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津波と原発
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2011.6
  • 出版社: 講談社
  • サイズ:20cm/254p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-217038-3
  • 国内送料無料

紙の本

津波と原発

著者 佐野 眞一 (著)

日本の近代化とは、高度成長とはなんだったのか? 三陸大津波と福島原発事故が炙り出す日本人の精神とは? ノンフィクション界の巨人が、3・11の現場を歩く。【「TRC MAR...

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津波と原発

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商品説明

日本の近代化とは、高度成長とはなんだったのか? 三陸大津波と福島原発事故が炙り出す日本人の精神とは? ノンフィクション界の巨人が、3・11の現場を歩く。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

佐野 眞一

略歴
〈佐野眞一〉1947年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ノンフィクション作家。大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞受賞。著書に「東電OL殺人事件」「巨怪伝」など。

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みんなのレビュー37件

みんなの評価3.9

評価内訳

紙の本

「戦後日本」と訣別する第一歩となる本。メルトダウンした日本でいま何を考えるべきかが見えてくる

2011/09/06 16:10

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「3-11」については、これまで饒舌に語ってきた多くの論者が沈黙してしまった。あるいは発言したにせよ、その内容はリアリティのない空虚な響きしかもたないコトバの羅列に過ぎないのではないか?

 そう思う人はこのノンフィクション作品を読むことをすすめたい。「品格」を欠いた表現が少なくないし、しかもこじつけが多いのではないかという理由で佐野眞一が好きではないにしても、この作品だけは今後のために読んでおくべきだと言っておきたい。

 「3-11」の東日本太平洋岸の大地震と大津波、そして最悪の事態となった福島第一原発のメルトダウン。ともに同時期に発生した大災害であるが、前者が千年に一度とさえいえる巨大自然災害であったのに対し、後者は明かに「人災」である。前者が目に見えるかたちで大きな被害をもたらしたのに対し、後者は今後数十年にわたって見えない恐怖を与え続けることになる放射能被害である。

 とくに原発事故は、「戦後日本」そのものが、そっくりそのままメルトダウンしたのではないかという、シンボリックな意味さえ帯びるにいたっている。さらに言えば「近代日本」そのものがメルトダウンしたのではないか、とさえ思われるのである。

 わたしが本書を読むことにした理由の一つは、『東電OL殺人事件』を書いた佐野眞一が、原発事故と東電についてどのような発言をしているのか知りたいと思っていたことにある。しかも、『巨怪伝』では読売新聞社主となった正力松太郎と「戦後大衆社会」をあますことなく描ききった佐野眞一だ。「テレビの父」だけでなく、「原発の父」でもあった正力松太郎について語ることは、そっくりそのまま戦後日本と東電を中心とした原発につながるのである。原発による電力があってこそ、「戦後大衆社会」が成立してきたことは、うかつなことに、本書を読むことで、はじめて強い印象とともに気が付かされた。

 戦後の理想教育を主導しながら挫折した無着成恭、戦後大衆消費社会を実現させた実業家・中内功、戦後大衆社会をリードしてきた石原慎太郎や小泉純一郎といった自民党政治家、そして戦後社会の実験場であった満洲に、戦後のつけが集約されてきた沖縄。これまで佐野が描いてきた戦後日本を扱ったノンフィクションを列挙してみると、佐野眞一が一貫して「戦後日本」とそれを準備した「近代日本」そのものを、時代を象徴するさまざまな人物をとおして描いてきたことがわかる。

 「3-11」とは、まさにその「戦後大衆社会」がすでに液状化し、崩壊していたことを明らかにした自然災害であり、それに付随して発生した取り返しのつかない「人災」であったことが本書によって確認されている。その意味で、「3-11」は暴力的に「戦後」を終わらせたのである。本書は、佐野眞一の集大成とまでは言わないが、これまで「戦後」を多面的に描いてきた蓄積があったからこそ書けた内容だといえるだろう。
 
 この本を読むと、われわれがいまどういう地点に立っているのか知ることができる。何をすべきなのかが明確に示されたわけではないにせよ、何を考えるべきかがおぼろげながらも見えてくるだろう。すくなくともそのキッカケにはなるはずだ。その意味で、ぜひ一読することをすすめたい。もはや「戦後」は終わったのだ。

