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月に2回の、祖父に会う日。
訪ねてみれば、祖父は眠るように旅立っていた…のは良いものの
お腹にしている入れ墨に、一気に引き落とされていた六百万。
お金にがめつい、伯母と母親に言われ、その行方を探してみれば
見つけたのは久しぶりにあった元生徒と、奇妙な祖父の交友関係。
終わってみれば、祖父に良いように転がされている、という気が。
祖父にかこつけた恋愛なのか、恋愛にかこつけた祖父なのか。
どちらもきちんと終わってはいますが、何だかな~という感じ。
祖父の終わりにはぎょっとするものがありましたし
恋愛の終わりは流れで…みたいな気もしますし。
きちっと言葉にしていただきたい、と思うのですが
待たされた身としては、これで満足、でしょうか?
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終戦記念日の8月15日、90歳になるおじいちゃんはまるで居眠りしているかのように亡くなっていた。そして、何とおじいちゃんの下腹部には、これまで見覚えがなかった刺青が遺されていた。梵語4文字と真ん中に「百合子」という文字が、、、
おばあちゃんの原宿・巣鴨界隈を舞台に、おじいちゃんが遺した刺青の謎を追って、羊君こと高校教師・浅野薫の探索が始まる、、、
元教え子のダンサー・栗本翠の協力を得て、刺青の謎を追いかける薫だが、なかなか謎は明らかにならない。
爽やか系の青春ミステリかと思いきや、途中からややグロさが目立つという意外な展開。
最後に至って、なるほどと思わせるタイトル付けだ。
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八月十五日、終戦記念日。
祖父が、腹のど真ん中に謎の女の名前「百合子」と梵字の刺青を残し、九十歳の生涯を閉じていた。
孫である浅野薫は、偶然再開したかつての教え子楠本翠と、百合子の正体と、祖父の口座から引き出された600万の行方を追うことになる。
だんだん見えてくる祖父の姿・行動が、無気力で不活発な孫であった薫を変えていく。
タイトルから勝手に恋愛もの?と思い読んでみると、戦争やグロイ要素が入っていたりと予想外の展開でした。
その幅広い展開が最期に結びつくのですから面白いですね。
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表紙と題名に惹かれて本屋でずっと気になっていたのだが、読んでみたら、表紙と題名が話に合ってないことが分かった。
孔雀と刺青は重要な話の核なんだけど。だけど。
しかも、教師が右の女性で、教師を好きなのが左の男性だと思っていた。本屋では色々誤解していた。
…いろんなものを、無理矢理に詰め込んでいる気がした。部分を取り出せば好きな箇所は多いのだが、全体的には微妙。
ニューギニアの兵士たちの話は本当に辛い。生き残って、罪悪感を抱えたまま現代を生きる老翁たちの話は、間接的に聞いたことがある。
今の若者たちは求めれば与えられることが当然と思っている、という一文にハッとした。
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何とも言いがたい作品かなぁ、と言う感じ。生前、倹約家の祖父が600万円の謎。4年前、教え子から出された告白の答え。その二つがつかず離れず。微妙な距離を維持し続けて紡がれる物語は、「面白い」と言い切ることはできないけども、なぜか目が離せないような魅力があって。ページ数も、ちょうど良いところで終わる、という感じの絶妙さ。長治郎さんの言葉が印象の残ったり、ラストのシーンが印象的だったり。ラストはなんだか胸に残る。なんだか不思議な作品だ、と言う印象です。
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表題や主人公が女子高の男子教諭って事で、メルヘンチックにストーリーが展開すると思わせながら。
健全な少年少女には読んでほしくないような世界が出てきてドキドキ。
お祖父さんのお腹に女性の名前の刺青(最近入れた)があったって出だしからヘンだよね。そんな生き方も良いと一瞬は思ったけど。
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表紙と中身の内容が違いすぎて驚くわ。表紙は極彩色でどこかミステリーを感じさせる内容。一方中身はミステリーに違いないようだがどこか違う。
学校の先生・浅野薫は、祖父の死をきっかけに祖父の腹に残された刺青と600万円の行方を捜す。そこに元教え子の翠がからんできて、刺青の行き着く先は。
本書は始め単なる興味や押しつけから発端している。だが途中から何かにすり替わっている。例えば、生への渇望や献身。最初になめてかかったら最後の最後のほんとに最後の10ページぐらいで足元をすくわれる感じ。本自体に内容はあまりないが、長次郎の話とかは刺さるものがあった。あったものを奪われ、かつ、ないものから始めなければならなかった。それ故の若者たちへの苛立ちもわかる。ただ今若者として生きる自分から言うと、今だって辛い。それは前よりは状況が良くなったとしてもだ。奪われることもなく、与えられることのほうが断然多い。これを甘えと呼ぶのなら呼べばいい。それは個人でしか計りかねないものはずだから、以上。
