紙の本
「決闘」 にはなっていない
2010/10/27 02:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
「光の道」 をタイトルにふくむ本は 2 冊. もう 1 冊はソフトバンクの主張をまとめた 「「光の道」 革命」 だ. それとくらべると,孫と,かならずしもソフトバンクの主張に同意しない佐々木との対談からおこしたこの本のほうが,もうすこし客観的にソフトバンクの主張をきくことができる. しかし,佐々木は総務省や NTT よりは孫にちかい位置にいる. 最初は対立点が強調されているが,2 人の意見はしだいに収斂していく. けっして 「決闘」 にはなっていない.
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┃
┃ ■アートとは、「世界という素材から未知の<驚き>を切り ┃
┃ 取ってくる営みである」という。 ┃
┃ ┃
┃ ■ビジネスも、「世界という素材から未知の<価値>を切り ┃
┃ 取ってくる営み」、すなわち、アートではないか。 ┃
┃ ┃
┃ ■価値を無理矢理ひねり出すのではなく、アート性を高めようと┃
┃ 興じているうちに、結果として美しいビジネスが描けるので ┃
┃ はなかろうか。
本書「決闘ネット「光の道」革命」は、今年五月に行われた「光の道」対談、いや対決を書籍化したもの。
『決闘 ネット「光の道」革命』(孫 正義・著?,?佐々木 俊尚・著) | 文春新書 ほか | 書籍情報 | 文藝春秋
2015年をめどに民主党が推し進める「光の道」構想。日本の全世帯に光ケーブルを敷く計画をめぐり、「国費ゼロで引ける」と豪語するソフトバンク社長の孫氏に、ITジャーナリストの佐々木氏が全面反論。すかさず孫氏がツイッターで果し状をつきつけ、実現した“巌流島”対決。既存メディアの外側に膨らみつづけるITは社会をどう変え、我々をどこへ連れて行くのか? 白熱の議論をお楽しみください。(HY)
この議論を「対決」として見た場合、「勝者」はあまりに明らかである。孫正義の圧勝。資料の質量、「勝利」に対する熱意…率直に言って勝負にすらなっていない。
しかしよく考えてみよう。孫正義が「勝つべき」相手は誰なのかを。
佐々木俊尚ではないことは、明らかだ。
それを考えた時、この「勝負」を巌流島にたとえたのは実に筋が悪いと言わざるを得ない。宮本武蔵というのは、戦闘で負け知らずではあっても、戦争で勝ち知らずであったのだから。これほど有名で、かつ日本の歴史をこれほど左右しなかった人というのもまれではあるまいか。
それでは、孫が勝つべき本当の相手の実情を見ると、腰が砕けそうになる。
本書には実に多くの図表が登場するが、その中で最も私の目をひいたのが、こちらである。
孫は実に孫らしく、この図表をポジティブにとらえている。
NTTの労働人口を見ると、50歳から60歳までの層が明らかにだぶついていますが(右図参照)、このベテランの人たちは若いときにメタル線をいっぱい電柱に弾いて来たんです。そのノウハウと経験値をもった定年間際の労働パワーがふたたび脚光を浴びて、これから5年間に光を一気に引きに行くならば、ものすごく忙しくなります。
しかし肝心の彼らが、この図をそう捉えるだろうか?
なんとか年金が貰えるまで穏便にすごせないかというのが本音ではないのだろうか?
宮本武蔵というのは、生まれる時代を少し間違えた人でもある。彼の剣術が上がれば上がるほど、時代は彼の剣術を必要としなくなっていったのだから。
私自���は、まだ「戦国時代」が終わるのは早すぎると考えている。その一方で、私の住む首都圏ではすでに「戦国時代」は終わってしまったことも実感している。マンション一棟まるごとGbE、各住戸100Mbpsという現在の住環境を得たのは5年前。都内にあってはこれは別に特別な環境でもなんでもない。すでに光の道が縦横に走っている都会、まだまだこれからの地方の温度差はむしろ10年前より大きくなっているのではないか?
