紙の本
小説というより、日本のリアルを探ったドキュメンタリーのごとく。
2020/06/11 22:40
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
ストーリーの大半は、平凡な若者が、ただひたすらに転落するしてゆく話。最初のんきに暮らしていたものが、主人公の両親が謎の失踪。親の庇護がなくなれば、金の切れ目は縁の切れ目みたいに、大学を除籍(授業料の未払いで即)、あっという間にアパート(家賃未払)も追い出されてしまう。
冒頭10数ページぐらいで、危うさを感じ、ともかく抜本的な解決に着手しなければまずいだろうよ!焦って読みすすむけど、主人公は、ただひたすらに「いやなことから逃げる」「深く考えない」というスタンスで、あっという間に深みへと落ちてゆく。
小説という形にのせて、日本に巣食う、貧困ビジネスのバリエーションを見せつけられているようで怖くなる。平たく言えば、生きるノウハウの無さみたいなものも、時代が少しずつ作ってきた日本人像なのだと思えてきた。
本書の上梓は2011年だけど、この国はさらに深刻になってるんじゃないだろうか?
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特に目的もなく、毎日ダラダラと学生生活を送っていた時枝修はある日、担任から授業料の未納を理由に自分がすでに大学を除籍させられていることを知る。両親に連絡もとれず、家賃の滞納に追われてなんとか働こうとするが、どんどん負のスパイラルに陥っていく。
終始腹の立つ主人公だった。「誰でもなりうる」というのがあちこちで書かれているが、ここまで堕ちるのは主人公が原因という部分が大多数。切羽つまった状況でも「やる気がしない」「制服が厭」って。ズルをして、バイトを首になれば人のせい。ひと月くらい支払を遅らせても問題はないだろうという思考回路、家を追い出されそうでも煙草はやめられない快楽の優先。ちょっとでも金が入れば使う。仕事探しはすべて人まかせ・・・挙げればきりがない。確かに不運だとは思うが、ここまでいくのはごく一部だと思う。問題定義作としては認めるが、とにかく主人公の思考回路がありえないので同情もできない。
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図書館で3週間待ち。
読み始めたが、結末が見えないし、読みやすいし、どんどん読み進めたい。
どんどん堕ちていくのよね。いかにも、「他人事じゃないんだよ」を強調する感じがちょっと。 そりゃ、いつそうなるかなんて、わからないけれど。
最後、蒲田でホームレスして雑誌売ってる時に、大学時代の友人に会うのもありえないしー。父にも会えちゃうしー。 あたりまえだが小説だな。
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主人公があまりに無責任なダメ人間なため共感も同情もできず、読んでいて非常に不愉快だった。ストーリーも、主人公が窮地に立つたびに都合よくラッキーなことが起こってなんとか首がつながる、の繰り返しで白けるし、しかもダメダメな主人公は何度窮地に立っても一向に成長しないし、とにかく読んでいてストレスを感じる話だった。これをどういう結末に落とすのか、それだけに興味があって読み進めたようなものだが、結末に至っても主人公もその置かれた状況も何も変わらず、ただ徒労感ばかりが残る読後感だった。
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ストーリーとしては面白かった、けど。
不幸の連続でどうなっていくのか、とハラハラした。
というか、主人公のダメっぷりにイライラ、かな。
とはいっても、ダメなわりには頑固な面もあり、情に流されるけど他人に流されないところはまぁ良かった。
途中から説教くさい内容が増えてきて…主人公がそれを聞いて立ち直って行くかと思いきや、そうでもないので、あららって感じ。
最後は少し希望の光も見えてきたけど、ちょっとお粗末な感じ。
キャッシング20万がずっと気になっていた。
バイト料入ったら返すのかと思ったけど、返さないで使っちゃうし。
立ち直って行く展開がなく終わってしまったのが残念。
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フィクションなのに・・いや、あるかもしれない・・なんて思ってしまった。
主人公の修は、ある日突然に親からの仕送りが途絶え、大学を除籍処分になる。
収入がないため、アパートも追い出され、その後職を転々とするのだが、これがすごい。
チラシ配り、電話での教材販売、ネットカフェ難民、ゲイの店、治験、ホストクラブ、
日雇いの作業員、ホームレス生活・・なんだかね、どんどん悪い方向へと進む。
仕事があるってことが、本当にありがたいと思いました。
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ある日突然大学が除籍になっていた。
両親とも携帯が繋がらない。賃貸のアパートは有無を言わさず追い出された。
いきなり、東京という大都会で難民となってしまう。
とても怖いことだが、誰にでも起こりうることかもしれないのだ、
その後の主人公の身の振り方にじれったさと苛立ちを感じては、読むのがイヤになるような展開だが、怖いもの見たさと最後が気になってあまりにも時間をかけて読んでしまった。
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突然の両親の失踪で、大学を除籍され、住まいも追い出されることになった修。
