紙の本
物語に溺れる
2011/11/21 21:40
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はぴえだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作品をすきになるには、いろいろな要素がある。
今回の場合は、タイトルのセンスと、言葉の紡ぎ方だろうか。
私は、この作者の書く文章がとても好きで、「君が降る白」以降欠かさず読んでいるのだが、もし今この時に、朝丘作品の存在を知らなくとも、どこかでこのタイトルを目にしたとしたら、きっと手に取ったに違いないという、奇妙な自信がある。
吸引力が半端ないタイトルなのだ。
「星を泳ぐサカナ」
インパクトはあるのだが、どこか静かで、それでもキラキラしたうつくしさを感じる。
魚が、夜空を、星のまわりを、ひらひらと泳ぐ、自由でふしぎなイメージ。
きれい。
一体、どんな話なんだろう?と好奇心をくすぐられる。
わくわくしつつ、本を開くと、すいーっと、浸水するように物語の世界に引き込まれる。
せつない恋。
夜空に瞬く孤独な星のようなひと。
純粋培養で、愛されて育ったが故に自然とあいを知り、つよさをもって、愛し、自由に泳ぐサカナのこ。
孤独だからぬくもりを求め、けれど過干渉をきらい、それでも寂しさを持て余す人と、そのきまぐれに救われて、その寂しさをあいし、くるんであげたくなる子の話。
あたたかさを知っていると、つめたさを知りたくなる。
自分とはまるで正反対のものに惹かれていく性。
そんなふたりの恋の話。
星とサカナがぴったり重なる瞬間なんてあるような、ないような感じなのだが、きっとサカナが星に近づいて泳ぎ、寄り添っていくのだろう。
恋愛って、何にせよ、そんな感じだと思うのだ。
それをとても上手に、物語へ昇華し、瑞々しい文章で表現している。
ありふれているものをありふれたものにしない、その豊かな感性に感嘆を覚える。
つめたくて、あたたかくて。
きれいで、きたくなくて。
やさしくて、いじわるなことばで、私の心を刺す。
そう、あっという間に私の中に浸透していき、物語に溺れさせられてしまった。
だいすきで、だけどなんだか少しくやしくて。
だからこそ私は今、もっと多くの人がこの物語に、恋に、溺れてしまえばいいのにと、この文章を書いている。
紙の本
すごくよかった。
2017/01/16 10:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:黄龍 - この投稿者のレビュー一覧を見る
優太郎の本田への片想いから始まって、両想いになるまでの話が丁寧に書かれていて良かった。本田が恋を知ってから、カップルになるまでのちょうどあんな感じの展開は凄く好きだな。巻末SSの本田視点の話が面白かった。独占欲丸出し(笑)本田に嫉妬させるような事を言われても正論で言い返す大人な優太郎はかっこいいな。余計に本田が子供に見える(笑)この本を読んで、朝丘 戻さんの他の作品も読みたくなりました。
電子書籍
星に振り回されるサカナ
2022/02/09 15:57
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投稿者:おはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
読者の大半の感想ではないかと思うのですが、大学生の攻めが高校生の受けより子供です。
攻めの大学生が嫉妬して怒り、受けの高校生が勇気を出して「仲直りしましょう」と言ったシーンが印象的です。
イラストが作品にぴったりで素敵でした。
紙の本
繊細でキラキラした物語
2016/02/14 08:52
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投稿者:冬みかん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作家さんらしい繊細な文章でキャラクターが描かれています。主人公は育ちの良さが良く出ていて家族のやり取りなどは微笑ましく読めます。
ストーリーは王道。本編が終わった後の番外編のcpの会話のやり取りが中々リアリティがあって楽しめました。
紙の本
ろくでなし攻め×素直高校生受け
2017/04/01 16:47
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投稿者:沢田 - この投稿者のレビュー一覧を見る
