしょう。

 利休の弟子の古田織部も複雑な思いを持っています。利休にはかなわない、だからこそ、自分の
茶道、そして(後に織部焼として有名になる)陶芸の道をこれまた貪欲にさぐろうとする。
また、秀吉の側近、石田三成は武士として、一番秀吉に仕えている身としては、茶道の利休が
秀吉に取りいって口出しをするのが、疎ましくてならない。

 そんな人々を禅僧の古渓宗陳は、人間の三毒・・・貪欲、瞋恚(しんに:怒り)、愚痴(おろかさ)
にあらわすと、秀吉は貪欲の人であり、三成は怒りの人か・・・そして、利休もまた美に対する
貪欲の人なのだ、と見抜きます。

 天下人となると周りは、その顔色を伺いながら、世を渡っていかなければなりません。
天下人の気まぐれで、取り立てられ、つまらぬことで不興を買って失脚、その繰り返しです。
利休は美しい緑色をした緑釉(りょくゆう)の香合を持っている。秀吉が欲しても決して譲らない。
それには所以があり、妻の宗恩は言います。
「あなたには、わたくしよりお好きな女人がおいでだったのではございませんか」

 ひとつの道を極めるということは、時間や努力だけではできません。
映画『アマデウス』の宮廷作曲家、サリエリは、若きモーツアルトの天賦の才能を認めざるを
得ませんが、同時に、どうしようもない嫉妬の炎に身を焦がします。
まさに、秀吉はあの手、この手で利休をやりこめようとしても、利休は動じず、さらに秀吉を感心
させる結果となります。
出会ったころは、利休が秀吉に天下人の気を感じとり、また、秀吉も自分にないもの、「美の才能」を
利休に求めます。しかし、それが時を経て、お互いを見下し合い、軽蔑しあい、気持が離れて
行ってしまう様を、著者、山本兼一さんは実に剛胆で、骨太の描写、句読点、体言止めの
多い、びしっとした文章でもって綴ります。

 人の持つ業、生まれついて持った才能、欲というものの深さ、愚かさ、そして何をもって
「美」というのかという審美眼の行方、そして男女の思惑。
様々な人々の思惑を、濃く描きながら、色鮮やかな美の世界を繰り広げている、そんな
一大絵巻のような読み応えのある一冊でした。

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紙の本

茶の道に点在する美の数々。

2011/02/12 03:55

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

知人に、もの凄く面白いと勧められて借りた一冊です。私よりも数倍は読書している兄も結構前に読了しているので、興味はずっとあった本だったのは確かです。そして、寂しげに花をつけた一輪がカバーにあるのがまたしんみりとした心境に誘ってくれます。でも、馴染みが無い花、何のお花なんだろう…と思っていたら終盤で理解できました。しかも本書は直木賞受賞作。期待は大きく膨らんでいきました。

始まりは、千利休が切腹するその日。あれ、いきなりそこから始まるなんて、一体…?と疑問を抱きながら活字を追っていった。恥ずかしながら、千利休についての知識は茶人であったことくらいで、いつの時代の人か、どういった人物だったのかという事は全く知らなかった。読み始めてすぐに分かったのは、茶道の表千家や裏千家は千利休の千家からきているということ。自身の浅学さに赤面でした。高校で日本史を勉強せず、世界史を専攻したことをいささか後悔しつつ。

まず気になったのは、進行の仕方。時間が遡っていっている。初めてのパターンだったので、少し戸惑いつつも面白みは増していった。利休の美を見極めるその眼は鋭すぎて怖いほどだと思った。お花を生ける竹にしても、節の位置から形、全てに眼が行き届く。茶道というのは、お茶を点てるだけかと思っていたけれども奥の深さに驚かされる。お茶を点てている時に耳に入る音や雰囲気、匂い、風景、心情、立ち居振る舞い。おもてなしする相手が一番心地よく、落ち着ける空間を見抜き、準備をする。そして心を揺るがすようなお料理や茶菓子。侘び茶の中にも凛とした鋭い美がある。530ページ余り、本当に多くを学ばせていただきました。

読んでいくうちに目立ったのは、物欲が豊富な豊臣秀吉。貪欲だからこそ天下が取れたのかもしれないけれど、その露になった物欲は見苦しい場面もあった。利休が目利きしたもの、石灯籠が欲しい、香合の入れ物が欲しい、茶碗が欲しい…。黄金の茶室はちょっとセンスがよろしくないと思ったり。そうして登場人物の好みや趣味、個性がしっかりと描写されているのが面白い点でした。ただ、一部の女性が単なる美の一部や道具、もっと遠慮せずに言えば玩具のように扱われていたのは不憫でなりません。

千利休の生き様、感服です。そこまで己の信ずる美に執着し、追求するというのは困難なことではないだろうか。だからこそ、千利休が作り上げた茶の道は、何百年も受け継いで来られて現代も多くの人に愛され、敬われ、親しまれているのかもしれない。茶道は経験したことがないけれども、味わってみたい気持ちが湧いた。美学を曲げずに秀吉と対峙した千利休、天晴れです。

