紙の本
ノーベル賞受賞の山中伸弥教授のiPS細胞研究や今後の応用のことまですべてわかる一冊です!
2020/02/20 09:05
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ノーベル賞受賞で一躍有名になった京都大学の山中伸弥教授らによるiPS細胞という、人体のどのような組織や臓器をも作り出すことができる万能細胞の開発について、その研究内容や成果などを詳細に、かつ分かりやすく解説した一冊です。内容は、「山中伸弥ストーリー」、「リプログラムへの挑戦」、「ヒトES細胞をめぐる論争」、「国内の研究体制」、「特許のゆくえ」、「応用への期待」、「応用への課題」、「さまざまな万能細胞」、「ハーバードに見るアメリカの強さ」、「山中伸弥・京都大学教授インタビュー」となっており、非常に読み易く、理解しやすい記述となっています。同書を読むことで、山中教授の研究、iPS細胞の素晴らしさがよくわかります!
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一言で言うと、この本は理系の本じゃなく、文系の本。
iPS細胞について多少科学的な話は書いてあるけど、iPS細胞を取り巻く、政治や宗教や特許や産業に関する話題がメイン。
ドリーやES細胞やiPS細胞を最初に作るのはスゴい。
けど、その後の関連研究の論文投稿競争みたいになってくると、別にその人がいなくてもそのうち誰かが発見するだろう的な研究は疲れそうだね。
それにiPS細胞もまだいろいろ問題があるし、臨床も応用もまだまだという現状では、ノーベル賞最有力って言われると、いや今はまだどうかなぁ?って状況な気がする。
それにしても生命の神秘はスゴいし、この分野は今、面白すぎるだろ。
ps.
真面目な本なのに、なぜか2箇所もピノコの話が出てくるのがワラタ。著者もピノコ好きなのかな?
でもよくよく考えてみると、iPS細胞とピノコって実はかなり関連性が高いね、確かに。
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技術的な点はほとんど記載がなく、iPS細胞の意味、今後の応用、特許をめぐる国際的な戦いなどに焦点が当てられている。
新聞社の科学医療グループによって書かれており、文章は平易で読みやすい。
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古い本だがiPS細胞の説明だけにとどまらず、歴史や世界の研究の現状など多角的に幅広く網羅しており、文章も読みやすい。
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今日本が世界に誇れる先端研究の一つであろう。山中教授には以前から注目してきたが、是非ノーベル賞をとってほしい。
山中教授の人生も決して順風満帆でなく、臨床医を目指して、挫折し、研究者の道に進み、見事花開いたという経歴の持ち主だ。
理系離れの日本にあって、理系を目指す学生たちの憧れの対象になってほしい。
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iPS細胞(induced pluripotent stem cell)とは、多機能な幹細胞のこと。
多機能な細胞を考えるとき、受精卵から細胞分裂が始まった直後の細胞だと考えればイメージしやすい。
一つの細胞から、細胞分裂を繰り返し、次第に人の形になってゆく。
初期の細胞は、足にも、手にも、顔にも、神経にもなりうる機能を持っている。これが「多機能な細胞」。このように、細胞がある目的にあった形や機能を持つように変化していくことを「細胞の分化」という。
この多機能細胞は、幹細胞という細胞から分裂して生じる。
幹細胞が分裂し、幹細胞と多機能細胞に分かれ、多機能細胞が分化し、特定の役割を果たすようになる。という仕組みだ。
そもそも細胞、というか、細胞の核たるDNAにはその全ての情報が入っている。だが、皮膚の細胞は突然神経細胞になることはない。仮に心臓でそんな事が起こったとしたら、ヒトは生きていられない。分化した細胞のDNAは、例えどの機能の情報を持っていたとしても、一度役割が決まったらブレないように厳密に管理されなければならず、ヒトの体はそうできている。
一方で、もし何にでもなる細胞が無限に手に入るとしたら、なにを考えるだろう?
iPS細胞の生みの親である山中伸弥教授は、「再生医療とは一言でいえば移植医療」。と多機能細胞の医療適用に前向き。
(巻末インタビュー抜粋)
一方、日本の科学や医療に対する意識と取り組みレベルの低さを憂うコメントもあった。第9章には、日本はアメリカや他国に対し「1勝10敗」している。「研究者がふがいないと思っている」とある。
私には研究者が不甲斐ないかどうかなど分からないが、
一般人の知識レベル、意識レベルは先進国の中では底辺なのではないか。少なくとも私は自戒せざるを得ない。
一般人の科学に対する理解の高まりは、行く行くは日本の科学力の向上につながるはず。
これからの再生治療に大きく期待させられたと感じさせる本だった。
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本書が出版されたのは2011年8月。ノーベル賞をとる前のことです。
ノーベル賞で騒がれる前から,新聞などで取り上げられていiPS細胞でした。こういうことも珍しいですね。
日本の基礎科学の研究者たちのおかれている立場が,アメリカなどと競争する時に如何に不利かということが,よくわかりました。そんな中で,成果を上げてきた田中伸弥教授たちはたいしたものです。
万能細胞研究の歴史もよくわかります。
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発見から10年、当時の概要がわかりました。山中教授が、iPS細胞の作製を発表してすぐに、世界中でし烈な競争が始まりました。山中教授のすごさをあらためて感じました。教授は、最近は、開発のかじ取りとしての仕事も多いようで、しかも、そちらの才能もあるようです。実際の、成果はどのようなものがあるのか、知りたいです。
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iPS細胞とはどんなもんか?
