1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ビーケーワン - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章 マネジメントがいちばん大事
マネジメントのなにがわかっているのか?
マネジャーのありのままの現実
二九人のマネジャーたち
リーダーシップはマネジメントの一部
マネジメントは実践の行為
仕事の環境はどこまで変わったのか?
自分の頭で考える
第2章 マネジメントのダイナミクス
マネジメントという仕事の特徴
インターネットの影響
計算された混沌
第3章 マネジメントのモデル
なにが理解をさまたげているのか?
一般的なモデルの構築
マネジャーの頭の中
仕事の基本設定を考える
スケジュールを立てる
情報の次元でのマネジメント
人間の次元でのマネジメント
行動の次元のマネジメント
バランスの取れたマネジメント
役割の垣根を越えたマネジメント
マネジメントの基本姿勢
役割間のバランスはたえず変化
第4章 マネジメントのさまざまな種類
一つの要素だけではなく?
二九人に大きな影響を及ぼしている要素は?
マネジャーの行動の全体を見る
監督する業務・機能
スケールとスコープ
一時的要素
短期的な圧力
マネジメント手法の流行
個人的要素
マネジャーの個人的なスタイル
二九人のマネジャーのスタイルは?
マネジメントの基本姿勢
新人マネジャーの基本姿勢
不承不承のマネジャーの基本姿勢
すべての基本姿勢をブレンドする
マネジャー以外の人物によるマネジメント
第5章 マネジメントのジレンマ
思考のジレンマ
上っ面症候群
計画の落とし穴
分析の迷宮
情報のジレンマ
現場との関わりの難題
権限委譲の板ばさみ
数値測定のミステリー
人間の次元
秩序の謎
コントロールのパラドックス
自信のわな
行動の次元
行動の曖昧さ
変化の不思議
全体的なジレンマ
究極のジレンマ
私のジレンマ
第6章 有効なマネジメント
優れたマネジャーの条件
マネジャーにはみな欠陥がある
不幸せな組織を生む原因
二組のマネジャーの物語
人物が原因の失敗
職務内容が原因の失敗
適材適所でないことが原因の失敗
成功が原因で生まれる失敗
幸せな組織の条件
マネジメントの成否を考える枠組み
マネジャーの選考・評価・育成
マネジャーを選考する
マネジャーの仕事の質を評価する
マネジャーを育成する
マネジメントは、自然に
コントロールの仕方を知らない生き物
自然にマネジメントをおこなう
付録
マネジメントの八日間
マネジャーの人選
観察する日の選定
当日、私はなにをしたのか
[私が立ち会うことによる影響]
データをどう用いたのか
◆隠れたリーダーシップ
◆さまざまな役割をブレンドしてケアする
◆典型的な一日
◆組織の環境を守る
◆ミドルマネジメント層の枠を越えて
◆きわめつきのヨコのマネジメント
◆境界上でのマネジメント
◆「普通でない」マネジメント
投稿元:
レビューを見る
ヘンリー・ミンツバーグの最新刊。原題は"Managing"でいかにも集大成的な野心的なタイトルになっている。
ミンツバーグは、『MBAが会社を滅ぼす』(Managers Not MBAs)という既刊のタイトルからも分かる通り、ビジネススクールで教えられているタイプのマネジャー像を否定し、個別のヒアリングやフィールドでの観察から得た実践し行動するマネジャー像をその理論構成の中心に据えている。経営者の短期業績に連動した成果報酬にも大反対だ。
そしてマネジメントに対する打ち壊すべき次の3つの神話があるという。
① マネジメントはリーダーシップと別物である
② マネジメントはサイエンスないしは専門技術である
③ マネジャーは大きな変化の時代に生きている
①については、リーダーシップはマネジメントの一部だとし、②はマネジメントとは科学でなく実践だと説く。③については、変わったものよりも変わらないことの方が多いのだと主張する。その辺りの徹底ぶりは筋金入りだ。
---
「はじめに」にも書いてある通り、本書は1973年刊の『マネジャーの仕事』を掘り下げてみたものだという。同書では5人のマネジャーの仕事っぷりを分析して評価したものであったが、本書でも29人の様々な業界の様々な立場のマネジャーの実際の職場での行動観察の結果を分析し、取りまとめた実務的マネジメント分析の書となっている。改めて『マネージャーの仕事』を少し振り返ってみたが、同書ではマネジャーの仕事の特徴として次の4つを挙げていた。
