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商品説明
私は何のために生きているのだろう。存在しているのだから存在を続けていい。私はためらいながら描き出し、描き続け、今も描いている。萩尾望都があこがれ、求めるものたち。待望のエッセイ集。【「BOOK」データベースの商品解説】
17のとき手塚治虫の「新選組」に出会ったショックで、漫画家になる決心をしてしまった。私はためらいながら描き出し、描き続け、今も描いている…。萩尾望都があこがれ、求めるものたちを綴ったエッセイ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
萩尾 望都
- 略歴
- 〈萩尾望都〉1949年福岡県生まれ。漫画家。「ポーの一族」「11人いる!」で小学館漫画賞、「残酷な神が支配する」で手塚治虫文化賞マンガ優秀賞、「バルバラ異界」で日本SF大賞を受賞。
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紙の本
萩尾望都の意外な一面
2011/06/28 12:12
16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BH惺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
萩尾望都の新作エッセイ。1987年から2010年までの間にさまざまなメディアで発表されたエッセイ・解説を1冊にまとめたモノ。巻末の初出一覧を見てもかなりな量です。
おおまかには4章構成。その内容は以下の通り。
1 いわゆるホントのエッセイ。
少女時代に感じたこと、懐かしの恩師のエピソード、「青」という色に関してのイメージ、興福寺の阿修羅像を巡ってのあれこれ。などなど、萩尾望都が素直に感じたこと、素顔の一面を垣間見ることができます。中でも、「私は生き物。同じ生き物」が印象的。アフリカ滞在時の解放感を、世間から逃れて、のびのびと自己の解放と絡めて描写しているところが良いなあと。
2 文学について(小説について)
萩尾望都といえばSF!! 特にブラッドベリとの出会いの感動とショックを素直に熱く語っています。
「 誰しものことだとは思うが本とのめぐり会いというものは実に不思議なものだと思う。ちょうど何かが読みたい時に心や魂を震撼させる生涯の本に出会う幸福」 p48より
という一文に激しく共感してしまいました!
他に松井今朝子・森博嗣・寺山修司・矢口敦子等の作家との交流や作品についても言及。あたりまえですが、かなりな読書家というイメージです。
3 お気に入りのマンガについて
今度は主にマンガ作品やマンガ家について述べられてます。過去に衝撃を受けたマンガ家さんとして、和田慎二(超少女明日香シリーズ)・聖悠紀(超人ロック)・石森章太郎(サイボーグ009)などの男性マンガ家を挙げてまして……うん、かなり面白かった。特に和田慎二について作品テーマがフェミニン(女性的)であると評しているところがなるほどなと。
その他多大なる影響を受けたであろう手塚治の作品を紹介。今夏アニメ映画化されるブッダについての言及はさすが。(エッセイ初出は1993年)。
4 その他もろもろ、メディア文化について
萩尾望都のアンテナに引っかかったいろいろなモノが網羅されています。
例えばゴジラ・映画「ディア・ハンター」・夢の遊眠社の舞台・ノルウェイの森・ニジンスキー(バレエダンサー)等々。映画にかなり造詣が深いらしく、エッセイを読んでいるだけでも楽しい。自分の萩尾望都に対する勝手な印象は感情派、情緒派、感覚派というイメージだったけれど、なんと実は冷静な分析派・理論派なのだということを知りちょっと意外な一面も。とある映画のワンシーンをその分析魂をもってして、なんとか説明しようとする件が面白すぎます!
自分にとって萩尾望都は謎めいたマンガ家サンといった印象だったんですが、この本を読んでそれがガラッと変わりました。
文章も的確でわかりやすい。冷めた……というか、冷静な視点で淡々と文を綴っていらっしゃるのがちょっと意外でしたね。ところどころにユーモア散りばめてそれもナイス!!
私生活での、両親との不和と葛藤もネタにしてしまう……という裏?エピソードもあったりして。
萩尾望都という稀代のマンガ家の一面を知るには充分な1冊でした。個人的に大満足!