わたしの世界一ひどいパパ ほか二編 （世界傑作童話シリーズ）

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三編のお話が収録されているわけだけれども、どの話も登場する『親』がそれぞれ歪んでいる。犯罪者もいる。
一読者からしてみればこれは酷いなとしか思えないし同情してしまうのだが、その親を見つめる語り手の子どもたちの目線が非情に淡々としており公正で、簡単に感情移入できない構成になっているところが一筋縄ではいかない印象。
扱うテーマも同性愛や犯罪に手を染める父親など、児童書には珍しくちょっと毒々しいかもしれない。
けれども、立派な大人が一人も出てこない世界で一体どんな結末が待ち受けているのか。
そんな世界に触れておくはことは決してマイナスではないと思わせてくれる作品。

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この本、最初見たときは、
「普段はひどいとか言っているけど本当は大好き♡」とかそういう系の児童書だと思ってた。
ところが、このパパ、本当にどうしようもない酷いパパで、主人公である娘がママと一緒にパパが収監されている刑務所に面会に行くところから物語が始まる。
世の中いろんな人が住んでいるのだから、こうして罪を償う親の出てくる子供の話というのもありなのかな、と思ってたら、脱獄するし！
それで今度は家族で一緒に逃亡して暮らすのかと思いきや、衝撃の展開が。

一緒に収録されている話も、今までの児童書では読んだことがないような話。
「弟からの手紙」は、ネタバレはしたくないので内容は書かないけど、今の時代だからこそ広く薦めたい作品。
「ぼくと先生と先生の息子」は、なんとなくわかる、このもやもやした気持ち。
こんな読後感の短編小説って大人向けにはありがちだけど、児童書ではなかなか出会わない。でも、きっと、こういう本を読みたくなるときって、ローティーンの時期には有るような気がする。

誰か、読んだ人と語りたくなる一冊だわ。

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「これ子どもが読むの？」という感じ。児童書として読むと衝撃を受ける。欧米的な粗暴さと映画ちっくなセンチメンタル。

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裏表紙には「小学校中級から」と書いてあるが、大人も楽しく読めるというか、大人向きかも。

語り手は三編とも少年少女なのだが、視点は非常にクールで、大人の愚かさが笑える。しかも語り手がその事はもう仕方ないとあきらめて、憐れみさえ感じているのが味わい深い。
　一家でいちばんしっかり者の兄なしで(なぜいないのかは後でわかる)海辺の別荘で過ごすドタバタを描いた「弟からの手紙」、放火(消防士なのに！)、強盗、麻薬、浮気、脱獄と本当に極悪人の父親がぶっ飛び過ぎてて痛快な「わたしの世界一ひどいパパ」、美人教師に恋する小学生の物語「ぼくと先生と先生の息子」、どれも面白い。
福音館書店、いい仕事してるな。
道徳みたいな教訓話にうんざりしてる知的レベルの高い子どもも喜ぶと思う。(普通以下の子どもは案外保守的)
　挿し絵が人間ではなく、動物で描かれているのも生々しくなくて良かった。
　個人的には「弟からの手紙」が一番好き。妹のとんでもない贈り物が最高。