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/456124218X
・終わりなき性質(Open End)
・短時間で、変化に富み、断片的
・皮相化がマネジャーの職業病(Occupational Hazard)
・刺激-反応という環境の中で仕事をしており、即時的行動(Live Action)を好むようになる。
この結論は本書でもほとんど変わっていない。実際に本書の中でもマネジャーの仕事の本質は30年前と大きく変わっていなかったとしている。
具体的に本書でマネジャーの仕事の特徴を次のように列挙しているが、ほとんど同じだ。
・いつも時間に追われている
・さまざまな活動を短時間づつおこなう
・互いに関連性のない業務を細切れにおこなう
・頻繁に自分自身でものごとを実行する
・非公式・口頭のコミュニケーションを好む
・人との接触の多くをヨコの人間関係が占める
・しばしば目に見えない形でコントロールをおこなう
管理職でひいこら言っている人は、ああ他の人もそうなんだなと安心しないだろうか。マネジャーはいつも大変だ。当たり前だ、大変でない仕事ならマネジャーがやる必要なく解決しているからだ。常にジレンマを抱え、時間に追われて仕事をしているのがマネジャーだという。日々苦労を重ねている管理職の人には実感がわいてくるのではないだろうか。
それでも「マネジメントとは、永遠に、一時たりとも解放されることのない仕事なのだ。マネジャーに仕事を忘れる自由はなく、仕事をすべて片付けたという解放感はたとえ一時的にでも味わえない」(P.31)とまで言われるとその通りだと思うが、同時に相当にがっくりしてしまうが��
またこの30年間で起きたインターネットの影響についても「マネジャーの仕事の性格を根本から変えるのではなく、この仕事に以前から見られる傾向を強化している」と分析する。具体的には、主には電子メールの影響で、あわただしさや仕事の細切れさ加減が増えてきたということだ。「インターネットの影響でマネジャーはますます仕事に追われるようになり、その結果、マネジメントが機能不全に陥り、表面的になり、現場と乖離しすぎ、状況に流されすぎるようになるおそれがある」と指摘する。実感としてその通りで、改めて言われなくともというところだろうか。
著者は、実践する現場のマネジャーに肩入れし、特にヒーロー型のリーダーシップには反対している。 当たり前のことだが、マネジメントにはバランスが重要だと説く。
そして、ひとりのリーダーに頼るのではなく、協力関係を構築して仕事を進めていく力である「コミュニティシップ」という概念を提唱している。リーダーシップとコミュニティシップについては今後の研究課題としているが、組織論の中でも大きな要素になりうると思う。
---
内容については、上記の通りとても共感するが、本としては冗漫であるとの評価を免れない。その辺は『マネジャーの仕事』も、その後に出た半分皮肉を込めた『戦略サファリ』も変わらない。
読後の爽快感はないけど、安心感はある。ちょっと読むのに疲れる本。
投稿元:
レビューを見る
現実的なマネジメント論。
いつも時間に追われ、慌ただしい日常、まさにいまの自分と合致しており、少しほっとした気分になる。
アート(ビジョン)、クラフト、サイエンスからなる実践。
情報の次元、人間の次元、行動の次元。つまり、情報を分配し、人の育成とチームビルディングをし、自らプロジェクトマネジメントやトラブル対処を行うというところか。
投稿元:
レビューを見る
レビューはブログにて♪
http://ameblo.jp/w92-3/entry-10904314673.html
投稿元:
レビューを見る
ミンツバーグ氏の相変わらずの広い視野と深い洞察、そして挑発的な示唆。非常に刺激的な一冊ではあるが、ページ数だけではなく内容の濃さからもそれなりの覚悟が必要。
高名な経営学者でありながら、常に現場で実態を追い続け、現場を知らずによくもそんな空虚なリーダーシップ論を展開できるものだと、随所に世にはびこるリーダーシップ論への批判が展開されている。
書店に平積みされているリーダーシップ論に真っ向から対峙するスタンスの為、その類の書を求める人にはオススメしないし、あえてオススメもしたい。
読み手の脳をフル回転させるミンツバーグの本は疲れます。
投稿元:
レビューを見る
TOPPOINT 2011年4月号より。
マネジャーのあるべき姿とは?
