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商品説明
トンネルを抜けたら、ガードレールの切れ目をすぐ左折。雑草の生える荒地を進むと、小さな岬の先端に、ふいに喫茶店が現れる。そこには、とびきりおいしいコーヒーとお客さんの人生にそっと寄り添うような音楽を選曲してくれるおばあさんがいた。彼女は一人で喫茶店を切り盛りしながら、ときおり窓から海を眺め、何かを待ち続けていた。その喫茶店に引き寄せられるように集まる人々—妻をなくしたばかりの夫と幼い娘、卒業後の進路に悩む男子大学生、やむにやまれぬ事情で喫茶店へ盗みに入った泥棒など—心に傷を抱えた彼らの人生は、その喫茶店とおばあさんとの出逢いで、変化し始める。心がやわらかさを取り戻す、感涙の長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
妻をなくしたばかりの夫と幼い娘、進路に悩む男子大学生、やむにやまれぬ事情で盗みに入った泥棒…。心に傷を抱えた彼らの人生は、岬の外れにたたずむ小さな喫茶店と、店を一人で営むおばあさんに出逢うことで変化し始める。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
森沢 明夫
- 略歴
- 〈森沢明夫〉1969年千葉県生まれ。小説、エッセイ、ノンフィクション、絵本と幅広い分野で活躍。「ラストサムライ」で第17回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に「津軽百年食堂」など。
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紙の本
岬の喫茶店でのやさしい出会い
2012/07/28 11:48
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の表紙を見て、いいな~と思いました。
こんな喫茶店、世界のどこかに、いや日本のどこかにきっとある。「あ、うちの店が表紙になっている」ってオーナーの方、きっといらっしゃるだろうなぁ。
以前読んでいたく感動した「津軽百年食堂」や「海を抱いたビー玉」の森沢明夫さんだったので、はじめっから期待してました。期待以上、でした。
胸に思い描いたある風景を見たいと願い何十年、この岬で喫茶店を営んでいる初老の女性・悦子さん。彼女のコーヒー、そうして彼女の選ぶBGMに魅かれて、足しげく通いつめる人もあれば、偶然にもたどり着いた人たちも…。それは妻を亡くしたばかりの夫と小さな娘だったり、オドロキの泥棒さんだったり、悦子さんへの想いを秘めた常連さんだったり、はたまたある夢を秘めた中年男性だったり…。眺めの良い岬の喫茶店でのやさしい出会いを集めた連作短編です。
一つひとつのお話が、美味しいコーヒーの香りをつれて、悦子さんのさりげない優しい言葉と共に進んでいきます。
「人間って、生きているうちに色々と大切なものを失うけど、でも、一方では『アメイジング・グレイス』を授かっているのよね。そのことにさえ気づけたら、あとはなんとなかるものよ」
「間違いを犯す自由が含まれていないのであれば、自由は持つに値しない~ インドの民族運動の指導者だったガンディーの言葉なんだって。素敵でしょ。」
「過去を懐かしむことが出来るってことは、あなたたち二人はきっと、いまの自分自身をちゃんと大事に思えてるってことだと思うわ」
悦子さんの言葉が、お客さんの心に小さな灯と灯すようで、読んでいてなんとも心地よい感じ、です。
お客さんとのエピソードのほかにも悦子さんが語る亡き夫との思い出話、偶然出くわした白い犬の話などなど…、彼女の嬉しさと悲しさと寂しさにいくども心打たれながら、読み進めました。
さてさて、悦子さはこの岬から見たいと思い描いた景色を見ることができるのでしょうか…。岬から見える風景の描写、まるでその場にいるような錯覚さえ覚えました。春夏秋冬、どの季節もよかったな。