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商品説明
音楽の才能は普通だが、世渡り上手なワタル。才能に恵まれるも、孤独に苦しみ続ける礼二。少年から大人へ—男たちのロック魂が交差する音楽青春エンターテインメント。【「BOOK」データベースの商品解説】
音楽の才能は普通だが世渡り上手なワタルと、才能に恵まれるも孤独に苦しむ礼二。ふたりが初めて組んだバンドは成功を収めるが解散。以後互いに意識しつつも歩み寄れず…。音楽男子の青春小説。『別册文藝春秋』連載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
誉田 哲也
- 略歴
- 〈誉田哲也〉1969年生まれ。学習院大学卒。「妖の華」で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞、「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。他の著書に「ジウ」など。
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紙の本
人がなんといおうと私は梨央が選ぶのは礼二であるべきだと思っています。すくなくとも友哉か均であって、航だけは絶対にいや。ま、軽い男を選んで、自分が自由に生きるっていう選択もあるんでしょうが、私は御免です。そこで★一個減した次第・・・
2012/04/24 21:50
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
どのバンドのコンサート風景かは分かりませんが、雰囲気のある写真です。ま、セッティングがしっかりした会場の光景というのは、人の入りがよければそれだけで様になるのは確かで、私はよくBS放送のライブ番組をみるのですが、特にオープニングの会場というのはそれだけで様になります。どちらかというと野外よりは屋内のほうがいいともいえて、大掛かりな装置があるのもいいですが、ロックの場合はシンプルでも光物があればかなりいけると思います。
で、この本を飾る光景は、明らかにロックの会場。全体の色合いと交差する光の様子が、見るものに場内の興奮をそのまま伝えてくる、そんな感じでしょうか。ただし、本全体から受ける印象は、文藝春秋の本ではなくて光文社の本。いい、悪いではありませんが、文春はこういった弾けた感じのカバーって、あんまり使わないって思います。
それにしてもバンド・ブーム、続いています。ま、バンド・ブームが正しいかどうかわかりません。少なくとも私がものごころついてから今まで、ブームでなかった時がありません。で、この背景には二つのものがあると思います。一つは純粋に音楽が好きだ、可能なら自分で演奏したいという、ある意味、極めて真面目に音楽に取り組もうという思いです。
もう一つが、ともかく人に注目されたいという欲望。これが案外大きい。ただし、こういう人にとって音楽は一つの道具に過ぎません。スポーツでも芸術でもなんでも構わない。脚光を浴びて、お金が入ってきさえすれば、それで異性をひっかけることができればいい。私だって思います、自分の歌で喝采を浴びてみたいって、テニスでメダルが欲しいって。なにも『ケイオン』が当たったからのブームではないわけです。
で、このお話にも、この二つの動機で音楽の世界に入ってきた男が登場します。まず、音楽と真面目に向き合うのが三田村礼二です。谷垣友哉がバンドにボーカルとして引っ張った抜群の音楽センスをもったA組の生徒で、シンガー・ソングライタに憧れています。一人で多重録音の技術を学び、機材を買い集め、自作の曲のテープを作ったりします。人づきあいが嫌いで、自分の音楽を求めるために孤立する傾向がある、そういう人間です。
それに対して、音楽を遊びの道具と割り切っているのがワタルこと春日航です。小学校の時から洋楽に親しみ、クラシックギターを習っていたこともありますが、それ以上ではありません。白秀院大学付属中学に入り、三年の時、友哉、均とバンドを作りリーダーとなります。音楽センスがないせいか、楽して脚光浴びて女と好き放題やっていければいい、としか考えていません。
礼二をバンドに引っ張った谷垣友哉は、中学二年の時の航の同級生で、バンドを作ることを持ちかけた張本人です。ギターの腕はごく普通ですがが、熱心で確実に音楽をものにする力があります。川嶋均は、巨漢で、中三の時、航と同じC組になった時、ドラムスをやらせろと割り込んできましたが、意外や腕前はかなりのものです。
そして、松下梨央がいます。白秀院大学付属中学一の美少女で、音楽についてとりあえず一家言を持つ航のところに洋楽の情報をもとめてやってきて、高校時代には、ボーカルとしてバンドに参加します。容姿もですが頭もいい、彼女の存在が航を動かし続ける、と言っていいのかもしれません。そして、人生で勝組になるのは、まじめに音楽と対峙する人間ではなく、ただ金儲けと割り切る輩だったりするわけです。
そういう意味でこのお話は、いわゆる真面目組にとっては甘いお話ではありません。逆に、テキトーな人間には優しい。同じ文春から出た音楽ものでも佐藤多佳子の佐藤 多佳子『第二音楽室 School and Music』『聖夜 School and Music』とはビミューに違うわけです。とはいえ、その苦さも含めてこれも人生だなあ、って思わせることは事実です。
ただ、言えるのは礼二のような人間は、恋人にするにはドーカナ? とは思います。あまりに真面目な芸術家、っていうのは、付き合う側にも強いるものが多い。それに、すくなくとも私は耐えられない。無論、尊敬はします。心ときめくことだってある。でも、毎日そばにいられたら辛いかもしれない。正しいかどうかは別にして、梨央の選択には肯けるものがあります。ま、私は軽薄な男は嫌いなので、選べば友哉か均か、なんて思いますけど・・・
帯の言葉は
*
少年から大人へ――
男たちのロック魂が交差する
音楽青春エンターテインメント。
おれたちの
アリーナ!
あの日は
もう帰って
こないのか。
大人気
武士道シリーズ
姫川玲子シリーズ、
ジウシリーズの
著者による最新作
*
で、初出は「別冊文藝春秋」2010年1月号~11月号、平均的なブックデザインは泉沢光雄、目次を写しておけば以下の通り。
序章
第一章 1984‐1987
C組にて ♪ ワタル
真 理 ♯ 礼二
初恋にて ♪ ワタル
火 傷 ♯ 礼二
第二章 1988‐1989
大学にて ♪ ワタル
再 誕 ♯ 礼二
渋谷にて ♪ ワタル
軋 轢 ♯ 礼二
第三章 early 90's
正念場にて ♪ ワタル
磨 耗 ♯ 礼二
路地裏にて ♪ ワタル
周 回 ♯ 礼二
第四章 The end of 90's
バーの
カウンターにて ♪ ワタル
繁 華 ♯ 礼二
体育館裏にて ♪ ワタル
瓦 解 ♯ 礼二
第五章 New Century
我が家にて ♪ ワタル
弧 雲 ♯ 礼二
スタジオにて ♪ ワタル
寒 景 ♯ 礼二
第六章 And Our Future
ホテルの
ラウンジにて ♪ ワタル
迷 夢 ♯ 礼二
病室にて ♪ ワタル
回 帰 ♯ 礼二
終 章