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紙の本
雪になる (新潮文庫)
著者 谷村 志穂 (著)
恋は、予想もしないところから訪れて、わたしを塗りかえてゆく。ずっと待ちつづけたあの人の影。禁じられたからこそ、燃えあがる感情。背筋を貫いた忘れられぬ快感。しずかに甦る、出...
雪になる (新潮文庫)
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商品説明
恋は、予想もしないところから訪れて、わたしを塗りかえてゆく。ずっと待ちつづけたあの人の影。禁じられたからこそ、燃えあがる感情。背筋を貫いた忘れられぬ快感。しずかに甦る、出会ったときの熱—。結ばれて、喪って、また新たな鼓動に気づく。あなたへの想いは星座となり、やがて雪空へと溶けてゆく。『海猫』『余命』で絶賛を浴びた著者が描く、切なくて甘美な六色の恋愛模様。【「BOOK」データベースの商品解説】
〔2008年刊の全面的な改訂〕【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
雪になる | 7−44 | |
---|---|---|
上等な玩具 | 45−74 | |
ねじれた親指 | 75−107 |
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雪の降る音が聞こえてくる。
2011/02/10 23:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
赤い色をバックに凛とした雪の結晶。
うつくしい装丁は大人のための物語にふさわしい。
濃厚なブランデーケーキのような六つの短編集。
「かさかさと切手」
昌枝が高校に入学した年の冬に、
漁師だった父親が病気のため急逝した。
母と、昆布の捕れるこの村で浜仕事に精を出す日々が始まる。
家の手伝いに青春を捧げる昌枝の唯一の娯楽は切手の収集。
華やかになっていく同級生たちや、わがままいっぱいの弟。
気になりつつも、それらを視界の隅に追いやりながら、
昌枝は昆布を捕り集めた切手を眺めるだけの暮らしに
うずもれていく。
あるとき弟は、昌枝の部屋から切手を盗み売り飛ばしてしまう。
幼馴染みの明子と隆治は
いつの間にか男女の付き合いを始めていた。
日ごとに美しくなっていく明子の眩しさに
昌枝は目がくらみそうになり、思わず放ったひとこと。
そのひとことが、昌枝をまっくらな森へ惹き込んでしまう。
明子のように着飾ることも恋をすることも、
昌枝にとってはまるで他人事の遠いできごとだった・・・・・・。
六篇のどれもが、痛々しさを含んだ甘さを持つ。
主人公たちはやけどしそうな熱さを胸の奥深くに秘めている。
それぞれの場所で降る雪が、しずかにその熱を冷やす。
降り続く雪も、せつない思いも、いつかは終わるときが来る。
しんとした夜更けに、雪の降る音だけが聞こえてくる。
そんな情景がよく伝わってくる一冊。