紙の本
広告は変わりつつある。そして広告の担い手も変わりつつある。
2011/03/25 23:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
さとなおさんこと佐藤尚之氏が率いるサトナオ・オープン・ラボのメンバーである京井良彦さんによる最新のマーケティング論、いやむしろ脱マーケティング論というべきものの入門書である。しかし、なんでまた「大手広告会社 アカウント・スーパーバイザー」などと社名をぼかしてあるのか不思議である。
で、当然のことながらこれは AIDMA → AISAS → SIPS という、例の大手広告会社の人たち(笑)が書いてきた流れの中に収まる話である。位置的に言っても時系列的に言っても AISAS から離れて SIPS に至るまでのどこかの地点にある書物だと思えば良い。
さて、この本の良いところは何よりも簡単で解りやすく整理がついていることである。だから、こういうことについてはあまり詳しくない人が読むのに最適ではないだろうか。上で僕が書いた「AIDMA → AISAS → SIPS」という下りを読んで「ふんふん」と思う人には寧ろ物足りない本かもしれない。逆に「何ですか、それは?」という人が読むとしたら、これほど適した本はないのではないだろうか。僕は帰りの電車の中でしか読まないので何日かかけて読んだが、その気になれば1日で読める。読めるだけでなく、ストンと理解できるはずである。
こういうものが書ける人って、一度会いたいなあという気になる。多分、会ってお話をしてみても、やっぱりストンと落ちる何かを語ってくれる人なのだろうなと思う。
この本を読めばあなたの仕事や学問が一気に進むという本ではない。これは入門書であって、そこから先はあなた自身が考えて行かなければならないのである。副題にある「なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか」ということを考えるに当たって、まだ門をくぐったばかりのところにいるのである。しかし、この本を読んでいると、京井さんがその門のところに立って「はい、こっちですよ」と誘導してくれているような気がする。京井さんは上から語りかけるのではなく、読者と同じ岸辺に立って話しかけてくれる感じがある。それは京井さんによるロングエンゲージメントの実践そのものなのではないかという気がする。
こういうビジネス書的な本であっても、著者の個性が滲み出している本は間違いなく良い本である。広告は変わりつつある。そして広告の担い手も変わりつつあるのだと思う。
by yama-a 賢い言葉のWeb
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情報過多の現在の状況下ではアテンション型広告は価値を喪失する。したがって、いかに「共感」されるメッセージを届けるかが鍵になるということを論じている。
「共感」に必要なのは、哲学の共有と生活者の参加、生活者との対話の3つであり、共感の醸成によって、広告は攻める・勝ち取る物ではなく、共有し、共に作り上げる物になっていく。結果、既存の広告媒体の境界はあいまいになっていき、新しい役割をもった上で、再配置されるのだと思う。
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マーケティング・コミュニケーションにおける「共感」の必要性、重要性を海外事例と共にわかりやすく解説されています。
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企業の一部署が担当とか言ってられない、全社的に理解して行動していく必要ありだなあ。拠り所は生活者視点だ。
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う、今や情報は「震源地から直接届けられるもの」であり、受け
手は、一次情報を上手に組み合わせて、自分独自の情報網を構築し
ている。
もはや企業が取り得る手段は、無理やりアテンションを引きつける
ことではなく、顧客と誠実な関係を築いていくこと。
「選択可能情報量」が10年で500倍以上になっている、現在の環境
下では、アテンション競争に巻き込まれることは、不毛でしかない
のです。
本日の一冊は、大手広告会社の現役広告マンが、ソーシャルメディ
ア時代のマーケティングを論じた一冊。
企業がこれから顧客とどんなコミュニケーションをし、関係を築き
上げていけばいいか、識者の言葉やさまざまな企業事例を引きなが
ら、紹介しています。
最初の100ページぐらいはどこかで聞いた内容が多かったのですが、
後半のゲータレードやサウスウエスト航空、ザッポス、北米トヨタ
の「SCION(サイオン)」などの事例は、これからのマーケティング
のあり方を示唆しているという意味で、一読に値します。
昨今の生活者は、いくらアテンション狙いの広告に取り囲まれても、
それを覚えているかどうかわかりません。今や情報は自分で選択す
るもの。送り手側から働きかけるアテンションでは行動しにくくな
っているのです
「共感」によって人が動くようになっているのであれば、共感獲得
のためにクリエイティビティを発揮するという方向転換が必要にな
ってくるでしょう
グーグルでは、広告にクリエイティビティを求めていません。
「広告に表現は必要ない。広告は情報だ」と言っています
ソーシャルメディアの浸透は、人間が本来のソーシャル・アニマル
として行動しやすい環境を整えました。人間が合理性だけではなく、
社会性にも基づいて行動していくとなると、マーケティングも考え
方を変えていかなければうまくいかなくなるでしょう