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紙の本

「津波と原発」、福島のチベットはいかにして原発銀座になったか。

2011/10/17 18:29

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人によっては思ってる内容と違ってもの足りなく感じるかもしれない。
それは、完全書き下しではなく、二部構成の一部は雑誌「G2」、二部
の第一章は「週刊現代」に掲載されたものが元になっているからだろう。
全体的にもう少し突っ込んで書かれていたらなぁ、東電という企業の闇
にもっとグイグイと迫ったらなぁ、と僕自身も思った。しかし、この本、
つまらないのかと言えばそんなことはまったくない。「津波と原発」に
は硬派ジャーナリストである佐野眞一らしさが横溢している。

 第一部の「日本人と大津波」は震災一週間後に現地を訪れたルポであ
る。ここに登場するのは気仙沼に住む新宿ゴールデン街でおかまバーを
やっていた「キン子」ママ、元共産党の文化部長、「定置網の帝王」と
呼ばれるプロ中のプロの漁師などなど。彼らの話がいちいちおもしろく、
しかも、心にグッと迫る。このあたりのアプローチはさすが佐野だ。こ
ういう話は新聞では絶対に読めないだろう。第二部「原発街道を往く」
ではさらに、当日福島第一原発で働いていたいわゆる「原発ジプシー」
の男や浪江の大規模牧場の主なども登場する。第二章以降で語られるの
は「福島のチベット」と言われた浜通りが原発銀座へと様変わりしてい
く、そのプロセスだ。こここそがこの本の要である。登場するのは正力
松太郎、堤康次郎、木村守江などの権力の亡者たち。読んでいると「こ
いつらって本当にもう」とあきれると同時に、原発誘致しか術がなかっ
た現地の荒廃と貧しさに暗然とする。その時、反対運動はほとんどなか
ったと言う。「あとがきにかえて」という形でそのエッセンスを伝えて
いる政治学者原武史とジャーナリスト森達也との対談、孫正義へのイン
タビューも大変興味深い。

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紙の本

原子力日光の下に微睡み、歌を忘れたカナリアは「いい国つくろう」とトカトントン

2011/09/07 11:05

7人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 9月2日の朝刊を広げると、見開き二頁に某出版社の全面広告が掲載されていた。キャッチコピーは「いい国つくろう、何度でも」。1945年8月30日、連合国総司令官ダクラス・マッカーサーが専用機ダグラスC54「バターン号」から姿を現しコーンパイプをくわえサングラス、まさに花道で見得を切った歌舞伎役者のようなかっての赤鬼の凛々しい姿に「これがアメリカ」なんだと何度も讃嘆した少年時代の思い出が蘇った。
 それに引き替えこの国の大人たちの臆面のなさ、だらしなさに少年の僕は「自虐的な気分」になったのは当然であった。
 自虐史観は学校教育を通しても助勢されたが、そんな去勢のエポックの中に「高度経済成長」という共通の国民的合意が形成され、世界に冠たる妄想であれ「中流・中産階級」がどっしりとこの国に着地した。
 狐に化かされた気がしないでもなかったが知らぬ間に「いい国」になったとも言える。敗戦が「いい国を招来した」マジックの隠れた種として巧妙に隠蔽されたとも言える。無意識の「弱者戦略」が「大国」になってしまったという想定外の事態だったかもしれない。「強者としての振る舞い」が要請されるようになりバブル崩壊以降、「いい国つくり」に戸惑った方向指示器のままに迷走し、今回原発の暴走を許したとも言える。
 本書の「原子力的日光浴」の意味するもの(p176)で1999年9月30日にJCOで起きた臨界事故で臨界に達したときだけ発する青白い光「チェレンコフ光」について佐野はこの臨界事故は私たちが日々恩恵を蒙っている「原子力的日光」のなかに、「チェレンコフ光」がひそんでいることをはからずも露呈させたと言う。核の傘の下に思考停止で微睡んだつけが露呈されたとも言える。
 某出版社の全国紙広告は「大震災=第2の敗戦」なんだと思い知らせるコンセプトかどうかわからないけれど、僕的には少なからず衝撃があった。
 思わず、携帯の待ち受け画面に設定してしまった。そうやって日々愛憎こもごもでマッカサーの赤鬼オヤジを見ている。
 本書は緊急取材・緊急出版の書下ろし四〇〇枚なのに、長時間に渡って熟成した職人仕事のように佐野ワールド・作品として仕上がっている。佐野眞一という鋳型の中で破たんなく収まったとも言える。

