紙の本
「不都合な真実」のトンデモな嘘を暴く、好都合な名著
2011/11/21 21:21
9人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sheep - この投稿者のレビュー一覧を見る
クライメート・ゲートという言葉、お聞きになったことがあるだろうか?
ウォーター・ゲート事件という、ニクソン大統領が、任期中の辞任を強いられることになった有名なスキャンダル事件の名前をもじったものだ。そういう名前がつけられるほど胡散臭い事情が、気候温暖化問題にはあったのだ。
石油・石炭・薪等の使用のおかげで、大気中の二酸化炭素が激増し地球は温暖化してしまうと喧伝されてきた。その排出削減のため、日本は膨大な支出・努力を強いられている。
このクライメート・ゲート、大気中の二酸化炭素激増による、地球温暖化説を主張する国連機関IPCCの報告書に「科学的根拠」を提供してきたイギリスの研究所の内部資料が流出し、温暖化を示すデータの多くが意図的に作られたものであることがあきらかになった事件だ。世界的に、大々的に報じられた。その結果、外国では、「二酸化炭素の増加による地球温暖化」理論を支持する国が減り、各国の政策も、しかるべく転換されつつある。
ところが、このガラパゴス日本では、マスコミ、「二酸化炭素の増加による地球温暖化」という記事・報道はさんざん行ったのに、「二酸化炭素の増加による地球温暖化理論の崩壊」であるクライメート・ゲートについては全く報じない。
知らないのではない。意図的に歪曲しているのだ。「原発推進」国策を推進する為に。
以前、大評判になった『不都合な真実』というアル・ゴアの映画?の話を聞いて、瞬間、うさんくさく思ったものだ。
地球温暖化のすさまじい悪影響を避けるため、解決策として、2010年までに先進国が炭素排出量を30%削減することを目指す「京都議定書」に世界中が賛成すべきだと提案する。アル・ゴア、その功績で、ノーベル平和賞を得ている。
そもそもノーベル平和賞なるもの理不尽な侵略戦争を強化・続行しているオバマさえ受賞している。佐藤栄作も。意味のない子供だましの缶バッジ並の代物。本題に入ろう。
まず、序章、クライメートゲート事件─暴かれた二酸化炭素原因説の陰謀で、この「二酸化炭素の増加による地球温暖化」理論の嘘を、徹底的に暴露している。それは同時に、この嘘を嘘として、きちんと報じないマスコミへの、厳しい注文を伴っている。産業革命以来、温度が急上昇しているという、いわゆるホッケー・ステッキ曲線は、都合よく改編されたものだった。過去、気温が上昇している時期のことを隠している。
北極に、ワニのような動物がいた時期が、過去にはあったのだ。その当時、人類が、大量の石炭・石油を燃やしていたはずもないだろう。
続く、第一章、「気候変動はどうして起こるのか」、素人にとって本当に目からうろこ。
二酸化炭素と気温の関係は、例えば、氷河や、南極の氷をボーリングすれば、昔の大気の歴史はわかる。そして、多くの場合、温度の変化に追随して、二酸化炭素の濃度変動はおきていた。ここで、順序が、逆ではないところが重要だ。二酸化炭素の濃度変動に追随して、温度が変化していたのではない。二酸化炭素は、気候変化の原因であったとは言えない。
そして、地球の温度変化の要因。
低層雲が多くできれば、地球に入射するエネルギーが減少し、温度は低下する。
低層雲があまりできなければ、地球に入射するエネルギーが増加し、温度は上昇する。
地球を覆う雲の60%は低層雲だ。低層雲は、宇宙線強度が高まると増え、強度が下がれば減る。
そして、その宇宙線強度は、地球の、太陽系の、銀河系の渦状腕に対する位置によって、大きく変化する。地球・太陽系が渦状腕の中にある時には、超新星爆発に遭遇する可能性が高く、平均して宇宙線強度が高くなるので、この時、地球は寒冷化する。生物大絶滅の原因も、宇宙線強度だった。雲そのものの生成過程も興味深いものがある。
ともあれ、人間が使う燃料による二酸化炭素ではない原因・自然要因が主な理由で、平均気温は上昇・降下するということのようだ。
IPCCの説は、その点、そうした発見と、真っ向から対立する。IPCCの気温予測は、スーパー・コンピューターを用いて行われたものだという。しかし、コンピューター・シミュレーション、パラメーターの設定次第で、結果はどうにでもなるのだ。これは、今話題の原発稼働にかかわるストレス・テストも全く同じこと。また、都会の人々が感じている、急激な温暖化は、地球温暖化ではなく、ヒートアイランド現象によるものなのだ。
IPCCの人為的温暖化プロパガンダに対抗した人々、沢山おられる。「アメリカが京都議定書を批准しないのは、けしからん」のではなく、人為的温暖化論を是としない科学者・政治家達が、理論的に反対している結果だ。彼らの主張すべてを正しいとするものではないが、ひるがえって、日本では、全く逆の状態が続いている。二酸化炭素排出削減こそが、我々の至高の目的であるかのように宣伝・洗脳されている。