今や生活者個人が一次情報を発信し、ソーシャルメディアを経由し
てマスメディアのニュースソースになるというケースもめずらしく
なくなりました
今や何が情報なのかは、人によって違います。人によって一面記事
の内容が違うのです
生活者個人が発信する評価やレコメンドなどの情報の方がリアリテ
ィを持つようになってきた(佐藤可士和氏)
たとえば、ディスカウントショップに来ていながら、商品代金の一
部がアフリカの地域の寄付金に充てられると知って、他よりも高い
ミネラルウォーターを購入したり、クレジットカードの特典ポイン
トを貯める一方で、カードの利用ごとに代金の一部が自由の女神修
復資金に充てられるというキャンペーンに賛同したりします
コンセプトによって、単発の情報やコンテンツが集合体としてつな
がり、新たな価値が生まれるのです
単にプレゼントキャンペーンを実施するというだけでは、機能しな
くな��ています。提供する商品やサービス、もしくは企業活動その
ものが社会をより良くするものだと理解されれば、それに共感した
生活者自らが積極的に購買に参加し、さらに周りの生活者に参加を
薦め、広がっていくことになるでしょう
◆ロングエンゲージメント・コミュニケーションの3要素
1.Philosophy(フィロソフィー):企業哲学の共有
2.Participation(パティシペイション):生活者の参加
3.Dialog(ダイアログ):生活者との対話
新しいモチベーションを備えた社員こそが、生活者とのロングエン
ゲージメントを構築するブランド広告そのもの
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「共感」のコミュニケーションを通じて、企業とユーザーの間に長く続く良い関係を作りましょう、という主張。最近の広告潮流を俯瞰できる本だと思いました。
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電通のサトナオ・オープン・ラボの研究員の一人京井さんという方の著書。「明日の広告」がこれからの広告の網羅的な本であった中で手法論の方も色濃かったなか、こちらはもうちょいこれからの広告の本質のお話しというイメージ。
アテンション獲得から共感の獲得へ。
瞬発力より持続力。
生活者はターゲットからパートナーへ。
そういった方針の広告(広義の意味での)を「ロングエンゲージメント・コミュニケーション」と名付け、その考え方に置ける重要なポイントを海外の広告事例とともにまとめています。
ただ、なんとなくいまさら?という感じ。前々から電通をはじめとする広告業界で語られている切り口ではなかろーか・・・。というつっこみと、では、アテンションを獲得せずに共感を入り口にってどうやんの?というところに言及はない。あ、共感に必要な要素はあまとめてありますよ(コンセプト、ストーリー、デザイン)ただ、それを生活者にどう接触させるのがいい、という論点が無いのです。
なんて思っていたら先日「SIPS」という新しいコミュニケーションモデルが発表されましたね。まだ読めてないんですがきっとこの本とはなんらかの補完関係にあるはず。
そして、もともとの広告会社の立ち位置にもどれば、AIDMA、AISASの時代のには最初のA=Attentionをメディアをどうして、クリエイティブをどうして、どうやって注目を得るかが広告屋の腕の見せ所なのでしょうね。なので、SIPSもS=Sympathizeの獲得方法が此れからの広告屋の腕のみせどころ、と考えているというところでしょうか。
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ちょっと小耳に挟んでいた程度の新しい広告の考え方やその事例が丁寧に説明してあり、非常に分かりやすい。最初は文献からの引用が多いなぁと思っていたが、興味深い引用も多かった。一番気になった「あたりまえのアダムス」は帰宅途中に購入しちゃいました。
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基本的に「明日の広告」に書かれていたことを踏襲?してる感じ。これからの広告は”共感”がキーワード。”共感”で繋がっているSNSに企業が商品やサービスを売り込もうとしても”共感”を得られない。これまでの広告は瞬発力が大事だったが、これからは持続力をキーとしたロングエンゲージメントを意識した広告活動が必要と説く内容。
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著者ならではの視点を見つけることができず、得るものがまるでなかった。消費者(彼曰く、生活者!)の心理をわかったふうに語っているが、ただ自分の周りで起こった事件(カンヌ広告賞)や、インターネットで見つけた情報、流行現象(Twitter, Facebook, Zappos...)を拾い集めて、都合のいい注釈をつけるだけにとどまっている。もし事例紹介をしたいなら、もっと斬新な事例をあげてほしい。もし「私はこれからの広告のあり方がわかっている」と読者に説くなら、「なにをわかっているのか」「なぜこのように理解することが意味があるのか」「だから、この先どうなるのか」という枠組みでもっと深く語ってほしかった。
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2006年に就活で僕は、広告会社のあまりの旧態依然とした広告と組織の考え方に失望した。今ようやく、広告は長いトンネルを脱し、あるべき広告の姿を実現しようと模索している。「ソーシャル」がその動きを推進しているということを、クリエイターではなく広告営業マンがわかりやすく解説した良書。