 「第二部原発街道を往く」の章はノンフィクション作家として原発関連をこれまで追跡した引き出しがクロニクルに開陳され、緊急取材で仕入れた材料を巧みな味付けでリアルな真実味を付け加える。
 例えば『東電OL殺人事件』、正力松太郎の『巨怪伝』という先行の仕事は東電、原子力を語るに佐野眞一ならではの隠し玉が投じられる。でも、僕としては第一部の「日本人と大津波」の方が面白かった。実際の被災者たちが前面に出て活写される。ひょんなことからゴールデン街のおかまバー・名物ママ英坊に会ったり、定置網の帝王とか…、津波研究家の第一人者でもある日本共産党の元文化部長・山下文男が九死に一生を得て、こんな本音を吐く。

 《山下はずぶ濡れになった衣服を全部脱がされ、フルチンで屋上の真暗な部屋に雑魚寝させられた。自衛隊のヘリコプターが救援にきたのは、翌日の午後だった。/ヘリコプターは屋上ではなく、病院の裏の広場に降りた。ヘリから吊るしたバスケットに病人を数人ずつ乗せていたのでは時間がかかるし、年寄りには危険だと判断したためである。/「三十六人乗りの大型ヘリだった。中にはちゃんと医務室みたいなものまであった。僕はこれまでずっと自衛隊は憲法違反だと言い続けてきたが、今度ほど自衛隊を有り難いと思ったことはなかった。国として、国土防衛隊のような組織が必要だということがしみじみわかった。/とにかく、僕の孫のような若い隊員が、僕の冷え切った身体をこの毛布で包んでくれたんだ。その上、身体までさすってくれた。病院でフルチンにされたから、よけいにやさしさが身にしみた。僕は泣いちゃったな。鬼の目に涙だよ。/山下はそう言うと、自分がくるまった自衛隊配給の茶色い毛布を、大事そうに抱きしめた。》p56

 成る程、「情」にシンクロする磁場を効果的に配置する佐野マジックは本書でも生かされいる。
 ただ、二部ではそんな生々しさはトーンダウンしている。「理屈」が先行しているわけ。まあ、そのあたりの構成は意識的になされたものであろう。
 でも、『「フクシマ」論ー原子ムラはなぜ生まれたのか』の開沼博とのやりとりは「理屈」が暴走している気味がある。
 佐野さんは内郷生まれの間沼さんに同じエネルギー産業に従事しながら、炭鉱労働者には「炭鉱節」が生まれたのに「原発音頭」が生まれなかった。これはなぜだと思いますかと訊ねる。

 《「彼らは危険だということをわかりながら、自分を騙しているようなところがあって、その負い目が差別性につながっているような気がしますね」/――なるほど、その負い目が歌や踊りを生み出せなかった。でも、危険という意味では炭鉱労働も危険だよね。原発労働と炭鉱労働のこの差異はどこにあるんだろう。/「炭鉱労働者が感じる危険さは、漁師が感じる危険さに似ていると思います。誇れる危険さというのかな」/――誇れる危険さか。板子一枚下は地獄っていう。原発労働者は何シーベルト浴びたからって誇れないものね(笑)。/「炭鉱で死ぬっていうのは、すごくわかりやすいじゃないですか。でも、原発は線量計持たされて、すぐに死ぬわけじゃないけど、目に見えない気持ち悪さってあるじゃないですか」/――確かに炭鉱労働には、オレはツルハシ一丁で女房子どもを食わしているという「物語」が生まれやすいね。でも、オレが何シーベルト浴びているから、女房子どもが食っていけるなんて、聞いたことがない。原発労働に似ている労働って何がある?売春に似ているのかな。/「後ろめたい労働という意味では似ているかもしれませんね」(p222)

 原発労働≒売春とは荒っぽい「理屈」です。せめて学者として間沼さんは佐野さんに同期するのではなくもっと違った回路を提示して欲しかった。「働く/働かない」という大きな土俵の中で「炭坑節」でも、「ヨイトマケの歌」でも俎上にあげて、「後ろめたい労働」に歌がないとしたら、そのような「歌のない労働」が原発労働に限らず一般的ではないか、ご当地ソングは一杯あるけれど、僕の知る限り、出版流通業界は先行き不透明で佐野さんの『本殺し』本の状況が進行しているが「本屋の歌」、「本屋節」もありません。でも本を売ることは後ろめたい労働とは思わない(笑い)。

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紙の本

ひとのえがきかたには好感がもてるが,今後については不明なまま

2012/04/16 23:15

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る

東日本大震災がもたらした津波と原発事故をテーマとした本はすくなくないが,この本は震災後に著者が会ったひとりひとりの人間をえがいている. さらに,原発に関してはそれを推進してきた正力松太郎やさまざまな政治家や東電などの企業人をいきいきとえがいている. 石原慎太郎など現在の政治家には批判的だが,これらの過去のひとは冷静にえがいているところに好感がもてる. だが,「いま私たちに問われているのは,これまで日本人がたどってきた道とはまったく別の歴史を,私たち自身の手でつくれるかどうかである」と書きながら,これからどこにどうやってむかっていけばよいかについては,ほとんどふれないままになっている.