だから、本書を必要としているのは、佐々木や私のような「都会ネズミ」ではなく、まだ光の道が通っていない「田舎」の「ネズミたち」なのである。「光の道よこせ」という声は、辺境から上がらなければならない。
道路やダムよりは、筋がいいと思うのだが。
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「光の道」構想を支持した孫さんに、ジャーナリスト佐々木氏が異論を唱えたことに端を発した対談本。対談のきっかけがTwitterなら、対談の模様はUstreamで放送されるという、まさにソーシャルメディア時代ならではの出来事は記憶に新しい。
対談は、タイトルにもあるように”巌流島対決”になぞらえて行われた。論点はインフラが先か、アプリが先か。
インフラ先行を唱える孫氏の言葉は、さすがに実業を行っているだけあり非常に説得力がある。そして、それを知りながらヒールに徹する佐々木氏もこれまたお見事。特に一章で、孫さんが、教育や医療という公共的な使い道を提示しながらインフラ先行論を主張するのに対し、佐々木氏がプラットフォーム重視という第三の道による切り返しで議論を進めるあたりは、非常に見どころがある。注目すべきはビジョナリーとしての孫氏の純粋さだ。その純粋さと正義感ゆえに、与党的なビジョンをたてさせ、野党的にアプローチに奔走させる。
しかし、二章以降、様相は一変する。戦っていながらも、どこかでお互いを「敵の敵は味方」と思いながら、議論している雰囲気が凄く伝わってくる。これは、憂国の士による興業なのだ。そもそも、インフラが先か、アプリが先か、二者択一である必要はない。二人の狙いは、話題化を図り、議論を巻き起こすこと。
二人の熱き想いを無駄にしないためには、われわれ国民が議論に耳を傾け、問題意識を持つこと、まずはそこからスタートだ。
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孫正義さんと佐々木俊尚さんの論争を、孫さん自ら巌流島の宮本武蔵と佐々木小次郎に擬えらえているけど、「アントニオ猪木vsタイガー•ジェット•シン」の方が近いかも…決して貶すつもりでは無く、一流のエンターテイメントとして楽しめるという意味で。佐々木さんの悪役振りが見事に孫さんを引き立て、最後に感動します。
帯の裏にあるように、「光の道」に関する孫さんの発言は、立場上、やもすると自社の利益のためだけと思われがちですが、佐々木さんが悪役になってその意見を攻撃することで、逆に孫さんの本気さ、真意が一層明確になってきます。
「日本の未来を良くしたい!」というお二人の思いだして伝わる本です。
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一言で言うならば、孫さんの押しの強さに脱帽の一言に尽きる。
対談相手の佐々木さんは孫さんに対して最初は良い印象を持っていなかったと思われたのだが、対談途中に新たに書き起こした章で随分と孫さんよりになったと思われる部分を見せている。荒っぽい孫さんに荒っぽく応えたようにも見えるが、気持ちの強さに揺り動かされたのではないだろうか。
かくいう私も改めて孫さんの押しの強さに少々面食らいながらもグイと引き込まれるような感覚を覚えた。本を読んだだけでもこうなるのだから、実際に対談なんてしたらどれだけの力を受けたことであろうか。
あの佐々木俊尚が、と思ったがこの勝負孫さんの勝利であると思った。
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孫社長の光の道構想に興味があったので読んでみた。
基本的に孫社長に対するイメージは、荒唐無稽なことをいう人だけど
基本的には優れた経営者、という感じだったが、まぁ概ねそんな感じ
で間違っていないことがよくわかった。
ただ、具体的な数字で示しているようで、肝心の所になると数字を
示さずに「こうなんです」と突然言い切ってしまったり、そもそもそん
なに光の道を進めたいならNTTに頼らず自分たちだけの力で勝手
にやれよ!と言いたくなってくる。iPhoneしかり、他力本願をここま
で悪怯れる事無く恥じることなくできる厚顔さがないと一流の経営者
にはなれないのかなぁとか感じた。
孫社長には賛成できないことが強く確認できた意味では非常に
有意義な一冊だった。
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孫さんって激しい人だな。主張に力がある。すっかり説得されてしまった。
巻末の文春新書好評既刊が『司馬遼太郎』『日本人へ』等々なのも笑える。
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USTREAMの激論が余す所なく新書に!な一冊。トイレ休憩まで完全収録。
ユーストでやっていた議論を新書にまとめ、佐々木さんの孫さん評が追加されている。ユーストをうつらうつらながらも見ていたので真新しさは全くなかったが仕事がら興味を持って読んだ。
「光の道」については言うに及ばずといったところだが、孫正義と佐々木俊尚の議論はすごい。二人ともハジメマシテではないが、全く議論になっていない。ユーストが眠かったのを強烈に思い出した。
結局のところ光回線料金は下がるらしい、漸進的に。孫さんが期待したように情熱的に何かをかえるというのは中々に難しいようだ。B案ゴリ押しCMの裏で華麗に値下げ決定、、、、Viva準公務員。
Akibaの有隣堂で購入。久方ぶりの神奈川ローカル本屋だったけど、楽しい本屋ではなったように思う。
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原口総務大臣主導の「光の道」構想,つまり全国100%の光ファイバー通信環境を整えようというプランを巡る話。
孫正義氏がそれに具体案を提案したが,ジャーナリスト佐々木俊尚が自身のブログで反対を表明し,対談に至った。
孫氏は素晴らしいビジネスモデルを提唱していて,それはビジネスとしてはなんら遜色ないものであるが公共性を帯びるために議論が複雑になっている。
本全体の流れとしては,よくも悪くも日本の内情というか重要項目決定に至るまでの過程を熟知していない孫氏に対して佐々木氏が諫めているとうな印象を受けた。
佐々木氏に,孫氏と既存勢力の橋渡しになってもらえたらと思う。
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「国費を1円も使わずに、いまある日本中のメタル回線を100%「光」に変えてみせる」 「一番重要なのは、情報を流通させるプラットフォーム、ブロードバンドでは全体が回らない」 どっちが正しいの?