あとやっぱり刺青とエロは最高の組み合わせだよね。本当にお互いがより一層に引き立つ。そんな組み合わせって他にもあるのかな。最後に薫はどんだけ自分の心に鈍いのか。ただ、頭でわかっていることと実際の気持ちが伴わないのってなんか萌えるw
装画「知子」装幀「関口信介」
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個人的には好きな本。
評価を見て、強く期待を持たなかったのが良かったのかも。
でも面白かった。
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「卒業したら、つきあってくれますか」答案用紙の片隅に書き込まれていた告白。あれから4年、翠はまだ薫の答えを待っていた。「イエスかノーの二択だから簡単でしょ」「今さら?」「再テストだよ」
この帯紹介からはちょっと想像がつかない内容でした。この部分はいいよね。すっきりとして、ワクワクする。あと、戦争の回想部分も個人的には心に沁みました。
この薄い本にここまで内容を盛り込んだな~という印象。文字数も多くないのにね。色んな味のする本でした。
でもね~、個人的には私は先生と生徒恋愛ものはダメです。特に男性教師と女子生徒もの。どんなに純愛を描こうと、どうしても嫌。理想とはいえ「聖職」であってほしいのです、「先生」には。生理的に受け付けません。
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甘い表紙のイラストになめてかかると、痛い目に遭う。
単なる軽い感じの恋愛ミステリーかと思いきや、意外にシリアスな展開で、最後の最後ではなぜか官能的な世界に。
先日読んだ「自縄自縛の私」より、よっぽどこっちのが変態だと思う。ラストの方は妖しい匂いがプンプン。ただちょっと唐突な感じがしたかな。最初からもうちょっとそういうのは小出しにして、匂わせて欲しかった。
とはいえ、なかなか楽しめた。若葉のキャラクターが◎
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題名と表紙から恋愛ものかと思っていたら、それだけじゃなかった。
祖父の謎が少しえぐくてちょっと苦手。
そして唐突すぎる。
ただ、終わりがサラッとしていたので重い気持ちにはならなかった。
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一人暮らししている祖父のもとを訪れた教師の薫は、すでにこと切れていた祖父を発見する。老衰での死だったが、祖父の腹には刺青が…。薫はなりゆきでその謎を追うことに…
という出だしから教師と元生徒の淡い恋模様をあわせて描き、青春だなあほのぼのだなあという物語…かと思っていたら終盤いきなり官能的でグロさも併せ持ったクライシスがやってきます。
え?でした…え??…。
たしかに刺青というエッセンスは背徳的で官能的な要素を(社会的な害悪はともかくとして)感じさせるものですし、話中にきなくささもなくはなかったですが、いきなりあんなふうにどーんとこられると、ちょっとくらっとしました。
登場人物たちもなんだか普通な受け止め方をしていたので、さらにえ?となりつつ、この感じ方のほうが過剰なのかなあとか思ったりしましたが、そうではない、ですよね…
表紙の絵が凄く凝っていて、実際中身にも沿っているものですけれど…、ただタイトルも含めて青春ものぽいし、終盤ワンシーングロ有り、とか注意入れたい感じがしたのでした。
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坂井希久子 著「羊くんと踊れば」、2011.11発行です。なんとも不思議な、そして官能的なラブストーリーでしょうか・・・。テンポはいいです。面白い作品でした。タイトルの意味は、私には難しく、内容との一致はかないませんでしたw。
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全体を通して見ると装丁から受けたイメージとはかなりギャップがあり、もう少し暗い影がまとわりつく感じだった。ただ、装丁も話に合わせてよく考えられてはいると思う。
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坂井希久子の過去作。長編1作目とのことで、確かに今よりこなれてない感じはあるものの、書きたい素材を「どやっ」とばかりに、てんこ盛りにしてくるあたりが若くてよいなぁ。
ツンデレ、女子学園モノ、年齢差の恋、振り回される草食男子、老いてまだ活躍する老人、戦争の追憶、入れ墨、SM…豪勢にこんだけ盛ったら目移りが激しくて少々ザツなイメージ。ただ迷い箸的な混乱を感じにくいあたりは、構成の巧さなのかなとも思う。
今の坂井作品に比べると、どうしても稚拙や雑さを感じてしまうが、「書きたい」という気持ちがビンビン伝わってくるのが良い。そのエネルギーをダイレクトにぶつけずに上手に制御することで、「ヒーローインタビュー」や「ハーレーじじいの背中」などの傑作に昇華していくんやなぁ。
小説も「パワー」と「テクニック」と「メンタル」なんやなぁ。