サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

送料無料 日付更新(2017年7月)

【HB】お店とネット利用で最大200ポイントプレゼントキャンペーン(~9/30)

電子書籍化お知らせメール

商品が電子書籍化すると、メールでお知らせする機能です。
「メールを登録する」ボタンを押して登録完了です。
キャンセルをご希望の場合は、同じ場所から「メール登録を解除する」を押してください。

電子書籍化したら知らせてほしい

バウドリーノ 上
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.3 34件
  • あなたの評価 評価して"My本棚"に追加 評価ありがとうございます。×
  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2010/11/01
  • 出版社: 岩波書店
  • サイズ:20cm/336p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-00-024427-5
  • 国内送料無料

紙の本

バウドリーノ 上

著者 ウンベルト・エーコ (著),堤 康徳 (訳)

『薔薇の名前』で世界の読者を魅了したウンベルト・エーコが、ふたたび中世を舞台に放つ物語。神聖ローマ皇帝フリードリヒ・バルバロッサに気に入られて養子となった農民の子バウドリ...

もっと見る

バウドリーノ 上

2,052(税込)
本の通販全品
3%OFFクーポン!!
こちらは「本の通販ストア全商品対象!3%OFFクーポンキャンペーン」の対象商品です。
※キャンペーンの適用にはクーポンの取得が必要です。

キャンペーン期間

2017年9月22日(金)~
2017年9月28日(木)23:59

新刊お知らせメール登録

この著者の新着情報

一覧を見る

あわせて読みたい本

この商品に興味のある人は、こんな商品にも興味があります。

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

このセットに含まれる商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

商品説明

『薔薇の名前』で世界の読者を魅了したウンベルト・エーコが、ふたたび中世を舞台に放つ物語。神聖ローマ皇帝フリードリヒ・バルバロッサに気に入られて養子となった農民の子バウドリーノが語りだす数奇な生涯とは…。言語の才に恵まれ、語る嘘がことごとく真実となってしまうバウドリーノの、西洋と東洋をまたにかけた冒険が始まる。【「BOOK」データベースの商品解説】

神聖ローマ皇帝の養子となった農民の子バウドリーノが語り出す数奇な生涯とは…。言語の才に恵まれ、語る噓がことごとく真実となってしまう男が繰り広げる、破天荒な冒険ロマン。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

ウンベルト・エーコ

略歴
〈ウンベルト・エーコ〉1932年北イタリア生まれ。世界的な記号論学者にしてヨーロッパを代表する知識人。評論・創作に幅広く活躍する。著書に「薔薇の名前」「フーコーの振り子」など。

この著者・アーティストの他の商品

前へ戻る

  • 対象はありません

次に進む

書店員レビュー

ジュンク堂書店吉祥寺店

読み始めて数秒のとき...

ジュンク堂書店吉祥寺店さん

読み始めて数秒のときは、この読みづらい文体が延々上下巻とも続くのだろうか、これは評判ほどには読み易くはないぞ、と思ったが、さらに数十秒後、読み易いとか読みづらいとかそんなことはどうでもよくなってしまった。バウドリーノの話は嘘か真か、そんなこともどうでもいい。いや、どうでもよくはないし、それを考えながら読むのもまたこの物語の醍醐味なのだろうが、とにかく面白くて、ただ没頭してしまうのだ。こうして時を忘れて物語世界に溶け込んでしまうのが楽しくて、僕は本を読むのだ。

吉祥寺店店員 

みんなのレビュー34件

みんなの評価4.3

評価内訳

紙の本

フリードリッヒ1世についての

2016/06/21 23:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る

知識が少ない自分にはなかなか取り付くのが難しい物語でしたが、やはり面白い。
博学極まりないエーコ氏が、奥の奥までぐるぐると物語ってくれます。
下巻が楽しみです。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

スキアポデスが大好きだった澁澤さんがこれを読んだら、さぞ喜んだことだろう。

2010/12/15 21:45

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:abraxas - この投稿者のレビュー一覧を見る

『薔薇の名前』で一躍有名になったウンベルト・エーコの最新作。今回も舞台は同じ中世だが、異端審問最中の僧院に起きる連続殺人事件を描いた『薔薇の名前』の雰囲気を期待して読むと見事に裏切られる。神聖ローマ帝国とビザンツ帝国を股にかけ、生まれついての嘘つき男が自らの才を頼りに成り上がっていく姿を面白おかしく描いた『バウドリーノ』はビルドゥンクスロマンのパロディとも、東方奇譚のパスティーシュとも呼ぶべき異色の作品である。