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2011/12/02 23:38

投稿元:ブクログ

佐野本としては物足りない部分も感じるのだが、震災直後に津波、原発とその現場に向かうエネルギーに感服。取材者としての執念を感じさせる行動に感服。

2011/08/15 19:26

投稿元:ブクログ

前半は津波の話、後半は原発の話。ざっくり言うと。未曽有の大地震直後に、突き動かされるように佐野さんは被災地へと向かう。前半、佐野さんは思い出した様々な人を追い、見つけ、ヒアリングをしながら被災地を巡る。行き当たりばったりに見えかねない道程を行き、少しの偶然にも感激する。佐野さんをそこに連れ出したのは何だったのか。直感的に、書かれていることが本当の理由ではない気がする。後半はいつもの佐野さんらしい、綿密に調べ上げられた原発関連のルポ。この時期にこれだけのルポがあったことに驚く。

2011/08/11 11:04

投稿元:ブクログ

全体は見えないし,速報性もないけど,こういう仕事はこれからも残っていくんだろうな,と思わせる一冊。もちろん,商業ルートに乗るための力量要件はずっとシビアになるだろうけど。あとがきの天皇論が印象に残った。今の天皇制は都市化していて,皇室のお言葉では東北の被災者を救えないというのは,面白い視点だと思う。

2011/07/25 11:43

投稿元:ブクログ

http://bar-trilce.no-blog.jp/tenmablog/2011/07/post_4394.html

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E5%8A%9B%E6%9D%BE%E5%A4%AA%E9%83%8E

2011/11/23 22:44

投稿元:ブクログ

(2011.11.22読了)(2011.11.10借入)
【東日本大震災関連・その37】
佐野さんのこの本は、人気があってなかなか借りる順番が回ってきませんでした。出版から5カ月ほどでやっと読むことができました。名の知られたノンフィクションライターだけあって、文章が読みやすいし、取材の相手も意表をついていて、興味深く読まされてしまいます。
この本は、最初の60ページほどが津波について、続く60ページほどが火が日本大震災に伴う福島原発の事故について、残りの100ページほどが、日本への原子力発電の導入はどのように行われたのか、と、福島原発の建設のいきさつ、という形で構成されています。
津波の部分は、「G2」に掲載したもの、福島原発の事故の部分は、「週刊現代」に掲載したもの、残りは、書き下ろし、とのことです。
津波の部分に登場した二人の人物が、僕の故郷・大船渡市の人たちだったので、ちょっと驚きました。身近なところに、意外な方たちがいたとは知りませんでした。

この本の章立ては、以下の通りです。
第一部、日本人と大津波
第二部、原発街道を往く
第一章、福島原発の罪と罰
第二章、原発前夜―原子力の父・正力松太郎
第三章、なぜ「フクシマ」に原発は建設されたか