予想以上に受けの高校生優太郎が素直で健気な性格をしていました。
優太郎の切ない片思いにジーンときました。
攻めの本田が4歳年上なのに、内面がお子さまで拗ねたり嫉妬したりでオイオイでしたw
面白かったです。
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王道のBLだなぁ、とりあえずクッション殴りたいなぁ、というのが読みながらの感想。
若干世間ずれしてくるくらいに純粋で健気で一途でまっすぐ、人を好きになる事の身勝手さを自覚してぐるんぐるん悩み続ける優太郎と、そんな優太郎にどうしようもなく惹かれて翻弄される本田さんが面倒すぎて可愛すぎた。
しかしまぁここまで人の心に敏感で思慮深くてすれてない高校生が居るかなぁという気は無きにしもあらず。(だから本田さんの心を鷲掴みにしちゃったんだよね、というのは分かるんですが)
本田さんは女好きなわけじゃなくて、寂しがりで来る者拒まずなだけで、本当に欲しかったのはひたむきに自分を求めてくれて安らぎをくれる相手だったんでしょうね。本当に欲しいものをくれるのは優太郎しかいなくて、それに気づいたことで我儘で子供っぽくて独占欲が強く嫉妬深い、そんな自分の本能を剥き出しにしていったのかなと。
愛情を知らなくてぽっかり心に穴の開いた年上が純粋な思春期の男の子の真っ直ぐさな思いに絆されてのめり込んでいく構図は「あめ~」と同じパターンではありますね。
両片思いのもどかしさ、恋する苦しさ、両思いになってから尚続く、甘やかな息苦しさ。人の感情を穏やかに見つめて詩的な淡く繊細な言葉でそっと拾い上げていく文章が心に染みわたりました。
葛西さんのイラストが雰囲気ぴったりで穏やかで優しくてとても好きです。二人とも本当に可愛い。
本田さんのライバル【Kaze】のマスター浅木さんはカラス~からの続投(?)ですね。葛西さんの挿絵でなるほど、こんなダンディなおじ様だったのねと。
しかしいくら優太郎が可愛いからって距離を詰め過ぎじゃないだろうか、シヅキに言いつけるぞーって複雑な気分になりました。笑
味を出し過ぎな恋のアシスト係・ハルちゃんと愛しの薫の関係も色々気になります。(過去に朝丘さんのサイトにスピンオフがあったとか……?)
全体的に朝丘さんらしく恋する喜びと切なさが綺麗に切り取られてはいるのですが、優太郎がいくら可愛いからってみんなベタベタに構いすぎなんじゃないかとか、居酒屋で堂々みんなの前で告白しちゃうのはいいのかとか、人間関係がやたらと密接過ぎるのは気になります。
いい人しか居ないファンタジーとして楽しめばいいのかな? とは思いつつちょっとそこは気になるかもしれない……。
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うーん、やっぱりわたしには相性が合わないのかも。これはイマイチだと感じてしまった。朝丘戻。は大当たりすることがあるのでなんとなくいつも買ってしまうが、設定は全然違うのに何故か同じような感じであまり印象が残らないことが多い気が。気のせいかな。私の趣味に合わないだけで、好きな人は好きなタイプの本だとは思う。絵がきれいだった。
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朝丘作品2つめ。
うーん、優太郎くんがお約束的におニブなのですが、それ以上に本田さんも鈍いなと思いました。自分自身の感情に対して。
女の子と付き合えるふつうの男の子なら、どんなに相手が可愛くてからかってやりたくなったとしても、弟分にそう何度もキスしたりしないだろ…
と、突っ込みながら読んでしまいました(苦笑)
だから、本田さんの中では、きっと最初に会ったときから優太郎くんは何かが特別だったんだろうな、という都合のいい解釈←
複雑な生い立ちもあって他人にも自分にも素直になれない本田さんが、子供っぽい嫉妬心や独占欲を持て余してぐるぐるしてるのがかわいかったです。
優太郎くんは気遣い屋さんってのもあるけど、本田さんのそういう気性の激しさにけっこう振り回されてた気がする(笑)
最終的にはお互い素直になれてよかったね、という心温まるBLでした。