・どんな器官にも成長できる万能細胞
・失った、問題のある器官が再生できる治療の可能性がある
・自分の組織からiPS細胞を作るので拒否反応がない
・疾患のある患者のiPS細胞から病気のメカニズム、薬の開発に役立てる
・従来の万能細胞であるES細胞は受精卵から製造するので倫理問題があった
・4つの遺伝子操作で細胞を初期化できる
・遺伝子操作はウィルスによって運び込まれる
・よってガン化するリスクがある
・発明は特許競争である
そんなもんでした。
上記の理解が正確なものかは保証しません。
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1勝10敗。この言葉に日本の研究環境の現状がよく表れていると思う。日本は基礎研究が軽視されているし研究者の待遇が悪過ぎる。この分野でこのまま日本がリードできるか本当に危うい状況だ。
CiRAには研究や臨床応用の実績だけでなく、こういった日本の研究環境改革のモデルケースとなって社会全体に波及効果をもたらすことを大いに期待する。
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iPS細胞とは(induced pluripotent stem cell)であり、多機能な幹細胞のことである。実際のiPS細胞のことを掘り下げるよりも、発見までのいろいろな研究の歴史、研究を指揮した山中先生の話が多い。100個以上の中から特定の4つを見つけ出すストーリーなどは面白かった。
受精卵から作るES細胞に比べて、iPS細胞は生命倫理学的観点からも、宗教的にも受け入れやすいだろうし、アメリカの選挙の争点にもなったそうなので、今後も注目される。
また、特許等、世界の中で完全に日本が進んでいる訳ではないので、今後とも競争の中でやっていかなければならない。
山中先生のアメリカ留学のVW (Vison & hard Work)が必要だとというのが印象的だった。日本は基礎科学の認識が弱いので、今後とも注していきたい。
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タイトルからすると、iPS細胞について掘り下げるような印象を与えるが、基本的な説明をした後は、山中氏の事やiPSを取り巻く環境に触れた部分が多い。ES細胞をめぐる論争や、特許の話は面白かった。一方、新聞記事からの流用部分があったり(これはしょうがないか)、社説からの引用があったり、筆者が明示されていないのに「私」があったり、そこらへんはちょっと興ざめ。
整形外科の新米医者だった山中氏が、他の医者が10分や20分で終わる手術が1時間もかかっていたという。よくぞ研究者の道を歩んでくれた。実用化の道が見えてくれば、間違いなくノーベル賞ではないだろうか。
幅広い読者に向けた初歩的な本なのに、ついて行けない部分があった。こういった分野の弱さは深刻と思い知らされた。
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iPS細胞や、ES細胞の歴史と研究を取り巻く環境、国際競争のあり方について書かれた本。そこまで詳しい本でもないが、このくらいの知識があるだけでも、iPS細胞をめぐるレベルの低い誤報を出すことはないだろうと思われたし、改めて日本人の科学に対する理解の低さを感じた。
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iPS細胞は勿論、ES細胞やキリスト教が絡んだ件は興味深く読むことができました。
キリスト教からの倫理観は馴染みの薄いものですが、分かりやすく説明されていました。
また、ただただ研究に没頭すればよいというわけではないことも( ̄∇ ̄*)ゞ
日本の研究環境が改善されることを願います♪
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マウスの皮膚細胞に4つの遺伝子を導入して培養するだけで初期の受精卵のようにいかなる細胞へも成長しうる、ES細胞のような万能細胞ができることを山中教授は発見し、これをiPS細胞と名付けた。iPS細胞は受精卵を壊して核移植をして作るES細胞とは作成方法が異なり容易であるとともに、倫理的問題も回避される。理論的には筋肉や骨、心臓など、どの細胞にもなりうるが、傷ついた臓器にiPS細胞を移植し再生をはかる、などの治療法には解決すべき問題も多くまだまだ実現しそうにない。目下の活用法は製薬などのスクリーニングに用いることのようだ。またiPS細胞の技術がアメリカ等の他国に追い越されることも危惧しており、特許取得等の戦略的戦いにも勝利しなければならないが、それはなかなか容易ではない。