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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2010/12/01
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/532p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-245104-5

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ムーン・パレス 改版 (新潮文庫)

著者 ポール・オースター (著),柴田 元幸 (訳)

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生...

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ムーン・パレス 改版 (新潮文庫)

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人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた…。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。【「BOOK」データベースの商品解説】

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みんなのレビュー246件

みんなの評価4.3

評価内訳

紙の本

オースターの小説を楽しみつつ、書評について少し考える

2011/07/16 09:59

12人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:本を読むひと - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『幻影の書』を読み圧倒され、『オラクル・ナイト』をひもとき奇妙に快い読後感を得てポール・オースターの軽いファンになったため、これまで出ている文庫を集めて書かれた順序で読んでいる。同じ作者の本の書評をできるだけ避けているのだが、なぜ私がオースターに惹かれるのか考えるのに本書は手ごろな内容に思えたのが書く理由のひとつだ。
 まず「訳者あとがき」や、この小説について書かれたものいくつかを、本書を読む前に読んでしまったのだが、それらが肝心なことを巧妙に(あるいは偶然に)ふせてくれていることに感謝したい。ミステリーではないが、この小説のミステリアスな展開は、あらかじめすべてを知っていて読むと興をそがれるだろう。
 たまたま豊崎由美の『ニッポンの書評』を読んだのだが、そこにストーリーを書きすぎてしまう書評へのいましめが書かれている。
 この問題は難しい。たとえば私はミステリーを読むときは事前に解説や書評類は読まない(ミステリー関連の訳者あとがきや書評が注意深く書かれているのは推測できるが、万が一のことを考えて)。他の本にくらべて、肝心なことを知ってしまうと読書の楽しみが減る小説ジャンルだと思っているからである。
 だがミステリー以外の、まだ読んでいない本の書評などを読むとき私はそれほど「ネタばれ」に注意することはない。また読むつもりはないが、何か少し知りたいということは往々にあって、そんなときはミステリアスな内容の本の場合でも、ある程度ストーリーの肝心な部分にふれた文章を期待する。
 問題は読まないつもりでいても読みたくなることがあるかどうかである。書評が対象としている本を読まないつもりで書評を読んでいるうちに、その本を読みたいと思うようになっているとしたら、それは書評の力かもしれない。そこには肝心なことが、読むとき興をそがれないかたちで巧みに書かれていたのかもしれない。下手に種明かししてしまっている書評の場合には、人を読書にかりたてることはないだろう。

 私が『幻影の書』と『オラクル・ナイト』に圧倒されたのは、作品内作品という以上の複雑なかたちで、実に巧みに、小説本体のなかにいろいろなストーリーが埋め込まれていたからだったが、オースター前期のこの小説にも、そうしたストーリー、物語が埋め込まれている。だがこの小説の前半は、ニューヨーク、マンハッタンを舞台に、ホームレスに陥りそうになる学生(を卒業したばかりの若者)の青春小説的な面白さに満ちていて、それが後半部分に対して味わいの落差を生み出している。
 訳者あとがきを読み返してみると《思いもよらぬ方向に話が収斂していくあたりは》と、ストーリー展開の妙にふれているのに気づくが、決定的な部分に言及してはいないので、私はあれよあれよという物語の深みと捩れにはまってしまったという感じだ。
 微塵も読みにくさのない翻訳だが、ローマ字のV音を「ヴァヴィヴヴェヴォ」表記ではなく「バビブベボ」表記にしているのが眼につく。
 これより以前のオースターの小説において、同じ訳者はほぼ全体的にヴァ表記であるし、またこの小説以降においても、タイトル自体が『リヴァイアサン』『ミスター・ヴァーティゴ』というぐあいである。
 『ムーン・パレス』がバ表記であるのは翻訳上それほど重大な問題とは言えないが、この小説の前半部分、主人公「僕」(これも「私」ではないことに留意したい)の縁者である「ビクター叔父さん」が頻出することに理由があるかもしれない。
 訳者あとがきには、《作者自身「私がいままで書いた唯一のコメディ」と想定する》といった言葉があり、なるほどと思うが、《物語への欲望を目いっぱい満たしてくれる一作》という訳者の評価も妥当というしかない。