北イタリアのアレッサンドリアに牛飼いの子として生まれたバウドリーノは、人の会話を聞くと知らない国の言葉でも直ちに理解できる才能に恵まれていた。ある日霧深い山中で道に迷った騎士を助けたことが彼の将来を決定することになる。その騎士こそが神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ・バルバロッサその人だった。バウドリーノの才気が気に入った皇帝は彼を自分の養子にし、叔父であるオットーの下で学問をさせる。

バウドリーノは天性の夢想家で、自分の思いついたことを本当にあったことのように話す癖がある。つまり生来の大嘘つきである。ところが、「嘘からでた真」という言葉どおりに彼の嘘は次々と実現する。これは、そのバウドリーノが実際に経験したフリードリヒによるイタリア遠征と、その後の「司祭ヨハネ」の国への探検行を自ら語った物語、とここまで書いてすぐに気づく。嘘つきが実際に経験した物語というのはどこまでが本当の話なのか分からないということである。

バウドリーノの生地アレッサンドリアはエーコの生まれ故郷。この仄めかしによって、嘘つきバウドリーノは作者ウンベルト・エーコに重なる。読者は初めから嘘につきあうことを求められているのだ。しかし、考えてみれば、誰もが信じて疑わない歴史一つを例に取ってみても、誰かによって書かれた「歴史」があって、はじめてその事件を知るのであって、事実が歴史を残したわけではない。歴史なんてものはみんな多かれ少なかれ為政者に都合よく捏造された偽史でしかない。つまり語った(騙った)者勝ちということさ、というエーコの得意気な顔が浮かんでくる。

碩学エーコのこと、嘘とはいえ手が込んでいる。史実と伝説を按配よく配し、それに全くの嘘を織り交ぜた中世文献のタペストリー。その中には、有名な一角獣と貴婦人の図柄が類い稀な美しさで中央に織り込まれている。それを取り囲むように『幻想博物誌』をはじめ、澁澤龍彦の著作に度々紹介されている犬頭のキュノケファロスや矮人ピュグマイオイ、巨大な貝殻のような耳をぴんと立てたパノッティら、中世ならではの奇っ怪な連中がぞろぞろ顔を並べている。中でも澁澤偏愛の一本足のスキアポデスは重要な役を担う。

中世好きで、ボルヘスの『幻想動物学提要』を愛読していた澁澤が生きていてこれを読んだら、さぞ喜んだことだろう。「司祭ヨハネの国」に至る旅の途中で出会うことになる連中だが、中世人にとってオリエントとはこうした異形の者たちの住む世界であったのだろう。『幻想博物誌』によれば、これらの畸形人間はフランス中部ヴェズレーの教会正面扉口に彫り込まれているという。エーコはエミール・マールあたりから引っぱり出してきたのだろう。因みに澁澤の本には「プレスター・ジョン」(司祭ヨハネの英語読み)のこともちゃんと載っている。

バウドリーノの話の聞き役はコムネノス朝とアンゲロス朝の多くの皇帝に使えた歴史家にしてビザンツ皇帝の書記官長を歴任したニケタス・コニアテス。時代は紀元1204年。コンスタンティノープルは、第4回十字軍によって蹂躙されている最中であった。十字軍とは名ばかりのならず者たちによる放火と略奪に足止めされ脱出もままならないニケタスは、窮地を救ってくれたバウドリーノに身の上話をせがむ。所謂「枠物語」。ペストで足止めを食らった人々が物語る『デカメロン』や、古くは『千夜一夜物語』にまでさかのぼれる物語形式である。

ネタもととなっているのは、フライジングのオットーが書いた『二国年代記』。その中に、東方にキリスト教異端のネストリウス派を信じる王にして司教ヨハネが治める国があり、十字軍の救援にエルサレムに向かったがティグリス川の洪水にあって断念したという伝聞を記す記述がある。ヨーロッパで「司祭ヨハネ」について初めて言及したのがこれである。その後、司祭ヨハネの国からビザンツ皇帝宛てに送られてきた親書やら、それに対するローマ教皇の返書など多くの偽書が各国語に翻訳され様々な国に飛び交った。エルサレムで苦戦中の十字軍を東方のキリスト教国が助けにくるという一種のデマゴギーだが、エーコはこれもバウドリーノの仕業にしてしまう。

