紙の本
シェアを考えるその2-分け合ってやすい
2012/03/18 13:43
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投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『シェア <共有>からビジネスを生み出す新戦略』レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース著のレビューをエントリーしたが、日本はどーよ。ってなわけで本書を読む。
ぼく的には作者の書いたものの中ではピカイチ。「シェア」に関してもやもやしていたものを、明確に整理整頓、仕分けしてくれる。以下、引用と感想。
「地域社会、企業、家族がすべて弱体化した現在、また新しいコミュニティが求められている。シェアは、そのコミュニティづくりのひとつであると言える」
シェアハウスが空間のシェアなら、マインドシェアだと宗教的なものになるのか。ファンサイトとか。
「「私腹」から「福祉」へ、「個福」から「公福」へ」
マーケターならお得意の造語。企画書に使えるかも。公共ってのがわかりづらいなら、いっそのこと「公福」にすればいい。
「会社を辞めて独立してやっていくのは実際大変である。だから、単にある調査を請け負ってギャラをもらうという仕事の仕方ではなく、半年間とか一年間だけだが、正社員としてあるいは契約社員として雇用されて、その期間は安定して働き、毎月の給料として安定した所得を得るという働き方もあってよい」
「こういう働き方をアメリカではインディペンデント・コトラクターと呼ぶ」
派遣社員だと、派遣会社が介在してピンハネされるが、直契約だとお互いにいいだろう。
作品契約だと、仕事があって大変忙しいが、入金されるのが半年後というのは、辛いし。
「個人としてのプライバシーもありながら、人と会いたい時は会える、そういうゆるやかなつながり、「つながりたいが、しばられたくない」関係を満たすシェアハウスは、これまでの共同体とは違う」「共異体」である
「つながりたいが、しばられたくない」ゆるやかな紐帯ってヤツ。若い年代ほど、この意識は強いだろう。
「これまでの日本人は新築や新車への信仰が強かったけど、変わってきていますしね。ただ、そうなると今まで新しい商品を供給することで大きくなってきた会社が困る」
(株式会社メックecoライフ 取締役社長 平生進一)
東京R不動産とか、ゼネコン(General Contractor)じゃなくてインコン(INDIVIDUAL Contractor)かな。「小商い」(by平川克美)といってもいいだろう。従来の不動産広告の手法が効かなくなるってことか。タレントを使ったり、外国の一等地のイメージを拝借するといった…ま、広告全般にいえるけど。
「シェアできるストックを、みんな少しづつ持つようになってきたんですね。日本は戦後ずっと、フローの豊かさを追求してきたけど、今、ストック社型会に移行しつつある。建物もそうだし、人の知識や経験も、寄付講義などでシェアできる。歳をとってくると、自分の経験を伝えておきたくなるかも」
よくいわれるフローからストックへ。経済が停滞し、明るい未来がウソくさく見えるこの国だけど、成熟と見たら、どうなんだろう。年寄りの自慢話、手柄話は耳に栓だ。
「わけあって安い」。これは無印良品の立ち上げ時のキャッチコピーだが、それをアレンジしてみると、シェアは「分け合ってやすい」。分け合えば、安くつくし、生き易い、暮らし易い。
マーケットはよくパイに喩えられる。パイを増やすなどというが、この先、増やすことは大変だろう。だとすれば、いまあるパイをどうやって有効にシェアするか。そのための創意工夫、知恵が求められている。
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日本社会の動向と、所有からシェア型社会への移行について。新しいビジネスも沢山出てくるであろう興味深い分野。内容はわかりやすく誰にでも読みやすい。
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世の中に広がるシェアの可能性。かつて買うことや所有することで得られた幸せとは違う、新しい価値観と世の中の仕組み。
これまでの私有を目的としたビジネスは縮小し、新たなシェア型のビジネスが台頭する。
その背景は資源の限界と、高齢化社会、社会の細分化による承認欲求、無駄を嫌う僕ら世代の価値観、そして不況だ。