政官民一体となって「地球温暖化問題」を騒ぎ立てているのは、日本だけではないかと、赤祖父俊一氏は言う。「エネルギーの無駄を省き、化石燃料をできるだけ子孫に残しましょう」だけで、正確で、役に立つ、立派な大義名文になるのだ。地球温暖化問題で市民を脅かす必要はない、とも。
素晴らしいブログで、IPCCの人為的温暖化プロパガンダに対抗した方々のエピソードは、いかにも現代的で、ワクワクした。
後半の第二章「地球温暖化」から「エネルギー問題」へ
緑藻類によるバイオマス・エネルギーの話は面白かった。
第三章「未来のエネルギー源」では、現状の原子力発電方式とは異なる代案について論じられているが、この話題になると、いくらわかりやすく説明されても、素人に善し悪しの判断は到底不可能。豚に真珠。目を通すだけで精一杯。
第四章「これからどうするか」は、至極妥当な提案だ。
まず京都議定書から脱退すべきこと。脱退すれば、排出権というマヤカシの犠牲にならずにすむ。
そして、温暖化対策費をすべて、災害復興に向けるべきだとおっしゃる。
全くその通りだろう。
折角のお金、わけのわからない目的ではなく、目の前の災害復興にこそ向けるべきだ。
しかし日本は、これから、もう一つの巨大な「横文字」詐欺構造、TPPに、わざわざ飛び込み、永久植民地になろうとしている。著者の折角の提言、実現する可能性は極めて低そうだと思えてならない。
全体的に、「目からうろこ」を絵に描いたような体験をさせて貰った。
帯にある通り、本当に「時間がない。」原発推進という政府・財界・学界・マスコミを挙げての洗脳キャンペーンから脱出するためにも、著者の折角の提言を実現させるためにも、一人でも多くの方にお読みいただきたい名著だ。
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気候変動懐疑論の本。
基本的に科学のトレーニングを十分に受けている人だという印象を随所で受けるにもかかわらず、IPCCの評価報告書の記述に関してはなぜか原文もろくに読んでいないような不正確な記述や批判が多い。それでも武田本などよりいくらかはマシか…
以下で詳細に解説中。
http://d.hatena.ne.jp/sus-edu/
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IPCCは、この気温急上昇が人間活動のもたらした大気中二酸化炭素の増加によるものとして、地球温暖化抑制のキャンペーンを始めた。
IPCCは1988年に世界気象機関と国連環境計画によって設立された国連の組織で、本来、研究機関ではなく地球温暖化に関する科学的、技術的、社会経済的な評価を行ってその知見を世界の人々、特に政策担当者や政治家に伝えることを目的とする広報機関である。
IPCCは第5次報告書を作成することになっている。
IPCCの登場は冷戦終了と同じ時期。
IPCCのモデルは過去100年間の気温上昇をすべて二酸化炭素によるものとしたために、二酸化炭素による気温変化を過大評価することになってしまった。
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二酸化炭素は地球温暖化の重要な要因ではない、その他の重要な問題から目をそらすための施策である。重要になってくるのはエネルギー問題と財政問題である。という説。
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二酸化炭素の増加が地球温暖化の元凶。この理屈の出所と、その過ちを指摘。その議論そのものはクライメート事件の顛末の説明によるところが多いけれど、それを手に取りやすい新書で、簡潔に説明しているという点では、この本は画期的かと思う。詳細は「地球温暖化スキャンダル-2009年秋クライメートゲート事件の激震」が詳しい。
地球の気候変動を、銀河における太陽系の位置づけから考える議論は新鮮。地球温度を左右する最も大きなファクターは雲。雲の量を左右するのは、地球に到達する宇宙線の量。なぜならこれが空気中のエアロゾルの数を決め、これは雲を構成する水蒸気の核となるから。宇宙線の地球への到達量は、これは太陽活動の強弱による。太陽活動が活発であれば宇宙線は太陽磁場にひきつけられ、地球への到達量は減少。雲が減り晴天が続き気温は上がる。その逆もしかり。現在は温暖化の一時的なピーク期間。今後は気温は下がり、2035年頃に一度ボトムが来るだろう。気候変動のプロセスはまだ解析されきっていない。だからこの理論にも適宜修正が加えられていくのだろう。何を信じるかは個人の自由と思うけど、少なくとも人為的な活動で増えた二酸化炭素が悪玉と言われるよりは、よっぽど説得力がある。
