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ニューベリー賞オナー作。
良妻賢母が求められる時代、11歳のキャルパーニャはおじいちゃんと一緒に科学の実験や観察に明け暮れます。
女性の自立がなかなか理解されない部分は現代の日本にも少なからずある。
種の存続という観点からすると、やはり女性は子供を産み育てる義務があるとは思う。
が、それが果たして正しいのであろうか?
と、考えてみて結局ようわからん。
とにかくこの小説は面白かったです。色々考えさせられる。
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キャルパーニアは7人兄弟の真ん中で、たった一人の女の子。ある日、バッタが2種類いることに気づき、変り者の祖父にその理由を聞きにいった。「自分で解決できると思うがな」と言われて、バッタをよく観察してみると…わかった! 身の回りの生きものへの興味を博識でユニークな祖父とともに伸ばしていくキャルパーニア。女の子だって科学者になれる?
自然の中の生き生きとした暮らしと、ユーモアたっぷりの文章でたのしく一気に読んでしまう。
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2010年ニューベリー賞オナー賞。舞台は1899年のテキサスの田舎町。アメリカ南部にはまだ奴隷制度が残り、女性は選挙権を持たず、家庭に入り良き妻になることが求められました。そんな時代、12歳の少女キャルパーニアは家事よりも「科学」に魅かれていきます。七人兄弟のただ一人の女の子のため、母や周りの人からは「良い女性」に育つよう期待され、しばしば彼女は悲しくつらい思いをします。そんな中、変り者(と皆から思われている)の祖父と「共同研究者」になり、キャルパーニアの科学への目が開かれていきます。図書館でダーウィンの種の起源を貸してもらえなかった時や家族に科学の素晴らしさを理解してもらえなかった時の憤り、祖父に本を貸してもらえた時や新種を認められた時の驚きや喜び。キャルパーニアの気持ちがそのまま自分自身の気持ちと重なって主人公と一緒に読み進めました。心の描き方がとても細やかで好きです。「安全に到着するより、心の奥に希望を持って旅する方がいいということだ。」「成功を祝う喜びより実験が終わる悲しみのほうが大きいということに、必ず気づく」という祖父の言葉が印象的。そして大みそか、1900年に変わる家族団らんのシーンと新年、一面に積もった雪を踏みしめるキャルパーニアのシーンが印象深く、好き。読むのに時間はかかったけれど、読後感がとても爽やかで読んでよかったです。女の子におすすめです。
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冒頭の、煮えたぎるような夏の描写が印象的な物語。
クーラーはなく、暑くなったら川で水浴び、そんな時代。
少女キャルパーニアが、おじいちゃんと一緒に
野原を歩き回り、センス・オブ・ワンダーに触れていく
毎日が描かれています。
女の人が必ずしも生きたいようには生きられなかった時代。
キャルパーニアは悩みながらも,自分の進む道を探し続けます。
道は険しそうだけど、きっと大丈夫。
そう思わせてくれる作品です。
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「おじいちゃんと一緒に虫取り網や顕微鏡を持って野原を歩き回り、昆虫や植物を採ってきて、図鑑で種類を調べ、標本にして保存しておく。そんなことが大好きなのが、この本の主人公です。そして、この主人公は12歳になりかけの、11歳の………女の子です。おや。えっ!とびっくりした人がいましたね。女の子がそんなことをするのはおかしい?けど、そんなことをしているこの主人公の女の子はとても楽しそうです。どうしてバッタの色が違うのか、どちらが生き残りやすいのかを研究したり、おじいちゃんが研究方法について色々と教えてくれたり。そう、このおじいちゃんもまた良いんですね。主人公を子供扱いせず、教えつつも、対等の相手として一緒に研究をしています。けど、この物語、楽しいだけじゃないんですね…実は…あ、ここから先は読んでから。生き方とか、人生とか、将来とか、そういう深いテーマもある物語です。」
1899年という、まだ女性の自立が許されなかった時代。そんな時代に生まれた少女が、自分の生き方を他者に決められない、人生の自由を考える物語。いや、考えるなんて生易しいもんじゃない。主人公にとってはそれは「生きるか死ぬか」の問題です。自分の好きな、自分で選ぶ、自分が「生きたい」思う人生の時間を過ごしたい。この時代の「女としての生き方」を押し付ける周りの大人に、主人公は絶望感すら抱きます。しかし、一方で、自分自身に自由を選び生きて行くだけの力があるのか、そんな生き方ができるのかという不安もあり、自由と不自由の狭間で主人公は葛藤します。この葛藤はこの時代設定の中で生まれ出づるものではありますが、しかしその真に迫る姿はその時代すら超越して、読み手の生き方にまで食い込んでくるようです。果たして主人公がこの物語のなかで、最終的にどのように人生を踏み出して行くのか。それは読んでのお楽しみ。
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女は家庭で家事、男は力仕事が普通だった1899年の米国。ダーウィンの進化論が発表され、世間を二分していたころ。11歳のキャルパーニアは3人の兄と3人の弟に囲まれたただ一人の女の子。良妻賢母を良しとする母や学校生活に反発しながらも、同居する元大尉の祖父はキャパルーニアの興味の向くところを理解してくれていることに安堵をおぼえている。
祖父の博物学を手伝いながら、自分のアイデンティティーを確立していこうともがくキャルパーニア。世の中の「普通の女の子」という概念に抵抗する彼女と、後ろから彼女を見守り、自分のパートナーとして信頼する祖父の姿がすばらしい!
