紙の本
図書館は夢の空間
2011/02/11 23:48
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
図書館が好きです。
学校のそばに住んだ方がいいという孟母三遷の教えではありませんが、図書館のそばに住みたいといささか真面目に家を探したこともあります。いくばくかの男の書斎にこだわるよりも、図書館がそばにあればもうそこは広大な書斎。大量の本に囲まれて毎日にたりと暮せる、なんとも優雅な生活をおくれることか。
そんな夢は実現はしませんでしたが、現在の住居は歩いていける距離に二つの図書館があります。ゲタ履きでというわけにはいきませんが、そこそこには快適といっていい環境にあります。
それに最近の図書館はサービスも充実していますから、家にいながら蔵書を調べたり貸出予約もできますし、日曜祝日も開館していますし、夜も遅いところでは仕事帰りに利用できたりもします。そばに住むどころか、もう館内に住みたいくらいです。
この本は児童書ながら、過去から現在そして未来にむけた図書館の歴史がカナダの図書館司書であるモーリーン・サワによって丁寧に描かれています。
著者は図書館の目的を「人びとが未来へ向かって進むとき、これまで歩んできた道について情報を提供すること」だと書いています。人類の長い歴史はいろんな知識を生んできました。それが広く活用されたという点では印刷という発明は画期的だったし、本という媒体になり、それを所蔵する図書館がなければ私たちは知恵を共有できなかったかもしれません。
鉄鋼王だったカーネギーの言葉に「図書館は世界の知的財産の扉」というのがあるそうですが、自身若い頃に図書館に通って多くの知識を学んだといいます。また彼の素晴らしいところは大富豪になってのち、世界中に図書館を建設したことです。そういう広がりが知恵の伝播となっていきます。
本から電子書籍へと叫ばれる時代になって、図書館もまた進化していくにちがいありません。それはきっと私たちの想像をはるかに越えるものになるでしょう。
しかし、遠い砂漠の道をラクダたちが本を運んだように、本を読みたい、知識を得たいという人びとがいるかぎり、図書館はありつづけます。著者も書いているように、図書館こそ「今日生きている人びとを、過去や未来の人びととつないで」くれる、夢の空間だからです。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
紙の本
ほぼ完璧な本
2012/05/17 17:20
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投稿者:黄泉傀儡 - この投稿者のレビュー一覧を見る
児童向けではありますがやや難しい漢字や表現があります。
しかし小学校中学年から図書館について学びたい学生まで幅広くカバーします。
私の大学では授業の際、教科書として使われるほどわかりやすく詳しいです。
昔、今、それから未来に向けての図書館システムを紹介してくれる非常にいい本です。
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古代図書館から現代の図書館に至る道のりを、分かり易い絵と解説で教えてくれます。
紀元前2700年頃にはメソポタミアのシュメール人が図書館を築いていました。
それ以来、粘土板などの様々な媒体に刻まれた文書を収集してきた司書たち。
しかし、その努力も虚しく社会情勢によって脆く簡単に崩れる図書館。
失われた書物は何万に登るのでしょうか。
しかし司書やその他の重役、詩人などの努力によって今日までに少なくない数の古典が残されています。
その努力が写本から印刷に変わり一般大衆も手にすることができる現代は、恵まれている時代なのでは…と認識させられます。
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何気なく図書館で手に取ったのですが、すごく面白い本でした。絵本ですが、本好きの大人が読んでも収穫がある内容です。
「古代図書館の誕生」では、断片的に知ってはいたようなことでも系統立てて説明があるので、とても分かりやすかったです。
アレクサンドリアのヒュパティアについては、いま「アレクサンドリア」という映画が公開されているので、つい最近そういう人がいたことを知ったばかり。私にとってとてもタイムリーで、映画が見たいなあと。でも県内で一つの映画館しかやってないの・・・。
図書館が破壊されたり、修道士が写本を作る様子とか、なかなかドラマチック。
ドイツのマインツに住むグーテンベルクの発明による印刷機のこと。著者はカナダの方なのですが、印刷機を世界で初めて発明したのは実際には中国だったと説明しています。ただ中国は木版で、その情報は他国には知られていなかったので、グーテンベルクのアイデアは独自のものだったことも。
以前マインツに行った時、博物館でグーテンベルクが発明したのと同じやり方での印刷を見ました。印刷というより版画を刷っている感じでした。それでも写本と比べ、スピード、精度とも格段の違いです。印刷機械も大変なスピードで進化していました。
後半はアメリカ大陸の図書館の歴史に比重が置かれています。歴史あるヨーロッパと違い、何もないところからどうやって図書館を発展させていったのかの苦労話はとても興味深かったです。図書館こそ教育の原点で、教育することが国作りにとっていかに大切か、そういう考え方から多くの人が図書館を作って行ったのだと。
本の分類法のこと、電子図書館のこと、など盛りだくさん。
古代アレクサンドリア図書館が消えて1500年以上のち、全く同じ場所に2002年に新しいアレクサンドリア図書館がオープンしたとのこと。著者はこの図書館の規模は小さくても、独自の取り組みを高く評価しています。
新アレクサンドリア図書館の外壁には、世界のほとんどの文字が刻まれているそうです。日本の文字もあるのかな、見てみたい。
翻訳本なので、内容はヨーロッパとアメリカ(一部アフリカ)に偏っていますが、インターネットのアドレス紹介では国立国会図書館などは日本のHPのアドレスになっています。著者との了解がなされているのでしょう。
表紙が良いんですよ、表だけ見ると砂漠にラクダの姿。これはラクダの移動図書館の絵でしょう。でも全体を広げると・・・。素敵です!