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電子書籍で読了
ソフトバンク 孫氏とITジャーナリスト佐々木俊尚氏の対談+佐々木氏の孫氏評が書かれている。
対談は、孫氏がかねがね提唱している「光の道」に対する佐々木氏の反論を孫氏が真っ向勝負、「とことん議論しましょう」と始まったもの。USTやニコ道でもライブ中継された。2010.5.13に行われた生対談を書籍化されたもの。
佐々木氏は光の道整備(インフラ)より、プラットフォーム整備を重点的に進めるべきだとの持論から孫氏の真意を問う。
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IT関連の仕事をしていない人でも一度は読んでおいたほうがよいと思う。日本の将来にどうITを活かすか、について書かれている。
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国費を1円たりとも使わず、日本全土に光ファイバーでのインターネットインフラを整える。そして、NTTの赤字部門も黒字化できる。
これだけ聞いてそれをやらない意味は無いと思った。
「光の道」
これを唱えているは孫正義。そもそもは元原口総務大臣の構想だそうだが、それに賛同した孫さんが具体的なお金の収支を算出した。ただ、その算出の方法の是非を僕が現時点で確認できる術はないので、実現性においての障壁は分からないんだけど、そのまま鵜呑みにするなら絶対やった方がいい。
この構想に対して異を唱えた佐々木俊尚。厳密には孫さんのいう通りに国費0円でできればいいけど、それよりもプライオリティが高いことがあるのでは?という主張。でも、孫さんのプランを精緻に否定できないかぎりはちゃんとした議論にならないんだけど。
その2人が2010年の5月にユーストやニコ動での中継を交えて5時間対談した内容の記録がこの本です。
お恥ずかしながら「光の道」に関して僕は今更この本で初めて知ったわけなんですが、改めてビジョンを描くことって大事だなぁと思ったのです。そして、孫さんすげぇと。
「光の道」が実現した未来の医療、教育は絶対ベター。でも、それくらいの規模の思想を掲げると絶対既得権益を持っている人々がいるんだということ。そこをぶっちぎって突破するパワーが理想を実現するってことなんだな。
「光の道」構想に関する詳細だけでも面白いし、それを掲げる信念に対峙した時に佐々木さんの指摘は重箱の隅をつつく感じに見える。佐々木さんの著書は好きだし、他の同ジャンルを書かれている人の中では常に一歩先を行っている感じはするんだけど。
夢を語ってしまった方が強い。
それを感じた一冊でした。
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どの程度の帯域の光ケーブル想定しているのかが不明ですが、電子カルテや教科書はそれほどのトラフィックではないような。私の憶測ですが、IPテレビ、ネットTVなんかを想定しているかもです。そうなると、CATVや放送業界は騒然となるかと。
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光の道とは、光ブロバンを日本全国、離島も含めて敷設し、従来のメタル線と置き換えることによって様々な無駄を省こうとする国家的情報技術戦略である。
本書は光推進派の孫正義と真っ向から不同意の佐々木俊尚の光の道を巡る論争を書籍化したものである。
光の恩恵を享受している者として、今のネットの接続状況は当然だと思っていたが、なるほど、地方はまだADSLなんやと思うと明確な格差を意識せざるを得ない。