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ラノベより少し読み応えのある感のある内容で、さわやかな青春物かと思えば、べたべたの砂糖入り炭酸水がずっと肌に残っているような、飲み干した最後の一口のような読後でした。
夏の物語ですね。
私はアオハルとミズのエピソードが好きです。
年齢的にアオハルに近いかも知れないけれど、アオハルが一番、ミズの幸せを願っていたんじゃないかなあと。
ちひろはミズはおろか、たぶん三浦にも勝てなかった…。
夏央よりずっと、アオハルのなにかを受け継いでいくのはミズと三浦なんじゃないかなあ。蝉として生きてきたはずのアオハルが、蝉としては不必要な「たいせつなもの」を見つけてしまったわけで。
ミズはアオハルとのことを恵には話さなくても、三浦には話すと思うし、そのときは三浦もいろいろ思い出して、「あーあれは不完全な三角関係だったのか」って思い至るのではないかと。
少し気持ちが悪くて、でも読み進めないとさらに居心地が悪い、そんなお話しでした。
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SFのような、ホラー風味のミステリーのような、一筋縄ではいかない青春小説。
暗がりの中でお互いの心に歩み寄りながら、触れ合う場面はドキドキ。甘酸っぱいわ、胸キュンするわで、読みながらぐぐっと前のめりに。
正直、運転席で蝉と一人格闘してる恵を差し置いて、イチャついてんじゃねーよとは思ったけど。不憫な男だ。
別に恵びいきなわけじゃないけど、表紙に三人描かれてるくらいなら恵の章があっても良かったんじゃ・・・?
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爽やかな中に潜む奇妙な感じが、読み進めるうちにどんどん大きくなっていき、後半は読んでいてとても怖かった。
『蝉』とは一体なんだったのか。
壁井さんの小説に漂う一定の雰囲気が好きです。
そこはかとなく恵が不憫だったような。
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青春×ホラーという感じ。
クライマックスのほうではヒッチコックの有名な映画「鳥」が浮かんだ。
でも、鳥より気持ち悪い!!
映像として浮かんだ鳥がシーンに合わせて変換されたときに
ぞわーっと鳥肌が立った。
そのホラー的な背景を持ちつつ、しっかりと青春小説らしく、
思春期の主人公たちが自分に折り合いをつけたり
世間の大人たちや自分の親たちと距離を取り始める
自立がテーマの話なのかなと思いました。
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さすが壁井ユカコ・・・
帯に「切なくきらめく、傑作青春小説!」って小さく書いてありますが、
結構ホラーですw
幼なじみの男2、女1(高校1年)が、中学時代にあった出来事と、今の関係の状態と、描写が行ったり来たりしながら進みます。
面白いです。
ほんと文章が超自然・・・美しい。表現力に感服。
なんか文字と想像との邪魔をしないんだよね。
たまに表現力が突出しすぎている人は、現実を超えたものを書こうとしていて、頭がついていかないんだけど。
壁井ユカコはそのあたりの匙加減が天才です。
キャラもいい。
方言がすげーかわいい。
最後ちょっと、ふっ と終わったけど、それも私は好きです。
ただ結構怖かったw
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ほろにが青春グラフィティ。
かなり読みやすかった。
もちょっとがっつり終わらせてほしかったかな〜(´∀`)
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“「倉田、ケータイ切っといたほうがいいぞ」
バックミラー越しに恵が言った。右に左にと首を倒してハンドルの両脇を覗き込み、ワイパーを作動させてしまって「うお」とか一人で驚いてからヘッドライトのレバーを探しあてたようで、前方の道路が白く照らされる。
「電話かかってきたら場所が割れるやろ。ほら、前になんや芸能人が覚醒剤の容疑で逃げてて、ケータイの電波で潜伏先がわかったとかいうのテレビでやってたしな」
ここまで来たら共謀する気満々のようだ。片手でハンドルを操りながら片手で自分の携帯電話をだして電源を切った。わたしもそれに倣って手にした携帯の電源をオフにした。"BYE"という文字を残して液晶がブラックアウトする。
「三浦も、ケータイ……」
荷室を振り返って声をかけた途端、こっちがびっくりするくらい三浦が大げさに身体を揺らして顔をあげた。
「倉田?」
