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紙の本
超能力を身近な問題として位置付けた傑作。
2023/05/28 11:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力を身近な問題として位置付けた傑作。超能力は人知の枠を超えた魅力的な能力ゆえ冒頭から興味をそそられワクワクする。しかし本作の魅力は、超能力者にとってこの社会は生きずらい世界だという現実と結び付いた展開である。異なる生き方を模索する2人の超能力者の堅い絆が感動的だが悲しい結末に結び付く緻密に構成された展開は見事。超能力という魅力的な課題を要所で巧みに使い、大きな計画殺人という謎解きに収斂させていく構成力と文章の巧みさも流石。著者の作品は、現実的ではありながらも何処か「不思議」に通じる感覚がある。それは超能力や霊魂といったものに通じるものであり、人知の及ばぬ世界の存在を感じさせるものであるが、そうした感性が本作で強く感じられるのは私だけかな?
紙の本
推理を積み上げていく
2021/12/31 12:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くらひと - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力をもつという少年慎司と出会った週刊記者の高坂。同じ力をもつという直也に慎司の力はトリックだと言われ、その力が本当かどうかを調査し始める。一方、高坂に謎の脅迫が行われるようになり、慎司や直也を巻き込んだ事件が発生する。
慎司の力が本当なのかを調査していく様子が非常に丁寧。
最後の事件は犯人の意図が全く分からず、予想がつかない展開だった。ここも、高坂の少しずつ推理を積み上げていく感じがよかった。
紙の本
ミステリーソーンを思い出す
2020/06/25 09:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆきの現代モノの小説である。主人公は新聞記者であるが、色々な出来事に巻き込まれて、傍系の雑誌社に出向となった。その主人公が超常能力者と自称する少年と出会う。いまどき超常能力者など流行らないが、昔はユリ・ゲラーを始めブームとなった時代もあった。
この少年は人の心が読めるというものである。大昔に米国のテレビドラマにミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)というものがあった。そのハイライトは朝駅前で新聞を買い、コインを皿の上に投げ入れると、立ったままになった。それ以来そのドラマの主人公は喋ってもいない相手の心の声が聞こえてくるというものであった。
本書の主役の少年はまさに相手の心の中での会話が聞こえてしまうというものである。そればかりか、話が進むにつれてテレポーテーション、テレパシーなどあらゆる超常現象が登場してくる。それだけならば驚くには当たらないかも知れないが、同じ能力を持った年齢の近い少年が別に登場するところが宮部の小説らしいのである。
これから記者と2人の超常能力者がどう絡んでくるか? また、この2人の超常能力者がその能力をどのように発揮していくかが面白いところである。ただし、常人である私は宮部が描くこの2人には馴染めない。どこまで行っても馴染めそうもない。しかも、記者が偶然に知り合った少年とその友人が2人とも超常能力者であったというのも、如何にも小説的で不自然であると思う。
しかし、その発想やストーリーはけっして退屈するところがない。ぐいぐいと引き込まれてしまう。それは不自然性を克服して興味が先に立つのであろう。ますます宮部みゆきのファンになってしまったようだ。
紙の本
悪意が
2020/04/03 13:43
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこに悪意があるかわからないな。
本作中で言うと、悪意どころか殺意だけど。
もし本当に他人の心が読めちゃったら、それは辛いよね。
紙の本
サイキックの苦悩
2020/03/11 09:38
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力者たちの活躍だけでなく、異端者としての苦悩も伝わってきます。左遷させられて燻っていた主人公の雑誌記者が、自らの過去と向き合っていく過程にも感情移入できました。
紙の本
ベスト作、と思う
2019/12/05 21:13
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近のは読んでないので断定などできないが、読んだなかではこれが良かった。超能力を持った少年と彼を見守る高坂。超能力は宮部作品ではよく出てくるテーマで、しかも少年ものである。それに印象的なのは、高坂と声を出せない障害を持った七恵という健気な女性との関係。宮部みゆきがもっとも純粋だった頃の作品。
紙の本
超能力ものでも,宮部さんが書くと一味も二味も違います。
2018/11/03 10:27
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力者はうらやましいか?
