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紙の本
とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
著者 犬村 小六 (著)
イスラとの休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、想いの丈を彼女にぶつけ...
とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
とある飛空士への恋歌5(イラスト簡略版)
とある飛空士への恋歌5
紙の本 |
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- 税込価格:3,395円(30pt)
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商品説明
イスラとの休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、想いの丈を彼女にぶつける。「このまま逃げよう、クレア。ふたりで。空の果てまで—」かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、追放劇の果てにかけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は…。そしてイスラは「空の果て」にたどり着く。すべての謎が解き明かされる。感動のフィナーレ。【「BOOK」データベースの商品解説】
王道スカイ・オペラ、堂々完結!
「行きましょう。我々の戦場へ」
空の一族との交渉権、全権を委任され、空族飛空要塞に赴いたイスラ外務長アメリア・セルバンテス。神聖レヴァーム王国からもたらされた情報では、聖泉への侵入者を例外なく排除してきた空の一族自ら交渉を求めてくることは、至極稀なことだという。双方共に多くの犠牲を出し、戦力を失い、結果要求されたのはただひとつ。風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。
そんな情報を得つつも、無力に夜空を見あげることしかできないカルエル。彼女はイスラの管区長、代表であり、カルエルは一介の飛空科生徒。この大事な時期に会うことなど不可能に思われた。しかし、休戦協定案がまとまったその日、ある人物のおかげで、カルエルは千載一遇の機会を得る。30分後に出立する彼女に、カルエルは告げる。
「このまま逃げよう、ふたりで。空の果てまで」
かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、かけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は……。
そしてイスラは、空の果てにたどり着く。
王道スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ最新作「恋歌」、堂々の完結!!
【編集担当からのおすすめ情報】
『新世紀エンタメ白書2009』ブックランキング1位、2008年 Amazonエディターランキング1位、2008年Amazon売り上げランキング6位、2009大学読書人大賞2位。アニメ映画制作進行中の『とある飛空士への追憶』と世界観を同一にする「飛空士」シリーズ最新作「恋歌」、ついに完結。いまだかつてない感動をあなたに!【商品解説】
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引き裂かれる二人
2011/03/28 21:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
イスラ艦隊を圧倒した空族に対し、ニナ・ヴィエントことクレア・クルスが風呼びの力を取り戻し一矢報いた結果、空族は停戦の条件として風呼びの少女の引渡しを求めてきた。イスラの4人議会の全権委任を受け、外務長のアメリアは空族との交渉に臨む。
一方、イスラ生き残りの生け贄としてクレアが差し出されるかもしれないことに納得が行かないカルエル・アルバスやアリエルは、寮生たちと共にクレア救出の策を練る。しかし、管区長の警備状況は以前より厳しくなっており、彼女と会うことすらままならない。
そして交渉はまとまり、空族の重要人物と引き換えに、クレアは空の一族の中心地、アレクサンドラに囚われの身となることとなる。その代償として、イスラ艦隊とレヴァーム艦隊は世界の果ての事実を知ることとなるのだが、納得できないカルエルは、カール・ラ・イールの名を利用して、クレアを取り戻す策を練るのだった。
とある飛空士への恋歌の完結編。長い空の探索航の結末、生き残った生徒たちのその後、亡くなった生徒たちの思い、カルエル、アリエル、クレアたちの物語のその後が描かれる。
今回は砲門を背景にした外交戦が前半のメイン、そして後半は最後のクライマックスに向けての物語となっている。ストーリーは完結したのだけれど、番外編として、この物語世界の秘密にまつわるエピソードなどを描く外伝があっても面白いなあ、と個人的には思う。でもそういうSFチックな物語はあんまり売れないんだろうなあ。
紙の本
抒情的かつ壮大なスケールがまさにスカイ・オペラなクライマックス
2011/01/19 21:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの作品でも完結すれば「終わっちゃった……」となるものだが、今回の余韻は最高級に清々しく、そして切なくて悩ましい。物語としては見事の一言に尽きるが、最後の行方をあともう少し読ませて!と願わせる引き際の良さに心地良い憎たらしさをも感じた。夢と希望とロマン溢れる恋歌の終幕である。
【一章 約束】
前巻からの懸案事項の顛末。アメリア外務長の冷静沈着な策士振りが発揮される空族との交渉をシリーズ最後の“戦い”に位置付けたところに妙味あり。この結果、後に思わぬ助言が予言となる人物の登場を見るが、立ち入る術のない己の無力に肩を落とすカルエルでもある。しかし、最後の最後でお互いの真の想いを重ね合い、新たな目標を見据えたカルエルと、恋する乙女が最大級の忍耐力を発揮できる言葉を貰ったクレアの一時のクライマックスと言えよう。
【二章 空の果て】
『空の果て』に物理的な設定を盛り込んだファンタジー展開には好みが分かれるかもしれないが、「還る場所」でもあるという輪廻転生的な位置付けに希望を見出すメッセージを感じた。何かの終わりは新たな始まりであり、人もまたそれぞれの帰還と次への旅立ちを思い描かせる迫力があった。カルエルを憎悪を取り払い、新たな希望を育んだ“大地”イスラのクライマックスである。
【終章 イスラの帰る場所】
『島流し』が4年もの歳月を経て『凱旋』へと変わる劇的な旅の終焉。カルエルの真の想いが実にこっ恥ずかしくも「よくやった」と喝采の盛り上がりで披露され、「最後の大仕事」へと繋がっていく。大きく変わりながら何も変わらないアルバス家の人々も久し振りに登場して弾けている。新たな希望を携えた別れと1つの切ない恋の終わりを挿んで旅立つカルエルに去来する風の便りが明るい未来を展望させる『恋歌』のクライマックスである。
『追憶』のような別れの悲しみではなく、心温かい人々の成長に涙し、希望を持って生きる尊さに感銘を受ける素晴らしい内容である。独り善がりな憎悪から脱した後は周りへの感謝を繰り返したカルエルだが、その「最後の大仕事」が皮肉にも壮大な独り善がりに見えてくるのはご愛敬として、この真摯な想いと行動を貫こうとする人生最大のロマンチックにエールを贈りたい。