 今これに続くオースターの『偶然の音楽』を読んでいるのだが、その訳者あとがきを読むと、ここには前作『ムーン・パレス』のキー部分がこともなげに語られてしまっている。だがそれはいいのである。読まれる場所、読者が読もうとする位置(の推測)などによって、あるときには語っていけないことも語ってもさしつかえないということは、ある。どちらにしても充分な考慮が働いている。
 それよりも、やはり『偶然の音楽』訳者あとがきが、その本の微妙に肝心な部分をふせて書いているのが助かった。これにくらべるとサイト内のいくつかの書評は読もうとしてやめたものがある。これも『ムーン・パレス』以上にミステリアスである。
 『偶然の音楽』は映画化されている。まだ観ていないのだが、ポーカーがうまい小柄なジャック・ポッツィをジェームズ・スペイダーが演じていて、読んでいてまさに適役だと感じさせる。そのイメージでポッツィのセリフを(日本語でだが)聴いている。
 小説中盤のポーカーゲームを驚くほどスリルに満ちたものと感じさせるのは個人的な体験からきているのかもしれないが、このあたりを読みながら本書評冒頭の「軽いファン」という言葉を改めたくなった。


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紙の本

物語を語りたくなる存在との出逢い

2010/02/02 22:01

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

『思い出のマーニー』の男性版のような物語、ということで紹介された本書。

おそらくは私の知っている書名と関連づけたから
そういう紹介になったのだろうと思っていた。

スタートは軽快だった。

なんて名言が多いのだろうとどんどんInBookしていった。

主人公の伯父であるビクターが名言だらけの人だったから。

だが、文庫でも400ページ以上は長かった。

途中、興味深いほかの本を読み始めてしまい、
ふと気づくと、読了率3分の2で大量に付箋を貼られた本を
何度も何度も図書館で貸出更新し、
1ヶ月以上手元においているという状態だった。