子供なら,空を飛びたい,念動力で何か動かしたい,
テレポートしたいという憧れがあるはずだ。さすが宮部さん。
現実世界にはめ込んだ軋轢が見事に描かれている。
雑誌記者の高坂は,偶然稲村という少年と出会う。
稲村は,人の心や記憶,物に残された人の想いなどを
読み取る能力を持つ。
高坂は,自分の心の中の秘密を言い当てられて怒り,
超能力をトリックと疑って暴こうとする。
多くの逡巡の末に稲村を受入れそうになるが,
突然織田という少年が現れ,稲村の行いを全否定して
高坂から引き離そうとする。
「もし本当に超常能力者なんてものがいるとしたら-」織田は語る。
「マスコミの前に出て行って,スプーン曲げたりなんかしませんよ。
自分のことをしゃべったりもしない。怖がって,隠れてる。
きっとそうに決まってます」
宮部さんの心理描写は見事だ。
物語はここから核心に向かって動き出す。
超能力という設定ながら,登場人物は実に人間らしい発想をする。
この作品の読みごたえの根幹をなす部分だ。
丁寧に心の動きが伝えられ続け,最後まで作品の現実感が
保たれる。超能力者の話だというのに。
宮部さんの作品の魅力だと思う。
小説だから,基本は人間ドラマである。どんな舞台を作っても,
それがしっかりしていればいつでも楽しめると思う。
孤軍奮闘の,せつないお話。
この展開なら,特殊な設定も納得できると思う。
肝をつぶすような超能力は登場しない。そういった作品ではない。
事件の発生や解決までの高揚感はいつもの通り。
高坂と超能力者の活躍をぜひ見て欲しい。
紙の本
心の中にいる龍
2018/10/30 15:37
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投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
雑誌記者の高坂は、豪雨の中東京に向かう車中で、自転車のパンクで困っていた少年を乗せる。稲村慎司は、超能力があるという。何かを乗り上げた感触があり、確認するとマンホールのふたが外れて、雨がものすごい勢いで中に流れており、黄色の子供の傘がころがっていた。高坂は慎司から、初めて同じ苦しみを共有できる人間が織田直也だと教えられる。
人の心の中をわかってしまう、そんな経験は想像するだけでしんどいことだとは思うが、この小説は息苦しくなる体験を目からダイレクトの入ってくる。圧倒的。そんな龍を一人ひとりの心の中にいると思うだけでやりきれなくなる。
紙の本
あっけない幕引き
2017/07/10 14:07
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
終わり方があまり好きになれなかった。「クロスファイア」でも感じたが宮部みゆき作品に登場する超能力者はみんな不幸になっている。次回は幸せな能力者を書いてくだいね。
紙の本
宮部さんはすごい
2017/06/06 13:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:HIRO - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすがは宮部さん。
サイコーでした。
紙の本
おしい
2017/01/08 19:11
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
台風の中で出会った少年、彼の話す「自分の能力」は本物なのかどうか?記者の目がするどく迫る
・・・のかと思いきや、後半、話は急展開。エスパー魔美か超人ロックか。
紙の本
息を抜く暇もないほどスリル満点の展開
2016/11/21 21:30
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本推理作家協会賞を受賞した著者初期の傑作である。この頃から著者の物語の構成力はずば抜けている。息を抜く暇もないほどスリル満点の展開であり、そして意外性もある。物語の最後の方まで全体像がつかめない。この頃から宮部みゆきの作家としての力は完成されていたように思える。
紙の本
面白い
2015/08/08 01:02
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投稿者:本すき - この投稿者のレビュー一覧を見る
雨の日なんかに読むといいかも
宮部先生のワールドですね。
良くわからないうちに読んでほしい
意外性で 私は面白かったです。
紙の本
様々な人。
2015/05/31 12:58
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投稿者:kuzira - この投稿者のレビュー一覧を見る
分厚いですが、読み応えがあります。
世の中にはいろんな人がいて、その人の考える幸せ、人生がある。
ある登場人物の完璧だと思っている人生が怖かった。
人生、思い通りに行くことばかりではないのに。
紙の本
超能力ものでも,宮部さんが書くと一味も二味も違います。
2010/11/08 09:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
超能力者はうらやましいか?子供なら,空を飛びたい,念動力で何か動かしたい,テレポートしたいという憧れがあるはずだ。さすが宮部さん。現実世界にはめ込んだ軋轢が見事に描かれている。
雑誌記者の高坂は,偶然稲村という少年と出会う。稲村は,人の心や記憶,物に残された人の想いなどを読み取る能力を持つ。高坂は,自分の心の中の秘密を言い当てられて怒り,超能力をトリックと疑って暴こうとする。
多くの逡巡の末に稲村を受入れそうになるが,突然織田という少年が現れ,稲村の行いを全否定して高坂から引き離そうとする。
「もし本当に超常能力者なんてものがいるとしたら-」織田は語る。「マスコミの前に出て行って,スプーン曲げたりなんかしませんよ。自分のことをしゃべったりもしない。怖がって,隠れてる。きっとそうに決まってます」
宮部さんの心理描写は見事だ。物語はここから核心に向かって動き出す。
超能力という設定ながら,登場人物は実に人間らしい発想をする。この作品の読みごたえの根幹をなす部分だ。丁寧に心の動きが伝えられ続け,最後まで作品の現実感が保たれる。超能力者の話だというのに。
これが宮部さんの作品の魅力だと思う。小説なんだから,人間ドラマであるということ。どんな舞台を作っても,それがしっかりしていればいつでも楽しめると思う。ネタバレが怖いので,中身をほとんど評していないことをご容赦頂きたい。孤軍奮闘の,せつないお話。この展開なら,特殊な設定も納得できると思う。
肝をつぶすような超能力は登場しないので,そこは期待されぬよう。そういった作品ではない。事件の発生や解決までの高揚感はいつもの通り。高坂と超能力者の活躍をぜひ見て欲しい。