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リベルタスの寓話 (講談社文庫 御手洗潔シリーズ)
著者 島田 荘司 (著)
ボスニア・ヘルツェゴヴィナで、酸鼻を極める切り裂き事件が起きた。心臓以外のすべての臓器が取り出され、電球や飯盒の蓋などが詰め込まれていたのだ。殺害の容疑者にはしかし、絶対...
リベルタスの寓話 (講談社文庫 御手洗潔シリーズ)
リベルタスの寓話
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商品説明
ボスニア・ヘルツェゴヴィナで、酸鼻を極める切り裂き事件が起きた。心臓以外のすべての臓器が取り出され、電球や飯盒の蓋などが詰め込まれていたのだ。殺害の容疑者にはしかし、絶対のアリバイがあった。RPG世界の闇とこの事件が交差する謎に、天才・御手洗が挑む。中編「クロアチア人の手」も掲載。【「BOOK」データベースの商品解説】
傑作中編集。民族紛争地帯のボスニア・ヘルツェゴヴィナで、酸鼻を極める切り裂き事件が起きた。心臓以外のすべての臓器が取り出され、電球や飯盒の蓋などが詰め込まれていたのだ。殺害の容疑者にはしかし、絶対のアリバイがあった。RPG(ロールプレイングゲーム)世界とこの事件が交差する謎に、天才・御手洗潔が挑む。同じく民族紛争がもたらした怨念が胸をえぐる中編『クロアチア人の手」も収録。
やっぱり、御手洗!
人間はかくも残酷になれるものなのか――。民族紛争がもたらした怨念が胸を抉る、超絶スケールの傑作2編!
ボスニア・ヘルツェゴヴィナで、酸鼻を極める切り裂き事件が起きた。心臓以外のすべての臓器が取り出され、電球や飯盒の蓋などが詰め込まれていたのだ。殺害の容疑者にはしかし、絶対のアリバイがあった。RPG(ロールプレイングゲーム)世界の闇とこの事件が交差する謎に、天才・御手洗が挑む。中編「クロアチア人の手」も掲載。【商品解説】
目次
- リベルタスの寓話(前編)
- クロアチア人の手
- リベルタスの寓話(後編)
収録作品一覧
リベルタスの寓話 前編 | 5−151 | |
---|---|---|
クロアチア人の手 | 153−364 | |
リベルタスの寓話 後編 | 365−472 |
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紙の本
東欧の民族紛争が絡んだ中編集
2017/04/19 12:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sipa - この投稿者のレビュー一覧を見る
2007年初出の御手洗潔シリーズ中編集を、7~8年ぶりくらいに再読。 1話目「リベルタスの寓話」、2話目「クロアチア人の手」の中編2話です。
どちらも作中時期は2006年。シリーズの時系列の最後に位置する1冊です。 御手洗57歳、石岡君55歳、ハインリッヒは65~6歳。時の流れを感じます。 今のところ、これ以降の彼らの姿は描かれていないと思います。
御手洗教授多忙につき、1話目ではハインリッヒが、2話目では石岡君が現場へ。 NATOも警視庁もお手上げの謎を、御手洗が電話の向うからひも解いていきます。 どちらも同じ地域の民族紛争が絡んだ事件で、歴史的な背景は同一です。
1話目「リベルタスの寓話」の舞台は東欧のボスニア ヘルツェゴヴィナ共和国。 4人の男が惨殺され、クロアチア人の元医師が重要容疑者として浮上。 しかし、現場に残された犯人の血液型は彼のものとは異なり…
合間にお台場のシーンを挟みつつ、ネットゲームありヘリコプターありソーセージあり、いろいろありながら犯人を追い詰めていきます。
再読したら、犠牲者の1人のボリヴォイについて気づいたことが。 2話目の冒頭の回想シーン(1991年)にも同じ名前の高校生が出てました。 2006年には30過ぎになるので、年齢的にも同一人物っぽいです。
2話目「クロアチア人の手」の舞台は東京・深川の芭蕉記念館近辺。 俳句国際コンクールの表彰のため、2人のクロアチア人が来日。 1人は記念館内の密室で死亡し、もう1人は館外で交通事故に遭い…
1話目のヴィーナスフォートに続いて、こちらでも江東区が舞台に。 いま読むと御手洗と石岡君のやり取りがジョイマンのコントに見えます。 (「~ですか?」→「イエス ノー」→「いや、どっちそれ」というくだり) 50代半ばになっても国際電話でこんな掛け合いをしている2人は最高です。
電子書籍
リベルタスの寓話