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20世紀を目前にしたアメリカ。ほとんど12歳の少女、キャルパーニアが科学に興味を持ったことで揺れ動く家族の形。
変人と思われている祖父を導き手に、キャルパーニアが科学にのめりこんでいく姿が実に生き生きと描かれている。
19世紀末。女性には参政権もなく、ただ良妻賢母であることが求められた時代、女性がしなければならないことに価値を見出せない少女の自立物語として読み、いつしか彼女を応援している自分に気がつく。
児童文学なので頑張っているキャルパーニアにはちゃんとご褒美が用意されている。
そしてラストは彼女の行く先を暗示するかのような展開になっているので、なんだか胸が詰まってしまった。
この本を手にした子供たちがキャルパーニアのように世の中の価値観に囚われず自分の夢の道を進んでいくことを心から祈る。
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(No.12-9) YAです。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『1899年、新世紀を目前にしたテキサスの田舎町。
11歳のキャルパーニアは、変わり者のおじいちゃんの「共同研究者」となり、実験や観察をかさねるうち、しだいに科学の面白さに引かれていきますが・・・。』
キャルパーニアは、百年前のテキサスでとても恵まれた家庭で育っているといえるでしょう。裕福な家庭で、料理人やメイドなどがいて、7人きょうだいの真ん中のただ一人の女の子でも家事をする必要がないのですから。
必要がなくても、もっと早くからお母さんにくっついて料理や手芸を始めているのがこの当時の普通の女の子でしょうが、幸か不幸か男の子が6人もいる家庭では毎日大混乱。お母さんはたった一人の女の子、キャルパーニアのその方面に気を配るのがおろそかになっていました。手芸や料理に関心がなく、する必要がなかったキャルパーニアの腕前に、というか腕前のなさに気がついたお母さんは愕然としたでしょう。
そのことに気がついたときには、すでにキャルパーニアはおじいちゃん譲りの博物学に関心を持ちどっぷりつかっていました。
博物学の面白さに目覚めてしまったキャルパーニアに、何とか普通の女の子のやることを教え込もうとお母さんは頑張ります。
このお母さんは、とても良い人だと思います。使用人に対しても大らかな態度で無理なことはさせず、決めた報酬だけでなく時にボーナス的なものもプレゼントしたりしてます。
両親は子供たちを平等に扱うようにしています。でもやっぱり女の子と男の子たちは扱いが違うし、男の子の中でも長男は少し違うようです。これは百年前のテキサスに限らず、いつの時代でもそうなんでしょう。
あまりたちの良くない女の子に引っかかってしまった長男に対してのお母さんの態度は抑制されて立派でした。バカだな~長男って思ったけど、おじいちゃんおかげでなんとかなりました。普段は浮世離れしているのに、おじいちゃんは頼れる存在だわ、良かった!