映画「インディ・ジョーンズ」シリーズにも登場する「聖杯」伝説も大事なネタの一つ。ここではグラダーレと呼ばれているが、バウドリーノの東方への旅は、グラダーレを司祭ヨハネの国に返すという名目で行われる。質素な木造りの聖杯は、実はバウドリーノの父親がワインを飲むために作った物で真っ赤な偽物。しかし、それを本物と信じた探索の旅の仲間がフリードリヒ殺害計画を企てる。十字軍遠征中のフリードリヒが川で沐浴中に謎の死を遂げたという史実がミステリ仕立てとなって組み込まれている。いったん解決したと思われた謎が次の探偵役によって次々と覆されてゆくというお馴染みのパターンにエーコのミステリ趣味がよく現れている。

異形の種族が奇想天外な戦いぶりを発揮する場面のグロテスクなユーモア、愛の成就を願う故に予め愛を諦めるという騎士道的恋愛、陰謀渦巻く宮廷人の権力闘争とその壮絶な最期、といずれも暗黒の中世という時代背景を逆手にとって、想像を絶する世界をひたすら奔放に描ききったピカレスク・ロマンである。旺盛な筆力と厖大な知識を持つエーコならでは。ヤワな小説など足下にも寄れない構想力を示す圧巻の物語と言っておこう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

フリードリヒ1世の臣下バウドリーノ。嘘つき。いや稀代の策略家。皇帝、教皇、都市同盟とそれぞれは内部に波乱の種を持ちながら三すくみだ。しかしひとたび権力武力で他を圧するとなれば、大勢を束ねるために普段は実体がない「権威」を実体化したくなる。日本流の大義名分だ。錦の御旗だ。何か事をするにあたっての根拠、疚しくない口実。あることないことでっち上げてこれを実体あるものに変えてしまうのがバウドリーノ流だ。

2011/02/22 22:43

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

だいたい「民主主義」ってなんだ「国民主権」ってなんだ。いつなんどき怪物の実体を備えかねない美しい虚構ではないか………などとの思いはさておき。

何度も頓挫しながら、なんとか読破した『フーコーの振り子』『薔薇の名前上』『同下』 だったが、エーコの作品である限りたとえ軽妙口調で語られていようが、この『バウドリーノ』当然に手ごわいと覚悟していたものの、上巻を一通り読み終え、やはり予想を超えて難航しました。ここは腹を据えてじっくりととりかかる。それだけの値打ちがある魅力的な作品なのだ。

『フーコーの振り子』は虚構世界が現実化する恐怖をサスペンスタッチで描いたものであったが『バウドリーノ』は虚構世界を現実化させる嘘つきの天才・バウドリーノの破天荒な冒険譚でこれをコメディタッチに描いている。
「主人公が語ることは嘘ですよ」と正面きって作者が紹介し、虚実混沌でもって読者を魅了する点については阿部和重『ピストルズ』もそうであった。エーコの得意とする中世ヨーロッパを舞台にしてはいても、なにがなにやらわかなくなった現代を生きるものにとって、このモチーフは実にリアルに迫りくるものがあって、本著を捨てがたいものにしている。
ところがヨーロッパ中世史のいろはを知らない私にとっては、物語に登場するさまざまな事物のどれが一般的に史実とされているものなのかを知らないのであるから、高次にあたる虚実混沌の面白さや胸のすくパロディともなれば、そう簡単には楽しませてくれないのだ。

だから下巻飾り帯の河島英昭に
「ここに仕掛けられた<中世の謎>や<中世の秘密>を、あなたは幾つ、読み解けるだろうか」
などとと挑発的な言いがかりをされるまでもなく、『フーコーの振り子』『薔薇の名前』がそうだったように、百科事典を紐解き、神聖ローマ帝国と皇帝フリードリヒ1世に関連した中世史初級の勉強をしながら読み進むことになった。