InBookしたとはいえ、この付箋を全部はがして
図書館に返すという行為がとても切なく感じられた。

これは私にとって買うべき本だと気づいたのは、このときだったのだ。

本書は3つの物語を内在させている。

章は番号で淡々と分かれていて、
第1部、第2部、第3部となっているわけではない。

だが、これは3つの物語、3人の物語であって、
同時に、主人公ひとりの物語でもあるのだ。

1つ目の物語は、
マーコ・フォッグが自身をぎりぎりまで追い詰めて生きていく
その生き様を描いた彼自身の物語である。

  そのころ僕はまだひどく若かったが、
  未来というものが自分にあるとは思えなかった。

  僕は危険な生き方をしてみたかった。

  とことん行けるところまで自分を追いつめていって、
  行きついた先で何が起きるか見てみたかった。

  結果的に、僕は破滅の一歩手前まで行った。

彼の自分の追いつめ方は、半端ではなく、まるで自ら望んで、
精神を壊していくのに任せているかのように突き進んでいく。

著者自身が精神を壊す経験をしたことがあるのではないか
と憶測してしまうほどに、
心が壊れていく様を、奥から、内面から描ききっている。

2つ目の物語は、トマス・エフィングの物語。

  僕はただ話の流れに身を委ね、
  それが実際にあった出来事かどうかなど考えもしなかった。

  ひたすら耳を傾け、彼の言葉を記録した。

  余計な口をはさんだりはしなかった。

  虫唾が走るような思いをさせられることもあったが、
  その反面、この人は僕と同類なんだと感じずにはいられなかった。

このマーコ・フォッグとトマス・エフィングが同類だという感じは、
ここまで読んでいた読者も共有することになる。

エフィングの物語は、相手がフォッグだからこそ、
フォッグが彼の物語を経験したからこそ、語られたのである。

時間的には前後することになるが、フォッグの物語がなければ、
エフィングの物語もまた語られることはなかったのだ。

  僕自身の物語にしたところで、
  エフィングの話と同じくらい常軌を逸している。

  でも僕にはわかっていた。

  もしかりにエフィングにそれを語ったなら、
  きっと一言残らず信じてくれるだろうと。

フォッグの物語は、エフィングに語られることはなかった。

だが、エフィングは、フォッグの物語を聞かずとも、
フォッグを誰よりも理解していたに違いない。

  君は夢想家だからなあ

  君の心は月に行ってしまっておる。

  たぶんこれからもずっとそうだろう。

  君には野心というものがないし、金にもまるで興味がない。

  芸術に入れ込むには哲学者すぎる。どうしたものかなあ。

  君には面倒を見てくれる人間が必要なんだ。・・・

エフィングは、フォッグに対する思いやりや親愛の情を
ほとんど表出してこなかっただけに、この言葉には温かみを感じたのである。

少し前まで接点すらなかったのに、
まるでパラレルワールドであるかのように
生きている物語がどこか似ていると感じる存在は確かにいる。

そして、その接点をずっと待っていたかのように
自らの物語を語りたくなる相手というのもまた確かにいる。

フォッグとエフィングは、魂の本質のようなものが似ていたのかもしれない。

その魂が体現する生き方を忠実に選んだ同士だったのかもしれない。

そして、3つ目の物語は、
2つ目の物語が書かれたことにより立ち現れる、
ソロモン・バーバーの物語である。

3つの物語の関係は、フォッグのこの言葉が象徴する。

  僕らはつねに間違った時間にしかるべき場所にいて、
  しかるべき時間に間違った場所にいて、
  つねにあと一歩のところでたがいを見出しそこない、
  ほんのわずかのずれゆえに状況全体を見通しそこねていたのだ。

それは、本来、ありうべき順番には立ち現れなかったが、
そうでしかあり得なかった物語なのだ。

3つの物語は、私自身の物語をも想起させた。

子ども時代の1年弱を近くで過ごし、
20数年の空白を経て再会し最後の1年半を共有した人は、
私にたくさんの物語を語って旅立っていった。

その人も自分を追いつめていくような生き方をする人で、
30代ですべてを脱ぎ捨てて、老人のように少年のようになって飛び立った。

私は彼に何をしてやれたのか、何もしてやれなかったのではないか。

当時は自分を責めていたのだが、今は専門的矜持としてこの意識を持ち続けている。

そのときの精一杯はやっていたとは思えるようになった。

だが、彼にできたはずのことを他の誰かにできるように学び続けよう、
彼に返せなかったものは、pay forward しようと思いながら生きている。

本書を読むことで、彼の物語を聞き、
一部を書き残したり、語ったりするという役割だけは
果たすことができているのだと気づくことができた。

そして、私が彼の物語を聞く者として選ばれたのは、
その前に私自身の物語があったからなのだと思うに至った。

フォッグは、3つの物語を経験したことにより、
ここからはじめるのだという気持ちになる。

私自身の物語はフォッグの経験したものとは性格が異なるが、
自分も新しい物語の中に入っていっていると感じられるようになってきた。

現在進行形で流れ始めている物語では、自分でも驚くほどに、
語り手のように言葉を紡ぎ始めているのだが、私はまだまだ生きたい。

語り尽くして去る気はまだない。

できることなら現在進行形の物語は、相互の創造的な語りになったらいいと願うのだ。

本書は、私が愛読してきた『思い出のマーニー』の隣に置かれ、
折に触れて読み返されることになりそうだ。

あちらは少女の、こちらは男系の物語でテイストは似てはいないのだが、
過去に遡って癒してくれたという意味において
同じくらいに大切な物語となった。

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紙の本

爽快で痛快で強靭

2009/11/07 17:56

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:浸透圧 - この投稿者のレビュー一覧を見る

表現や構成はまわりくどいが、
感極まるシーンもあり読ませる。
先の読めてしまう展開は少々惜しい。

無に帰して、そこから始まるというメッセージは気に入った。
失わないと、絶望しないと、本当の救いも希望も見出せない
と繰り返し作中人物に言わせる。そこは大いに共感。

失わないと新しい世界が開けないというのは、
喪失からの再生とは、少し趣が違う。
すべてを失い、さあて、始めるかと、どこまでも乾いて明るい。
ちまたにあふれる手垢にまみれた再生の物語ではない。
伯父も祖父も父も恋人も金も失って、一切の憑き物を落とし
きれいさっぱりしてから、始まる、のが小気味いい。
このラストは、一陣の風を真正面から浴びて爽快だ。