●三陸の漁獲(23頁)
三陸地方の漁獲高は、日本の漁獲量全体の15%を占めている。さらに養殖業では4分の1、水産加工業では3分の1を占めている。
そのすべてが、大津波によって一瞬にして崩壊した。失われた三陸地方一帯の漁船は6千隻にもおよぶ。今回の大津波は、日本漁業に壊滅的打撃を与えた。
●陸前高田市(25頁)
瓦礫だらけになった無人の市街地に入った瞬間、言葉を失った。そこはさながら、爆風で何もかも吹き飛んだ広島の爆心地を数百倍拡大したような死の街だった。
●大船渡市(40頁)
「いま、火事場ドロボーみたいな連中が、あちこちに出没しているらしいの。五、六人の集団が車で乗りつけて、無人の家の中に入り込んで金目のものを盗んでいくらしいの。ガラスを割って侵入するんですって。津波で流された車からガソリンなんかも抜き取るそうよ。だからここでは、いま夜間パトロールしているのよ」
(大船渡の僕の家の近くの「薬王堂」も震災の日の夜にガラスを割られ、店のものを取られたようでした。)
●高田病院四階(54頁)
「津波が病室の窓から見えた時、僕(山下文男)は津波災害を研究してきたものとして、この津波を最後まで見届けようと決意したんです」
「四階までは上がってこないだろうと思った。陸前高田は明治29年の大津波でも被害が少なかった。だから、逃げなくていいという思い込みがあった。」
「窓から津波を見ていた。ところが、四階建ての建物に津波がぶつかるドドーンという音がした。ドドーン、ドドーンという音が二発して、三発目に四階の窓から波しぶきがあがった。その水が窓をぶち破って、病室に入ってきた。そして津波を最後まで見届けようと思っていた僕もさらわれた。僕は津波がさらってなびいてきた病室のカーテンを必死でたぐり寄せ、それを腕にグルグル巻きにした」
●教訓(58頁)
「田老の防潮堤は何の役にも立たなかった。それが今回の災害���最大の教訓だ。ハードには限界がある。ソフト面で一番大切なのは、教育です。海に面したところには家を建てない、海岸には作業用の納屋だけおけばいい。」
●撤収命令(94頁)
福島第一原発の一号機で水素爆発が起きたのは、3月12日の午後3時半過ぎだった。浪江の牧場を借りて通信機材をセットした福島県警の通信部隊は、ヘリコプターで撮影されたその爆発時の動画を通信衛星で県警本部に送った。県警本部はその動画を解析した結果、危険と判断したから、通信部隊に撤収命令を出した。
●福島第一原発(190頁)
敵地確認作業が順調に運んだ背景には、①東京電力が原子力発電所の設置を決めてから、入念な根回しを行った②用地予定の中心地は、太平洋戦争中は飛行場で、戦後は、製塩が行われた海岸段丘の平坦な山林や原野であり、土地はやせているため、農業には向かない③首都圏には開発可能な土地が無かった④双葉地方は出稼ぎが多い農村で、出稼ぎをしないで済む産業立地が望まれていた―などの事情がある。
●原発誘致(202頁)
「原発建設で最も力をふるったのは、当時地元選出の代議士で、知事の佐藤善一郎とも深いかかわりのあった木村守江です。東電の木川田一隆社長、長者原の塩田の持ち主だった堤康次郎と木村の三人で原発誘致を決めてしまったといいます。他には全く人を介さず、蜜談は堤の衆議院議長の部屋でやったという古い話を聞いたことがあります。」
●「原発のある風景」柴野徹夫著(212頁)
「原発の取材は軍事基地の取材と似ていて、いつも監視されていました。僕が車を借りて動き出すと、必ず二台尾行がついてきた」
それは東電と警察ですか。
「そうだと思います」
●武蔵工大の研究用原子炉(230頁)
川崎の虹ヶ丘団地の近くの王禅寺というところにありました。

☆佐野眞一の本(既読)
「宮本常一が見た日本」佐野眞一著、NHK人間講座、2000.01.01
☆関連図書(既読)
「朽ちていった命」岩本裕著、新潮文庫、2006.10.01
「原子力戦争」田原総一朗著、筑摩書房、1976.07.25
「原発列島を行く」鎌田慧著、集英社新書、2001.11.21
「日本の原発地帯」鎌田慧著、潮出版社、1982.04.01
「三陸海岸大津波」吉村昭著、中公文庫、1984.08.10
(2011年11月23日・記)

2012/05/27 20:52

投稿元:ブクログ

著者が報道ステーションにコメンテーターとして出ていたのを見て、何となく買ってみた本。「原発と津波」というタイトルだが、およそ4分の3は原発の話になっている。

2011/10/31 19:38

投稿元:ブクログ

■解説
日本の近代化とは、高度成長とは何だったか? 
三陸大津波と福島原発事故が炙り出す、日本人の精神
ノンフィクション界の巨人が挑む
★三陸に住んでいたゴールデン街の名物オカマの消息
★日本共産党元幹部の「津波博士」はどこへ?
★正力松太郎・天皇・原発のトライアングル
★江戸時代、飢饉で荒廃した地は、陸軍の飛行場を経て、堤康次郎が土地を買収し、福島原発となった――
『東電OL殺人事件』で東京電力の実相を暴き、『巨怪伝』では原発を日本に導入した正力松太郎を活写した佐野眞一が、3・11の真実を描く!
■感想
佐野さんのノンフィクションは、取材と資料に裏打ちされた説得力がある。読売新聞が原発推進キャンペーンを張っていたこと。福島への原発誘致の経緯など、どの章を読んでも、そういうことだったのか・・・と肯かされる。今、どうすべきか?私自身も考えるきかっけをもらった。