この物語は大枠として実に巧妙な「入れ子構造」の叙述トリックが仕掛けられています。
1204年ビザンチン帝国の首都コンスタンチノープルは略奪者である巡礼者十字軍の侵略で陥落するが(キリスト教徒同士の殺し合いという歴史的アイロニーがこめられる)、そこで暴徒による無差別殺戮の危機に陥った、帝国の宮廷高官・歴史家のニケタスをバウドリーノが救出する。そして嘘つきバウドリーノが語る自分自身の半生を、事跡を冷静に分析するべき歴史家が聞き手となってそれを語るという虚実混沌、読者にとってはかなり悩ましい構造である。

ところでこのニケタス・コニアテスは実在した人物でした。平凡社世界大百科事典によればビザンチン帝国の歴史を著した歴史家のひとりで、当時の「歴史家の多くは叙述場面への自己投入の卓越した技術を自家薬籠中のものとし、また、皇帝とその政策をしばしば批判の対象に据える」とありました。歴史を自由自在に改変するわけだ。バウドリーノの相手として実にふさわしい人物像ではないか!まさにこのような人物として登場していますから、私としては面白さにのめりこむことになります。

もうひとつエーコの大技があります。
バウドリーノが心酔する師匠オットー(聖職者でフリードリヒ1世の伯父で歴史記述家でもある)の役割です。
「『バウドリーノ』とオットーは言った。『お前は生まれながらのほら吹きだな。………なぜなら真実だからだ。だがおまえを非難していると思うな。おまえが文人になって、いつか歴史を書きたいのなら、嘘をつかねばならない。話を作らねばならないのだ。さもなければ、おまえの歴史は単調になるであろう。』」
ニケタスと同様にエーコは史実といわれるもののいい加減さを指摘していることになりますが、それはそれとして、彼も実在の人物でした。

「オットー 1111か1114‐58
ドイツの貴族バーベンベルク家出身の聖職者、歴史記述者。フリードリヒ1世の伯父。1143年から46年の間に大作『年代記』を書く。『二つの国の歴史」(本著では『二つの国の年代記あるいは歴史』と表現されているもの)ともよばれ、アウグスティヌスの影響が顕著なこの歴史叙述は、混迷の現世的事象と神の国との対比を通じて展開される一つの普遍的救済史である。彼が晩年に書いたもう一つの歴史作品『フリードリヒ1世伝』(本著では『フリードリヒの事績』として表現されているもの)はシュタウフェン家の前史とこの王の事績とを56年まで記述したもの。それは宮廷礼拝堂司祭ラーエウィン (本著でも登場している)の手によって60年まで書き継がれた。平凡社世界大百科事典より抜粋」

どうやら中世史におけるフリードリヒ1世の通説はオットーの『フリードリヒ1世伝』に基づくらしい。物語の冒頭に現れるなにやらさっぱりわからない文章がやがて『ふたつの国の年代記あるいは歴史』の書き始めだとしれる。ところがバウドリーノが著述途中にある羊皮紙を盗んだ。このためオットーははじめから叙述をやり直した。その間の時代の変化の中で原文にあった終末史観を修正することにした。さらにもともと書きたくなかったフリードリヒの輝ける歴史を書くハメになった。
(ここはビザンチンの歴史家ニケタスが「皇帝とその政策をしばしば批判の対象に据える」とは異なりグ~ンと俗にまみれたようです)
つまりバウドリーノがもし羊皮紙を盗まなかったら、『フリードリヒ1世伝』は世に出ることなく、そのためフリードリヒ1世自身は歴史上に登場しなかったのだ………という驚くべき「真実」が明らかにされる。

な~るほど、と私はこの大技を面白いと感じたのだが、そのためにはオットーが実在の人物であり、『フリードリヒの事績』を著した人であることを知らなければこの仕掛けの楽しさはわからなかったでしょう。

勉強しながらでは小説という虚構世界にのめりこめないのかもしれない。
しかしともかく浅学な身ではやむをえない。
基礎知識を得て上巻を二度読みしました。
その労苦は報いられた。
さすがエーコである。

下巻はもっとスピードアップができそうだ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

エーコの小説、ということで躊躇っていたんですが、読み始めればこれが実に面白い。シーナワールドもかくや、というような不思議な人間たちも登場して、楽しい。できるならば、この世界、そっくり映像化してほしい・・・

2011/10/18 19:41

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

正直な話、読むのを躊躇いました。だって、作者がウンベルト・エーコ、あの『薔薇の名前』を書いた人ではありませんか。ショーン・コネリーが出演する映画を見なかったら、本をどこまで理解していたのか、未だに疑問です。あの本を読むのに、結局、二月以上を費やしてしまった。ですから、その後に出た『フーコーの振り子』も『前日島』も読まずに来たわけです。このまま読まなくても良いんじゃないか、そう思いました。