――ここから僕ははじめるのだ――

街を山野を徘徊して散々だった日々を散々読ませたあと、
ラストでこう言ってのけるのだから、
実に痛快。この強靭さが好きだ。

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紙の本

主人公に愛着がわく

2019/01/28 15:29

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「僕」のことを他人とは思えなかった。もちろん、私は彼のように女手一つで育てられたわけでもないし、小さいころに母を交通事故で亡くしたわけでもない、母は80才になったいまも元気だ。では、どこが他人でないと思ってしまうかというと、人生について淡泊なところなのかもしれない。所詮はそういうことなんだと変に悟ってしまう、一生付き合っていけるような、友人や知人に対してもかなり淡泊でこちらから居場所を知らせたり、連絡を取ろうともしない。なぜなら、人生なんてそんなもんだから。彼は、こうなってほしいという読者の逆、逆を生きていく。そんな彼に愛着がわく

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紙の本

最後に小さな光

2016/02/04 00:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のあのあ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ポールオースターはもどかしい
ポールオースターはせつない
ポールオースターは残酷

そして最後に小さな光が見える

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紙の本

ユニークでグロテスクでナイーブ

2002/05/28 13:11

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろぐう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 僕にとって初オースターの本作は、彼の長編の中では比較的異色なものらしいけど、バッチリとハマってしまった。ユニークでグロテスクでナイーブで寓話的なキャラクターとストーリー。しかしそれが不思議にリアルなのだ。とくるとアーヴィングを連想させるけど、感触はかなり違う。クールで緊迫感があって、輪郭が鋭角的にくっきりとしている感じ。それでいて生硬な読みにくさというものはなくて、小説としての豊かな肌触りを持っている。う〜ん、あまり上手く言えないけど、なんとも不思議な魅力を持った作品だ。
 最初は、自意識の肥大したナイーブな青年の崩壊と再生の青春物語かと思いきや、いつのまにか読む者はグロテスクで悪夢や狂気にも似た迷路のような世界に入り込んでいることに気づく。そこに描かれるストーリーや登場人物のつながりなど、あまりに都合が良すぎて童話的ともファンタジーとも言えるようなブッ飛んだものなのだけれど、これがすごくリアルでビビッドなのだ。しかも、そこにある種のおかしみや悲哀を内包させ、絵画的で忘れがたい、さわやかな読後感を残すラストに流れ込む物語を織り上げた手腕は素晴らしいと思う。ともかく、お話だけでも面白くて読みやすく、エンターテイメントとしてもじゅうぶん楽しめるだろう。

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紙の本

読み易いです

2023/10/21 13:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:通りすがり - この投稿者のレビュー一覧を見る

貧乏学生がホームレスになって死の淵を彷徨い、その後友人に助けられ居候になる。
近所の老人介護の仕事を見つけ、そこで働くが、その老人の昔話を聞かされる。
その老人が元画家でアメリカの荒野で何か月も孤独に過ごし、そこで絵を描いた後、自分の名前を捨てて、新しい人生を歩む。
実は、その老人は主人公と血の繋がりがあり・・・、という話。

全体としては読み易くて、物語も面白いので文学系の小説が苦手な人でも読み易いと思う。
ちなみに表題のムーンパレスというのは、近所の中華料理屋の名前だそうです。

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紙の本

小説家オースター

2021/07/29 22:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ニューヨーク三部作」は良くも悪くもいかにも詩人が書いた小説という感じがする。この作品でオースターはディケンズ的といってもいい「物語」へと大きく舵を切った。小説家オースターの誕生を告げるものとなっている。

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紙の本

ハッピーエンドではないからこその上質な青春小説

2016/04/30 20:01

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:モウ子。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

作者としては初めてのコメディだったらしい…まあ、それもちょっとした皮肉だろうが、確かに、苦笑いするしかない人の世の滑稽さや痛々しさ、温かな諦念のようなものがずっと物語の片隅に流れているような気がする。でも同時に、西加奈子さんの直木賞受賞作『サラバ!』にも共通する、生き下手な人間の決して笑えない真摯な半生が醸し出すパワーが胸に染みてもくる。ハッピーエンドではないからこその、上質な青春小説、って感じだろうか。

