紙の本
信長の暗号 上 (ハルキ文庫)
著者 中見 利男 (著)
安土城に招かれた宣教師・ヴァリニャーノは、織田信長より安土城を描いた屏風絵を託された。それは、信長が仕掛けた時のローマ教皇への世界を覆す挑戦状だった—。数年が経ち、信長の...
信長の暗号 上 (ハルキ文庫)
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商品説明
安土城に招かれた宣教師・ヴァリニャーノは、織田信長より安土城を描いた屏風絵を託された。それは、信長が仕掛けた時のローマ教皇への世界を覆す挑戦状だった—。数年が経ち、信長の死後も、バチカンでは、未だに彼が突きつけた屏風の秘密を解き明かせずにいた。信長の“南蛮世界を覆す”ほどの暗号とはなんなのか?ローマ教皇パウルス五世は、暗号解読のため、密使を日本へ送り込むが…。【「BOOK」データベースの商品解説】
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新たなジャンルを切り開く暗号解読ストーリー
2011/03/27 21:20
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
信長、秀吉、家康、この時代は大河ドラマでもよく取り上げられている。それほど史上人々の興味を惹く時代であったと言えよう。本編は純粋な歴史小説、時代小説とはいえまい。この時代を舞台にして、さらに暗号解読の面白さを取り入れたもので、きわめてユニークな小説に仕上がっている。
暗号技術は自体はいわば知恵比べなので、時間をかければ解読できることが多い。人間は同じ状況に置かれれば、同じことを考えるのである。本編の暗号も「いろは」を用いたものであるが、なぜここから結果が導き出せるのかは、明らかにしていない。しかし、暗号の面白さの一端は味わえると思う。
外国人を含むいくつかのグループが信長の暗号を解読するために集まり、各々の解読結果をもとに財物の隠し場所を探し出すというのが、おおまかなストーリーである。いくつかのグループの解読結果や話し合いが披露されているのだが、登場人物が多いことと、似たような経過、結果が導き出されることで、読者は混乱させられる。
宗教に関するテーマが複雑さを増し、登場人物も多いが、必ずしも個々の特徴が描き切れていないので、冗長感を免れない。文庫本2冊に及ぶ長編だが、信長の謀略があまりにも壮大なために、集中力がそがれてしまった。欲張らずにもう少し整理して欲しかったと思う。
織田信長が自身の謀略を暗号に託したが、豊臣秀吉を経て、最後は徳川家の陰謀と結び付くことになる。この辺りが史実とは別にストーリーが展開する。ここが通常の歴史小説では出てこないアイデアであろう。
史実に忠実なストーリーが歴史小説としての条件だと考えていたが、そんな決まりはない。本編のような切り口は新たなジャンルを切り開く試みであろう。荒唐無稽に過ぎず、あまり欲張らずに積み重ねていけば、歴史愛好家の読者を増やしていくことも可能であろう。