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私の勘違いなんですが大人向けかと思ったら児童図書コーナーにありました・・・^^; よみがなをふっているだけなので(平仮名が多いとかで)読み難いということもなかったです。
タイトル通り本と図書館の歴史、の概説簡易版て感じです。イラストが多く説明の内容がイメージしやすくていいです。
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原書はカナダの出版のようですので、欧米の歴史が主ですが、本と図書館の歴史をざっとさらうのに良い本。
中高生(けっこう振り仮名あるので小学生も大丈夫かな)の本好きにもおすすめできます。
巻末に「インターネットでしらべてみよう」として、世界各地の有名な図書館や電子図書館、図書館関連団体などとそのアドレスが一覧になっていてちょっと便利(これは日本版の追記かな? 日本の国際子ども図書館や日図協まで紹介されてます)
アレクサンドリア図書館、ヒュパティア、死海文書、ラクダの移動図書館、ボドリーアン図書館……など、図書館や本好きにはたまらないワクワク感が味わえます。
個人的には本文の間にコラムが入る形の本って、とっても読みづらいので、そこは残念。気にならない人も多いでしょうが。
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本と図書館の歴史が単に時系列に記述されているのではなく、いろんなエピソードをまじえてあるので読みやすかった。世界史の復習にもなりました。
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カナダの図書館司書の方が子どもにもわかりやすく、図書館の歴史についてかかれた2010年12月発行の新しい本。日本には図書館についてかかれた新しい本が少ないので最近の大英図書館のプロジェクトや、ビルゲイツの事などがわかり、未来を考えるきっかけになった。
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49
大学にとって書物は最も美しい装備品であり、最も有益な備品であり、大学に最もふさわしい、かつ貴重な寄贈品であります...p.43
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2011 9/16読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
やたらAmazonでリコメンドされた本。一般書かと思ったら絵本でびっくりした。
しかし絵本にしては言葉の選び方(これは訳のせいなのかもしれないが全般にルビを振ってあっても堅い)といい、紙面構成(コラムが頻繁に入る+文章がページをまたぐことが多いので線形的に読めない)といい、児童向けとも思えない本。後者も訳の問題なのかも知れないけど。
そんなわけでターゲットが見えず、「いやこれは子供は読まないだろう・・・」と身構えつつ読み始めたが・・・いやいや、どうして、古代⇒現代までの西洋・北米図書館史の要点を、印象的・力強いエピソードを多数ひきつつよくまとめている本。エピソードうまくまとまっているので思わず付箋はりまくってしまった。
これは小学校上級以上か、実はぶっちゃけ絵本の体裁をとって敷居を下げているだけでターゲットはそれを子供に与えるであろう親か?
さてはALAのプロパガンダか・・・と思ったら著者はカナダの図書館員で、特に図書館系の出版社から出ていたわけでもないらしい・・・ふーむ。
とりあえず西洋図書館史を知らない/興味がなかった人に最初にすすめるにはいいかもしれない、つくづく紙面構成は読みにくいけど。
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「図書及び図書館史」のレポート作成のために読みました。
絵本ですが、的確な内容で専門的なこともよく分かります。
この本によって、図書館の歴史の大切な箇所を掴むことが
できました。
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児童書一般
児童といっても幅が広いので、学年や本を読み慣れているか否か
で感じ方は異なると思います。
でも、内容は濃く大人が読んでも楽しめました。
ひとつだけ★を減らしたのは、読んでもらえばわかりますが、
色がついたところに余談のような文章が書いてあり、
白い部分に文章が続いているのに余談が1ページで終わらず
次のページにも続いているのが読みにくかったです。
余談を読んでいたら途中から白い本文になり、次のページをめくるとまた余談の続きで白い文章になる。
というか、あれ?これどこにつなっがってんだ?
と行を探してしまいました。
ちょっと伝えにくいですが手に取った方は意味がわかると思いますね。
児童はわからないと思いました。
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タイトル通り、本の誕生と知の集合とした図書館の歴史について書かれた本。これが絵本であるというのもビックリだが、中身は非常にレベルが高いので大人が読んでも十分。図書館で知識を身に付け、世に出たフランクリンやカーネギーの話が印象的。書店と違って、図書館が持つべき役割というのを改めて考えさせられる。それは世代を問わず、場所も問わず、知識を得、それを共有できるということだろう。インターネットやタブレット端末も拡がってきて、より新しい図書との付き合い方や社会での存在意義というのが今後は考えられるべきなのだろう。
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本当に児童向けとして出版されたのか?と疑うほどに充実した内容で、古代図書館から現代の電子図書館に至るまで、図書館の歴史を知るには最適な出来だった。
図書館を中心にすえた歴史を読み解いていくのも楽しい。
コラムも充実していて、女性初の司書誕生の話も興味深く読んだ。
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タイトル通り、本と図書館の歴史の絵本です。
古代の図書館から現代の図書館まで・・・文字通り古今東西、図書館の歴史を教えてくれます。
本文もさることながら、コラムも部分も多いので、ちょっと読みづらいのです。
けれど、この長い歴史の中に、たくさんのドラマがあり、それらを題材にしたファンタジーなんかも出来そうな・・・!!!ワクワクして読みました。
最後の、司書に聞いてみよう〜では、
「司書の道は1日にしてならず」と心の中で手を合わせました。(誰にだ?誰かにだ) 精進します。
カテゴリ、読書活動ではないのだけど・・・自分分類なので、とりあえすここに。
「本のれきし」(福音館)
「キュッパのはくぶつかん」(福音館)などどとともに、
3.4年の 調べ学習ワークの前に紹介してもいいかも。