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選択可能情報量は、2001年に比べて500倍になっている
アテンションエコノミー アテンションにこそ経済価値がある「アテンション!」
広告はアートになる by アル・ライズ
人間の歴史を振り返ると、人類を支えてきたあらゆるコミュニケーション手段は、その機能的な目的を失うとアート、つまり芸術になる ex. 絵画が写真の発明でアートになる
ブログ、Twitter、Facebookは、ソーシャル化することが目的のソーシャル化→社会的動物としての人間の本性に直接根ざすソーシャル化
ソーシャルメディアの浸透は、人間が本来のソーシャルアニマルとして行動しやすい環境を整えた
生活者が発信する情報にこそ一次情報が含まれる
情報が価値を持つ時代が終わり、「コンセプト」が価値を持つ時代が来ている。今日の生活者が直面している、現代社会における悩みや問題点、そしてチャンスなどを取り上げて、僕たち生活者はこれまでと違った新しい時代を生きていること、また、これからの時代は、ハイタッチ(感性)やハイコンセプト(創意)が優先される、これからの未来をリードするのは、デザイナー、発明家、教師、作家などのこれまでとは違ったタイプの人間であり、クリエイティブで共感的な右脳型人間の能力こそ示談をリードする(ダニエル・ピンク「ハイコンセプト」)
成熟市場では、論理的・合理的思考だけでは選択できないことが増えてくる。それゆえ、新しい時代には、この左脳主導の考え方を「6つの感性」、つまり6つの右脳的資質を身につけることによって補っていく必要がある
6つの感性
機能だけでなくデザイン
議論よりは物語
個別よりも全体の調和
論理ではなく共感
まじめだけでなく遊び心
モノよりも生きがい
ソーシャルメディアは「共感」によって形成されていく
ex. いいね RT
情報は届けられるものから、価値観に合わせて選ぶものへ
①コンセプト(全体像)
単体の事実情報であれば、グーグルの検索で誰でも瞬時にアクセス可能になっている。集めた一つ一つの情報を共通の背景や文脈といったものでつなぎ合わせて、新しい全体像、つまり「コンセプト」を描かなければ次は見えてこない
コンセプトによって、単体の情報やコンテンツが集合体としてつながり、新たな価値が生まれる
②ストーリー
「語りによるイメージ作り(認知科学者マーク・ターナー)」、人間の主要な思考手段。人間の脳は、ストーリーを聞いたり語ったりすることで、情報やデータより深く理解するようにできている
商品やサービスの機能や価格や品質の差は、生活者にとって微差になってきている。その微差であるスペックを、情報やデータを並べ立てて説明しようとしても、なかなか共感を獲得するのは難しい。生活者は、微差のスペックの情報やデータを意識するのではなく、その商品やサービスにまつわるストーリーを知ることで共感を抱く ex. モレスキン
③デザイン
マズローの欲求段階説
生理的欲求<安全の欲求<親和の欲求<自��の欲求<自己実現の欲求
「自分がコミュニティの一員であるため、その繁栄に貢献したい」「個人の成長」→自己実現の欲求
金銭を求めずに無償で奉仕を続けると、その人は金銭の代わりに評判や信用といった価値を受け取ることになる=ウッフィー
もはや生活者は、消費者と呼ばれるマーケティング上のターゲットではなく、企業哲学に対する価値観を共有し、一緒にブランドを作り、企業の成長を担っていくパートナーとして付き合っていくべき
企業と生活者が、共感という価値観によってつながるきっかけは、価格や品質、機能といった物理的な要素ではなく、コンセプト、ストーリー、デザインという感情的なもの
ロングエンゲージメントの要素
①企業哲学の共有
②生活者の参加
③生活者との対話
ザッポス コールセンター→ブランディングの場
人々のハピネスは、物質的な豊かさを求めるものから社会をより良くしていこうというマインドにシフトしつつある ex. PEPSI refreshment project
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一言なるほどなって。広告手法の進化だけでなく、社会の思考の変化に基づいて広告の変化のあるべき様を丁寧に述べられているので、ストンと落ちました。新たに知識を入れるだけでなく、これまでなんとなく感じていた人や、雑多に知識を持っていた人がそれらを整理するのにも良いのではないでしょうか?
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・AISAS(アイサス)、アテンション⇒インタレスト⇒サーチ⇒アクション⇒シェア
・人を動かす一番の感情はfun
・メディアから受け身的に情報を受け取る形から、受けてが情報を発信してニュースになる形へ。
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ソーシャルメディア時代の広告コミュニケーションについて分かりやすくまとめた一冊。
知っている内容ももちろん多かったのですが、
事例やその背景分析を分かりやすい文章でまとめているので、
おさらいや脳内整理にとても助かった一冊。
わかりやすいのでスラスラ読めます。
引用も豊富で、出典元も読んでみようという気持ちになります。
著者が大手銀行→留学→投資銀行→広告代理店という、
硬軟併せ持つ経歴の持ち主なので、
そういう方から見てもこの本の内容のような、
コミュニケーションビジネスの展望があるのだということが、
個人的には発見でした。
さらっと。