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紙の本

偶然の支配するアラビアンナイト

2016/01/16 15:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーシカ - この投稿者のレビュー一覧を見る

父親のいない主人公がまずあり得ないような偶然から自分の出生を知っていく物語。
かなり無理のある偶然が重なるのに違和感なく読み進められるのはオースターのすごさ。
作中でバーバーの書いた小説が同じように偶然から秘密が明かされ物語が進んでいくが、こちらは書き手の父親不在の穴埋めや願望の捌け口としての意味しかないご都合主義の駄作だ。しかしこの作中作がムーンパレス自体のカリカチュアとして不思議な入れ子構造のような効果をうんでいる。
また繰り返し登場するシンボル━月、洞窟、アメリカ西部の砂漠などが千夜一夜物語を思わせる。
ただオースターが描くのは美しいアラビアの夜ではない。主人公が最後にヒロインと結ばれることもなければ巨万の富を得もしない。
オースターが書くのはいつでも現代に生きる私たちであり、その内側にある孤独だからだ。

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紙の本

その先にある希望

2003/10/23 12:48

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まゆ - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公は唯一の身寄りである叔父をなくす。だが、それは主人公にとって初めての喪失ではない。顔も知らない父親、主人公が幼い時に死んだ母親。
喪失の物語はずっと以前から始まっている。
「ムーン・パレス」は、主人公がその喪失を取り戻す物語である。だが、そうして手に入れたものはあっけなく去ってしまう。恋人も父親も金銭も。

主人公にあるのは、そういった出来事を見つめる透徹した洞察力、観察力である。
それ故、主人公の視点で語られるこの物語には、悲愴感がない。

人も運命も全ては過ぎ行く。だから、前に進むしかない。

主人公の最後の行動がそれを示している。

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紙の本

ムーン・パレス

2001/08/14 04:27

2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:金山 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 普通の人間ならばしないような行動を次々とする主人公のその場しのぎとも解釈できる人生だが、堅実な「人生」、自分の「人生」について考えさせられる一作。

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紙の本

面白いと言えば面白いのだが。

2002/02/02 01:52

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ヤス - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この作品は、『最後の物たちの国で』と『偶然の音楽』の間に発表されている。今まで読みそびれていたのだが、ポール・オースターなのでとりあえずということで。
 主人公はコロンビア大学の学生。叔父が亡くなり、貯金と本だけで卒業までをいかに過ごすかというところから始まる。卵を床に落とした時の悲嘆にくれる様子や何もしない言い訳など、貧乏話として面白く読める。部屋を追い出された後、セントラルパークでのホームレス生活となり、公園のゴミを漁ったり、危ない目にあったりと状況は悪化するのだが、ここまでは主人公を中心とした物語である。
 ホームレス生活から救出された後、奇妙な老人の家で住込みで働くようになり、彼の一生を自伝として書き取ったり、街頭で50ドルを配るという奇行を手伝う。彼の死後、その息子と知り合い、その過去について知らされることになる。
 途中、いささか退屈を覚えることもあったが、老人の息子に出会ってからラストに至るまでは一気に読ませる。老人の息子の過去、そしてラストにむかってさまざまなことが収斂していく様子は非常にドラマチックであった。多少退屈を感じた部分もあったが、孤独、偶然、家族、父親というポール・オースター馴染みの素材が緻密に構成されていて、概ね面白く読めたし、最後のシーンでの主人公の感慨もなるほどという感じで受け入れることができた。

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電子書籍

父に続いて

2021/06/03 07:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

母、そして、おじさんも亡くなり……一人ぼっちになってしまった人間が、絶望し、友人に救われたのに、……という物語として読めば……分からないでもないのですが……。読後感は、……まぁラストが希望を持てるから……

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紙の本

知りたい

2019/05/01 16:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る

自分の出生のことを知りたいと思うのはきっと当然のことなのかもしれませんが、私も彼の状況だったら、こんな風になるのかしら?

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