でもです。出版社が今までとは違います。なんたって岩波書店ですから。版権をめぐってどのような熾烈な争奪戦が繰り広げられたのかなあ、なんて思ったりします。さしずめ、東京創元社と早川書房は参戦したんだろうなあ、とか、最後は『薔薇の名前』で日本にエーコの名を知らしめた東京創元社と岩波書店との一騎打ちだったんだろうな、とか夢は枯野を駆け巡ります。

それにしても素敵なカバーです。色は多分、オリジナルの図版をそのまま使ったのか、若干色補正をしたのか、でもこの色合いはいいです。古い羊皮紙のアイボリーと焦げ茶、そしてワンポイント的に使われる緑、赤の効果的なことといったら。これは装丁の中島かおるのデザイン力。でも、上下巻に使われたパリ、国立図書館蔵のカタロニア図(1375年)が効いていることは間違いありません。写真提供はワールドフォトサービス。ついでに書いておけば、本扉図版は、オックスフォード、ボドレー図書館蔵「アレクサンドロス大王物語」写本(1338年)の挿絵より、だそうです。

時代は、イタリア遠征中の神聖ローマ皇帝フリードリヒ・バルバロッサによる1155年のテルドーナ(トルトーナの古名)市の破壊から、1204年の、第四回十字軍によるコンスタンティノープルの略奪までの、おおよそ半世紀です。塩野 七生『十字軍物語〈2〉』(新潮社2011)が描くのが、1118年、イェルサレム王ボードワン一世の死から、1188年、サラディンによるイスラム軍勢の解散までのほぼ一世紀ですから30年近くかぶっています。生憎、1200年頃の十字軍の様子が描かれるであろう3巻は未刊ですが、時代背景を知るには十分、参考までに読んでおくといいでしょう。

物語の前半は、イタリアの自治都市とフリードリヒの抗争を軸に話が展開します。叙任権闘争に端を発する教権と帝権の対立の歴史が背景にあります。1167年、北イタリアを支配下に置こうとするフリードリヒに対抗するため、ローマ教皇アレクサンデル三世の支援を受け、イタリアの自治都市側は軍事同盟を結成、翌年、ロンバルディア同盟の要塞として建設されたのがアレッサンドリアです。

物語の主人公は、タイトルにもなっているバウドリーノです。貧しい農民ガリウアドの子として生まれた少年は、たぐいまれな語学の才に恵まれ、機転がきくことから、縁あってバルバロッサに気に入られ、王の養子になります。その後も、ほかのどの廷臣よりもバルバロッサに目をかけられ、後継者の候補として順調に成長していきます。が、16歳の時、宮廷で許されない恋をしてしまいます。

その相手と言うのが、養父バルバロッサの妻で、養母にあたるベアトリスです。バウドリーノが宮廷で一目で恋したブルゴーニュ生まれの美女は、その時20歳。自分の恋心と王への忠誠心の板ばさみとなったバウドリーノは、その苦しみから逃れるために宮廷をでて、パリに向かいます。そこで勉学に励むのですが、同居人である詩人や知り合ったアブドゥルに己の恋の苦しさを告白することになります。

物語の後半は、西洋中世の夢の表象としての東洋が描かれます。その中心にあるのが、1165年にその存在が知られた「司祭ヨハネ」の手紙です。手紙に出ている司祭ヨハネの王国を求めて、バウドリーノと仲間たちは、インドと呼びならわされた東方へ向かうことになります。同行するのは、バウドリーノがパリに留学していた時の同居人で、詩才よりも野心に満ちた皮肉屋の詩人。

そして、バウドリーノがパリに留学していた時の知り合った赤毛の男で、学友のアブドゥル。彼は、聖地パレスチナで囚われの身だったときに見たも同然の王女に恋して、彼女への愛の歌を歌い続けます。他にも、聖遺物グラダーレの熱心な探求者ボロン、騎士や妖精の物語に強い関心を持つキョット、ユダヤ人のラビ・ソロモン、そしてギリシア人修道士で、ビザンツ皇帝の密使であるゾシモス。