===quote===
P146
自然は我々が理解しているものより、はるかに複雑極まりない。IPCCのように自然が全てわかっているとするのは、スーパーコンピューターを信頼しすぎる科学者の錯覚とおごりではないか。(中略)科学の名において、この混乱を収拾できないと、科学そのものの信用と信頼が失われる恐れがある。
===unquote===
国連の下部組織であるIPCCが、地球温暖化ありきで報告書をまとめていること。その結果として排出権取引や原子力発電の建設推進が叫ばれることの事実。その背景には20年前のチェルノブイリ発電所事故による原発建設の欧州におけるブレーキがある。今回の原発事故で、この流れはもう一度、転換を見せるはず。
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2009年、ICPPによる気候変動の資料ねつ造事件、いわゆるクライメートゲート事件から、世界的に「地球温暖化脅威論」への懐疑の眼が広がり始めたのだが、日本のメディアではなぜかほとんどこの事実を取り上げない。そのため、世論としては未だにCO2削減という言葉が呪文のように残っている。
それでも民主党政権のこの体たらくと京都議定書を批准できないことが確実な昨今、「チームマイナス6%」という合い言葉はいつのまにかフェードアウトしているが。。。
ともあれ、先の東日本大震災で福島原発の事故があってから、この温暖化問題は、エネルギー問題へとすりかわった感がある。
自分は環境至上主義に全面賛同するつもりはないのだが、本書はメディアに踊らされずに、地球が、そして日本が直面している現実を考えるには十分な良書であると思う。
少なくとも自分は、世界情勢の駆け引き・政策といった物差しで環境問題すらも扱われてしまうことに、非常に恐ろしさを感じる。
ポスト京都議定書などという滑稽な取り組みを進める前に、もう一度その辺を「ちゃんと」考えてほしいものだ。
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クライメートゲート事件で煽っているところ以外は、丸山茂徳先生と同じくスベンスマルク効果のほうが、二酸化炭素よりも気候変動のドライバーとして大きいという主張。スベンスマルク効果とは、宇宙線量の増減→雲の量の増減→太陽光の反射の増減が、気候に影響しているという仮説。宇宙線量の増減は、大気中の炭素同位体の量に影響するので、千年杉の年輪を調べれば、その年輪の時期と炭素同位体の量に相関関係があることが調べられるという研究を引用している点も、丸山先生と同じ。
二酸化炭素濃度と気温の相関よりも、宇宙線量(の目安になる炭素同位体の量)と気温の相関の方が、高い相関性が見られるから、二酸化炭素よりも宇宙線量のほうが相関性が高いのだという結論の導き方も、丸山先生と同じ。
しかし、その根拠資料の引用の仕方が、それぞれ違う目的の数値データのつまみ食いではないのだろうか。だとしたら、バカを騙す温暖化懐疑論ビジネス学者の武田邦彦と同じ論法だ。
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クライメートゲート事件というIPCCの中心的気候学者によるデータ捏造や学会への圧力等の知的に不誠実な事件の詳細が解説されています。この事件が日本ではまったく報道されなかったことは大変残念だ。
この本では、温室効果ガスによる地球温暖化説の誤りを、宇宙線による低層雲の発生メカニズムや古気象学の成果を説明しながら批判している。
私の理解としては、気温上昇への温暖化ガスの影響はIPCCの想定よりもかなり低く、ヒートアイランド現象や不適切な場所での測温、地球の周期的な気候変動によるものと思われる。
21世紀に入ってから、二酸化炭素の排出量は増えているが平均気温の上昇は減少している。また、地球規模の気候変動により気温が低下する可能性もある。多分、10年後には地球温暖化説は消えてなくなっているであろう。
人類にとって重要なことはエネルギーや石油の効率的な利用である。そのことを考えると電気自動車のようなものはエネルギーロスのなにものでもない。温暖化ガス説のマイナス面を早く払拭することが重要である。
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この本の核は、次世代エネルギー候補の展望である。一読、こんなにあるのかということに驚くやら安心するやら。中でもバイオマスエネルギーが面白そう。スケールからして核融合炉のブレイクスルーが鍵なのかも知れないけど、地球の歴史、構成比から見たら、動物とはしょせん植物に生かされている生命体に過ぎないとも言えそうだ。