手持ちのお金も底をつき始め、バイトを探し、住む場所を求め、東京都下で難民のような生活を送っていく。
世間知らずで、考えの甘い大学生のあまりの転落っぷりに、興味半分だったのも束の間、救いのなさにやり切れない気分になりました。
行き着くところまで行ってしまった感のある修でしたが、この経験が、この先の彼の大きな糧になるかもしれない終わり方に、とりあえず一安心。
人事と、小説の中の話として、興味半分で読みましたが、もしかしたら、身近にも起こりうることなのでしょうか。
だとしたら怖いな。
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はじめの方は、なかなか話も進まないし、おもしろくないしで読むのに苦労した。
でも最後の方はおもしろくなっていった。
はじめのうちのつまらなさを、主人公の思考の足りなさにあわせてあえてそうしているのだとしたら、すごいねらいだけど。
東京という現代の都市の持つ思考回路とか、社会構造とかそういうのは分かりやすく表せているのかなと思う。
その現代社会の問題点を認識できれば、自らの思考も変わってくるというのは、わかりやすい筋書きだと思う。
そうやって達観できればいいんだとは思うけど・・・
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金が無いなら煙草を吸うな!酒を飲むな!自炊しろ!三日くらい真面目にポスティングしろ!……などなど指摘したらキリが無くイライラさせられっぱなしの前半。
きっと意図的にこういうだらしない性格にされてるんだろうけど。だって毎日コツコツ真面目に生きてる子がいきなり親と連絡取れなくなって大学除籍、住所不定になったら可哀想すぎて読み進められない気がするからね…。
それにしてもバイトや不動産会社の裏側、知ってるようで全く知らないよなぁ…オソロシイ…。
でもラストは、私も自分にできることを頑張ろう!という気持ちになれる、爽快な読後感。この後はもう、またいろんな困難があっても大丈夫だろうなと安心させてくれる。読んでよかった!
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罠にかかった動物のように
あるいは アリ地獄に捉えられてしまったみたいに
どんどん落ちていく
なんとかなると簡単に思っていたり
見込みがすごく甘かったり
読んでいて歯痒くなる
なんとかしろよ~!!!
叫びたくなる
しかし 最終段階にまで至ると
自己責任というだけじゃないか、な・・・
そんな不安や疑問が強くなってくる
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時枝修は平凡な大学3年生。
ところがある日、学費の未払いを理由に大学を除籍される。
同時に両親からの仕送りが途絶え、実家との連絡もつかなくなり・・・で、その後の転落っぷりが凄い。
まぁ、それにしちゃあイイ人過ぎるのが気に入らんがww
ってゆーか、実家に連絡取れなくなったら、祖父母宅に連絡しろよ!!って感じ?www
ま、オモシロかったし、いろいろ勉強にもなったし、最後はいい感じに終わったし、めでたしめでたし♪
間違っても、息子がこんな目にあわないように祈るばかりであります・・・(^_^;)
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主人公の時枝修が、親の失踪をきっかけに大学を除籍、アパートも追い出され、いろいろなバイト等を転々としながら、最後にはホームレスになってしまう物語。ちょっとしたきっかけで貧困やアウトローの世界に簡単に陥ってしまうということがリアリティをもって描かれている。ホストの世界や裏社会など、「こういう世界が身近にあるんや」と垣間見れる面白さもあった。
深刻な状況なのに、主人公の考えが甘く、いつも真剣さにかける対応を繰り返すことにはやきもきさせられたが、大学生くらいの若者の多くはこの主人公のような対応になってしまうのかな、とも思った。あと、主人公の友人が薄情すぎる気もしたが、東京のマンモス大の友人関係なら、こういう感じなのかな、とも思った。
当たり前と思っている生活が結構もろい基盤の上に成り立ってることに気づかされ、身につまされる作品だった。生活保護などのセーフティネットの制度についてはあまり触れられていなかったが、今ある制度でも活用すれば、主人公もこのような転落人生に陥らなくてもよかったと思われる。そのようなセーフティネットの制度の周知がより必要だと思った。また、ベーシックインカムについても取り上げられてたが、主人公のような事態になったときにちゃんと機能するセーフティネットの仕組みが求められると感じた。
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平凡な遊んでばかり大学生が、親の事情で学費未納になり、部屋も追い出され、その日その日をどうにかして生きていく様子が描かれている。後半に入るにつれて、どんどんハードになるが、生きていくための必死さの中での主人公の甘さや素直さ、悪になりきれない感じがもともと「普通の」大学生だったことを感じさせる。
「何も助けてくれない社会も悪いが、自分たちにも責任がある」というフレーズが印象的だった。
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主人公には同情すべきところもあるが、お約束のように悪い方へ悪い方へと転がっていくのが不思議だった。これって社会の仕組みが悪いせいなの?読んでいて、最後まですっきりしなかった。