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紙の本
宙ぶらん (集英社文庫)
著者 伊集院 静 (著)
私は定職を持たず、逗子の古いホテルに宿賃滞納のまま暮らしていた。ある日、電車の中から××義肢製作所という素人くさい手書きの看板を目にする。無為な毎日と重ね、宙ぶらんな感じ...
宙ぶらん (集英社文庫)
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商品説明
私は定職を持たず、逗子の古いホテルに宿賃滞納のまま暮らしていた。ある日、電車の中から××義肢製作所という素人くさい手書きの看板を目にする。無為な毎日と重ね、宙ぶらんな感じがして気になった。二十年後、大学の野球部で同期だったYが自殺したと聞き、その奇妙な感情を思い出す。死体には右足がなかったという—表題作。全十話からなる伊集院文学のエッセンスを凝縮した珠玉の短編集。【「BOOK」データベースの商品解説】
『いねむり先生』の名手が綴る珠玉の短編集
大学の同級生の死をきっかけに、記憶のなかのある女の死が蘇る…表題作ほか、人生を静かな目で見つめる10編。(解説/桐野夏生)
【商品解説】
収録作品一覧
煙草 | 9−26 | |
---|---|---|
塩 | 27−43 | |
羽 | 45−63 |
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伊集院静か夏目漱石かのレベル
2011/12/19 15:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊集院さんの作品は、もう長い事愛読してきたけれど。歳を重ねるごとに、凄みを増しているというか本当に独特の世界を築き上げてると感じる。クリエイターというより、もうアーティストの域に達してるのではとさえ思う。この読み口は、他のどこにもない。何とも深く濃く、どこかノスタルジックで胸の奥深い所に流れ込んでくる感じ。ふと思ったのは、例えば名だたる名画の、その生まれた経緯を物語にしたら、こんな短編が生まれるのではなかろうかという事。ゴッホの「ひまわり」は美しい名画だけれど、その作品が生まれた背景には、恐ろしいまでの人間模様がある。それを文章にして物語のようにしたら、この短編達のような読み口になるのではないか。
一冊で200ページ足らずと言う短い作品。その中に何と10の短編が収録されている。だから一つの物語がどれほど短い物かお分かり頂けると思う。だけどそのどれもが、胸にぐっときて頭を離れない。こんな事が出来るのは、伊集院静と夏目漱石くらいではなかろうか。
短い作品であるから、その気になればあっという間に読めてしまう。でも電車の中など騒音の多い所ではなく、集中して物語に入り込める環境で読まれる事をぜひお勧めします。きっと悲しいでも切ないでもない、何とも不思議と胸締め付けられるような感覚に、浸る事が出来るでしょう。