2012/10/26 16:26

投稿元:ブクログ

 第一部は3月18日から20日に南三陸町、大船渡、宮古などを訪れて、古い知り合いであるるとともに津波の被災者でもある、もとゴールデン街のオカマバーの経営者や「津波博士」として知られていた共産党元幹部などに会ったルポ。第二部は、4月の終わり頃に大熊町や双葉町などを訪れ、避難者や原発労働者の会ったルポに福島原発の開発史を交えたもの。
 ルポは当時の状況を伝えているし、開発史は堤康次郎や正力松太郎など、知らなかったことがいろいろ出てきておもしろい。やっぱりそれなりに力のある作家だと思う。
 ちょっと気になったのは、オカマバーの経営者を見下すように、金にうるさくて一億近い金をためこんだみたいなことが書いてあったこと。リアリティを出すつもりなのかも知らないが、旧知の被災者に対する礼儀だって必要だろう。えらそうなののはいけない。

2011/08/12 19:19

投稿元:ブクログ

元日共幹部を「転向」させた自衛隊員の優しさ《赤松正雄の読書録ブログ》

 大震災から五ヶ月が経った11日に、たまたま陸前高田市出身の黄川田徹氏と会う機会があった。家族の殆どを失った、壮絶なまでの犠牲を強いられた代議士である。「昨日ようやく妻の遺体が見つかったのです」―明るい笑顔で、そう言われた。「これで吹っ切れました」との言に、力強く手を握り返した。衆議院に議席を持っている議員のなかで、恐らくは最も優しい人だとの見たてで衆目が一致する彼を襲った、最も過酷な運命。衆議院東日本大震災復興特別委員長として個人の悲しみを乗り越えた采配ぶり。東北地方の復興に彼の使命の全開を期待したい。

 佐野真一『津波と原発』は、震災直後に書かれたルポとして、今後長く読み継がれていくであろう出色の作品だ。全てをそぎ落とした、事実のみを持って語らせる吉村昭の手法と異なり、多彩な関係者群への徹底したインタビューで事実の背後に横たわる真実を掘り起こす佐野さんの手法。今回も見事なまでに成功しており、一気に読ませた。

 震災後一週間経った18日に現地入りした佐野さんは、その日最後に陸前高田市を訪れる。そこから始まった元日共文化部長の話はなかなか印象深い。病院でフルチンにされた彼を「孫のような若い隊員が冷え切った身体を毛布で包んでくれ、そのうえさすってくれた。その優しさに泣けた。鬼の眼に涙だ」と語るこの話ほど自衛隊員の最前線での頑張りぶりを描くものはない。同氏は「自衛隊配給の毛布の暖かさに自衛隊は憲法違反だと言ったのは間違いだったと主義主張をかなぐり捨てて『転向』した」と語る。勿論、オーバーに語っているのだろうが、在野の津波研究者として著名な人物だけに説得力はある。病院の医療費の請求書が事細かに書かれて突きつけられたことへの怒りを表明したくだりと共に忘れがたい。

2011/07/02 11:15

投稿元:ブクログ

 「日本人」の語が頻出し、最後には「高齢大国ニッポンの世界に冠たる本当の底力」なるフレーズまで飛び出し、果ては『津波てんでんこ』の山下文男の一種の「転向」を書き立てるあたり、皮肉混じりとしても鼻白まないではないが、「東電OL殺人事件」や正力松太郎という「巨怪」を描いたノンフィクション作家こそが迫りうる、日本列島の原発ならびに浜通りという「原発銀座」の起源が、関係者へのインタヴューをつうじて説得的に浮き彫りになっている。同時に、現在無残な廃墟をさらけ出している構造が、いかに戦後復興と、さらには近代天皇制と結びついているかも示唆されている点、興味深い。とくに、原子炉導入と絡んでちらつくアメリカの影については、広島の復興大博覧会の問題を考える意味でも、もう少し見通しを得たいところ。そうすれば、フクシマ、ヒロシマ、オキナワを照らし合わせて、現在を問う思考の道筋が開かれよう。

2011/09/22 22:36

投稿元:ブクログ

やはり第一級のノンフィクション作家が書くとこうも違うのかと思わせる。前半は津波被災地でのルポ。行動力と人脈の豊富さが混乱の中でも発揮される。後半は原発設置に至る歴史的背景を明確に説明し、読者の眼前に問題点をつかみ出す。
後書きのように原武史との対談の一部が転載されていたのには吃驚した。丁度並行して読み終わろうとしている文庫本の著者ではないか。これについては後日のレビューで。

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