2022/10/21 16:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Keito - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボスニアヘルツェゴビナでの事件と日本で起こった事件と一体繋がりはあるのかないのか真相はなんなのかか描かれているが読後は重たい気持ちになった
電子書籍
民族紛争の心の傷は深い
2019/05/02 05:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作の前後編に挟まるように中編『クロアチア人の手』が挿入されています。どちらの作品もクロアチア・セルビア・モスレムの民族紛争を背景としており、作中時期も同じ2006年。『クロアチア人の手』は2月で、『リベルタスの寓話』は5月ということになっています。
『リベルタスの寓話』では、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで、酸鼻を極める切り裂き事件が起き、心臓以外のすべての臓器が取り出され、電球や飯盒の蓋などが詰め込まれていたという奇怪な事件を解決するためにNATOからウプサラ大学にいる御手洗潔に依頼が行き、彼の代わりにハインリッヒが現地へ飛び、御手洗は電話で応対します。殺人動機は先のセルビア人による民族浄化に対する個人的復讐の他もう1つ個人的要素が含まれており、また被害者たちの裏家業に関連することで発見により、殺人者が思い付きで行動したので事件がより複雑に絡まる羽目になりました。民族対立による内戦の傷跡の根深さが、中世において差別のない自由都市として栄えたクロアチアの平等精神と強烈な対比をなし、良き伝統が現代まで受け継がれなかったことが悲しみを深くします。「リベルタスの寓話」として紹介されているクロアチアの総督選挙に使われたブリキ人形の伝説は作者の創作とのことですが。非常に興味深い寓話ですが、待ちを囲んだトルコ兵が神父一人の死によって「災厄が去った」として撤退するくだりはやはりあり得ないという印象を受けざるを得ません。
『クロアチア人の手』の舞台は東京・深川の芭蕉記念館近辺で、俳句国際コンクールの表彰のため、2人のクロアチア人が来日し、夜に泥酔して記念館に帰った翌朝に1人(イヴァン)は記念館内貴賓室の密室で死亡し、もう1人(ドラガン)は館外で交通事故に遭って死亡するという事件で、しかもイヴァンは自室ではなく、ドラガンの部屋でピラニアに右腕と顔を半ば喰われていて、そのピラニアはホールの水槽から貴賓室の水槽へ移されたもので、酔っ払いの不可解な行動として片づけていいものか謎。自室ではない密室という不可解さも含めて奇妙な事件で、警察が御手洗のアドバイスを期待して石岡に連絡するわけですが、ここでも御手洗は忙しさを理由に電話で途切れ途切れにヒントを出すだけです。こちらの事件も先の内戦の確執を引きずった事件で、表面上仲良くしていてもふとした拍子に殺したくなるほどの憎しみが噴出するという心の傷の深さを象徴するような気の毒な話です。ドラガンがセルビア人との混血であることが災いして要らぬ誤解を招いて、謂れの無い恨みを買ってしまったというのが悲劇的です。
紙の本
トリックは奇抜だが・・
2019/03/16 08:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
『リベルタスの寓話』を前編と後編に分けて、間に『クロアチア人の手』を挟む中編2作。『クロアチア人の手』の方はなかなかトリックとしては面白かったのですが、ほんまにそんなトリックできんのか?とやや疑問に感じてしまいました。一方、『リベルタスの寓話』は、最初の寓話は面白かったのですが、そもそも前編と後編に分ける意味が分からず、内容もなんか仮想通貨や何やらも絡み、1章ごとに結構話も飛びぃで、正直ようわかりませんでした。
紙の本
民族間紛争の歴史
2016/08/21 11:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなりグロテスクな事件から始まるお話。
過去の戦争、民族紛争、長い時間が生んだ悲しい背景があります。
今回も御手洗さんは電話で登場。
間に入ったお話では石岡さんも登場しますが…。
なんだかこちらも時間が生んだ溝ができてしまったような感じがしました。
どうなんでしょう、最近の作品は御手洗シリーズである必要があるのでしょうか…。
舞台も海外が多いし、外国人が探偵の別のシリーズとかにしても成り立つ気がします。
やっぱりシリーズものは、主人公が歳を重ね、状況が変化したりすると色々あるのでしょうかね…。
そろそろ御手洗シリーズ卒業かな…