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再読。モテモテでセフレとかたくさんいるけどちゃんとした恋人をつくらないバイト先の先輩(大学生)×真っ直ぐでピュアだけど芯のある高校生。攻めがかっこよくてずるくてやさしくてかわいくて、受けが純粋でキラキラしてて、まずキャラの魅力がすごい。そして攻めのかっこよさにドキドキする。すれ違いの切なさもある。控えめに言って最高だとおもった。萌えるし雰囲気もあるし、朝丘戻さんのこういうのもっと読みたい。
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つかみどころのない、そして複数の女性と同時に関係を持つことに
抵抗のない攻めと、星が大好きで純粋すぎるほど純粋な心を持つ受けのお話です。
たぶんこの作者の文章の長所が一番出ている作品ではないでしょうか。
とにかく雰囲気も文章も透明感があって綺麗。
イチャイチャしてるときは読んでるほうも幸せになる。
切ない場面はじわじわと胸がしめつけられていく。
もし作者の作品を一度でも読んだことがあり、
それを少しでも気に入られたのでしたら
この作品もきっと購入して後悔はなさらないはずです。
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イマイチ盛り上がりに欠けますが、いい作品でした。
本田さんの性格が非常に面倒ですが、優太郎君と一緒に成長していくといいな。
個人的には、二人のよき(?)相談相手になってくれたハルちゃんが好きです。
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★4.5
キュンときた!挿絵もかっこいいし話も切なくも繊細な感じ。続きがあればよみたいなって思える。そしてほっこりした。
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読み終えて、すっかり優しい気分になりました。
愛されて育った子供はその愛情を自然に周りに降り注げるし、そうでない方は歪んだ愛で身体だけ繋いでしまう。愛なんて信じていないから。
高校生の優太郎は望遠鏡を買う為に「潮騒」というレンタルビデオやでバイトをしている。ちゃんとお金を貯めて今年一杯だけでやめると親と約束をして。彼は、優しいです。今時の高校生みたいに居酒屋で飲んだり悪いビデオをみたりしません。とても新鮮な初々しい青年です。
そんな彼が憧れているのは大学生で女たらしの本田君。優太郎とは正反対で、彼は家庭の事情から叔母夫婦に育てられたのだけれど、叔母達に優しくされればされる程辛かったらしいです。
ある時、優太朗が星が好きだという事を一緒に話す機会があって、
普通に聞いてくれた事で優太朗の過去のトラウマが消えていくんです。
そこから段々と優太朗の本田への気持ちが高まって行くのですが、何しろかっこいいので女にもてるし、身体だけでいいならと簡単に寝てしまう訳で。恋愛欲がないそうです。
二人の気持ちが近づくけれど、男同士という事や本田の元カノの事等色々背景にあるので直ぐには気持ちが通じ合いません。
そのもどかしさもお互いを大事にしあっているからなんだろうなと思えば、直ぐに身体だけを求める関係よりもより深い所で結びついている様な気がしました。
途中からバイトに加わったハルさんのおせっかいぶりも功を奏しています☆彼は作家、らしいです。
朝岡さんのお話は春の雨のように柔らかく心に沁みてきます。
とても大好きなお話♫〜
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優太郎ははじめかわいく思えたけど、最後のほうは悶々としすぎていらついてくるな。本田さんも年下に言葉を求めすぎというか・・・あまり年齢差が感じられない組分わせかも。
「夜のサカナ」までが好きかな。優太郎を困らせて楽しんでるところが好き。イタズラ?でキスした時とか。
最後はただのバカップルにしか見えん。本田が子供なのが少し残念。最初は大人な感じだったのになあ。
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思わず表紙買いをした一冊。お互い想いあっているのに言えないもどかしさ。
本書を読んだあとHPの番外編を読むと、本田さんの可愛さがあとからじわじわくる!もう一度読み直そうかな。
星を4つにしたのは、最後の短編を読まないと本田さんの気持ちが理解しづらいように思うので、もっと過去に言及するか本田さん視点を増やしてもよかったのではないかと思います。
というより、本田さん視点のほうがおもしろかったのでもっと読みたかっただけかも。