宮部みゆきさんのあとがきまで、きちんと楽しめた一冊でした。あんまり再読はしませんが、本書はまたいつか、今度は逆から読み進めてみたいと思いました。謎が多い千利休の自刃、深い背景があります。

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紙の本

茶道とは奥がふかい

2012/07/23 09:17

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:renogoo - この投稿者のレビュー一覧を見る

さすが直木賞受賞作、たいへんおもしろかった。

時代小説だとたいがい江戸もの、市井ものがポピュラーでけれど、これは戦国時代もの。
でも戦国時代ものにありがちな、戦国武将一代記(織田信長の生まれから本能寺までみたいな)とは全然ちがう本だった。 利休の切腹の朝からはじまり、時をさかのぼって話がすすまれていく。

切腹の15日前を細川忠興、24日前を古田織部、4年前を秀吉というように、それぞれの立場からみた利休像を語りながら、切腹の因果関係をほのめかしていく。

利休といえば侘茶、錆茶などを確立した茶道の大家で秀吉の茶頭でもあった。
この本、利休切腹の事件だけでなく、利休個人の心理的な部分にも踏み込んで、利休の美にたいする執着心、また茶道とはなんなのかということも、利休の関係者による証言でじょじょにわかってくる構成になっている。

堺の商人が名物を売るために、仕上げられた茶道。
茶道という趣味/嗜みをひろめることによりプチバブルをつくり、それに"必要"だとされる付随品を売買するマーケットを確立。 そんな俗世的なものなのに、 利休にかかると、とても真摯なものになる。
そんな不思議な利休の魅力にとらわれ、妬んだ秀吉。
その魅力の底辺にあるものがなんのか、最後になってわかる。

この本、ハードカバーで買う価値ありだけど、単行本で880円ででています。

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紙の本

本を開く前に

2016/03/01 05:46

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こばよ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ハードカバーの触りごごち、質感、色なども良い。
久しぶりに、本の体裁に感動した。
ぜひ手に取ってください。

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紙の本

千利休

2019/12/20 20:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る

千利休の切腹の場面から始まるので、とても緊迫感があり一気に読みました。権力や欲望について、深く考えさせられます。

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電子書籍

確かに

2016/01/30 20:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:満点 - この投稿者のレビュー一覧を見る

利休にたずねたいです。

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紙の本

生きる力を感じました

2016/01/25 15:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者: - この投稿者のレビュー一覧を見る

利休に対し自分がイメージしていたものと違っていました。強欲な人間性がすごく印象に残りましたが、それは嫌うものではなくう~んとうなってしまう感動がありました。

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紙の本

千利休の生涯とその一途な姿勢に感動!

2016/01/21 20:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作品は、千利休の生涯を、特に自害するに至るまでの経過を克明に描いています。時代的な背景の描写、千利休の茶道に対する姿勢などが非常に細かく描写されていて、千利休その人についてよく理解できる作品となっています。しかし、この作品の大きな面白さは、単に千利休の生涯を順に描いていくのではなく、時代を遡る、いわば逆に描いているところです。このストーリー展開は私には革命的というか、非常に斬新なものに思えます。ぜひ、一度、皆さんに読んでいただきたい作品です。

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電子書籍

美の求道者

2014/10/22 00:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:棚の主 - この投稿者のレビュー一覧を見る

堪能した。言葉ひとつひとつに利休かくあるか!と思うような重みがある。

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紙の本

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

2019/05/22 15:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:lakini - この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレ


まず、そうきたか!
て感じでした(笑)。
もう、ネタばらしちゃうけど、利休の切腹直前ていうメインイベントがあって、その後そこに向けて盛り上がっていくのかと思ったら、時間逆戻りで周りの人とのやり取りを追いかけるという…。
ゃー、びっくりした。
で、これあまりに遡るから、真相がわかるのはいいけど、一体どうやって仕舞いつけんねん!と思ってたら、なるほど、死の場面をまた最後に持ってきたか、と。
構成が一番興味深かった(笑)。

あと、利休のあまりに美に執着する様子に驚きつつ。

また、久しぶりに、結構知らないような日本語か多く出る本に出会ってテンション上がったり。
茶室の造りとかも興味あるから、むしろそちらの知識という意味でテンション上がったり。笑

あと、最後の、宋恩をきっと一番愛していたのでは、という宮部みゆきの解説にびっくりしたり(笑)。


あとは、最後の高麗の女の死の場面で・心中とがに始まる、自殺幇助罪と安楽死・尊厳死の関係とか、自殺をすること自体の是非とかを、現代になぞらえて考えてしまった。

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紙の本

プレゼン

2017/10/17 13:22

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る

各章ごとに一つの短編として成立しながら、各所に配置された謎が後の章へ興味を引き付けるためのとっかかりとなり、時間をさかのぼる向きに物語が進んでいくことでひとつひとつ謎が明らかにされていく構成が、よくできたプレゼンみたいだと思いました。