ミンツバーグ先生。
投稿元:
レビューを見る
見た目以上に読み応えがありました。学生の経験の中でも、思い当たる内容がいくつかあり、非常に刺激的でした。
これまでのマネジメントを振り返ることと、自分に足りない部分、得意な部分、苦手な部分を見つめることを大いに助けてくれる本です。
投稿元:
レビューを見る
上司を観察して感じていたことがそのまま書かれていた。あらゆる仕事や雑務に追われ、まとまった時間がとれない、なすべきことを見失う‥そんな状況だ。
解決するのでなく切り抜ける。なるほどなと思いつつも、この状況をしょうがないものと捉えるのは違うと思う。なすべきことを追究しなくてはならない。
状況に応じて柔軟に考え方、進め方を変える力。そのベースとなる自分の頭で考え決断する習慣を今まで以上に育む必要がある。行動計画を立てる上でとても参考になった。アート、クラフト、サイエンス。これらを一つの軸にマップを作ってみよう。
投稿元:
レビューを見る
マネジャーの重要性を教科書のように書いている。
マネジャーの役割は?マネジメントモデルとは・・・などなど。
投稿元:
レビューを見る
マネジメントのプロといったものは幻想に過ぎない、という。
欠点のないマネジャーなど存在しないと。
マネジメントは実務を通じて学ぶしかない以上、本書を読んだだけでは何も習得したことにはならないが、ミンツバーグが「現場」から導き出した様々な知見は、マネジャーの背中を押してくれるものだと思う。
投稿元:
レビューを見る
何が言いたいのかはっきりしなくて、全然面白くなくって、唯一、サイエンス-アート-クラフトの三角形位がまぁ参考になった。読みかけで置いとくのもなんだかなーと思って、むりやり最後まで読んだら、最後の付章よんでビックリ。付章、むちゃくちゃ面白いじゃないかー。ここだけは一読の価値あり。
投稿元:
レビューを見る
マネジャーについて実際に29人の日常観察を通じてまとめられたマネジャーの実像に関する著書である。分厚い割にはすらすらと読める。ただしまとまっているというより、いろんなことがずらずら書かれているという印象。
非常に興味深いのはいわゆるマネジメント論(ドラッカー等)のようにきわめてマネジメントを神格化したりするのではなく、実際のマネージャーはコントロールもできていないし、様々なジレンマにも直面しているし、今も昔も変わっていないというようなことが書いてあり、正直ほっとする。ドラッカー等マネジメントとリーダシップを分けるのが一般だが、あくまでリーダシップはマネジメントの一部と言い切る。
昔も今も変わらないマネジメントの特徴として過酷なペース、細切れの仕事、守備範囲の広さ、頻繁な中断、行動指向の強さ、口頭のコミュニケーションの重視、横の関係の重要性、主導権を握りづらい状況で主導権をある程度確保するための苦心が挙げられ、一言で言うと「計算された混沌」である。インターネットの影響はこの特徴をさらに助長しているという指摘もあり、興味深い。彼のまとめたモデルではマネジャーを取り囲む3つの次元が存在する。
・情報の次元:基本設定、コミュニケーション、スケジュール、コミュニケーションコントロール
・人間の次元:関わること、導くこと
・行動の次元:実行をすること、取引をすること
またマネジメントは実践であり、アート、クラフト、サイエンスの三角形で構成され、それらのバランスが大切という。従来のMBAプログラム等はサイエンス(分析)ばかり強調していることも問題視している。
最後に印象に残ったフレーズは「成功するためには目を見張るような能力の持ち主であることよりも情緒面で健全で、明晰な思考力をもっていることのほうが大事なのかもしれない」と自然にマネジメントすることの大事さを主張する。
投稿元:
レビューを見る
161015 中央図書館
世間にあふれるリーダー論とは一線を画し、現実のマネジャーの行動観察を基にマネジャーとは何かを各自に考えさせる。いわばマネジメントの現象学というわけだ。
ビジネススクールで教えるような、「学問的に整理された」マネジャーモデルを学んでも優れたマネジャーが育つわけではない。なぜならば現実のマネジャー達は、秩序だった理論にもとづいてマネジメントを行うことは不可能で、日々刻々押し寄せるリアルマターを「マネージ」するしかないからだ。そこで必要となるのは、経験と自省の習慣で培われたセンスに基づく瞬発的な判断力とコミュニケーション力である。現実のマネジメントは、明示的な知の体系とはいいがたい。