(続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/201108/article_12.html
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原発は省CO2、温暖化対策だ、という話をよく目にした。震災後もしばらくはそういう言説が目立っていたけど、いつの間にかコストの話に入れ替わって、そして政治の取引材料の一つとして収斂している。
科学と政治の関係は、この本が糾弾するクライメート事件の渦中の一人、ブラッドレー(謀議の中心ではないようだ)の「地球温暖化バッシング: 懐疑論を焚きつける正体」は、そういう点で面白いが、やはりCO2だけを悪者にしてよいのかという疑問は残る。論争を超えて、とはいうけれど、やはり表と裏のような本である。
ともあれ、最後に著者は、温暖化対策費をすべて災害復興に向けよ、と訴える。僕もそう思う。
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1章の気候変動に関する分析は良い。環境問題への反省も含めて一読の価値はある。
2章以降のエネルギー問題の提言等は、現状においては、必ずしも地に足の付いた議論とは言いがたいが、研究者という立場としては普通の構成だろう。勿論技術的なブレークスルーに過度に依存するのはあまりに危険だが、さりとて枯渇する資源利用に固執しなければならない理由など無いのだから、研究は尊重すべきだ。
もっとも、クライメートゲート事件を通して、学術研究にすらバイアスが大きくかかりうる事が明るみに出た以上、これから環境問題を考えていく上で求められるのは、専門家ではない我々の判断の成熟さかもしれない。
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本のタイトルも副題も穏やかだが、著者はCO2による温暖化原因論を切って捨て、排出削減政策に真っ向から反対している。地球温暖化防止のキャンペーンは、チェルノブイリの事故によって高まった反原発の世論を抑え込むために編み出されたという見解まで示している(p.161)。これらの見解への賛否を差し置いても、本の役割がテーマに関する情報を広く豊富に提供し、わかりやすく整理して説明することであるとすれば、深く頭を下げたいと思うほどの力作。
序章ではクライメート・ゲート事件について説明している。スキャンダルをどう考えるかは信頼の問題だが、科学的証拠では脅威論を支持していないことは重要だろう。気候変動に関する近年の研究の歴史の解説にもなっている。
第1章の気候変動の要因では、ミランコヴィッチ・サイクルによる太陽エネルギーの変動が小さいこと、CO2濃度の変化が気温の変化より遅れていること、太陽活動(黒点周期の長さ)と宇宙線強度の間に相関がみられ、低層雲を変化させることによって気温に影響を与えていることが説明されている。さらに、銀河系の構造や太陽系の運動と宇宙線強度の関係についても触れているが、この点については「まだ広く認められていない」とのこと。
元々、IPCCの第4次報告で用いられたモデルには疑問を持っていた。この本を読んで、宇宙線による雲生成のメカニズムが明らかにされつつある印象を受けたため、CO2原因論に対する懐疑的立場に大きく動いた。とはいえ、CO2の温室効果が否定されているわけではないし、不確実なものに対する予防的措置をとる必要があるかどうかや、対費用効果の観点ともあわせて考え直すことが妥当なのだろう。
あとがきにて、著者は気候変動やエネルギー問題の専門家ではないと自ら認めている。それにもかかわらずこの本を書いたのは、専門家が特定の立場に立つと批判を聴く耳を持たなくなるためであり、専門家以外の意見が必要だからと記している。専門以外の原典をあたる苦労が並大抵ではないことが容易に想像されることともあわせて、著者の科学者としての真摯な姿勢をうかがわせる。おすすめ。
クライメート・ゲート事件
・20世紀が過去1000年間で最も高温だったとは言えない。中世の高温気に熱暴走が起こらなかったなら、脅威論は薄れる。
・この数年のヒマラヤ氷河の多くは成長するか変化なしで、後退の速度も小さくなっている。
・温暖化によってハリケーンの発生頻度が高くなるという主張は完全に否定されている。
気候変動の歴史
・氷期と間氷期の気温差は、南極で約10℃、中緯度で5℃程度、赤道付近で2〜3℃と推定されている。
・280万年前から気温の変動が激しくなって氷期と間氷期が約4万年周期となり、100万年前から変動がさらに大きくなって10万年周期になった。
・南極氷床は約3500万年前から、北半球の氷床は約700万年前から。