心配そうな声で呼ぶ。勢いよく顔をあげたわりに頼りなげに視線が泳ぐ。あっ、とわたしは気づき、パネル壁を離れて三浦のほうに駆け寄った。坂道の傾きのせいでたたらを踏み、ボール籠の縁に摑まったが籠がごろごろ滑ってもろともにあらぬ方向に押しやられてしまい「ぎゃー」と騒ぐ。「おまえなにやってんじゃー」と運転席から恵が呆れた声をよこす。一人で羞恥しつつ籠を押し戻し、三浦の前に正座した。
「ここにいるよ」
「騒いでたでわかる。ケータイやろ。今日持ってきてえんで問題ない」
三浦は笑いはしなかったが、強張った表情が心持ちほぐれたように見えた。荷室には窓がないため運転席側の格子窓からわずかな光が射し込むだけだ。ちょうどそう、小学校二年生の、陽が落ちはじめた境内で三浦がそろそろ帰らんとと弱気になりはじめたときくらい。あのときはまだまったく視界が利かないわけではなかったはず。すこしずつ悪くなっていく、と昨夜三浦のお母さんが言っていた。八年前に比べて今の三浦の視力はもっと悪くなっているのだ。
「見えんの……?ぜんぜん?」
「翳……はな、こんくらい暗いともう、真っ暗にしか見えん。ここは全部、翳やろ」
視線を心許なく泳がせて、暗澹とした声で三浦は言った。”[P.256]
市川さんの挿絵が壁井さんの文章にぴったり当て嵌まってるなぁとしみじみ。体格とか。骨とか。空気とか。
壁井さんの話が爽やかの一言で括られるはずがない題名に騙されるものかと思って読んでみれば何というか抑え込めるぎりぎりと生きるどろどろ。
最初は三浦も蟬なのかと思ってた。
「母親」という生き物は「子供」を守る為に動くのはそれはそうだろうけれど、ぞわりとしてしまう。
谷津くんが実に絶妙な立ち位置だなぁ。
追い詰められた感のあるぎらぎらした少年の描写と最後辺りの描写がとても好き。
倉田ミズ、少女。
三浦誉、少年。
恵悠、少年。
佐野青春、先生。蟬。
松沢千比呂、先生。
夏央、千比呂の子供。
“「いつ俺が」
抑えた声で言いかけたところで、思いあたることがあった。
佐野が学校にでてこなくなる数日前のことだ。不本意極まりない五者面談の場に出頭させられ、とにかく気がささくれているときに、廊下で倉田とでくわした。様子を見に来たのだろうということはすぐにわかったが、話を聞かれたかもしれないと思った途端頭に血が昇って……死んでまえなどとは誓って言っていない。しかし「倉田に(目のことを)知られるくらいなら(俺が)死んだほうがましだ」と言ったのは確かに憶えている。ここのところ女子からチクチクした視線を感じるような気はしていたが、いろんな部分が端折られてそんな伝わり方をしていたとは……。なにを口走ったか全部は憶えていないが他にもひどいことを言ったかもしれない。壁に突き飛ばしたような気も。
あの日の翌朝、どっかで脱げたはずの上履き片方が下駄箱に放り込まれていた。履こうとしたら中になにかが入っていた。訝しげに上履きを持ちあげて振ってみるとノートの切れ端が落ちてきた。
乱暴なでかい字でこう書いてあった。
"ほまれ あほ"
校内での自分の評判は知っているから誰かに嫌がらせをされても仕方ないと思っただけですぐに捨てたのだが。
「……あれ入れたの、倉田か。仕返しか」
せっこいやり方で仕返しして、子どもかあいつは。
心臓をきゅうっとつねられたような感じがした。痛みとは違う、苛立とも違うそわそわするなにか、とにかくいてもたってもいられない感情に衝き動かされて立ちあがった拍子に机の脚に脛を引っかけ、跳ねた机に谷津が顎をぶつけて「んが」と白目を剝いた。どこへ行ってどうしようと考えていたわけではないのだが、他人の机や椅子も蹴飛ばしておそらくクラス中の顰蹙を買いながら廊下にでたところで壁にぶつかった。”[P.116]
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市川春子さんのイラストが目当てで図書館から借りてみた、という軽ーい経緯でしたが、読んでみて驚いた!ストーリー、文章、キャラクター、どれも私好み!壁井さんはこの本が初めてなのですが一気にファンになりました。
ホラーでファンタジーで青春で恋愛…いろんな要素が混沌と詰まっていて、ジャンル別けなど不可能。どういう本なのかと尋ねられても一言で言い表すことができませんね、なんというか圧倒されっぱなしで読み終わってしまったので。緊張感のある文章で読み出したら止まらないし、登場人物の誰もがそこに「生きて」いて生々しい。
一番印象に残っているのが千比呂と夏央の母子。私も息子がいるので千比呂の気持ちは理解できて、「母親」という生き物はそういうもんだと妙に納得してしまいました。なので、彼女が本性を現す前の言動には幾らか嫌悪感を抱いていたのだけど、「母親」としては共感できるし、嫌いにはなれないですね。夏央がアオハルをみつけて「パパ」と呼ぶところでは涙が出そうになったし…。
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サマーサイダーと言うぐらいだから、もっと爽やかな青春ストーリーかと思いきや、中々グロテスク…!