そして、ソロモンの手紙に書かれていた通りの様々な異形の人間たちが登場します。まず、バウドリーノが東方で出会う女だけの種族ヒュパティアの美しい処女ヒュパティアがいます。彼女は一角獣を連れていいます。他にもバジリスク、マンティコアといった知名度の高いものから、一本足ながら快速のスキアポデス、無頭人のプレエミス、腹部に一物をもつポンチ族、片目の巨人族、大きな耳を持つパノッティ、舌なし族といったシーナワールドに登場するような噴飯ものの生き物が続々と現われます。

ここらになると、バウドリーノ生来のほら吹きぶりが全開です。そう、この物語は1204年4月、コンスタンティノープルの略奪を目撃したバウドリーノによって救い出された、ビザンツ帝国の実在の政治家・歴史家、ニケタス・コニアテスが、バウドリーノが語る数奇な生涯を聞く、という形をとっています。当然、虚実入り混じった壮大な話となります。ちなみに、ニケタス・コニアテスは、コンスタンティノープル陥落後に書記官長の地位と家屋を失い、避難した対岸のニカイアで21巻に及ぶ『歴史』を完成させたそうです。

前半の恋の苦しみはあくまで前振り、お話の中心は、後半の破天荒な王国探しにあります。椎名誠風の奇妙な世界を舞台に、バウドリーノたちの珍道中は、新たな出会いを生みながら意外な展開をしていきます。前半は、ちょっと読みにくいかもしれませんが、そこさえ我慢すれば、あとは笑いながら驀進。映画になってほしいなあ・・・

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

娯楽作品として一級品、堪能できる

2011/10/23 13:58

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 映画「薔薇の名前」は見たが、小説や学術書をふくめてウンベルト・エーコの著作を読むのは初めてである。文芸作品と娯楽作品の融合といったところか。いろいろな意味で面白い。いずれ映画化もされることであろう。娯楽作品として一級品であるから。キリスト教神学や中世ヨーロッパの歴史に関する知識があれば、さらに面白く読めるのだろう。著者の蘊蓄が垣間見られるし、喜劇的なにおいも感じられる。ほとんど虚構にしても、中世における希代の嘘つきの物語なのだから。著者自身の出身地のイタリア北部の都市の創設伝説かなにかをヒントにして書きはじめたのではないか。少しはあるいはかなりの史実があるのかもしれない。主人公の名前自体も実在した聖人のものであるそうだし。主人公は嘘つきだが誠実でもあり、いかさま師やペテン師ではない。そのへんの微妙な表現は著者の作家としての力量でもあろうか。
 神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒに才知を気に入られその養子となった、イタリア北部の寒村の貧農の出のその後の教養人、あるいは高等遊民になる主人公の、イタリア、ドイツ、パリ、コンスタンティノープル、さらには小アジアから東洋世界を巡る空想?冒険?物語?。本来は聖地イルサレムを奮回することが目的であった、第四回十字軍がコンスタンティノープルを略奪した時に、実在した東ローマ帝国宮廷秘書官ニケタス・コニアテスに主人公パウドリーノが語った履歴・経験談ということになっている。
 上巻の前半部分は、十二世紀後半の神聖ローマ帝国皇帝とローマ教皇との間の闘争という、西洋中世の実際の歴史を背景とした物語展開となっている。当時の社会状況が背景として丁寧に書き込まれているようである。下巻の小説後半では、大人向けのファンタジー、伝奇小説となる。中世西洋で考えられていた夢の東洋世界への、伝説のキリスト王国を探し求める冒険旅行となる。十二世紀後半に登場した「司祭ヨハネの手紙」というものが元ネタになっているそうである。そこに書かれた怪物たちがいろいろ登場する。おのおのの怪物の種類ごとに各キリスト教異端宗派を割り当て、その説を展開させている。著者の諧謔というか遊び心というか、蘊蓄の開示というか、小説の前半と後半で多少趣は違うものの、それぞれおもしろく堪能できる。物語の流れにもどんでん返しや予想外の展開がいくつもあり、次にどのような展開があるのかと引き込まれてしまう。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2012/12/21 18:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/09/26 18:05

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/05/05 09:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/09/01 22:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/06/13 12:47

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/11/23 23:04

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/01/20 12:20

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/04/10 21:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/07/16 07:31

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/01/21 23:07

投稿元:ブクログ

レビューを見る