・海洋底コアの酸素同位体データの1.5億年前、3億年前、4.5億年前の極大は、地質学で推定された氷河期にほぼ対応している。
・氷期と間氷期の気温差は毎回ほとんど同じだが、その要因となっているメカニズムはわかっていな���(p.145)
気候変動の要因
・太陽の黒点数が多いときは周期が短くなる。黒点数の周期の長さと気温の相関は高い。
・二酸化炭素濃度の年変化も氷期と間氷期の変化も、気温の変化より遅れて起きている。二酸化炭素とメタンの濃度が同様の変化をしていることも、気温が共通の原因であることを示している。
・新生代のスパンでは、二酸化炭素は2400万年前からほぼ一定だが、気温は大きく低下している。
・宇宙線の強度のうち40%が太陽活動の影響を受ける。宇宙線は低層雲量を変化させ、2%変化すると気温は0.4度変化する(スヴェンスマーク)
・太陽の磁場は11年周期ごとに反転するため、太陽と地球の間の磁場は22年周期で変動する。過去1200年の宇宙線強度(樹木の14C)と平均気温(氷床の18O)は22年周期で変動している(宮原)
・銀河系の渦状腕の中では超新星爆発に遭遇する確率が大きいため、そこを太陽系が横切る度に宇宙線強度は高くなる。鉄隕石のカリウム同位体の調査によると、宇宙線強度は1.4億年の周期で極大になっており、古気候とよく対応する(シャヴィヴ)。20〜24億年前の全地球凍結は、銀河系内の星生成が盛んだったミニ・バーストの時期に一致する(ド・ラ・フェンテ・マルコス)
・太陽系は銀河系の公転面を6400万年の周期で上下に振動している。太陽系が銀河系の公転面から銀河系の進行方向に最も離れたときに生物の絶滅が起きている。銀河系の外から来る宇宙線が最も強くなるためと考えられる(ギース、ヘルゼル)
・エアロゾルに含まれる硫酸の源は、植物プランクトンから放出される硫化ジメチル(DSM:CH3-S-CH3)で、地上の硫黄循環の30%を担っている。エアロゾル粒子の核形成から水滴の成長メカニズムの結論が得られたのは2000年を過ぎたころ。宇宙線によって小さな水のクラスター形成が促進されることが発表されたのは2007年。
・水滴の核生成を促進する別の物質として、イソプレシンが発見されている。イソプレシンは陸上の植物からも、海中の植物プランクトンからも放出されている。
気候変動の予測
・この数十年間の太陽活動の活発化によって宇宙線が11%減少し、雲量は8.6%減少しており、実際の温度上昇がほぼ説明できる(スヴェンスマーク)
・シャヴィヴは過去100年間の気温上昇のうち、0.47℃が宇宙線、0.14℃がCO2によるものとしている。赤祖父は6分の5が自然変動、6分の1がCO2によるものと結論している。
・氷床コア中の10Beから読みとった宇宙線強度の変化によると、太陽活動は2300年、980年、207年、90年の周期で変動している(アブリュー)
・CO2濃度が高くなることによって、アマゾンの熱帯雨林のバイオマスは毎年0.6%、アメリカの森林は0.8%増えている(p.175)
エネルギー問題
・日本の一次エネルギー消費量をすべて太陽電池でまかなうには、国土の10%の面積が必要。
・世界のエネルギー消費量は、植物が生産するエネルギー量の7分の1〜6分の1。現在利用されいるのは7%。
・陸上穀物の200倍のエネルギーを生産できる微細藻類が発見されている。
・メタンハイドレートは深部地下生物圏のメタン生成菌が発生したメタンが水と反応して作られたもので、含まれる炭素量は大気中のCO2の16倍(p.249)
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暑さと省エネの夏休みに読む本第3弾。宇宙線説はどこまで正しいか。IPCCが間違っていても必要なCO2削減と省エネ。
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前半は地球温暖化 二酸化炭素説に対する疑義。後半はエネルギー問題の議論。レーザーによる核融合点火が、2012年に予定されているというのは驚き。自然エネルギーより本命になるかも。
現在の太陽電池は製造にエネルギーを消費しすぎる割には発電効率が悪いから基礎技術開発に力を注いだ方がよいのでは?という提言は同感。
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卒論を執筆以降、気候変動に対して懐疑的な見方をしていた自分にとって疑惑から確信へ変える1冊でした。
「科学者というのは出てきたデータに対して忠実に分析しなければならない」
しかし、そのデータそのものがいい加減なものでなおかつ修正が加えられていたとするのならば、忠実に分析したところでまたその分析結果もまたいい加減なものになるであろう。