蝉 苦手なんで気持ちわるいー!うわあぁぁ…となりながら読みました。佐野先生ムリっす。不気味すぎ。
いやぁ、結構不思議な話でした。
ただ、恵と誉とミズの三角関係は凄い良かった。ミズちゃんはスゴいサバサバしてて好感持てるし、タイプの違う恵と誉も両方かっこいい。やつら中学生にしては、立派すぎるよ。
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けっこうおもしろかった~
蝉人間の話だった・・
小学校からの幼馴染の3人のこいもよ・・う?
蝉人間の先生の奇妙な死の真相とか
中学校のマドンナ先生(巨乳)のこわ~い実態とか
なんだかよくわかんないけどおもしろい
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2012.08.18
青春小説かと思っていたら、意外とホラー作品でした(笑)
自分には欠陥があるから、大切な人を守れない。
その偏った考え方が如何にも思春期特有の考え方で、だからこそもどかしく懐かしかったです。
今振り返れば、なんてないことも、その頃の自分にとってはそれば全てだった。
蝉は成虫になったら一週間で死んでしまう。だからこそ、幼虫のうちに何をするべきか考える。人間も同じなのかもしれない。
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青春?ミステリー?ファンタジー?
あの先生はいったい何者だったんだろう・・
若者たちが悩む何かをたとえたんだろうか・・・?
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時かけみたいな青春小説なのかな!と思ったらホラーでびっくりした。恵くんみたいな男の子のぜったいにどこかにいる感じがすごいリアルでよかった。でも三浦が好きな気持ちめっちゃわかる〜!蝉を踏み潰す感覚が最悪な中での告白にはいまここで!?とは思った。いや三浦くんにとっては真っ暗だからこそだったんだろうけど。
教師と生徒や周囲との繋がりや関係が深いのは田舎ならではの感覚としてなんだろうな〜とは思うけど、いや倉田〜と思っちゃう。感覚が違いすぎる感じはちょっときつかったかも。わたしが女で大人だから余計かも…。
佐野の、成虫になったらパッと輝いてなにもかもわかるかも、みたいな感覚は、誰もが子どもの頃に抱いていた、大人になったらきっと自動的に全部わかる!みたいな感覚なんだろうなと思った。実際大人になってもなにかが突然に変わるわけじゃないのにね。
どんどん不気味になっていくチヒロさんすごくよかった。美しくて不気味な女は最高なので。口調が大変穏やかなのもよかった。
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蝉について詳しくなりました 笑
文章に夏とか爽やかさがにじみ立てて
題名にピッタリだなと思いました。
相手を思うがゆえのすれ違いとか
恋愛要素もあったり、
ラストの場面はホラーじみていて怖かったです。
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女子1人男子2人の幼馴染み青春ものとしては面白かった。まさかのホラーというかグロいとこはきびしかった・・・。図書館で借りたら、本文中の難しい単語が鉛筆で塗りつぶされていた。たしかに唐突に小難しい単語が出るのは違和感あったかも。