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商品説明
辛い出生の秘密を抱えるまりあは、ある日突然失踪した夫を探して、南の島をおとずれる。島の助産院の先生から予期せぬ妊娠を告げられて—。すべての命に贈る、誕生と再生の物語。「今ここにいる」ことの奇跡を力強く描き出す感動長編。【「BOOK」データベースの商品解説】
辛い出生の秘密を抱えるまりあは、ある日突然失踪した夫を探して、南の島をおとずれる。だが、島の助産院の先生から、予期せぬ妊娠を告げられて…。「今ここにいる」ことの奇跡を力強く描き出す感動長編。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小川 糸
- 略歴
- 〈小川糸〉1973年生まれ。小説に「食堂かたつむり」、絵本に「ちょうちょ」、童話に「まどれーぬちゃんとまほうのおかし」など。
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書店員レビュー
舞台はハートの形をし...
ジュンク堂書店福岡店さん
舞台はハートの形をした小さな島の助産院。
そこに関わる人たちは皆、とても暖かく、しかし誰もが辛い過去を持っていた。
それでも、他者を思いやり、自然に感謝し、何事にも前向きで、ひたむきに自分ができることに努めるのだった。
主人公のまりあは、助産院の仕事を手伝いつつ、毎日「生」の神秘さに感動し、
突然訪れる「死」に恐怖する。
しかし、不安に思ったとき、立ち止ったとき、そんなときは島の誰かが無条件で抱きしめてくれた。
ピンク、オレンジ、ブルー…と色彩豊かな風景が次々と舞い込んできて、
まるで本当に豊かな自然の南の島にいるような錯覚を引き起こす。
こんなに自然を綺麗な描写で表現している本、きっと他にない。
どの場面も素敵だけど、中でも助産院の先生が柔らかく語る言葉は心に残るものばかり。
読むと、「ああ、こんな風に生きていいんだ」と安心できて、暖かくて胸にじんわりと染み込むお話です。
文藝書 小峠
紙の本
新しいいのち
2011/01/03 09:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年(2010年)の暮れから朝日新聞が「孤族」という社会のひずみに焦点をあてた連載を始めました。それは「無縁社会」が流行語にもなった時代を写し取った企画でもあります。
「家族」という縁から今私たちは「孤族」という寂しい現実と向き合っています。もはや「個」ではなく、「孤」なのです。急速に広がるその社会にあって、私たちはどう生きていけばいいのか。
『食堂かたつむり』の作者小川糸さんの新しい作品は、そんなことを考えさせてくれる物語です。
ある日夫が突然失踪し、失意にくれるまりあは、かつて夫と旅行した思い出の南の島へと向かいます。そこで、彼女は不思議な場所と人々に出逢い、やがて新しい命の誕生とともに自身もまた生まれ変わっていく物語です。
題名にもなっている「つるかめ助産院」がその場所です。助産院の先生である鶴田亀子先生との出逢いがまりあの運命を大きく変えるのです。なぜなら、まりあは妊娠をしていたのですから。
子供をもつということはまりあの人生にとって重い意味を持っていました。彼女は孤児だったのです。
そんなまりあだから、「つるかめ助産院」で出逢った人々によって、いつしかこんなふうに思うようになっていきます。「ある意味、人は生まれ落ちた瞬間から、誰もが捨て子なのかもしれない。どこまでも孤独で、だからこそ、人と触れ合ったり助け合ったりすることに喜びを見出せるのだ」と。
「無縁社会」や「弧族」といわれる時代に、まりあのように新しい縁に出逢うことは容易ではないかもしれません。しかし、それらを助けようという人や社会があるかぎり、まりあのように「弧族」から生還する人もあるのです。
それは「再生」ということでもあるのかもしれません。「つるかめ助産院」は新しい命の誕生を導くだけでなく、心を癒し、「再生」させる場所でもあるのです。
それはどこかの南の島にあるのではなく、きっと、あなた自身がみつけるところに生まれてくる場所なのだと思います。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
紙の本
南の島はどこにある。
2012/01/06 19:03
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
つるかめ助産院 小川糸 集英社
今、妊娠している女性、ママになったばかりの女性に読んでいただきたい良書です。わたしが、妊娠・出産することがない男性である点で、しっくりこない部分はあります。わたしにとっては異世界のお話でした。童話のような小説です。ファンタジー(幻想)の世界です。
人間不信に陥った孤独な人たちが集まったのが、とある南の島です。ある人の両親は自殺し、ある人は父親にだまされて失望し、またある人は死産している。そこへ、クリスマスの日に教会の前に遺棄されて、施設入所後里親に出された(里親との関係はよくなかった)まりあ28才が船で到着します。彼女の夫小野寺は失踪してしまいました。彼の失踪理由が明らかにされないのですが、まりあが暗い過去について気持ちの整理がつかず、里親への不満を解消できないまま、いまだに不幸を引きずっている様子をみることがつらかったということがあるでしょう。
料理の本でもあります。心を癒す料理であったり、妊婦の体によい料理だったりもします。食べ物作家さんです。過去をふりかえって、よかったことはよかったなりに、悪かったことは悪かったなりに、自分で自分を納得させる小説です。そして、赤ちゃんが運んでくるものがあるのです。
手によるマッサージシーンがときおり登場します。てのひらは、理屈ではなく、感情とか気持ちで心と体を癒します。南の島には「幸福」があるというイメージがあります。現実にはそうであるはずもなく、「南の島」は、青い鳥のようなものです。
心に残った表現を書きます。人格者であるとほめられたときに、「長く生きてきたからよ。いっぱい失敗しました」と答えたつるかめ先生。長老との会話のあと、心の底を懐中電灯で照らされた気持ちになった。ディサービスセンターでマッサージをすることを指して、生きるための「杖」を手に入れた。