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商品説明
戦争が終わってちょうど十年目、いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。高度経済成長、六十年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、よど号ハイジャック事件、日本列島改造論、石油ショック—激動の昭和の時代、生まれながらの野生児、作田又三は、人生という荒海を渡っていく。いざ、海図なき嵐の海へ。さあ、錨を上げよ!疾風怒濤の2400枚。圧倒的青春小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
昭和30年大阪下町生まれ。その名は、作田又三。下品で、ずるくて、しぶとくて、ルール無視でもお構いなし。絶対にへこたれない不屈の男が、人生という荒波を渡っていく! 圧倒的青春小説。【「TRC MARC」の商品解説】
この男、いったい、何者か。。
昭和30年大阪下町生まれ。その名は、作田又三。
下品で、ずるくて、しぶとくて、ルール無視でもお構いなし。
人生の至る所で敗北を喫しながらも、絶対にへこたれない不屈の男。
大ベストセラー『永遠の0』をはるかに凌ぐ感動! 疾風怒濤の2400枚。圧倒的青春小説。
【商品解説】
著者紹介
百田 尚樹
- 略歴
- 〈百田尚樹〉1956年大阪生まれ。同志社大学中退。関西の人気番組「探偵!ナイトスクープ」のメイン構成作家。「永遠の0」で小説家デビュー。ほかの著書に「風の中のマリア」「モンスター」など。
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紙の本
作者の作家としての決意が表明された作品
2012/02/05 09:13
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
錨(いかり)を上げよ 上・下 百田尚樹(ひゃくたなおき) 講談社
かなりのページ数です。1ページにびっしりと文字が詰まった状態で、主人公作田又三のひとり語りが続きます。全体で七章あります。
「第一章 進水」最初は作者の自叙伝かと思いましたが内容は違います。ありえない主人公の姿です。暴力三昧で、普通なら16歳になるまでに命を落とすか、刑事罰を受けています。スピードと躍動感に満ちた文章が続きます。現実離れした部分もありますが魅力ある内容となっています。世の中を渡る人間の汚さをこどもに教える本でもあります。舞台は大阪、住居は文化住宅です。
「第二章 出航」又三を船にたとえてあるかのような章のタイトルです。又三の行動はあいかわらずむちゃくちゃです。怒りの固まりは一直線に進みます。胸のすくような理屈もありますが、きちんとした道理の下地はありません。自分の都合次第でいかようにも嘘がつける人です。文章は面白い。ことに10代後半男子のむらむらくる性欲の表現は爆笑です。「Y」という文字を見るだけでぐらりとくるという表現はそのとおりです。
「第三章 座礁」又三の個性は、社会を批判する一匹狼の事件記者が基礎です。書中の表現を借りると「偽善と建前主義に対する激しい憎悪」です。全ページ余白以外の白い部分がないほど書き込まれています。すさまじい集中力です。きれいだからという外見で女性に恋をして、次々とふられていく又三です。そこまでくじけるかというほど崩れるのは思春期後半にある精神の不安定さです。
「第四章 漂流」ここまで読み継いできて、この小説はだれのために書かれたものであるかを考察する時期に至りました。作者自身のために書かれた文章です。主人公の又三は、何がしたいのかわからない22歳です。鋭い観察であらゆるものを批判します。この世にあるすべてを否定したい人です。自業自得ですさんだ暮らしにたびたび落ち込むのですが、又三はどんな環境にも適応していきます。奇跡のようなものを感じます。人間は、気持次第でどんな環境でも生きていける。夢をもちながら生きている人をあるべき姿とし、夢をもたずに生きている人を「はぐれ雲」とする。「無」から「益」への移行でした。
「第五章 嵐」又三の描き方は豪快です。又三がしていることは法律違反ですが、たいしたものだと感心させられます。作者の持ち味は、凡人が思いつかない大胆な爆破シーンや闘争シーンを描き出せることです。警備艇から逃げ回る密漁船の走りが光っています。いつもながらうならせてくれます。139ページ、この本のタイトルになっている「錨(いかり)」の記述が初めて登場します。
「第六章 停泊」この作家さんの特徴は後半で急激に気持ちが盛りあがってくるところです。だから途中は退屈でも読み続けなければなりません。又三は女で人生を変える人です。これまでむちゃくちゃな言動とふるまいの数々でしたが、だんだんまともな人間になってきました。それでも行動は奇抜です。
「第七章 抜錨(ばつびょう)」作田又三の無鉄砲でわがまま、暴力にものをいわせる、お礼参りは欠かさないという性格は31才になっても変わりません。こと暴力に関しては、サムライです。一度決心したら相手を斬るまで迷いません。やりたいことをやって、我慢ができなくて、本人も言っていますが、自分の人生って何なのだろう。彼の周囲の友人・知人たちも似たり寄ったりの経験を経て、今はひとり暮らしが多い。男女は傷つけあいます。男女間の愛とは何なのか。答えを画一的に表現することはできません。又三には、女性をつなぎとめておく何かが足りない。それは許容であり寛容です。まだ、31才、これからの人生のほうが永い(ながい)。虚構・脚色含みの私小説で自分をさらけだす。作者が小説家を目指す意気込みが伝わってくる作品でした。
紙の本
シナリオ
2019/02/27 01:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者のほかの作品にも言えることなのですが、まず映像化前提という感じの小説です。シナリオを読んでいるような気分になりました。