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三浦展のいくつかの本をアマゾンで購入。
彼の論じ方はアンケート調査、及び実際に街にでて現調、その後数値を根拠に将来を予測し、シナリオを描く、本書では端々に、そういうこと昔論じたんだよね的な発言あり。
2002年、共費論文(三浦展+博報堂研究開発局)
2005年、家族と幸福の戦後史
シェア型の価値観、行動がなぜ拡大背景の分析
シェア型ビジネスの事例を具体的に紹介
典型事例: シェアハウス
「私有主義的消費からシェア型消費へ: シェアによって新しい価値が創造されるとは、基本的にはコミュニケーション、コミュニティの価値が創造されるということが重要」
「豊かな消費社会が長く続いた結果、また高齢化などの問題に直面している今、われわれは、単に私有だけによろこびや幸福を見出すことにあまり意味を感じられなくなってきている。」
「共感としてのシェア: 単にモノを共有したり、場所を共同利用したりしても、それによって利用者相互にコミュニケーション誘発されないと、特に面白いものではなく。面白くなければ長続きしない。私有のほうがめんどくさくなくていいや、ということになってしまう」
「シェアの意味: 私有→共同利用、独占・格差→分配、タダ乗り→分担、孤独→共感」
「ところが50年毎に4000万人減り、100年前に戻る (社会保障・人口問題研究所『人口問題研究』第61巻4号2005年12月号刊)」
「ケアをシェアする必要: 」
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これからの時代をうまく解説している本だと思う。本の中に出てくる、写真の暗室とかアトリエのシェアルームは非常に興味深かったというか住みたいと思った(笑)
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「これからの日本」がこんなかたちでやってくるとは思っていなかった。震災以前の思いは、そうせざるを得ないかたちで伝えられるだろう。
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・「シェア」がサービスやメリットの紹介がメインだったのに対し、こちらはシェアという概念が社会的・精神的にどういう役割を果すのかを社会学的に解説するのがメイン。
・クルマも家も買わない、海外旅行やスキーにも行かない←これがシェア型の価値観の拡大によるものと考えるのは無理があるんじゃないか。まず金が無いことが一番大きいだろう。そもそもいらない物を買うこと自体がおかしい。
・数世帯で共有するのなら、多少高額でも高機能なものを買いたいと思うだろう。・・・そうか?十分な性能を備えてさえいれば、できるだけ安く抑えたいと思うのが一般的な感性だと思うのだが。
・シェアハウスは敷金礼金が無い、家具はあるものを利用できるから、初期投資が少なくて済む。
・今人気がある物件が、一部屋を広くして開放的にしたものというのは以外。一般家庭だろうと、ルームシェアに向いたnLDKタイプがベストだと思うのだが。
・ホームシェアってようするに居候やん。高齢者がどうこうとか書いてるけど、いろいろめんどくさそうだし、若者はあまりのってこないと思う。
・人と人とのつながりとか気持ち悪い。せいぜいがルームシェアまで。
・シンプル族とかひでぇネーミングだ。物質的豊かさに囚われていた連中こそが異常なのであって、物を浪費しない人間がさも特別であるかのように語られるのはおかしい。
・ワークシェアリングより、そもそも無駄な仕事を減らすという発想をすべき。
・不動産絡みの話題は全く興味が沸かない。無駄に規模の大きい業界だという思いがある。
・地方から東京へ流入する若者が減った・・・のか?絶対数は減ったかもしれないが、地方の若者で東京へ来る人間の割合は増えているのではなかろうか。あと別にその人達も家を買う必要はないよね。
・古くて味のある物件という需要。新しい需要を発掘するってのはすごいことだ。
・デザインなんてどーでもいいと考えてる自分はいまいちついていけない。
・シェアでいいのは、つながりたいときにつながれるところなのに、村社会ばりにぎっちぎちなシェアの例が多すぎやしませんか。若いもんは爺婆と一緒に済んで介護せんか!と言われてるような気がする。
・都会志向・孤独志向の私と筆者では考え方が違いすぎるようだ。
・「シェア」の方がずーっと面白かった。サービスの羅列的な部分も大きかったけど、シェアによって個人の生活や社会がどれだけ改善されるかというところが明確に示されていた。こっちはコミュニティだのつながりだの精神的な側面ばかりでふわふわした印象を受ける。あと利用者の心理とかどーでもいいのよ。