以上、激しく共感する。
投稿元:
レビューを見る
(1回目 2018/11/08)
タイトル通りの本だった。前半はマネージャの仕事が組織や個人の性質によって異なることを述べつつ、共通して、サイエンスで一刀両断出来るような単純な仕事ではない、ということを書いている。一番大きな学びは、マネージャという仕事がジレンマを抱えながら進めざるを得ない、ということか。全体を通して読むことはできたので、今後は再読を重ねて自分の知識にしていきたい。
なお、29人のマネージャが、それぞれの環境に適したまったく異なるマネージャとしての役割を果たしていたという事実には、画一的なマネージャー像しか知らない人にとっては励まされるものがあると思う。
投稿元:
レビューを見る
・マネジメント:実践の行為-クラフト、アート、サイエンス。「唯一で最善の方法」などない。(p.15)
・マネジャーの定義:組織の全体、もしくは組織内の明確に区分できる一部分(部署)に責任をもつ人物(p.16)。ほかの人たちの再考のパフォーマンスを引き出すこと、言い換えれば、ほかの人たちがもっとよく学び、もっとよく決断をくだし、もっとよく行動できるようにすることがマネジャーには求められる。
・マネジャーは、電話や会議や電子メールを終えて「仕事に戻る」のではない。こうしたコミュニケーションこそがマネジャーの仕事(p.40)。
・マネジャーの仕事には、情報処理の要素がきわめて多い。大量に話すだけでなく、大量に見て、聞いて、感じることを通じて情報を得なければならない(p.83)。
・マネジメントは、ためらいがちな姿勢で務まる仕事ではない。100%の姿勢で臨まなければ、好ましい結果は得られない(p.224)
・すべての基本姿勢をブレンドする:ミドルから枠外へ、外部環境との結合、組織文化の強化、戦略的に介入、すべてをブレンド、業務の円滑な流れ、ミドルの枠内で、側面から助言、リモートコントロール(p.224-225)
・マネジメントのジレンマ:思考のジレンマ、情報のジレンマ(「現場との関わりの難題」「権限委譲の板ばさみ」「数値測定のミステリー」、人間のジレンマ、行動のジレンマ、全体的なジレンマ(p.243)
・ものごとを一つにまとめ上げることは、マネジメントの本質中の本質である(p.252)
・組織のサイロ(縦割り)とスラブ(横割り)(p.261)
・新たにマネジャーになった人物は「『知らない』状態への対処の仕方を学ばなければならない」(p.264)
・マネジャーを現場に触れさせる:昨今の職場で大きな問題を生んでいるのは、現場に口出ししすぎるマイクロマネジャーより、むしろ「マクロリーダー(現場と乖離し、現場でなにが起きているのかわかっていないマネジャー)」(p.266-7)
・マネジャーは個人的な情報収集システムに頼っているので、膨大な量の仕事を抱え込むか、部下の仕事ぶりにいら立ちを感じるかのいずれかになる運命にあるようだ(p.271)
・ハードデータ(統計等)の弱点(p.273-6):①守備範囲には限りがある②しばしば過度に集計化されすぎる③手元に届くまでに時間がかかる④信頼性の乏しい情報が驚くほどたくさん混ざっている。
・大事なのは、数字に幻惑されるのをやめて、ハードデータにソフトデータを駆逐させないようにし、両方のタイプの情報をできる限り一体化させること(p.277-8)
・カオスに支配させ、カオスを支配する(p.282):秩序と無秩序のバランス
・下位マネジャーの対策:どういう状況でふるまえば、(命令に)逆らってもいいかをわきまえて」さえいれば、指揮命令系統を無視するのも一つの選択かもしれない。優秀なマネジャーは「そういう技に磨きをかけている」(p.288)
・マネジャーは謙虚がいい:マネジャーが「自信のわな」に陥らないためには、組織は健全な自信の裏返しで謙虚にふるまえる人物をマネジャーの地位に就けることなのかもしれない。しかし、ヒーロー型リーダーがもてはやされる時代に、本当に謙虚な人物がどれだけ��ネジャーになれるだろうか(p.290)