この小説では12歳になる前後のキャルパーニアしか描かれていないので、彼女が今後どうなるのかは読者に委ねられています。
キャルパーニアは、おじいちゃんと付き合う中で自分が何をしたいのかだんだん自覚していきますが、いつの時代でもどの社会でも、やりたいことと出来ることにはギャップがあります。
女の子のキャルパーニアが博物学を目指すのは容易ではないでしょうが、では男の子に生まれていればどうだったでしょうか。
男の子であるハリーだって、両親に期待されていることと違うことを考えているみたいだけれど、それを言いません。
気持ちの優しいトラヴィスも、いつか自分の手で飼ってきた動物を殺さなければいけなくなるでしょう。
他ではもっとひどい扱いを受ける可能性を知っていてこの家で働けることを喜び、毎日毎日料理をし続ける使用人のヴァイオラ。
私は、賢いキャルパーニアはこれからいろいろなことをもっともっと知って、現実と折り合いながら夢の実現方法を探っていくだろうなと思いたいです。
おじいちゃんだって博物学三昧の生活をするようになったのは、工場を息子に任せて隠居してからなんですから。
とても気持ちの良い家族の物語でした。読んで良かったです。
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好奇心いっぱいの元気な女の子が、科学の面白さに目覚めて、素晴らしい発見をしていく物語です。家族とのつながりの大切さや、自分らしく生きることの難しさを考えさせられます。将来、科学者になりたいと言っている子どもに紹介したい。
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進化。
人も進化する。
一人の人間として進化していく。
自分が何をしたいのか、何になりたいのか。
いつまでも変わらないと思っていた世界も、すこしずつ、だが確実に変わっていく。
私の進化のその先は、一体どんな姿だろう。
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今年の課題図書の中では一番良いのではと思う。
11才の女の子が自然科学に興味を持ってワクワクしながら毎日を過ごすようになる過程がイキイキと描かれつつ、一方で19世紀末の「女の子は家庭的能力を身につけてお嫁に行くもの」という価値観と自分の興味とのズレに対する悩みや葛藤も描かれているところが面白かった。
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少女が、科学的なものの見方を知る瞬間が見られる。
漠然とした興味のなかにちりばめられたさまざまな種が芽吹いてゆく姿をみるのは快い。
ものを観察し、仮説をたて実験を試み、結論を導き、それが正しいか確かめることに注意深い12歳の少女なんているかしら?
この見方を祖父から与えられてから、兄弟や親、さらに自分についても観察ができるようになり、成長が加速していく。
しかし、時代の流れには逆らいきれず、その当時には当たり前の女の子の義務が次第にのしかかってくる。
自分の人生を生きたい、というのは当たり前だと思うけれど、それが許されないことが驚くほど多いのね。
知らないことで幸せな家政婦に対して、ダーウィンを知ってしまったことで女の子であることが辛くなったキャルパーニアは、どちらが幸せだと思うか?きっと知っている自分が幸せだ、と言うだろう。
クライマックスで、植物に名前が付けられた。なんと幸せな夏か。
普通から逸脱することを、わがままなことと捉えられるのは辛いことだ。
なんとかして好奇心と共に生きられないものか?
しかし図書館的にすまんかった、と思う。¨道徳的¨であることが優先された図書館というのも考えものだ。
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女性の社会進出がままならなかった時代。大学にいって何かを学ぶことさえ贅沢と言われていたんだなって、自分はなんて恵まれているのかなって思った。
ダーウィンの種の起源も読みたくなった。
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読書感想文の課題図書なので読みました。
テキサスの自然や、その中で成長してゆく主人公の少女・キャルパーニアの姿が生き生きと描かれています。親友の女の子について、鼻の頭にいつも汗の粒が浮かんでいるのが不思議・・というくだりがあるのですが、分かる! と思いました。そういうちょっと気になることって、言葉にはしないけれど、子どものときいっぱいありました。
しかしキャルパーニアの気性の激しさには、どうも共感できません。
お兄さんが家に彼女を連れてきたり、きらいな手芸をさせられたりしたときなど、気に入らないことがあったときのイライラぶり。
でも『赤毛のアン』とか『風とともに去りぬ』とかも、あんなだったかかも。
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1899年,テキサスで暮らす11歳の女の子~キャルパーニャ・テイトはテキサスの農場に暮らす11歳の女の子で,兄3人・弟3人に囲まれている。祖父の代から始めた綿花栽培と綿花工場で裕福だが,大人しくはない。バッタを捕まえて不思議に思い,兄弟達が避けている祖父に尋ねると自分で調べるように指示される。祖父は書斎にいるか,裏の小屋で実験をしている以外は,捕虫網を持って川に標本を獲りに行く。コリーは夏の間,祖父の助手のようになって,観察・実験に付き合い,著者から貰った種の起源さえ貸してくれるのだ。母は女らしく裁縫や料理やピアノを習わせたいのだが,コリーは自分に向いていないと嫌っている。川から戻る途中のアナグマの巣の近くで見つけたベッチを祖父は新種ではないかと写真を撮り,ワシントンのスミソニアン博物館に送った。兄の恋愛騒ぎがあり,コリーの親友に自分の兄弟が同時に恋をし,品評会に出した刺繍は出品者3名だったため,3位となり,感謝祭の七面鳥騒ぎやクリスマスのお祝いが過ぎて,祖父の許に電報が届いた。大晦日,コリーが書いた来年の願いの中に,見たいものを挙げていくと,1月1日のテキサスの朝は雪に覆われていた~頑固そうで,家族から恐れられているおじいちゃんが実は理解のある人で,前々世紀末の少女の未来は拓かれていきそうな予感がする