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「シェア」の必要性が叫ばれている今、読んでおきたい一冊。なぜ必要と言われているのか、日本の現状と照らし合わせて説明が展開されている。
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二つの有名な著書を合わせたようなタイトルの本書です。マイケル・サンデルの「これからの正義のはなしをしよう」とは全く無関係ですが、レイチェル・ボッツマン/ルーロジャースの「シェア」(以下「本家シェア」とする)は大いに関係があります。「本家シェア」がICTとビジネスを中心に据えてシェアを語っているのに対して、本書は人々の生活に焦点を合わせシェアに伴うコミュニティや地域などを語っています。
「本家シェア」は著者がビジネスコンサルタントとアントレプレナーであるのに対して本書の著者は、ファスト風土化する日本等の著者で消費社会研究家、この立場の違いもさることながら、教会が地域コミュニティの中心として存在している米国ではネットで地域性をあまり考える必要性がないのだろう。その意味では日本の地域コミュニティをシェアで活性化させようとする本書の意義は大きい。
また、著者と平生進一氏(メックECOライフ社長)の対談で、大きなショッピングセンターなどは「都会」的ではあるけど、「都市」的ではないとし、スターバックスもTSUTAYAもない「高円寺」を都市的とし、その理由をガード下の居酒屋で、大手企業のサラリーマンと絵描きとミュージシャンとシングルマザーと外国人などが席を並べることとし、都会は「物の豊かさ」、都市は「人の豊かさ」としている。うーむ、なんか凄く良く分かる。
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<図書館で借りた>
シェアするからいいものを買うようになるという、経済効果の説明に納得。
「つながりたいけどしばられたくない」に応えるシェアハウスなら、自分もちょっと入ってみたくなった。
短期間のホームステイコースみたいなのがあると、おもしろそう。
出張の多い人は、ホテルに長期滞在よりアイデアが湧いたりして。
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モノを所有するバブル世代から、シェアをするポストバブル世代へ移りつつあることがよく分かる良書だ。自身が興味があるシェアハウスを別の側面からも見れて勉強になった。
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「シェア」とは何か、どういう人間が「シェア」を好むのか、これからの「シェア」の在り方等を、計量的分析を伴いながら記述。
事例の参考にもなった。
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「シェア」の実態と今後の可能性について書かれた本。いままでの「モノ」を所有するだけの社会から、自分の持っているモノ(実在するモノだけではなく、自分が持っている経験や能力)をシェアし、より密接な地域社会(かといって束縛的ではない)を作っていくことを目指す。今後の新しい消費の仕方、あるいは新しい社会を形成していくために「シェア」が一つの大きな存在となるのではないかと感じさせてくれた。
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シェアという現象に早くから関心を持っていた人には目新しいことは書かれていませんが、今起きている様々なシェアについて俯瞰的にまとめてあります。以前読んだ『下流社会』では、所得の低い人達を一括りにして「意欲が無い」と論じていたので、「儲からなくても社会的に意義のある仕事をしている人は大勢いるのだ」と憤慨したものですが、この本では所有をしなくてもシェアリングで豊かな暮らしをしようとする若者に好意的で、三浦氏も宗旨替えをしたようです。
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時代と共に何に価値を見出すかという視点が、シェアの考え方とマッチしていて、この考え方や経済スタイルを普及させるような生き方がしたい。首都圏に限定した行動の様に分析されていたけど、高齢者のコミュニティ作りとか、地方にこそ、汎用して欲しい。