・私たちは、変化しているものにばかり目を奪われがちだが、私たちの身の回りにあるもののほとんどは変化していない:T型フォード、ボタン、ネクタイ等(p.296)
・優れたマネジャーの条件(p.304-5)
・マネジメントの三要素であるアート、クラフト、サイエンスのいずれか一つだけが突出すると、ナルシスト型、退屈型、計算型という好ましくないマネジメントスタイルが出現する(p.313)
・マネジメントの成功と失敗を考える枠組み:①振り返りの糸、②分析の糸、③広い視野の糸、④協働の糸、積極行動の糸(p.320)
・IMPM(国際マネジメント実務修士課程)(p.320)
・振り返りのためのチェックリスト(p.326)
・「ワールドリー」:人生の経験が豊富であること。世の中の事情に通じていること。実務処理能力が高いこと。私たちの多くがマネジャーに期待する資質、そして本当のリーダーに望む資質をこれほど的確に言い表している言葉は、おそらくほかにないだろう(p.330)
・マネジャーの選考:①欠点が明らかな人物を選ぶ②マネジメントされる側に発言権を③「外部の内部者」を探す(p.341-5)
・マネジャーの仕事の質の評価:具体的な状況を離れてマネジャーの仕事の質を評価することは不可能。①「マネジャーが機能している」などということはありえない。機能するのはあくまでもマネジャーと組織の相性(普遍的に「いい夫」「いい妻」は存在しない。存在するのは「いい夫婦」だけ)②普遍的に有能なマネジャーなど存在しない:好ましい結果を残すマネジャーとは、優れたマネジメントスタイルをもつ人物ではなく、その組織に必要なスタイルを実践できる人物。③どのような組織でもマネジメントできる「プロのマネジャー」も存在しない④マネジャーがどの程度成功しているかを評価するためには、組織がどの程度成功しているかを評価することが欠かせない⑤マネジャーがどの程度の成果をあげたかは、組織が成果を高めるのにどの程度貢献したかによって決まる⑥マネジャーの仕事の質は、常に相対的なものである。着任した時の組織の状態によって評価は違ってくるべきだし、ほかの人物がその職に就いていたと仮定した場合との比較によっても評価は変わる⑦マネジャーの仕事ぶりは、部署や組織の中だけでなく、もっと広範囲に及ぶ影響をもとに評価すべきである(p.345-8)
・健全な組織とは、自分の担当業務のことしか考えない個人の集合体ではない。システム全体を気にかけ、システムが先々まで生き延びるように気を配ることを忘れない責任感ある個人のコミュニティこそ健全な組織なのだ(p.348)
・最近、マネジャーの責任がとかく強調される。しかし、それがなにに対する責任なのかという点にはほとんど関心が払われていない(p.348-9)
・マネジャーの仕事の質は、数値で測れない。人間の頭脳を使って判断する以外にない(p.350)
・マネジャーが役割を果たすためには、ものごとをよく考える姿勢が欠かせない。必要なのは、特定のやり方を無条件に実践する姿勢でもなければ、私利私欲を満たすための巧妙な仕組みでもない。自分の頭で考えて、ものごとを判断するという、昔ながらの姿勢が大切なのだ(p.352-3)。
・マネジメントの本質を理解したけれ���、地べたに降りて現場に身を置くべき。そのあとで、そこから「上」に視線を移して抽象的なマネジメントの世界を理解すればいい(p.365)。
・マネジャーとして(あえて言えばリーダーとして)成功するためには、目を見張るような能力の持ち主であることよりも、情緒面で健全で、明晰な思考力をもっていることのほうが大事なのかもしれない(p.367)
・どうすれば自然なリーダーシップを生み出せるのか。リーダーシップを過度に重んじれば、リーダー以外のすべての人を軽んじることになる。その結果、リーダー以外の人々を無理強いして働かせなくてはならなくなり、コミュニティのなかで協力し合おうとする人間の自然な性質を活用できなくなる。マネジメントを成功させるためには、人々を関わらせ、自分自身が関わること、人々を結びつかせ、自分自身が結びつくこと、人々をサポートし、自分自身がサポートされることが必要なのだ(p.368)。