いろいろな映画、小説、漫画にいろいろな利休が登場しますが、若き日に出会った一人の女性の存在が、利休の目指す美の姿となって茶席のしつらいに現れている、という著者の解釈はロマンチックだと思います。

でも、私がこの小説の一番好きなところは、利休ではなく、細川忠興と山上宗二です。細川忠興が独創性を持てなかったのは、自分が師を越えられないことを理解していたからでしょう。「へうげもの」の古田織部のように利休の(信長の?)センスにブッ飛んでしまった人と根っこは同じかもしれません。織部は越えられない壁を笑いで突き破ろうとしました。忠興は壁を破ろうとはしませんでした。壁に守られることを選んだ忠興に共感を覚えます。

山上宗二が人を怒らせることを口にしてしまうのは、自分の目利きを評価にしてくれる世界を奪われた恨みのために、利休のように全身全霊の慈しみをもって茶席に臨むことができなかったのでしょう。裕福な人が鄙を貴び貧乏ごっこをすることは苦ではありませんが、精神的に窮乏している人が心から貧乏を楽しむのはかなり厳しいはずです。そこを救えるだけの器量はさすがの利休にも無かったようです。

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紙の本

重めの話

2016/01/03 13:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちわわんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

千利休についてもっと知りたいと思い、購入しました。
読後は骨太でずっしりと重い感触を味わいました。

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紙の本

美を愛し美を追求し美を恐れ、そして美に支配された男・千利休の美学に迫る一冊。

2011/04/11 12:36

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルを見てまず思ったーー利休に何をたずねよというのか。

時代ものは苦手だ。だから本書も手元に届いてから読み始めるまでに随分と時間がかかった。利休という人物には興味がそそられるのだけれども、うーん、時代物かぁ…と、すんごく小さい悩みを抱えつつ、ついに勇気を振り絞って「えいやっ!」と読み始めた。

すると、あの悶々とした日々(注:小さな悩みのことです)は何だったのっというくらい読みやすかった。するりするりと引き込まれ、530ページをほぼ一気読みしてしまった。

まず、構成が巧い。物語は利休の最後の朝から始まる。茶人であるにも拘わらず天下人、秀吉より切腹を賜った利休は、怒りに満ちている。彼は秀吉に対して怒っているのだ。

美を愛し、美を恐れ、敬い、追究し続けた利休は、「無粋」な秀吉に頭を下げることよりも死を選んだ。利休は自身が愛した「美」というものにがんじがらめになっている。美に固執しなければ、自ら腹を割くこともなかったかもしれない。

では、利休がそこまで執着した「美」とは一体、何であろうか。それは、もちろん茶道である。茶道の世界が良しとする、侘び寂び、侘び数寄の精神である。そこに利休は己の美学を見出して確立した。しかしその美学の原点をもたらしたのは、なんと、女であった。利休が肌身離さず身に付けている緑釉の香合は、明らかに女もの。それを持っていた女と利休の間に一体何があったのだろうか。

切腹当日の利休視点で始まった物語は、章を追うごとに時を遡っていく。視点も利休だけでなく、妻である宗恩、家安、秀吉、三成、信長、弟子と各章ごとに入れ替わる。この手法が実に巧みである。この構成はあまり見ないカタチではないだろうか。

物語の最終章は、もう一度、切腹の朝に戻る。しかしここでの語り部は利休ではなく、その妻の宗恩だ。彼女は最初の章で利休にこう尋ねている。
「あなた様には、ずっと想い女がございましたね」

その会話を受けて、彼女には思うところがある。その宗恩の気持ちに妙に共感してしまった。利休が心の中で想い続けているのは、あの緑釉の香合を利休にくれてやった女だ、宗恩はそう確信している。

宗恩が惚れたのは、己の美学を貫く利休に他ならない。美を愛し、美を恐れ、美を追求した男、利休。しかし利休は、美に支配された男でもあった。そしてその美学の原点ともいうべきものを利休にもたらしたのはおそらく、あの緑釉の香合を利休にくれてやった女だ。つまり、利休を支配しているの現実に今利休の側にいる宗恩ではなく、どこかにいる「あの女」なのだ。

しかし利休がその女に出会わなければ、宗恩が利休に惚れることもなかったかもしれない。宗恩が愛したのは、美と、それを利休にもたらした女に支配された利休であるという連鎖は、なんというか、皮肉で哀しい。そしてたぶん、口惜しい。

利休の立場で読むのと、宗恩の立場で読むのと、また違うなぁと感想を書きながら改めて思った。

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紙の本

直木賞

2021/07/21 01:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

直木賞受賞というのと、映画化されていたこともあって手に取ったのですが……時代物、利休ものと考えてもなんだか中途半端な感じでした……

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2011/03/19 20:58

投稿元:ブクログ

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